Apple Watchに血圧センサー、AirPodsを補聴器に-アップルの健康戦略
コメント
選択しているユーザー
こうしてモニタリングが増えるのはいいこと、、、かもしれませんね。
とはいえ、実はそれを見つけてどうするのか。
例えばECGアプリの最大のターゲットである心房細動は、脳梗塞や心不全や認知症の原因の1つであり、一生のうちに3-5人に1人は罹患する疾患であります。発見して抗凝固薬を開始することで脳梗塞を予防することができます。
ただし、抗凝固薬はわずかながら脳出血などの重大な副作用を増やします。
今まで通り、たまの健診や医療機関受診時から投薬するだけで十分だったのに、という可能性があったりします。(実際に議論されています)
血圧も同様ですね。現在の基準でどれほど正しく測れるのか、簡単に24時間血圧が測れる方が良いのか、実はあまり意味ないどころか過剰な医療機関受診や降圧薬処方に繋がるリスクもあります。
生体モニタリングデバイスの進歩とともに、ビッグデータから「より良い」フィードバックをかけていかないと、「今の基準」で良いだろうでは良くない可能性もあり、冷静な視点が今後さらに重要になります。
注目のコメント
Appleはすでに、その心電図モニターをはじめとして、さまざまな医療機関とのコラボレーションで臨床試験を行っていますので、こうしたデバイスでもまた臨床試験を積み重ね、本格的に医療の世界に参入しはじめるステップの一つに見えます。
特に、補聴器の普及率が低く止まることは、認知症リスクを増加することに寄与しており、老年科医師としてもこのAirPodsの参入には大いに期待しているところです。
一方、ダウンサイドとして、血圧センサーなどの広がりによって不要な医療機関への問い合わせや受診が増加するといった懸念もあります。人々の血圧測定の方法やタイミングには誤りが多く、家庭血圧測定は現状でも不要な受診を招いています。裾野が広がる分だけ、「健康につながる」と見せかけて、不要な医療リソースの使用につながっていないかという点も合わせて追いかける必要がありそうです。ウェアラブルデバイスによって身体のデータを測定する未来像はかなり前から描かれていましたが、精度の高いデバイスがこれまで出てこなかったのが現状です。
精度の高いウェアラブルデバイスが実装されると、これまで単発でしか測れてこなかった血圧や脈拍などのデータが日内変動という形で見れる様になります。血圧の日内変動がわかると、高血圧をより詳細に知る事ができる様になり、新たな知見が蓄積される事になるでしょう。
例えば、仕事中に血圧が上がる傾向にあるので、仕事の前に降圧薬を飲みましょうとか、早朝に血圧が上がるから、寝る前に降圧薬を飲みましょうといった形もあるかもしれません。
一方で、不要な心配を生み出す可能性が高く、血圧がいつもより高いから病院に連絡した、といった事例が増えてしまうかもしれません。小さな事の蓄積が医療の逼迫を後押しする可能性があります。Apple Watchは、着々と「時計の機能も持つウェアラブルセンサー」に変貌しつつある。すべてはApple社の戦略通りだということです。こうなると、Apple Watchは、時計のように夜寝るときは外すものではなく、常時装着されることをデフォルトとするものになってきます。つまり、充電をいつどのような形でさせるかを技術者はいよいよ真剣に考えざるを得なくなるはず。そこに、どのようなイノベーションが生まれてくるか、楽しみです。