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北朝鮮 “発熱患者 120万人超” 軍医療部門投入の特別命令
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
この週末だけで、「発熱」患者の報告数は飛躍的に増加しています。金曜日の時点で約18000人の報告であったのが、さらに週末で17万人追加され、今回の報告で120万人となっています。感染の広がりを捉えきれていない様子、急速に感染伝播が起こっている様子が感じとれます。
また、現時点で少なくとも21人の死亡者が報告されているようですが、死因が「薬物の過剰投与」や「必要な医療の欠如」によるものと報告されています。
ワクチンの接種率の低さ、感染拡大の速さ、医療リソースの欠如、平時の健康状態(栄養状態)など様々な要因が相まって、致命率が(そもそも正確に報告されない可能性も高いですが)予想されるよりも高くなることが懸念されます。
中国の公衆衛生策に準じているようで、ロックダウンがすでに敷かれているとの情報もありますが、人道的に十分許容される状況です。
首相、観光客受け入れに向け「近いうちに実証事業を」
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
オミクロンが日本を含め世界的に広がる中、ワクチン接種の拡大など、何か喫緊の代替策を待っている状況でなければ、国内での規制を特にしていない以上、入国者の制限を妥当化する良い理由があまり見当たりません。
この人数の制限は、必ずしもその人数自体に科学的な理由は見つからず、入国者へのスクリーニング検査に割かれる「マンパワー」に最も大きな原因があると理解しています。
このため、人数制限の解除のためには、そもそも検査を求めない、検査を求めるとしても他国での検査証明書で十分と考える、検査を有症状者に限定するなどのスイッチの切り替えが必要となります。そしてその切り替えは、少なくとも現在は十分許される状況ではないかと思います。
なお、米国ではすでに入国時の検査提出は何も求められていません。
子どもの肝炎症状に注意喚起 米CDC、衛生対策も
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
肝臓は「沈黙の臓器」と言われることもあるぐらいで、炎症が重度にならなければ症状が現れにくいという特徴もあります。
症状が列記されていますが、これらの症状は炎症が重度となり発症から数日経過しないと出てきません。
発症初期には、だるさ、吐き気、腹部の違和感といった分かりにくい症状しか見られないと思います。また、何もしなくても症状が良くなったり悪くなったりして、放っておいてよいものなのかと判断を迷わされることもあります。
しかし、逆にそれらの症状は他の多くの原因でも生じうるため、それらの症状=肝炎とするのは早合点になる可能性が高いですが、なんとなくぐったりしている、食事の摂取量が落ちているといった変化にもアンテナをはっておくというスタンスも必要かもしれません。
新型コロナ 間接的影響含めた死者数 各国報告の約3倍に WHO
コロナ感染による肺炎で、認知症の発症リスクが上昇
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
この研究からコロナ肺炎と認知症発症リスクの関連を結論づけて良いのかは、明らかでない点も多いと感じます。だからこそ、CIDと呼ばれる上位の医学雑誌に掲載とはならず、OFIDと呼ばれる下位の雑誌への掲載が決まったのではないかとも深読みします。
数字を素直に受けとると、コロナによる肺炎と一般の肺炎で0.5%の差がついた、すなわち1000人中5人の差がついたということになるのですが、この研究では一部の持病の差は調整されているものの、例えば背景の教育レベルなど比較的クリティカルと思われる要素について調整を十分できていません。
新型コロナのパンデミックでは、ワクチン未接種の層が圧倒的に多く肺炎を発症してきたため、その層に偏りがある可能性が高いと思います。
あるいは、新型コロナの「後遺症」としてよく見られている抑うつ症状や集中力の低下が長期に認知機能に影響を及ぼしている可能性が否定できず、「認知症」の過剰診断につながっている可能性も懸念します。これはまさに、現場で私たちが頭を悩ましている点でもあるからです。
これらの点から、本研究から新型コロナ肺炎と認知症の関連を結論づけられるかには疑問が残ります。まだ引き続き研究の蓄積が望まれる領域であると考えます。
(にもかかわらず、雑誌記事のタイトルでは割り切って言い切られてしまうことも多いのですが、そんなに物事はシンプルではないのです。)
引用文献:https://academic.oup.com/ofid/article/9/4/ofac115/6543929
New York City Enters Higher Coronavirus Risk Level as Case Numbers Rise
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
NY市内の新型コロナの感染リスクが上昇し、中間リスクになったとする報道。
自宅での検査が広がったので、個々人にとって検査にリーチしやすくなったというメリットもある一方で、感染者数の動向というのは全く当てにならない指標になりました。そんな中、NY市長が今後どのようなタイミングでどう舵を切るのかが注目されます。
市民の経済活動に焦点が当たる中、抑制に舵を切りにくい事情も理解できる一方、ワクチンの4回目以降の有効性でイマイチな報告も重なり、追加の戦略が必要になる可能性もあります。
今秋以降、ワクチンの改良の可能性も含め、何も起こらないことを願いつつ、最悪の事態を想定しておく姿勢も求められそうです。
【金の卵】プロダクトマネージャーという職業
リリーが開発中の肥満治療薬、体重20%の減量に効果-後期臨床試験
山田 悠史マウントサイナイ大学病院 米国内科専門医
ここで紹介されているチルゼパチドという薬は、GLP-1とGIPと呼ばれる2種類のホルモン(いずれもインクレチンという大きな括りに属するホルモン)のように作用して働く薬です。GLP-1として働く薬はこれまでも使われていますが、両者の作用を持つ薬としては、はじめてのものになるかと思います。
このインクレチンと呼ばれるホルモンは、体の中のインスリンの分泌を助けて血糖値を下げるだけでなく、胃の動きを抑えるので、食事を摂れる量が減り、体重減少につながります。
この薬は、皮下注射しなければいけない点がインスリンや他のGLP-1作動薬同様、障壁になると思いますが、血糖値のコントロールおよび体重減少への効果は、第3相試験の結果で著しく見られており、今後重宝される薬になりうると思います。
今後の懸念点は、GLP-1作動薬同様、肥満のない方への不適切なダイエットのために自由診療や個人輸入で用いられうることです。そこに健康へのベネフィットは考えにくく、むしろ悪影響が考えられますが、すでにGLP-1作動薬でも行われており、懸念されます。
参考文献
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)01324-6/fulltext

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