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東京五輪談合、博報堂に罰金2億円求刑 企業側へは初 東京地裁
毎日新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
企業は経済的目的をもった組織体、社会の制度であるため、基本的に最大利潤を上げることを目的にしています。その目的達成のために企業内の仕組みが作り上げられてしまっています。例えば、ノルマの達成は賞与、昇給、昇進、昇格など、基本的にすべての「社内評価」と関連付けられる仕組みを企業は有しています。これが動機付けとなり、従業員は企業が求める行動をとろうとします。会社の為に貢献したいということもあると思いますが、それよりも、企業内で好待遇を受けたいという動機が「頑張りの本質」でしょう。企業はこれを十分理解しており、インセンティブを設定しているものと理解しています。 ほとんどの企業倫理の破綻のケースは、企業が従業員に「犯罪行為」の指示を与えて起こってはおらず、むしろ最大利潤獲得を追及するよう、従業員が自発的に「頑張る」結果、談合、贈収賄、独占、公害、欠陥商品、その他不公正な取引などの「倫理的問題」がつくり出されています。企業は見て見ぬふりをし、結果、企業に利潤が転がり込む仕組みになっています。 社会一般の事象に対して、多くの人は倫理体系から逸脱することに抵抗感を有しています。しかし、企業倫理の逸脱に関しては、抵抗感が麻痺しがちです。特にオリンピックなどに関連する政府や地方政府の公共事業においては、判断までの時間が少ないことによる政府の判断能力の低下(事業費積算の甘さにつながる)や、高収益を獲得しやすいと企業側が認識することによる誘因、政府の推進という錦の御旗による企業倫理体系への判断能力の欠如が重なるため、企業倫理の逸脱が非常に起こりやすい環境が生まれます。 しかし、談合という犯罪行為が明らかになると、その責任は個人に帰属することになり、企業によりその社員の処分が行われます。個人としては、このような犯罪に手を染めることは割に合わないのですが、それだけでは企業に対する抑止力は不十分です。社員の犯罪行為を前提とする企業の収益に対しては、極めて莫大な「懲罰的制裁金」をかけるなどの方法で抑止することが必要でしょう。その意味では、企業に対する2億円程度の罰金では、企業に対する抑止力としては全く不十分です。その100倍程度の罰金の基準を設けないと十分な抑止効果は期待できないと思います。
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米FDA、非アルコール性脂肪性肝炎で初の治療薬承認
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
甲状腺ホルモン産生が低下する甲状腺機能低下症では、シグナル伝達の低下により、肥満が起こりやすくなることはかねて知られていましたが、21世紀になって非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発病・進展への甲状腺ホルモンの関連が指摘されはじめました。2018年に報告された2つの研究結果(約44,000名を対象としたメタ解析と62,000名を対象としたメタ解析)により、原発性甲状腺機能低下症とNAFLDの発症・重症度と、甲状腺機能低下との関連が確実視されました。 Mantovani A, Nascimbeni F, Lonardo A, et al : A Systematic Review and Meta-Analysis. Thyroid 28 : 1270-1284, 2018 Guo Z, Li M, Han B, Qi X : A systematic review and meta-analysis. Dig Liver Dis 50 : 1153-1162, 2018 甲状腺機能低下症には、ホルモンの補充を目的とする甲状腺ホルモン製剤が一般的に使われていました。今回、米マドリガル・ファーマシューティカルズ社が創製しFDAで承認された医薬品は「Rezdiffra」(一般名:resmetirom)で、甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)と呼ばれる部位に選択的に結合し、作動薬(アゴニスト)として機能します。 臨床試験の主要解析には、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を有する被験者計966例が含まれ(resmetirom 80mg群は322例、100mg群323例、プラセボ群321例)、肝線維化の進展を伴わないNASH消失を認めた被験者の割合は、プラセボ群9.7%に対して、80mg群25.9%、100mg群29.9%でした。合う患者を選ぶようですが、合う方に対して非常に高い効果を示しています。 Harrison SA, et al. N Engl J Med. 2024;390:497-509. 上記の背景により、また米国内NASH患者は約150万人と多く、米FDAは極めて迅速に承認しました。アゴニストとは、受容体と結合して生体応答反応をひき起こす物質の総称です。受容体は、様々な疾患に対する医薬品のターゲットで、すでに多くの医薬品が存在しています。
