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アビガン、有効性示されず 臨床研究で、藤田医大が発表
共同通信
濱谷 陸太Brigham and Women's Hospital 予防医療の研究者
「効いた人もいるのでは?」という疑問について、補足します。 これは現在の所、いかなる臨床研究でも示すことはできません。 「〇〇が☓☓に効く」というのは因果関係で(相関関係でないですね)、因果関係を示すには基本的にランダム化試験が必要です。 でもランダム化試験というのは、対象とした母集団での因果関係を調べるものです。例えばアメリカ人を対象にしたランダム化試験で「死亡率が10%減った!」と結論されても、日本人では全く効かない可能性が(当然)あります。 「効いた人もいるのではないか?」という疑問は、個人での因果関係を意味しています。Aさんはアビガンを投与されて治ったが、それはアビガンを内服したから治ったんじゃないか。これを示すには、Aさんがアビガンを飲まない状況でどうなったか知る必要があり、それはタイムマシンがなければ無理です。 よって、この疑問に対する答えは、「いたかも知れないしいないかもしれない。どうやってもわからない」となります。 治療法がない疾患の場合、まずは大きな集団で(平均的に)効く薬をみつけ、標準治療として確立することが目標です。レミデシビルが効くことが示されていますが、あくまで平均的に効くという意味です。平均的に効く治療=標準治療です。ある人にとっては投与しないほうが良かった可能性も当然ありますが、それを示すことはできません。
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日本でもApple Watchの心電図機能が利用可能に?Appleが承認取得
iPhone Mania
濱谷 陸太Brigham and Women's Hospital 予防医療の研究者
私が専門としている事にかなり近いです。 <Apple watchの有用性> 今の所は、無症候性心房細動の検知にのみある程度の有用性が期待される程度です(症候性=症状あり、なら本人がわかります)。心房細動は脳梗塞の原因になるので、その前にApple watchで検知して医者にかかり、脳梗塞予防の薬を飲むことは良いことです。 ちなみに心房細動とは「脈が絶対的にバラバラ(irregularly irregular)」である状態なので、自分で脈取ればわかります(手首の動脈。そういう習慣のない人がほとんどと思いますが)。 Apple Heart Study (https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1901183)に基づいており、アメリカではFDAのclearanceを得ています。 *approval=承認、ではありません。医療機器とは言えないが、その他市販されている医療機器もどきとは一線を画する、という意味です。 <「多くの人の命を救っている」という文面について> これは言い過ぎです。リンク先で紹介されている患者さんは安定狭心症(心筋梗塞でない)であり、一般的に命に関わりません。 ST変化という心電図所見を拾っているのですが、Apple watchの波形を医者がみればわかりますが精度の悪いスクリーニング程度にしかなりません。胸痛で受診した患者を適切に医者が対応すれば、Apple watchの出る幕はありません。今の所。 ちなみに最近新型コロナの治療薬候補であるヒドロキシクロロキンの副作用(QT延長)をApple watchで診断できないか、という研究が報告されましたが、まだまだ実用化の道のりは長そうです。ブログで論文解説しています(https://riklog.com/paper-review/apple-watch-qt-prolongation-circ/)
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WHO、臨床試験で抗マラリア薬の使用再開発表
産経ニュース
濱谷 陸太Brigham and Women's Hospital 予防医療の研究者
これの経緯は以下のとおりです: 1. ヒドロキシクロロキンが効くかもと噂され(小規模な研究で示唆され)、一部WHO主導でたくさんのランダム化試験が組まれ、始まった(効くという証明にはランダム化試験が必要)。 2. Lancetという権威ある医学雑誌に、ヒドロキシクロロキンは効かないかも、という大規模な観察研究(ランダム化試験でない)が発表された(ブログで解説してます:https://riklog.com/paper-review/hydroxychloroquine-registry-lancet/)。 3. この研究は観察研究ながら信頼性が高いと判断され、効かない薬の証明に時間と金をかけるのは合理的でないと判断、WHO主導のランダム化試験が複数中止となった。 4. Lancetの論文は、実は用いたデータが捏造されていた可能性が指摘された(論文を細かく見ると変な部分がある)。実はデータ収集に一般企業が絡んでおり、その立ち回りや利益相反を含め現在調査中。 5. これをうけWHOが臨床試験の再開を発表した。 かなり大掛かりな論文捏造事件かもということです。 治療薬に関しては、レムデシビルがかなり効きそうなので、必ずしもヒドロキシクロロキンに拘る必要はなさそうです(当然色々オプションがあった方がよいですが)。
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喫煙が新型コロナの重症化進める  米研究グループ、論文で明らかに
47NEWS
濱谷 陸太Brigham and Women's Hospital 予防医療の研究者
残念ながら解釈が誤っています。 おそらく元論文は仲田さんが引用されているものですが、この論文で証明したことは「喫煙が肺でのACE2発現を増やす」というもので、新型コロナの重症化とは関連付けていません。 これは喫煙がコロナ重症化(というよりウイルスの侵入)のリスクを上げる事を説明する一つの仮設となる基礎実験で、それ以上の事は言えません。 「喫煙がコロナの重症化を進める」かどうかは、それを直接比較した臨床研究でのみ言えます。原田先生が引用している論文は、まさにそれです。 *基礎研究の結果を人での所見としてそのまま解釈できない、ということは非常に重要です。実はARBやACE阻害薬という降圧薬は肺のACE2発現を増やすことが知られており、コロナ患者にはこれら降圧薬を止めたほうが良いか、真剣に検証されてきました。 結局、大規模臨床試験が同時に3つもNew England Journal of Medicineという雑誌に発表され、どれも「降圧薬の使用とコロナ感染は関連なし」と結論しています。 https://riklog.com/paper-review/covid-arb_acei-nejm/ この例からも、肺のACE2が増えるからと言って、コロナ感染リスクが増えるわけでないことがわかります。つまり、喫煙により新型コロナ感染リスクが増える原因は、他にも考えられるということです。ヒトでの現象は、単一の実験系や経路から説明できるほど単純でないことがほとんどです。
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