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【驚愕】「若返り」のため、孫の血を注入してみた
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
素晴らしい好奇心と探究心だとは思いますが、残念ながら本人たちには百害あって一利なしになる可能性が十分あるばかりか、後世にもエビデンスとして残すことが難しい結果になってしまうと思います。
根拠にされたマウスでの結果は、哺乳類ひいては人類では全く逆の結果になることも珍しくありません。実際この長寿の研究においても、シリコンバレーの人々が根拠にしているマウスの研究でカロリー制限が20%から最大50%まで寿命を延長した結果が示されても、ひとたび齧歯類を離れると、他の実験動物では寿命延長効果を示すことが難しくなっています。
カロリー制限ならば実害がまだ少なくて済むかもしれませんが、血漿交換は読んで字のとごく血の入れ換えが行われます。どれだけ合併症のリスクがあるかは想像に難しくないことでしょう。逆に合併症の影響で、その炎症からエイジングを加速するリスクもあるわけです。
また、仮に彼らの間で何らかの結果が得られたとしても、それが偶然の結果なのか、別の要因が働いたのか、本当に血漿交換の効果と言っていたのかは、この一例だけで結論づけることは難しいでしょう。実は「壮大」ではなく、「とても小さな実験」になってしまっているのです。まずはこの親子に何の合併症も起きないことを願うばかりです。
エーザイのレカネマブ、FDA完全承認ならメディケア適用対象に

【保存版】20業界のプロが語る「GPTで変わる働き方」大予測
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
医療業界でのChat GPT活用について、コメントさせていただきました。
すでにスタートアップも数多く立ち上がり、研究論文も多数報告されるようになり、医療業界でも明らかにこの領域への参入は加熱しています。日本でも2024年に医師の働き方改革の開始を控える中、そのソリューションの一つとしてChat GPTの活用は積極的に検討されるべきでしょう。
なお、記事中でご紹介した論文については、トピックスの有料記事でもご紹介していますので、ご関心のある方はどうぞ。
https://newspicks.com/topics/yuji-yamada/posts/64
生成AI「チャットGPT」が日本の医師国家試験を受けたら 研究グループが試行錯誤して262問に挑戦 その結果は
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
日本の医師国家試験に対するチャットGPTの回答結果というのは、先に日米の共同チームからの報告がありました。
【読売新聞の報道】
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230509-OYT1T50319/
5年分の国家試験でいずれも合格ラインを超えていたことが報告されています。知見としての新規性は乏しいかもしれません。
またこちら米国でも医師国家試験で合格したことが報告されています。
【共同通信の報道】
https://nordot.app/996514296582684672?c=113147194022725109
オンライン健康相談の世界では、回答の質や共感性で勝る可能性も示唆され始めています。
【トピックスでの紹介記事】
https://newspicks.com/topics/yuji-yamada/posts/64
一医師として、医師の業務負担を減らすソリューションになる、ひいては患者さんのメリットにつながる日が1日も早く来ることを待ち望んでいます。
マスク氏医療機器会社、脳インプラントのヒト試験へFDA承認取得
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
つい2ヶ月ほど前に「FDA却下」のニュースが流れたばかりでしたので、大きな前進です。FDAから指摘されていたバッテリーなどのデバイス側の問題が克服されたということでしょう。
先日のニュースにあたっては、マスク氏をよく思わない人から陰謀論的な意見も出ていましたが、そのような理由で却下されていたわけではないことも明確に見てとれます。
全ては、将来の私たちにとってメリットをもたらす可能性があるものか、そしてリスクは十分倫理的に許容される範囲内にあるものかどうかという最善の判断に基づくものだと思います。
なお、「脳インプラント」というと、とても新しい技術のように感じられるかもしれませんが、脳への電極の植え込み自体は、実は新しい技術ではありません。臨床現場では比較的古くからパーキンソン病という病気に用いられている治療法です。病気の原因の一端を担う脳の特定の場所に電極を植え込み、一定の電気刺激を与えることで、病気の症状を改善することができます。
ここからさらに発展して、より多様な疾患の人の症状が克服されることにつながることを願うばかりです。

