Picks
126フォロー
2227フォロワー


飲酒量「できる限り少なく」 ガイドライン案を提示―厚労省
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
厚労省的にはそうでしょう。ガイドラインはあくまでガイドライン。
健康寿命には心血管疾患の予防が重要と考えられ、アメリカ心臓学会からはlife's essential 8として
1. バランスのとれた食事
野菜、果物、全粒穀物・ナッツを推奨
アルコール、塩分、加工肉、加糖飲料などは摂り過ぎない
2. 運動
椅子に座ってる時間を減らすなど
3. 禁煙
4. 睡眠(7-9時間)
5. 適正体重の維持
6. コレステロール
7. 血糖
8. 血圧
を提示しています。
例えば、禁煙の健康寿命への寄与度は大きく、40歳の禁煙で3年以上の健康寿命延長効果だとすると、血圧を10下げたり、LDLコレステロールを40下げたりするのの倍以上の影響があるとされます。(かなりザックリとした数字にしてます)
禁酒が同程度重要視されるかというと現状ではそこまでの報告はありません。ただ、やはりアルコール摂取量が増えれば増えるほど、例えそれがかなり少ない量であっても様々な疾患リスクが上昇することがわかっています。
アルコールは1日20-40g以下、できればさらに少なめが、健康には良いでしょう、ということになります。
そうでなければいけないものでもありませんが、健康という視点ではそれが望ましいといった意味合いです。
「心房細動」は有名人が脳梗塞になったり、Apple watchで見つかるようになったりして有名な不整脈になりましたが、先進国の3-4人に1人がなる疾患です。アルコールの影響を強く受ける疾患の1つです。
私は治療の時に説明します。
「お酒を過剰に飲むと発症や再発が増えることがわかっています。適量はビールなら500ml、日本酒なら1合、焼酎なら5尺。お酒を飲む方からするとずいぶん少ないと感じると思いますが、いわゆる適量はそれくらいと言われています。でも、心房細動のことをいうと、少しでも飲めば少しずつリスクが上がっていくのも事実です。目安を知りながら、できる範囲で減らしていきましょうね。」などと話しています。
もちろんいつも通り飲む方もいますが、心房細動が発症してしまったこともあり、減らす方がほとんどです。適量で飲み続ける方、減らした上で2日に1回の方、週末だけの方、もちろん回数が少なくとも深酒はおすすめできませんが。色んな解釈と過ごし方があって良いと思います。
病気の際、自分で病状を判断しなければならない時でもChatGPTは力になってくれる
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
あってるかあってないかわからないけれど、インターネット上の情報からあってそうなことを、あたかもわかったような文章で対応してくれるという意味では役に立つでしょうね。
「赤目」という非医学用語を結膜炎と表現できれば、たとえGoogleで普通に調べてもそれなりの情報には辿り着きます。
これが結膜下出血だったとしたら、結膜炎と調べても出てきませんが、うまく見つけられたら正直写真見るだけでそれだろうとわかりますし、様子見でも構いません。
(ただし、「赤目」で画像検索すると妖怪とか怖いのが出てくるので注意)
これが流行性角結膜炎だと、確かに自然軽快しますけど、家庭内や職場で蔓延しかねないので、診断をつけてもらって指導を受けることに意義があります。
そして...よほど薬を飲んだ時に生じる副作用の方が薬品名もわかっているため正確に出てくると思うのですが。
添付文書とかインタビューフォームとか...まぁ、そこにたくさん出てくる副作用を全部理解して、それがどの程度の割合なら自分にとって問題かを判断するのが困難でしょうけど。。。
...かなり記事には批判的なことを書きましたがけど、医療の多くはオーダーメイドよりも一般化・テンプレート化される方向にありますし、それで問題ないものも多いので、きっと全体的な流れとしてはこういう方向に行くのでしょうね。LINEなどでの遠隔医療相談も大量にデータがあれば、あとはbotでほとんどいけるようになるのでしょう。
「インフルエンザ」早期流行で前倒し販売 保険加入者が半月余りで1万人突破
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
抗インフルエンザ薬を処方されたら保険が適応されるようです。
4か月で1500〜4000円払っておけば、7000円くらいの保険金が出る...
