Picks
178フォロー
1483フォロワー
安保技術提供、留学生は許可制に 大学からの流出懸念
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
報道にあるような産業スパイ目的での入学ならば「入学不許可」は当然でしょう。しかし、学んだことを「事後的に職に生かす」という一般的な目的で入学する方について入学時に特定することは不可能ですし、制度もその点までは求めていません。入学時点では純粋な学生であった方でも、その技術を欲しいと考える外国の研究機関や諜報機関に就職するといった事後的な動きは基本的には止められません。その分野には「外国人を入学させない」というほどのことをしないと効果はないでしょう。 しかしこれは劇薬で、実施すれば学問の鎖国につながりかねません。当該領域におけるすべての留学生を対象にした場合は日本が国際競争に参加できず、大切な技術情報が入ってこないリスクも負わねばなりませんので、現実的ではないと思います。研究者同士のコミュニティーにも参加できなくなります。そうすると国内外の研究者は最初から外国を指向するだけになります。(報道でもそうするとは書かれていません) 米国のIT産業の発展は、米国に留学したインド系の方が米国にとどまって発展させた貢献が知られています。これと同様に「日本で学び、高い技術をもった方」を日本で雇うことが大切ですが、硬直した人事制度や大方の先進国や中国・韓国などと比べて当該職種で見劣りする待遇ではそもそも来てくれません。日本企業が能力のある方をリクルートすべきところ、実際どう使ってよいかわからず、博士レベルの人材を使うことが出来なければ日本人ですら外国に職を求めるわけですから、この対策についてはどう考えるのでしょうか? 現状では、単に入学時の規制が強くなれば留学生そのものが減少し、あとは何も変わらなかったということになりかねません。特に国立理科系は、近年は大学院博士課程入学者に占める割合に外国人が増えています。日本人の人口が減少しているだけではなく、日本人が博士後期課程への進学にリスクを強く感じ、修士終了後は就職を志す方が多くなったことが理由です。一方、ほとんどの外国は博士学位取得者(特に技術系)を厚遇しており、博士後期課程の人気が高い状況にあります。それが影響しています。
55Picks
米、チャイナテレコムの通信免許取り消しへ 安保懸念で(写真=ロイター)
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
中国の法律では、サイバースペースは国家に主権があることが定められており、中国国内での活動に対しては外国の企業であろうとも、さらにサーバーが外国にあろうとも、中国政府がデータを提供するように求めた場合に拒否できないことを定めています。国内のテロ防止などに効果を上げている一方、外国にとっては国家や産業の機密情報の抜き取り懸念があります。 これをもって中国の通信会社は中国政府の強い関与があることになりますので、如何に大きな市場があろうとも、中国国内でのサービスには当然に及び腰になります。これを呑めず、GoogleやFacebookは中国ではサービスを提供していません。 中国もこうなることは織り込み済みです。世界のITが中国を切り捨てたとしても自国で発展を続けられるように、2000年ごろからIT産業に莫大な国家投資をし、若手起業家の采配に任せる形で、中国のIT産業は実際、急成長してきました。現時点では、中国国内に関する限り中国自前のサービスで不自由しないはずです。ただし、成長した時点で度々政府から介入されることを嫌い、起業に支えられてきた中国のIT産業が今後、限界を迎える日が来るかもしれません。 産業覇権争いでも、防衛上の理由でも、米国が中国を敵視し始めることは当然に読めていたことで、すでにそのシナリオ通りになってきたため、米国は中国排除に舵を切っています。 チャイナテレコムは突然の決定に対し当然に不満だと思いますが、もとは中国政府の所作に伴う米国政府の対応ですし、先に「サイバースペースの国家主権」というルールを作ったのも中国ですから、抗弁できる立場にはならないでしょう。
4Picks
EU、モデルナ製ワクチンも追加接種OK 判断は各国にゆだねる
朝日新聞デジタル
高橋 義仁専修大学 商学部教授