ソフトコンタクトに有害な化学物質が含まれている可能性
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
PFASは、食品の容器や包装、焦げ付き防止機能のついた調理器具、汚れ防止加工されたカーペットや衣類、防水の衣類、さまざまな化粧品など、身近な幅広い製品に使用されています。 このため、PFASへの曝露は飲料水、空気、食品の容器、調理器具などのさまざまな経路を介して起こっている可能性があります。先進国のほとんどの人はこのPFAS に曝露されていると考えられています。
記事で紹介されているような健康リスクの可能性から、血液中の PFAS を測定する血液検査が必要かという疑問も起こります。しかし、どのぐらいのレベルで有害なのかのエビデンスは限られており、 結果に基づいた対応も難しいため、今のところ血液検査は推奨されていません。
ただし、よりエビデンスが蓄積されてくれば、そのようなことが今後推奨されるようになる可能性もあります。今回のコンタクトレンズの件も、現状の内容では三段論法や四段論法になっており、だからどうすれば良いかの具体的なアクションには結びつかない内容となっています。
コンタクトレンズの使用中止を推奨するアクションに繋がりうるとすれば、該当の製品の使用者の血液中の濃度を調査し、高濃度に検出されるケースが多いのであれば、そうなるのかもしれません。この場合、現時点では PFASを体から除去したり、排泄を促進したりする方法がないことに留意する必要があり、該当者は甲状腺機能検査や一部のがんの兆候がないかを評価する必要があるのかもしれません。逆に、全く無視できるものなのかもしれません。
壮大なアンチエイジング実験-IT起業家、親子3世代の血漿交換実践
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
素晴らしい好奇心と探究心だとは思いますが、残念ながら本人たちには百害あって一利なしになる可能性が十分あるばかりか、後世にもエビデンスとして残すことが難しい結果になってしまうと思います。
根拠にされたマウスでの結果は、哺乳類ひいては人類では全く逆の結果になることも珍しくありません。実際この長寿の研究においても、シリコンバレーの人々が根拠にしているマウスの研究でカロリー制限が20%から最大50%まで寿命を延長した結果が示されても、ひとたび齧歯類を離れると、他の実験動物では寿命延長効果を示すことが難しくなっています。
カロリー制限ならば実害がまだ少なくて済むかもしれませんが、血漿交換は読んで字のとごく血の入れ換えが行われます。どれだけ合併症のリスクがあるかは想像に難しくないことでしょう。逆に合併症の影響で、その炎症からエイジングを加速するリスクもあるわけです。
また、仮に彼らの間で何らかの結果が得られたとしても、それが偶然の結果なのか、別の要因が働いたのか、本当に血漿交換の効果と言っていたのかは、この一例だけで結論づけることは難しいでしょう。実は「壮大」ではなく、「とても小さな実験」になってしまっているのです。まずはこの親子に何の合併症も起きないことを願うばかりです。
「梅毒」5000人超、最多の昨年より1か月早いペース…「先天梅毒」の増加懸念
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
梅毒はトレポネーマと呼ばれる種類の細菌の感染症です。新型コロナウイルスが飛沫で感染が広がっていくのとは大きく異なり、この感染症の主要な感染経路は性交渉になります。
梅毒が少し厄介なところは、感染初期の症状が比較的軽いことも多く、治療を受けていなくても症状が自然に改善するため、「自然に治った」と勘違いして、しかるべき検査や治療の機会を逸してしまうことがあることです。初期の症状としては、性器の周囲の皮膚の硬いしこりやその部位での潰瘍などが挙げられます。しこりができても痛みなどの症状が出ないことが多いため、様子を見られてしまうことも多いのです。
そのまま無治療のまま経過してしまうと、後に心臓•血管や脳神経の重大な合併症につながる恐れがあります。コンドーム使用などの予防手段とともに、おかしいなと感じたら、症状が軽くても検査に行くというアクションが大切です。
米、子の肺炎予防ワクチン承認へ 妊婦に接種
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
RSウイルスワクチンは、米国では先に高齢者を対象としてGSK社製のワクチンの承認が行われています。今回はファイザー社のもので、接種対象は妊婦となっていますが、実際に肺炎を予防する対象となっているのは生後6ヶ月以内のお子さんです。
このRSウイルス感染症は特に生後6ヶ月以内で重症化しやすいことが知られているからです。これらの世代では命を守るワクチンとなりうるため、「待望のワクチン」でもありました。
背景となった研究の結果はすでにNEJM誌に報告されています(参考文献)。
その結果によると、生後90日以内に重度の肺炎が発生したのは、ワクチン群では乳児6名、プラセボ群では乳児33名でした。この結果から、ワクチンの有効性は81.8%と算出されています。また、生後180日以内で評価すると、ワクチンの有効性は69.4%と算出されました。
有害事象の発生率は、ワクチン群(母親13.8%、乳児37.1%)とプラセボ群(それぞれ13.1%、34.5%)で差を認めませんでした。
以上から、ワクチンが有効で安全であると示唆されています。順当にいけば、まずは高齢者や子ども世代でこのRSウイルスワクチンが標準化していくものと考えられます。
参考文献
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2216480