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バイデン氏、日本製鉄のUSスチール買収巡り懸念表明へ=関係筋
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国のレガシー産業である鉄鋼や自動車産業は労働者人口が多く、労働運動も盛んです。近年、米国の経済をけん引してきたIT、バイオの労働者とは対照的な価値観を有しています。つまりは、成長産業の労働者が自らの価値観を高めて転職してより高い地位を獲得しようとするため、引き留めのための企業自発的な高給を獲得するのに対し、レガシー産業では労働運動を通じて、好条件を獲得しようとします。組織への所属意識が非常に強く、終身に雇用されることを望みます。その点では日本と似ています。また、組織として強硬な労働運動をすることで知られます。共和党のトランプ次期大統領候補は、このセグメントに対して強いことが知られています。 国防の相当の部分を米国に依存している日本が、米国に対して国防上の脅威をもたらす可能性は、現在の環境において、非常に低いといえます。したがって、重要産業の買収事案であったとしても、これに国防上の理由で反対するということであれば、もう、外国企業であれば一律に「重要産業を買収できない」とする基準で運用するぐらいの説明でないと説得力をもたないでしょう。 日本製鉄は、過去には自社が手本としたUSスチールの買収話を進めていますが、この話を知った当初は米国政府の働きかけによるものではないかとすら思ったほどでした。その邪推は思い過ごしながら、USスチールの買収はこのような事情が背景にあることは、周知の事実です。今回の「懸念表明」は、トランプ候補を意識したもので、選挙対策としての意味が大きいと思います。
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1年前に大炎上していた高齢者「集団自決」発言 キリン、それでも成田悠輔氏起用→取り下げの「奇々怪々」
J-CASTニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
言論の自由とはいえ、「高齢者の排除発言」は許容範囲を超えていたと感じました。つまりは、ある種の問題の解決にあたって、例えば、性別、人種、国籍、宗教、障がいの有無などにより集団をグルーピングし、特定の属性を有する集団全体を排除することによって問題の解決を図ろうとする考え方は、グローバルにおける解決策の選択肢の範囲から外れていると思ったからです。 特に米国のような多様性を重んじる多国籍人種国家において、一般的な教育を受けた方のほとんどには、受け入れられないと思います。米国の教育界も、この種の行動には毅然とした対応をしています。米国の大学への教職員としての採用や学生としての入学許可時、その都度、「いかなる差別思想ももたないことを誓約し、万が一これを破った場合は、警告なく即時に解雇あるいは退学処分を受けることに異議を唱えない(「破る」には、発言も含む)」という誓約書へのサインが求められました。 これまでの発言の否定に全精力を注ぎ、それを世に十分に理解してもらえる時が来るまでは、「広告のような大衆を対象とする領域の仕事」で起用するのは難しいと思われてしまうかもしれません。キリンのマーケティング部門は、このような基準を知らなかったか、甘く考えたのではないでしょうか。
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ふるさと納税大手、アマゾン参入に“異例”対応。専門家「既存サービスの存在意義が問われる」
Business Insider Japan
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「国の意向に沿った理念を提供できる企業を希望する」と既存の協力会社が主張しています。「国の意向に沿った理念」とは、地方に関心を持ってもらい、その程度に応じた交付金というインセンティブをつけて税金を地方に回すことにあると思います。プラットフォーマー自身がふるさと納税事業の理念に賛同・協力できる限り協力したいのであれば、無償や実費でも協力できると思います(理念にこだわるなら)。少なくとも、安価なサービス提供業者の参入が優先されると思います。 次に「健全な制度」について考えます。