ヨーロッパ諸国は中小国も多く、欧州共同体(EU)で各国の窓口を一元化して効率的な行政運営を行っています。医薬品の承認についてもEU傘下の欧州医薬品庁(EMA)で一元的に承認審査を行っています。 2021年10月4に、米国ファイザー社/独ビオンテック社製ワクチンについては(1)2回目の接種から最低でも6カ月が経過した18歳以上には追加接種(ブースター接種)の勧告、また(2)免疫機能が著しく低下している人を対象に2回目の接種から28日目以降に追加接種を実施することができるとしていました。 一方、EMAと欧州疾病予防管理センター(ECDC)は連名で、2021年9月、「免疫不全などの症状のない方対するブースター接種については緊急の必要性はない」との中間報告書も出しており「推奨」の扱いではありませんでした。 本日の報道は、モデルナ社製についても、ファイザー社製のみで認められていた最終接種から6ヵ月以上たった方へのブースター接種(上記(1))と同様の扱いとしたということになります。 記事には書かれていませんが、モデルナ社製の追加接種は1,2回目の接種の半量の投与で臨床試験が行われているため、半量投与(50マイクログラム)での緊急承認が得られています。先行して緊急使用許可された米国と同様の承認内容です。日本でも同様の内容で薬事承認されると思います。 ブースター接種については可否を判断するのはEU加盟国とし、加盟国は必要に応じてブースター接種を推奨することができると述べるにとどまっています。 3回目接種は後回しにして接種の進んでいない国に回すべきとの議論がありますが、「回す」とは寄付に近い扱いだと思われます。ワクチン接種後に時間が経つと抗体が減少し、最終的にはワクチン接種前の状態に戻るとみられることから、かつてロックダウン等の厳しい行政措置を経験した欧州諸国では、再度多数の死者を出したり、経済活動が止まってしまうリスクを極力避けるために、自国で購入したワクチンを(海外への無償提供よりも)自国の公衆衛生のために使いたいと考える国があることから、その点は各国の判断に委ねるということだと思います。 モデルナ社は「半分にすることで、世界各国へのワクチン供給を支援しつつも新型コロナへの保護を増強できる」と説明しています。
米モデルナ、6─11歳のコロナワクチン治験で免疫反応と安全性確認
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国ではファイザー製ワクチンが先行して小児(5-11歳)への使用に対し、緊急使用許可の承認取得を取得できる見込みが報道されていました。論点についても以下でコメントしていますが、米国では接種が進むはずで、日本には新型コロナワクチンの実質的な審査能力がないため、米国が承認すれば日本は承認すると考えられます。 「米、11月に5-11歳のワクチン接種開始できる公算大=ファウチ氏」(Reuters 2021年10月25日) https://newspicks.com/news/6295603?ref=user_1310166 先行するファイザー社に対抗するために発表されたのだと思います。ファイザー社製とは対象年齢が若干異なっています。成績の詳細はモデルナ社製からリリースされています。 COVID-19に対するファイザー社のワクチンの小児に対する臨床第2/3相研究から中間データに関して、28日間隔で健康な子供に与えられた2つの50µg用量の安全性、忍容性、反応原性および有効性を評価するための、無作為化二重盲検試験、評価委員会によるブラインド試験です(手法のレベルとしては最高水準が確保されています)。中間分析では、50µg(成人の半量)の用量で2回投与した後、安全性が高く強力な中和抗体反応が示されたとのことです。今後、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)およびその他各国の規制当局に提出されるとのことです。 この臨床試験には、6歳から12歳未満の4,753人の参加者が登録されました。この試験では、血清反応率は99.3%。これらの結果は、2回目の投与から1か月後のこの子供たちの集団で強い免疫応答を示し、6歳から12歳未満の主要な免疫原性到達目標を満たしました。中間解析のため、感染抑制率(有効率)の算出はこれからだと思われます。 有害事象の大部分は、重症度が軽度または中等度でした。最も一般的な要請された有害事象は、倦怠感、頭痛、発熱、および注射部位の痛みでした。青年および成人を対象とした第3相試験と概ね一致する安全性および耐容性だったとのことです。6歳から12歳未満の登録は完了していますが、フェーズ2/3の調査では、6か月から6歳未満の子供約5,700人が参加しているとのことです。
54Picks
がん治療、大学発新興が競う iPSやゲノムの技術活用