【革命】「虫刺され」が激減する未来がやってくる
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
こちらの記事では、虫刺されに対する人間側へのアプローチのみが紹介されていますが、実は蚊側へのアプローチを行っている研究もたくさんあります。
例えば、蚊の遺伝子操作をして、蚊が感染症を起こす細菌を運べないようにする工夫が行われています。遺伝子操作した蚊が自然界の蚊と交配していくことで、やがて全ての蚊が「無害」の蚊になるという計画もあるようです。自然界への冒涜だというような批判もありますが、科学的視点のみに焦点を当てれば面白い発想だと思います。
その他にも、興味深い研究があり、私のトピックスでも無料記事でご紹介しています。ご関心のある方は、あわせてご確認ください。
https://newspicks.com/topics/yuji-yamada/posts/6

【必読】冷凍食品、ファストフードが「危険」なもう一つの理由
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
米国の良心的な記事で、因果関係と関連性をしっかりと区別して記述しているところに好感がもてます。
実際のところ、認知症やメンタルヘルスと超加工食品の摂取との間に因果関係があるのかは十分にはわかっていません。ただし、繰り返しの研究の積み重ねから、がんや心臓の病気への影響は確からしいものになっており、いずれにせよ、減らしたい食品だと考えるべきでしょう。
これら超加工食品の摂取が習慣的に多いという場合、あまりに生活に浸透してしまっており、突然やめるというのは難しい選択でしょう。いきなり極力減らそうとするのではなく、どうすれば少しでも減らせるか、その第一歩を検討することが大切です。
超加工食品は、特定の栄養素の血液中の濃度を急上昇させ、違法ドラッグのようなプロセスで習慣性をもたらす可能性も指摘されてきています。「美味しい」「また食べたい」と思わされるのは、サブスクリプションを導く徹底した加工食品企業の追求の賜物である可能性があるということです。あなたの「幸せ」はコントロールされたものかもしれません。
そう思うと、「それでも好きだから食べる」という思考過程、景色は少し変わって見えてくるかもしれません。
体脂肪、人工甘味料では減らせない可能性も-WHOが新ガイドライン
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
人工甘味料がどのような役割を果たしているかについては、すでに数多くの研究が行われており、総じてポジティブな側面とネガティブな側面が分かりつつあります。
ポジティブな影響としては、虫歯の減少との関連が指摘されています。一方、ネガティブな影響としては、体重増加、血糖値の悪化、腸の機能にもマイナスの影響を及ぼす可能性が指摘されています。
人工甘味料の摂取が上記のような悪影響を及ぼすメカニズムは正確にはわかっていませんが、腸内細菌の変化、嗜好の変化(結局甘いものが好きになる)、腸と脳の間の神経伝達への影響などが可能性のあるメカニズムとして考えられています。
ダイエットソーダは、その名称からも魅力的な商品として世界中でその消費が進んでいますが、記事の通りダイエットには繋がらない可能性があります。ただし、日本には幸い緑茶など砂糖も人工甘味料も含まない飲料の選択肢が豊富に取り揃えられているため、他国に比べて健康な選択をされる方が多いかもしれません。

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