もともとのコロナ禍以前の日本で10人に1人が感染すると推計されています。期待値的にも微妙ですね。
また抗インフルエンザ薬はハイリスク患者以外にはほとんど益がないとされており、これを加速させる形になるのは社会的意義も低いです。
(というかどちらかと言うと医学的・社会的にはやや不利益すらある気もします。とはいえ、処方を希望される方は少なくなく、タミフルのうち世界中の8割を日本で消費されているわけですが...)
万が一の時にまかないきれないほどの大きなことに対して保険が必要ということに立ちかえってもなんだかしっくりきません。
重症化して入院すれば保険金も増えますが、その確率や実際にかかる負担を考えるとなんとも微妙な感じですね。。。これを心配するなら予防接種でしょうね。
Apple Watchに血圧センサー、AirPodsを補聴器に-アップルの健康戦略
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
こうしてモニタリングが増えるのはいいこと、、、かもしれませんね。
とはいえ、実はそれを見つけてどうするのか。
例えばECGアプリの最大のターゲットである心房細動は、脳梗塞や心不全や認知症の原因の1つであり、一生のうちに3-5人に1人は罹患する疾患であります。発見して抗凝固薬を開始することで脳梗塞を予防することができます。
ただし、抗凝固薬はわずかながら脳出血などの重大な副作用を増やします。
今まで通り、たまの健診や医療機関受診時から投薬するだけで十分だったのに、という可能性があったりします。(実際に議論されています)
血圧も同様ですね。現在の基準でどれほど正しく測れるのか、簡単に24時間血圧が測れる方が良いのか、実はあまり意味ないどころか過剰な医療機関受診や降圧薬処方に繋がるリスクもあります。
生体モニタリングデバイスの進歩とともに、ビッグデータから「より良い」フィードバックをかけていかないと、「今の基準」で良いだろうでは良くない可能性もあり、冷静な視点が今後さらに重要になります。
クリスピー・クリーム株下落、減量薬ブーム受けて投資判断引き下げ
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
GLP-1作動薬の体重減少効果や食思低下効果はかなり確固たるものがあります。
ただ、何を摂取するかが大きく変わるわけではなさそうです。多少は影響があるのかもしれませんが。
ランダム化比較研究のレビュー(英語)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9987242/
とはいえ、そもそも摂取量が減るわけですから、特に欧米の肥満者が多い国では大きな影響が出るのかもしれませんね。
BMI>35ですと胃を切るような手術を受けることが将来の心血管リスクを大きく下げるくらいですから、肥満というのは単純に大きな問題でもあります。
さて、これが健康志向という世界的な流れを大きく変えるかというと、世界中で以前から健康志向になっているという話がありますけど、それを大きく変えるようなものではなさそうです。
また減量に作用するものの、顔の皮下脂肪も減るためにシワやたるみが増えて5歳ほど老けて見えるという話も...それに対してヒアルロン酸注入や脂肪移植という話もあるようですが...どこへ向かうのでしょうか??
顔面美容外科(英語)
https://www.thieme-connect.com/products/ejournals/abstract/10.1055/a-2148-6321?device=mobile&innerWidth=980&offsetWidth=980
GLP1a自体はとても良い薬剤と思われるものの、「なんだか変な方向に」向かってるような気もしながら眺めています。3-4人に1人が肥満のアメリカと、4%程度の日本や韓国では大きく違う気もしますね。
“トー横”に広がる「青い舌」 薬のオーバードーズ…命の危険も
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
薬をたくさん飲んだら舌が青くなるようなニュースですが...