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事で紹介されているスターアップは以下の7社です。 サイアス(京都市=京大発)、C4U(大阪府吹田市=阪大発・山口大発)、クオリプス(東京・中央=阪大発)、マイオリッジ(京都市=京大発)、ペリオセラピア(大阪府吹田市=阪大発)、アイ・ブレインサイエンス(大阪府茨木市=阪大発)、マリ(京都市=創業者が京大卒) 記事は関西発の製薬・バイオ・医療系スタートアップの紹介的な色彩が強いので関西発の企業ばかりが並んでいるのだとは思いますが、もともと関西の大学(というよりも研究者個人)は、科学技術を商業化したい意向(=商売っ気)が強かったような印象を受けます。土地柄が影響している印象です。米国は商売っ気が強い研究者「しかいない」印象を受けます。 米国は研究技術を商業化することによりスタートアップが盛なことは明らかですが、日本では00年代最初まで国公立大学の研究者が商業的色彩を有する企業に協力することは法律で禁じられていました。このことが、日本の起業の低迷に影響を与えていると言われています。その中で、関西の大学(特に大阪)は、先駆者を輩出していると思います。 現在は、法律の緩和が影響し、研究技術を産業界に提供する研究者は増えました。しかし企業経営に取締役等の役職を有して関与する研究者は、米国と比べると本当にわずかで、産と学の垣根は大きいことは変わりません。しかしその点でも、関西の大学(および企業)は「日本標準」よりは進んでいる印象を受けます。
15Picks
米、11月に5─11歳のワクチン接種開始できる公算大=ファウチ氏
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
この試験は米国で2268名の児童が参加して実施されていますが、日本でこのデザインの臨床試験を保護者(親権者)の判断で参加してもらって実施することは早々簡単ではないと思います。5─11歳の小児へのワクチン接種について、製薬企業が実施する臨床試験や同水準の臨床研究が行われ、当該年齢への適用の可否が判断できる「データが得られない限りは選択すらできない」ことから国際的に朗報です。 米国の授業はディスカッション中心ですので、教育でのオンライン利用は好まれません。接種が自由ならば、要件を満たさない方に対して教育側にも参加させない自由が認められているため、教育界では非接種者の参加が制限されはじめています。今後はこのような考え方がおそらく児童にも進むでしょう。このような背景から「充実した教育を受けさせる権利を得たいと考える(教育熱心な)保護者」に賛同されて接種が進むと思います。ファウチ氏の「接種に望む声が多い」はそのことの反映でしょう。 小児への臨床試験は、デルタ株などの変異株蔓延下において、成人の1/3量で試験されました。「新型コロナ感染者は実薬3名に対しプラセボ16名の有効率で有効率90.7%」ですので、両群の参加者の人数が揃っていた場合は「実薬93名発症、プラセボ1000名が発症」という感覚です。参加人数はプラセボ投与群750名程度の参加者に対して16名ですので、期間中の実感染者数と推定される割合が2%、これを0.2%強まで抑えたという感覚です。両群とも死亡者はいません。 5-11歳の接種判断は保護者が行いますので、保護者の判断に左右されます。上記の成績をもって、「ワクチンを接種しなくても社会生活に気を付けさせれば問題ない」との感覚を持つ方は米国に少なく、日本には多いかもしれません。 日本では、現状、当該年齢は分散登校・下校、できるだけ児童同士の接触を減らし、結果、学ぶ時間が減っています。当局からも教育を行う側が接種の把握をしないよう通知されています。一方、非接種者に対する公平な対応が言われていることから「非接種者がわからないまま」学習活動への制限が続けられています。このようなアレンジに教員の時間が割かれています。日本はしばらくこのような政策が続く印象を受けますが、非接種児童は国際活動の権利は制限されることになり、海外旅行や赴任帯同は不可能になると思います。
12Picks
中国の新型コロナ感染、向こう数日で状況悪化の見通し-衛生当局
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
中国では新型コロナへの感染が早期に発見できるよう、職場、学校、地域等に対して定期的に検査を受ける義務が課されているそうです。エリアで感染者が確認された場合は買い出し以外の目的で住居内から出ないよう、住居の入口を警察が管理して自由な行動を完全に制限し、感染者がゼロになるまで行動を制限するそうですが、かなり前よりワクチンの接種効果もあって感染者をゼロ近くまで抑えてきたため、普通に行動ができていたそうです。 「感染力の強い変異株(デルタ株)の侵入」と「経時的な理由によるワクチン効果の減弱」により感染拡大を抑えられなかったということを意味すると思いますが、そのように早期発見と即時の対処を行って対処する国ですので、マラソンなど感染の大きな拡大が危惧されるイベントをタイムリーに中止しても違和感をもちません。 感染症蔓延防止政策に関しては、国民の自由度(民意の尊重)との逆相関が認められる(国家の強制力が弱いと蔓延しやすい)と思いますので、徹底的に国家の活動を優先する中国での感染拡大は限定的にとどまるように思えますが、大きな広がりにならないことを願います。 自由、義務、権利については、そのバランスが重要だと思います。
109Picks