個人が関与できる「ふるさと納税」とは、個人が居住地以外の自治体に寄付をすれば、当該年度に支払った所得税の一定範囲内において、寄付金控除を受けらえる仕組みです。返礼品とは、これに対するお礼の扱いです。「健全」とは、返礼品の内容ではなく、自治体の魅力に応じた寄付にすることですが、現状では、プラットフォーマーの寄付集めのインセンティブとして、返礼品が前面に押し出されています。つまりは、返礼品を禁止、または返礼品の内容の事前提示の禁止が「健全性」からみて望ましいと思います。しかし、実現可能性はいかがでしょうか? 現在、ふるさと納税が熱いのは、 ・プラットフォーマー:営利事業としての収益性の高さ(経費を含んだ取り分は寄付額の約20%と想定)。 ・(特に高額)納税者:累進課税により税率が多くなるところ、ふるさと納税(寄付)制度を使えば、納税額の最大30%程度の好みの返礼品を受け取るという、税の「現物還付」の効果 ・寄付を受ける地方自治体:本来何もなかったところに対して、税収が生まれる(経費を含んだ取り分約50%ながら、行政機関の人件費・委託費・管理費等がかかると約25%と想定) ・返礼品生産者:本来何もなかったところに対して、顧客が生まれる(ゼロから約30%、経費含む) ・寄付を受ける地方の政治家:有権者の支持が得られる(現職有利)。市町村長は、自身の政治生命がかかるため、他の自治体に負けないようにと発破をかけ、競争が煽られる 本来そのまま納税すれば100%が、ふるさと納税により実行税収25%程度に落ちます。個人が寄付を行わないと「個人の機会損失」になり、寄付を行えば「実行税収の棄損への協力」になります。これは制度の特性ですから、税収の棄損を避けたいなら、国が制度を改める(廃止する)しかないと思います。
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TOKYO BASEが大幅賃上げ、月給を40万円に 国内のファッション業界の最高水準
FASHIONSNAP【ファッションスナップ】
高橋 義仁専修大学 商学部教授
話題を呼んでいる初任給40万円ですが、月80時間もの時間外勤務を「みなし残業」に組み入れている点に注意が必要です。 企業による新卒募集の詳細は以下の通りです。 https://tokyobase.co.jp/recruit/culture/article/%e3%80%902025%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%80%91%e6%96%b0%e5%8d%92%e6%8e%a1%e7%94%a8%e3%80%81%e6%9c%ac%e9%81%b8%e8%80%83%e9%96%8b%e5%a7%8b%ef%bc%81/ 【対象者】大学院、大学、専門学校に在籍し、2025年度卒業予定者 【募集職種】総合職 【初任給】40万円 ※インセンティブ、賞与は別途支給 【諸手当】ファッション地区手当(住宅補助:30,000円)通勤手当(20,000円)販売手当(5,000円)顧客様売上手当(売上の1%)職務手当残業手当(月間80時間を超過分)美容手当(10,000円)ファッション10大都市視察手当(上限100,000円)育児手当(20,000円) 【勤務地】(株)TOKYO BASE本社または<営業部>-国内-東京・大阪・名古屋 各店舗 -国外-中国国内・香港 【勤務時間】<本社>9:30-18:30 実働8時間 <店舗>シフト制 実働8時間 【昇給】年1回(2月)【賞与】年2回(4月・10月):業績連動【年間休日数】118日 とのことです。 日本で、大企業に対し2019年度に施行(中小企業には2020年度)された時間外労働の規則は次の通りです。 (1) 時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできない。 (2) 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、 ・時間外労働 年720時間以内 ・時間外労働+休日労働 月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内とする必要がある。 (3) 原則である月45時間を超えることができるのは、年6か月まで。 80時間分のみなし残業手当を出すことに違法性はないのですが、みなし残業手当の支払いがあったとしても、上記の基準を超えて働かせることはできません。休日勤務もみなし労働前提でしょうか。新卒募集の資料だけではわかりません。
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「外資にやらせていいのか」ふるさと納税、アマゾン参入に懸念の声
Business Insider Japan
