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緊急事態宣言から3週間 流行状況はどう変わったか
堀田 伸勝株式会社ジーケア 代表取締役
私の実感でも、全く何も対応できないほどに患者が増え続けている!という状況ではないですね。その原因としては、指摘されているように感染症指定医療機関ではない、他の一般の医療機関がコロナの診療を始めてくれたことです。
しかも大学病院などいわゆる三次救急を担う、重症患者の治療を行うことができる医療機関が重症例などで対応してくれるようになったことは、周囲の医療機関の大きな負担になっていた人工呼吸器管理やECMOなどの心配をある程度払拭してくれました。
またPCRの検査数や見逃しなどの議論はありますが、少なくとも東京都に限っては、爆発的に新規患者数が増えることによる医療崩壊はギリギリのところで踏みとどまっているという状況です。
今後想定されるべき懸念としては、東京都以外の地域においてこれまでの東京都のような新規感染者数のピークがこれから訪れる、ということではないでしょうか。
そのため仮に東京都が緊急事態宣言や強力な自粛によって新規患者数が減少傾向となり落ち着いてきたとしても、それだけで東京都の緊急事態宣言は解除が難しいということです。
もし首都圏、関東、いや全国的にも他の地域でこれから感染者数のピークが訪れるのであれば、日本で人の流動がもっとも激しい東京都を含めた緊急事態宣言の解除は難しいのではないでしょうか。
経済の状況など様々判断は難しいと思いますが、未だ全く安心できない状況が持続しています。気を引き締めていきましょう。
ファストリが医療用ガウン20万点と“エアリズム”を医療機関へ寄贈
堀田 伸勝株式会社ジーケア 代表取締役
本当に素晴らしいですね。
医療用のマスクやガウンなどを個人防御具(Personal Protective Equipment: PPE)といいます。
新型コロナウイルスの診療に携わる最前線の医療スタッフにとっては、PPEの不足は死活問題となります。
そしてあまりまだ一般の方には知られていないと思いますが、現在多くの患者を受け入れている中心的な病院でも、既にゴミ袋などでの代用が始まっています。マスクなどもそうですが、少しでも節約して使用するため、感染リスクと隣り合わせのギリギリのところで工夫して使用しているのが現実です。
どんなに感染防御の知識や経験があっても、そのための防御具がなければ戦えません。私たちは日々不安な中診療を継続しています。どうか柳井さんに続いて、体力のある企業や団体からの寄付などの活動を、全国の医療機関に行なってくださるのを心から望みます!!
厚労省、緊急性高い12症状公表 「胸の痛み」「脈がとぶ」
堀田 伸勝株式会社ジーケア 代表取締役
この12症状は、急速に重症化する例を少しでも早期に発見しようと苦労して作成されたことを感じます。
しかしこれだけでは不十分なことが多いことも事実です。
実際にCOVID-19、コロナの肺炎の方の診療を担当すると、こちらが驚くほどに自覚症状が軽い例が多いことに気づきます。血中の酸素濃度が下がり、酸素投与治療が必要になっていても本人はそれほど苦しがっていないのです。
この状況への説明には、医学的には血中の二酸化炭素が溜まっていないからなど様々意見はあります。しかしそういう例が多いのは事実です。
そしてその状態がじわじわ続いて、さらなる急速な悪化が重なり呼吸ができなくなってしまう。その時に人工呼吸器などの適切な治療ができなければ救命は難しいです。
そのため基本的な考え方としては、一般の方が自分自身や家族の症状だけを見て重症度を判断できるのは一部の方に限られると思います。現状の日本の感染者数であれば、早期にホテルなどの宿泊施設の体制を整えてより多くの無症状、軽症者の方を収容できるようにすることが何より大切です。
自宅療養中に急変し死亡相次ぐ 東京都内 新型コロナ
堀田 伸勝株式会社ジーケア 代表取締役
実際の診療を担当すると、本当に急激に重症化することを実感します。これは基本的には肺炎の急激な悪化です。
数時間単位で呼吸状態が悪化し、人工呼吸器を使用しなければ救命できません。翌日まで待てなかった例も経験しました。
このような重症化例では必ず酸素が下がり始めますので、パルスオキシメーターでSpO2をモニターしていくことが非常に重要です。
そのため無症状、軽症者が移送されるホテルなどでもパルスオキシメーター設置がされているのは素晴らしいです。動いて下さった関係各所に感謝致します。
しかし自宅待機中ではそういうことができず非常に難しいです。しかし、現在都内を含め近郊でもPCR陽性者が、病院のベッドに空きがないため多くの相当数の方が自宅待機をされています。
いわゆる重症化リスクの低い無症状、軽症者の方は、病院ではなく、自宅ではなく、ホテル移送できることが望ましいです。
しかしホテルの数がまだ不足しており、このままでは自宅で急に悪化する方が続出してしまう危険性が高く、早急な体制の構築が急務です。
現在重症化リスクのある方はホテル移送の対象からは外れていますので、病院での療養となっています。しかしベッド数が足りず、非常に厳しい状況が続いています。
東京都 新たに161人の感染確認 都内計3733人に 新型コロナ
堀田 伸勝株式会社ジーケア 代表取締役
最前線の現場は、とにかく目の前の全ての患者さんの救命に全力を挙げている日々です。
しかし個人防護具PPEが不足してきているのは現実で、恐ろしいことですがそのために医療従事者が感染してしまう危険性が上がってきています。これだけは避けなければいけません。
これだけ感染が拡がってしまった現状では、理想的な対策は困難です。今できることに全力を注ぐしかありません。
今対応すべき重要な対策は
1. これ以上の新規感染者を出さないこと
自粛が徹底されるのであれば、新規感染者が出ないはずで、むやみやたらのPCR検査は不要です。現時点での感染者の対応のみで済むはずです。それでもかなりの数の感染者ですが。
2. 重症化リスクの低い無症状、軽症感染者の隔離
ホテル等宿泊施設への収容を早急により進めること。
都内ではホテル移送は始まっていますが、まだまだ不足しており、病院のベッドを軽症者が使用してしまっています。病院のベッドは重症化リスクの高い患者さんのみが使用できるよう早急な対策が必要です。
一方でホテル移送には、同時に急速な重症化の早期発見と医療機関への搬送体制も整える必要があります。
そのために全てのホテルなどにパルスオキシメーターを設置し、SpO2を測定することが必須です。
このことを察知して動いてくれている団体がでてきています。
3. 軽症の状態から急速に重症化する患者の救命
今後は感染症指定病院かどうかに関わらず、人工呼吸器を持つ医療機関は全て重症者の受け入れと対応が必要になります。場合によってはそういう医療機関への医師や看護師の人員の配置対策も必要です。
4. コロナ以外の疾患への対策
コロナばかりが目立ちますが、心筋梗塞や脳出血など一刻を争う疾患があります。そういう疾患への救急医療を担う体制として、各地域毎に基幹病院を指定して患者の集約を行う必要があると思います。
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