新型コロナ感染を2酵素阻害で抑える、京大がiPSで確認
ニュースイッチ
高橋 義仁専修大学 商学部教授
医薬品のターゲットとしてなり得る物質の発見は、医薬品の研究開発の最初のステージになります。組み合わせて効果を発揮する場合もあります。記事に書かれている研究で興味深い点は、単剤と比べ2つの薬剤を組み合わせた場合に強い相乗効果がみられることが分かったことです。しかし、極めて初期ステージですので、長い目でみる必要があると思います。 この研究での開発手順は通常の医薬品の開発とは逆に見えます。最初に「『ナファモスタット』ありき」の研究に見えます。通常なら理論が推定され、それに基づき効果があるとみられる作用機序をもつ医薬品候補を見つけ、次に実際に臨床的に効果がみられること(安全性確認、症状改善など)を段階的に拡大(通常は、動物、少数の健常人、少数の患者、多数の患者、妊婦・小児・乳児の順)して、順次検討されます。このプロセスに通常は10年近く必要です。 記事に出てくる「ナファモスタット」は、急性膵炎薬(点滴静注薬)としてはすでに認可が取れている医薬品です。新型コロナが問題になった当初より、コロナ用治療薬として転用することが目指されていましたが断念されています。第一三共により新開発の吸入剤も臨床試験されていましたが、第1相試験(2021年3月開始)で日本人男性約80人を対象に安全性を検証した結果、吸入では「安全性に懸念があった」としてこれも中止されています。 記事にある研究は「ナファモスタット」の新型コロナへの転用検討の過程で得られた知見だと思われます。医薬品として開発を目指す上での課題としては、(1)たんぱく質切断で細胞への侵入を促す「TMPRSS2」とたんぱく質分解酵素「カテプシンB」の関係を解明すること、(2)カテプシンBはもともと人に存在していますが放出されないように保護されているためこれを人体に投与すると人体の局所でタンパク質細胞の融解が起こる恐れがあること(動物の死後の自己分解時に働くとされています)に関する安全性の確認、(3)両成分は有効性で相乗作用がありそうながら副作用での大きな相乗作用もある場合は大きな副作用の原因にもなるための検証などが必要でしょう。
4Picks
「片頭痛治療」で実は画期的な変化が起きている
東洋経済オンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
片頭痛治療薬の最新の動向が良くまとめられている記事です。製薬企業に在籍していた一時期、製品戦略の仕事をしていました。その企業が有する資源を片頭痛に投下できないかと考えていた時期もあります。 長らく(1990年代終わり頃まで)、片頭痛は原因がよくわからない病気とされており、医薬品の開発は遅れていました。ただ、降圧薬を服用すると症状がおさまる方がいることから、降圧薬が有する「血管拡張作用」が作用をしている、つまり、「頭痛は神経の過敏によって起こること。関係する神経が血管の弛緩により解放されるのでは」という仮説が立てられていました。しかし降圧薬により逆に片頭痛が起こることもあり、デリケートなメカニズムによって引きこされていることもわかっていました。 頭痛自体はロキソプロフェンなどの鎮痛薬で症状が改善することがあることも知られていた一方、それも効果がない方が多数おり、患者さんによってはただ耐えるしかなく、当時は仕事を休む自由度が少なかった時代だったこともあり、苦労されたと思います(この患者さんは女性に偏っています)。 医薬品の研究開発は、通常のペースでスタートから12~15年位かかることが普通ですが、そのころのニーズの1つが抗体医薬技術の発展により実現された形です。 問題点は、有効率の低さ、高額な価格、安全性の確認症例数が少ないことです。このように書くと使いにくい医薬品のように思われがちですが、もともと医薬品の効果が患者ごとに違うのが片頭痛の病態であり、この薬剤での有効率が低くても選択肢が増える点で朗報です。抗体医薬品は製造にコストがかかり一般に高額ですがその中では安価です。安全性についてはもとより医薬品を使う限り副作用が起きることは承知しておく必要があるのですが、慎重なモニタリング下、いつでも医師にコンタクトが取れる状態で使い、リスクを減らす工夫が必要でしょう(他の医薬品にも同じことが言えます)。 記事にあるマーケティングの話は、日本では販売者による「医療用医薬品の一般人への広告」が薬事法により禁止されていることから、一般の方に情報が流れていかないことにより、製薬企業が情報を広められないことによる苦肉の策とみられます。この雑誌記事にも製薬企業が協力しているかもしれません。それにコメントしている私も、間接的に協力したことになります。
156Picks
デルタ株ふたたび中国で拡大 シルクロードの観光客ら相次ぐ感染
朝日新聞デジタル
米ファイザー製ワクチン、5─11歳での有効性90.7% 治験結果