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「ふるさと納税」と称して行われた寄付金に所得税が置き換わると、使える税金は25%程度にまで落ちると思います。(返礼品調達費約30%、プラットフォーム利用費=この分が寄付金受領代行業者に支払われる経費約20%、行政機関の人件費・委託費・管理費等約25%)。ですから、ふるさと納税によって行政に使える経費は大きく減少します。今後、返礼品の金額の制限がより厳しくなっていったとしても限界があります。 現状、本来そのまま納税すれば100%であるものが、ふるさと納税で実行税収25%程度に落ちるわけですが、ふるさと納税で新規市場が出現する業者にとってはゼロが30%に増えるので大歓迎。ふるさと納税で助けられている企業が地方には多く存在し、地方行政に対しては取り扱いの拡大施策を期待しているはずです。 商売をしたことのない地方行政職員(地方公務員)には、返礼品のマーケティングや物流実務のノウハウがなく、また販売員の仕事を増やされてもたまらないから、地方公務員は完全に業者頼りになります。ここにAmazonが入ってくるのは、地方行政にとっても大歓迎で、今は表向き鳴りを潜めていても、すぐにAmazonを委託業者にすることに対し賛同すると思います(約25%に目減りした税金獲得競争のため)。 地方企業によってはふるさと納税がなければ成立しないところが多くあるはずで、全体から見ると非常に高い費用を払って、地方の企業を延命させているような印象です。国全体の税支出に対して、ふるさと納税が良い結果を生まないことは明らかですが、これがやりたいことなのかについては疑問です。 Amazonは日本に法人を有しており、日本に法人税が落ちないという主張は正確ではありません。落ちるか落ちないかは、各企業の内容次第としか言えないと思います。反対しているのは、ふるさと納税をすでに取り扱い、Amazonとの競争を嫌うプラットフォーマーだけではないでしょうか。
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仏大統領、「人生の終末」法案を支持すると表明
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日本では、患者や家族の要望に基づいたとしても医療関係者が患者の「積極的安楽死」への関与は絶対禁止です。手助けすると、殺人罪や自殺関与・同意殺人罪という罪に問われます。延命の中止に関しても同様に厳しく、許容される要件としては、以下の4条件をすべて満たすことが判例で示されています。 (1) 耐え難い肉体的苦痛がある (2) 死期が迫っている (3) 苦痛を除去、緩和する方法がほかにない (4) 患者の明らかな意思表示がある 2010年には、医師が低酸素性脳損傷で意識が回復しない患者の気管内チューブを抜き、筋弛緩剤を投与して死なせる事件が起きています。公判では、家族の要請に基づいたものであるとは認めましたが、「法律上許されない」として、医師に殺人罪での有罪判決が下されています。 一方、フランスの近隣国であるオランダは長期間の国民の議論を経たうえ、2002年、望む人に医師が薬物の投与などをして死に至らしめる「積極的安楽死」を、世界で最初に条件付きで認める法律を施行しました。その条件とは、以下の通りです。 (1) 患者の耐えがたい肉体的、身体的苦痛がある (2) 患者は回復の見込みがない (3) 十分な情報を得て、患者の自由意志に基づいた要請である (4) 最低1名の他の医師と相談する 過去は、オランダでも「積極的安楽死」は法律で禁止される行為でしたが、1970年代に安楽死に関与したとして裁かれていた事件に対し、当該事件と無関係の開業医らが「私も同じことを行ったことがある」と署名運動を展開したそうです。つまりは、法で禁止されていた行為が日常的に行われていたことを意味します。その背景には、オランダでは「かかりつけの医師制度」が昔から発展し、医師と患者の信頼関係が強いことと、個人の自己決定権への主張の強さがあること、子が独立した後は親の面倒を見ない文化(自分のことは自分で)があったとされています。つまりは、新規に安楽死を容認するというより、「法の規定を明確にしてもらいたい」という意味が大きかったように思います。 安楽死は人の権利であるとする考え方はわかりますが、相続や保険金の受け取りをコントロールことも可能になるため、様々な利害関係者からの圧力の恐れがあり、慎重な議論が求められると思います。特に意思決定が密室で行われないようにする仕組みが重要と感じます。
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ノボの減量薬「ウゴービ」、FDAが心疾患治療への適応拡大を承認
Bloomberg.com
高橋 義仁専修大学 商学部教授