睡眠薬を混入させる悪用を防止するために、いくつかの睡眠薬には着色が施されています。
https://faq-medical.eisai.jp/faq/show/10220?category_id=91&site_domain=faq#:~:text=厚生労働省より、悪用防止,に変更致しました%E3%80%82
薬の副作用ではなくて、単純に色素です。水なしで口の中でしばらく溶かしていくとこうなります。
昔からオーバードーズはなくなりませんが、、、少なくとも保険証を使用して処方を受けている場合、レセプトの点検時には医療機関を跨いで不適切な処方があれば見つけられるはずなので、何か防げるシステム作りはしてほしいところです。
また、そもそもオーバードーズに向かってしまう若者をどう保護していくのか、こうした問題自体に向き合わないといけませんね。もちろんそうなってしまう家庭環境などがあるのであれば、そもそもそちらにも...でしょうけれど。
厚労省 供給不足のせき止め薬など増産要請
「やせ薬」オゼンピック、心臓や認知症にも効果か-既存薬業界の逆風に
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
肥満の方は痩せます。痩せ型の人がさらに痩せるかというと、使ったことがないのでわかりません。ただ、悪心嘔吐や、膵炎、高齢者での腸閉塞など副作用がないわけではないので、ご注意ください。また、やめれば食欲は戻りますので、リバウンドしやすいとも言えますね。
そして、肥満関連の疾患にも少しずつエビデンスが出てきて、世界最大の循環器学会である欧州心臓病学会でも話題の1つに上がりました。とはいえ、日本には肥満関連心不全はあまりいないといのうが現実ですが。
ちなみに原題には「やせ薬」なんて書いてないんですけどね...
認知症についても報告はあるようですが、先の心不全ほど明確なエビデンスがあるわけではなく、期待されている程度のようす。
肥満の糖尿病、ハイリスクな肥満症にはGLP-1aは良いのでしょうけど、他には今のところ勧められません。
医者の宿直、労働時間「ゼロ」扱いで労災認定されず 月100h超の残業でくも膜下出血発症妻「理解に苦しむ」
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
来年度から始まる医師の働き方改革に関しても、真摯に取り組んでいる医療機関もありますが、抜け道を探すかのように宿日直許可を焦って申請している施設が多数です。
現実には一昨年と比べて昨年は6倍の許可がおりています。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASR9K54WPR9HUTFL02G.html
それでいて厚労省が1時間に5人程度までの診察であれば宿直許可を申請してもよいと指導しているという相談が全国医師ユニオンに寄せられたという話も。(ちなみにこれは普通に地方都市で救急車もウォークインも受け入れてるレベルの人数だと思います)
http://union.or.jp/wordpress/wp/wp-content/uploads/2023/02/緊急声明(最終版)2023.2.9.pdf
そもそも年に960時間・月100時間という過労死ライン超えの時間外労働の上限ライン設定、そして現実的に時間外労働の多い大きな救急医療機関や研修病院では年に1860時間を上限としています。これで改革と呼べるのかは疑問です。
過労死・労災認定のこともそうですが、根本的に改善していかないとむしろ根深い問題が残りそうです。
全国の大学病院 助教の医師の半数 研究時間は1週間で5時間以下
高麗 謙吾総合内科専門医・循環器専門医 医長
大学病院の助教というと若手研究者のイメージなのでしょうか。
我々のイメージですと、初期研修医(2年)と後期研修(規定なし、選考医・修練医などとも呼ぶ)を終え内科専門医をとるかとらないかの後、大学院という無給or薄給の期間を終えて、なんとか大学のポストを与えてもらった人たち(おおむね7-8年目から15年目くらい、昇進はポスト次第なので年次は関係ありませんが)です。
やっと学位もとって臨床に邁進できるタイミングとも言えます。大学である以上、教育や研究もせざるをえませんが、教育は評価されず、最も評価される研究は空き時間にしかできない。かつ、ライフイベントも重なりやすい時。臨床で手一杯という医師が多くても驚きはありません。
さて、来年から始まる医師の働き方改革は、結局過労死するほど働いても構わないラインで設定がなされ、厚労省からの例示ケースの資料もほぼ休息なしで驚くほどのものになっています。
参考資料:https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/commentary_slide
(基礎編のスライドを見るだけでもかなり苦笑いが出ちゃいます)
ただ、それとは別に外勤含めて連続28時間勤務までというところで、外勤をしないと生活もままならない若手医師を、地域に派遣することでなんとか体裁を保ってきた医局や地域医療があるのも事実で、はたしてどうなるのだろうと思いを巡らせています。
(宿日直許可があれば別です。ただ宿直については十分な睡眠がとれるのが前提にも関わらず、とうてい宿直と呼べないレベルの例示が以前されていて話題になりました。急患5人程度→同時にくれば別ですけど、ちゃんと診ればほぼ寝られません。)

NORMAL
投稿したコメント