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
この試験による新型コロナ感染者は、「実薬で3名に対しプラセボで16名の有効率が90.7%」ですので、両群の参加者の人数が揃っていた場合は「実薬93名発症、プラセボ1000名が発症」という感覚です。参加人数はプラセボ投与群750名程度の参加者に対して16名ですので、期間中の実感染者数と推定される割合が2%、これを0.2%強まで抑えたという感覚です。両群とも死亡者はいません。 過去の報道を読む限り、当該年齢に対する臨床試験のデザインは、(他の年齢層での効果が明らかなことから)二重盲検比較試験では実施できないと思われていましたが、発表された試験結果は二重盲検比較試験によって臨床試験が実施されたことが伺えます。まずは、このような実績がないと「選択すらできない」ことから朗報です。日本でこのデザインの臨床試験を2268名の児童に保護者(親権者)の判断で参加してもらって実施することは早々簡単ではないと思います。 5-11歳の接種判断は保護者が行いますので、保護者の判断に左右されます。上記の成績をもって、「ワクチンを接種しなくても社会生活に気を付けさせれば問題ない」との感覚を持つ方は日本に多く、米国に少ないかもしれません。 米国では、定型的な仕事や会議はオンラインが許容されますが、米国の授業はディスカッション中心ですので、教育でのオンライン利用は好まれません。接種が自由ならば、要件を満たさない方に対して教育側にも参加させない自由が認められているため、高等教育ではそのような機会に非接種者の参加が制限されはじめています。今後このような考え方が児童にも進むでしょう。このような文化がありますので、「充実した教育を受けさせる権利を得たいと考える保護者(教育熱心な保護者)」に賛同され、接種が進むと思います。 日本では、現状、当該年齢は分散登校・下校、できるだけ児童同士の接触を減らし、結果学ぶ時間が削減されていますが、教育に求められている役割や重視されている部分が異なってもいるようですし、日本では今後も教育を行う側が対象者に接種を求めること自体できません。非接種者に対する公平性も訴えられていますので、「非接種者がわからないまま」学習活動への制限が続けられると思います。
46Picks
スタートアップの取締役会の運営方法 (Y Combinator, Anu Hariharan)
FoundX Review - 起業家とスタートアップのためのノウハウ情報
高橋 義仁専修大学 商学部教授
株式会社の取締役は、株主により株主総会で選任され、第一義的には自らの選任権を有する株主に対する受託責任を持たなければなりません。株主の利益最大化に対し報酬を得て奉公し、同時に公益に対する責任(企業の社会的責任)とのバランスを取らなければならないという立場になります。 これらを普通に理解すると、米国の大企業で通常取締役の大半(CEOを除く全取締役のケースが多い)が社外から選任されていることとの整合性が理解できます。米国では、株主のものたる企業の資本関係の再構築など重要意思決定を「企業内部者に任せっきりにすると企業のトップマネジャーの采配により株主が損をすることは必然」で、企業のトップマネジャーは株主との間に「利益相反」が発生することになるとみられてしまいます。 米国では、ほとんどの方が上記のことは深く理解しています。その上で、記事では「大企業とベンチャー企業の取締役の選任基準の違い」のうち「大企業の取締役」については共通理解がある中で、「ベンチャー企業の取締役のあるべき姿との違い」が記事で紹介されています。日本の感覚では「人的なつながりの薄い人が取締役になれるの?」と思われるかもしれませんが、米国では逆に過度の人的つながりは株主に弊害があるとみられます。 記事中、ベンチャー企業の取締役は大企業と異なり「人的なつながりが大切」と書かれています。日本では逆にこちらに違和感はないかもしれませんが、米国でもスタートアップでは取締役に「適確なアドバイス」が重視されるという趣旨ですので、記事の納得性は高いと思います。 日本の取締役会では原案に対しシャンシャンと決まっていくことが多いと思われるのに対し、しっかりと議論されている様子が「標準として」描かれていることも気になりました。日本に「取締役会の議題検討期間に1か月かけ、会議には3時間かける」という企業がどれほどあるでしょうか? 日米間で株式会社の制度的趣旨に大きな違いはありませんが、日本では取締役は「出世した社員の厚遇ポスト」と思っている方が多くいることからか、誤解が頻繁に見られます。例えば、自らへの買収提案には株主に対する利益があるかで是非の判断が下されるものですし、取締役会が株主の発言に制限を加える行為もあり得ません。日本でこれらに抵抗が少ないのは、会社という社会システムに対する理解不足が原因だと思います。
146Picks
国産ワクチン、最終治験へ 塩野義と第一三共