2024年3月8日、米国食品医薬品局 (FDA) は、死亡、心臓発作、心臓発作などの主要な心血管イベントのリスクを軽減するための「Wegovy」の追加適応症を承認したと発表しています。このようなデータ構築、追加効能取得は、市場での選択を促すために、製薬企業にとって重要な戦略になります。 「Wegovy」は、これまで高度肥満の方に対する効能を取得していましたが、「『肥満は健康被害を起こす』から、それを抑えると当然に健康被害がなくなる」とまでは言えませんでした。この理屈は他の医薬品や疾患でも同様で、例えば、高血圧症が一因となって起こり得るとされる脳・心・腎などへの障害が、降圧薬を投与したからと言って、減少するか否かは、降圧薬の種類によって様々であり、これを確認するためには、ターゲットを明確にした臨床試験が別途必要になります。 今回の米国における追加効能(既知の心臓病を有するとともに、食事・運動療法を行ってもなお肥満または過体重を有する成人における主要心血管イベントの抑制)取得は、対象患者の心血管障害の発症の抑制を確認するためにデザインされた大規模臨床試験(「SELECT」と名付けられた臨床第3相試験)の結果に基づいています。 この臨床試験「SELECT」は、心血管疾患が確立し、糖尿病のない過体重および肥満の成人を対象に、心血管標準治療に「Wegovy」2.4 mgまたは「プラセボ」を追加し、心血管障害の発症頻度を確認しています。2018年に開始されたこの試験には、17,604人の成人が登録され、41カ国の800以上の研究施設で実施されています。 その結果として、「Wegovy」群で、心血管死、非致死性心臓発作、または非致死性脳卒中からなる 3 つの部分からなる複合主要心血管イベント(Major Adverse Cardiovascular Events: MACE)の初発リスクを減少させたという結果が得られています。主なMACEは、「Wegovy」で治療された患者の 6.5% 、プラセボで 8.0% で発生しており、MACE の推定相対リスク減少率はプラセボと比較して 20% でした (HR 0.80 [95% CI: 0.72, 0.90] p <0.001、平均追跡期間 40 か月の絶対リスク減少率 1.5%)。
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国内初の“薬局で買える”内臓脂肪減少薬「アライ」4月8日から販売開始 専門家からは「美容目的での使用」に警鐘も
TBS NEWS DIG
高橋 義仁専修大学 商学部教授
内臓脂肪減少薬「アライ」には、薬効成分に「オルリスタット」というリパーゼ阻害薬が含有されています。リパーゼは、大部分が膵臓由来で胃液などにも存在する糖タンパクであり、消化酵素として脂肪の分解に働きます。リパーゼを阻害すれば、脂肪は消化されずに排泄されますから、脂肪由来のカロリー摂取を抑えることができます。しかし、脂肪の摂取量を下げずに、また食事制限や運動といったダイエットにも取り組まずに、医薬品に頼ることは望ましくないでしょう。 同系統のリパーゼ阻害薬として、医療用医薬品の「オブリーン」(成分名:セチリスタット)があります。こちらは、2013年9月に厚生労働省より製造販売承認を取得しましたが、医療保険適応に必要な「保険薬価収載」が異例に見送られました。 リパーゼを阻害すると、副作用として脂質吸収抑制による下痢、脂肪便等が高頻度に発現することは避けられません。また開発時のデータから、ラット24ヵ月間がん原性試験において、雌雄ともに高用量群で背景値を超える腸間膜リンパ節における血管腫(良性腫瘍)の発現頻度の増加傾向、特に雄では有意な増加が認められています。また、関連する組織学的障害がなく、由来臓器・組織は不明ながら、動物試験(ラット及びイヌ)でAL-P(肝機能障害の指標の1つ)の著しい高値が認められています。 日本での医療用医薬品としての販売実績がない成分を含む医薬品が、いきなり一般用医薬品として販売許可されるケースは異例ですし、日本で医療用医薬品としての販売実績があったとしても、医療用医薬品から市販薬に転用されたばかりの薬は、未知の危険性の高さから、薬剤師による「要指導医薬品」に指定されます。 要指導医薬品に指定されているものは、購入の際には必ず薬剤師から対面での指導や情報提供を受けなければならず、インターネットでの販売も禁止されます。また、同医薬品は、発売後しっかりしたモニタリングが義務付けられる期間「再審査期間」が、前例のない長期間(8年間)設定されました。 許認可当局としては、医療用として医師の診察を義務付けたいところ、ダイエット用薬への保険適用を避けたいため、医療保険適用されない一般用医薬品として販売すると同時に、これまで医師に委ねていた役割を薬剤師に委ねたいという狙いがあるものと思います。医療行政の視点からも注目に値します。
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NewsPicksの編成に関する、報道機関・メディアの皆様へのお詫びとお知らせ - NewsPicks
NewsPicks | 株式会社ユーザベース | Uzabase,Inc.
高橋 義仁専修大学 商学部教授
報道他社ニュース・コンテンツの自社ページへの引用は当然に許諾を得る必要があり、そのようなメディアはニュース供給元に対して「使用料」を支払っているはずです(無償使用を許可した場合を除く)。 一方、報道他社ニュース・コンテンツの自社ページへの「リンクのみ」は、現状「許諾なし」で構わないのだと思います。なぜなら、リンクをクリックすれば他社のページが表示されるから。ただ、本当に将来にわたってこれで良いかは、難しいところ。でも、だめとするなら、出典を記載た上での引用部分で多くのページを割くことが前提の学術論文も認められなくなります。どこで線を引くのか、難しいと感じます。 報道他社のすべてではないにせよ、「他社自身へのPVが期待できるなら」と、集客力があるキュレーション・メディアへのリンクについては、望まれているケースも多いと思います。ただし、このようなキュレーション・メディアは、本質的には、報道業界全体に対してはプラスに働かないと考えられるため、「業界としての立ち位置」を重んじる古参企業は、苦々しく思い続けているのだと想像します。 リンクを張ることにおいては、利用許諾を得ないことを当たり前とするキュレーション・メディア(NP)でも、自社がまとめる自社ページに写真や文章引用するのなら、当然に引用元の使用許諾をとる必要があります。それにもかかわらずいい加減な対応したことから「明らかに著作権侵害するもの」に対し、牽制の意味を込め、極めて強い抗議を受けたものと想像します。 上記の内容で合っていますでしょうか?もし合っているとすると、誤解も多くあるようですから、解消に努められた方が良いと思います。
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医師90人がグーグルを集団提訴へ クチコミ放置で「被害受けた」 治療費の踏み倒し狙うケースも
dot.オリジナル
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日本では営利目的の医療機関の開設が原則的に禁止されており、医療法で「営利を目的として病院等を開設しようとする者に対しては、開設の許可を与えないことができる」としているほか、「医療法人は剰余金の配当をしてはならない」ことも規定されています。 付随して、医療機関の広告宣伝も禁止されています。ただし、医療機関が存在しているという事実や診療曜日時間、診療科、所属している医師等スタッフの氏名や保有する専門資格といった事実の周知は許されています。 当たり前ですが、評判を装った(ステルス)マーケティングも禁止で、これに違反すると行政による立ち入り検査や是正命令、あるいは開設許可の取り消しを含む罰則の対象となります。しかし「明らかにおかしな好意的口コミ」が見られることがよくあります。 口コミは、医療を受けたいと考える方が医療機関の力量を知るうえで、現実的に唯一得られる情報です。医療機関によっては、好意的な口コミに期待していることもあるでしょう。一方、医療機関の求めにより悪い口コミだけを消せるかという点については、応じればプラットフォームの信頼性に傷がつくので、渋るでしょう。 しかし根拠に基づかない誹謗中傷となれば話は別で、刑事上および民事上の名誉棄損にあたります。ただし、公共の利害に関する事実で、公益を図る目的で、真実であると認める理由がある場合には、違法性が阻却され、名誉毀損罪は成立しません。医療機関が対象の場合、根拠に基づく公益性を図る目的の口コミであれば、理解は得られると思います。 ニュースの画像に関しては、明らかに度を超していますし、公益性も感じません。そのような内容の口コミがあれば警察に相談し、刑事事件としての解決を求めることが近道である気がします。
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LINEヤフーを行政指導へ 相次ぐ情報漏洩で総務省
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