時事ドットコム
高橋 義仁専修大学 商学部教授
薬事承認されればともに国産初の新型コロナワクチンになります。塩野義製薬製の臨床試験実施済症例数は60例、第一三共製はそれ以下とみられます。塩野義製薬製は組換えタンパク型、第一三共製はmRNA型とタイプが異なります。米ファイザー製、米モデルナ製はともにmRNA型です。 組換えタンパク型は、米ノババックス製が最も先行していますが、商業規模の製造工程の基準がクリアできず米国で承認されず足踏みしています。組換えタンパク型は、ウイルス病原体を構成するタンパク質からできており、ワクチン技術としては古くからある技法で製造されているものです。四種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)、二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、HPVワクチンなどでの応用実績があります。 mRNA型の臨床試験で、日本で数カ月間でリクルートできた臨床試験への参加者数はファイザー製400例程度(対照群としてのプラセボを含む)、モデルナ製300例程度(プラセボ含む)と極端に少数です。ファイザー、モデルナ共、最初に緊急使用時に集めた症例数が4万例弱(プラセボを含む)で、当時の試験環境下において、米国の基準では、臨床効果の検証および高い安全性レベルの検証のためにこの規模の症例数が必要でした。 塩野義製薬が実施する予定の臨床試験は3000例規模ですが、この規模でも日本で実施することは困難なため、ベトナムでの実施が計画されています。 「塩野義、東南アジアで治験 コロナワクチン現地供給に貢献へ」(産経新聞 2021月8月18日) https://newspicks.com/news/6111831?ref=user_1310166 ベトナムでの臨床試験の実施の許可得る条件に同国での供給と技術供与が付けられているとされています。同国はワクチンが不足しており、新型コロナワクチンの安定的な確保を急いでいるとみられていますが、医薬品承認審査の技術が蓄積されているかは不明です。その場合、日本が承認審査をサポートすることになると思われますが、その日本も米国に依存しています。米国がこの臨床試験の規模と内容では緊急使用許可を出すことはないとみられます。日本が多数症例での検証を発売後に回し、承認を先行させるかが注目されます。
235Picks
米5〜11歳への接種、11月開始へ 政府がワクチンと会場確保
www.afpbb.com
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国における小児への投与検討については、2021年10月8日に報道されていました。その計画の前倒しにあたります。 「ファイザー、米で5─11歳向けワクチン緊急使用申請 11月末までの展開も」(Reuters2021年10月8日) https://newspicks.com/news/6250169?ref=user_1310166 ファイザー社製ワクチンでは、約2万例での臨床試験成績をそろえ、米国では2020年12月に緊急使用許可されました。その後、投与後の長期成績が蓄積され、2021年8月に米国で正式承認を受けています。これまでは11歳以下の使用は認められていませんでした。一方で、5歳から11歳の小児を対象に臨床試験を実施して成績が集められ、有効性と安全性の審査が進められていました。 臨床試験に際し段階を踏む理由は、医薬品に付随するリスクが完全には避けられず、副作用が発生した場合、その被害を最低限に抑える必要があることによります。小児などは問題が発生した場合、大きな被害が想定できる対象であることから一般に後回しにされます。 小児への効能拡大試験は二重盲検比較試験では実施されておらず、臨床試験に参加した全員がワクチンを接種されています。このようなデザインで試験を実施された背景には、「すでに12歳以上ではワクチンの利益が十分に認識できる状態にあり、臨床試験においてプラセボ(偽薬)群を作った場合、あたった投与群が明らかな不利益を受けると判断される」と実施開始段階で判断がなされたことによると思われます。ただし、対照群(偽薬投与群)を作っていないため、臨床的有効率が算出できないという妥協があります。 米国での緊急使用許可後は小児への接種が可能になりますが、当該年齢は親権者の判断が必要です。親権者が「接種・非接種のメリット・デメリットを合わせて理解」する必要があります。少なくとも米国では、接種者に権利が与えられるとの考え方が主流ですので、学童の成長に好影響を与える「対面での教育機会」を奪わない為に、小児接種に賛同する親権者は多いと思われます。 日本は承認の判断を事実上米国に委ねていますので、米国での承認後は日本でもすぐに小児への使用ができるようになると思います。
10Picks
NORMAL