直接的にはセキュリティ対策が不十分であることと、顧客に対してあらかじめ示していた情報の提供範囲を超えて情報提供をしていたことに対する行政指導であり、LINEヤフーには弁解の余地はないでしょう。 真のねらいとして、日本の安全保障に対する外国企業の排除にあるとみられますが、記事にあるように、LINEヤフーは日韓合弁企業のため、これの解消を日本政府が求めていることが読み取れる内容です。日本政府が本気になれば韓国政府も本気になって取らせまいとするでしょうから、新しいタイプの経済摩擦に発展する可能性があります。 それにしても「サーバーの置き場所」の件は、行政サービスにさえLINEやヤフーオークションやペイペイ払いが深く入り込む前に検討すべき内容で、今更感が強く、ちぐはぐな印象が拭えません。 日本企業が質の高いデジタルサービスを展開できていれば、悩みも少なかったのかもしれません。大学での教育関係の個人情報もLINEヤフー、グーグル、マイクロソフトで管理しており、これらサービスがないと、成立しない状態です。では、日本企業なら良いかというと、情報漏えいの頻度の多さと、漏えい理由が初歩的すぎるものが多いことから見て、安心するには程遠いと思います。
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海外ネット通販、国内に責任者 経産省が事故増に対応
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日本の会社法により、日本で継続的に事業を行う外国企業には、日本法人の登記が義務付けられています。しかし、「継続」とは企業の主観であることから、グーグルやメタのような規模の会社でも、「日本では継続的な事業をしていない」と主張し、法人登記をしていませんでした。 「グーグル・メタに登記順守要請 政府、IT大手監視強化」(日本経済新聞 2022年4月15日) https://newspicks.com/news/6950402?ref=user_1310166 日本の法務省は、2022年4月に両社に対し日本での法人登記を「要請」し、その後の2022年夏頃、グーグル、メタとも日本での法人登記を行いました。 このような状態ですから、それよりはるかに小さいネット通販業者の多くは日本で法人登記は行っていないと思います。もし事故があれば、海外の本社に対応を求める必要があるため、一消費者がこれを行うのは、非常に困難になります。 今回はそれに代わる策として、国内消費者向けに直接販売する事業者に、「安全管理やトラブルに対応する責任者を国内で配置するよう『要請』する」という報道です。これにも強制力はありませんが、事業者が対応しないようなら、(事業者ではなく)大手ECプラットフォーマー側に、「(そのような事業者を排除するよう)要請」することを対策としたいようです。 つまり、狙いは、大手ECの間接的責任を問うことにあるようです。
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4月に迫る「四半期報告書の廃止」。企業が直面する「投資家の不安」の解消法
Business Insider Japan
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日本の上場企業に四半期報告書の開示が義務付けられたのは、外国政府が義務付けていたためで、日本でもこれに倣い、日本の上場企業に対し、2003年ごろから対応を義務付けていました。 当時、一部上場企業の経営企画部門で決算書の作成に関わっていたため、締め切りが慌ただしくなった記憶があります。当時の米国のパートナー会社は、それ以前の遠い昔から四半期報告書を出しており、締後3週間ぐらいで開示するのに対し、日本企業は、日本の政令で定める「四半期決算後45日以内」の期限を守ることに大変苦労していたと思います。 私なりの印象としては、日本の方が、(1)業務委託が少なく自前主義なのに、専門スタッフが少なかった(過酷な残業が頼り) (2)整合性に関するチェックが厳しい・チェックする関係者が複雑に存在していた (3)業務担当者の権限が相当に小さかった (4)経営陣が「触れたくない」とする内容が多かった、などです。 つまりは、米国の企業の方が大雑把に作っていますが、開示する分量が多く、必要と思われることがしっかりと大胆に書かれていた印象を受けます。あれから20年、この業務への負担が大きすぎ、ワークライフ・バランスの機運も高まる中、看過できない状況になっていたのだと思います。 しかし、上場企業であれば、以前から存在する「決算短信」があり、業績の事務的な報告は引き続き行われます。日本の企業にとっては、株主に対して送るメッセージ(四半期報告書)よりは、事務的な「決算短信」の方が向いているのかもしれません。
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