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【新】無自覚なストレスも「可視化」。メンタルヘルス最前線
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
私はこの記事で紹介されているLyraという元Facebook CFOのDavid Ebersmanが2014年に立ち上げたメンタルヘルスケアサービス企業の業務委託を受け、同社の顧客企業の従業員の診療を行なっています。
同社の顧客企業にはFacebook, Google, Tesla, SpaceX, Uberなどを始め、米国の今を時めく企業が多数名を連ねています。
これらの顧客企業の従業員は同社のサービスを通じて精神科医や臨床心理士よるメンタルヘルスケアを無料、もしくは低価格で年間一定回数受けることができます。
従業員側としては自分で受診先を探す手間がないだけでなく、無料か極めて少ない自己負担額ですぐに気軽にメンタルヘルスケアの専門家を受診することができます。もちろん、受診した事実が勤務先に開示されることは決してありません。
メンタルヘルスケアを提供する我々からしても、患者さんの紹介を受けられるだけでなく、保険会社に対する煩雑な診療報酬請求手続きをせずに速やかに診療報酬の支払いを受けられ、どちらにとってもwin-winの関係となります。
米国の医療保険制度は非常に複雑なだけでなく、保険会社の利益優先主義が蔓延っており、患者さんにとってもメンタルヘルスケア専門家にとってもメンタルヘルスケアの普及の大きな障壁になっています。こうした制度上の不備を穴埋めする形で、同様のサービスは全米でさらに拡大していくと思われます。
米国の企業が従業員のメンタルヘルスに投資するのは大きなトレンドになっており、従業員に対するメンタルヘルスケアを請け負う企業も数多く設立されています。従業員のメンタルヘルスが生産性に与える影響の甚大さを企業が認識していることの表れと考えます。
子どもの1~2割にうつ症状 コロナ禍調査、相談控えも
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
世界全体を対象にした調査では、コロナ禍において抑うつ症状を有する小児の割合は25.2%と報告されています。このデータを考慮すると、日本においても実際は1-2割よりもっと多いのではと懸念します。
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2782796
小児、特に思春期の場合、辛いことがあっても大人に相談することを躊躇う傾向が強いです。また、成人と異なり、小児のうつは典型的なうつ症状ではなく、苛立ちや問題行動など一見うつとはわかりにくい形で現れることも多いため、周囲の大人が子どもの行動や表情の微妙な変化によく気を配って抑うつ症状のサインになるべく早く気づいてあげることが大事だと考えます。
NY地下鉄で刺傷事件が続発、2日間で5人負傷 市の安全対策発表直後
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
先日同様の記事にもコメントしましたが、NYの地下鉄の治安は確かに悪化しています。
https://newspicks.com/news/6632274?ref=user_5376304
このような報道ではしばしば「精神疾患の患者」が地下鉄内に増加していることが一因として取り沙汰されますが、実際には精神疾患を抱える患者さんが暴力犯罪・凶悪犯罪を起こす確率は一般人口と全く変わりがありません。
「精神疾患の患者=暴力的」という偏見、および社会の精神疾患患者に対する非罰化の風潮から、暴力事件の通報を受けて出動した警察官が犯人を逮捕せず、精神科救急外来に搬送して済ませてしまうことが日常化しています。
こうして病院に搬送されてくる人物のほとんどがただの反社会的な人物であり、重度の精神疾患であることは稀です。病院としては、こうした反社会的で危険な人物であっても、重度の精神疾患でない限り入院させずに速やかに帰宅させるしかありません。
このような背景から、犯罪を犯して逮捕されそうになった反社会的な人物が故意に精神疾患を装って逮捕を免れ、病院に搬送されてくることもしばしばです。
NY地下鉄で突き落としなど急増 アダムズ市長、治安改善に苦慮
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
NYの地下鉄の治安は確かに悪化しています。こうした際には決まって「精神疾患の患者」が地下鉄内に増加していることが一因として取り沙汰されますが、実際には精神疾患を抱える患者さんが暴力犯罪・凶悪犯罪を起こす確率は一般人口と全く変わりがありません。
「精神疾患の患者=暴力的」という偏見、および社会の精神疾患患者に対する非罰化の風潮から、暴力事件の通報を受けて出動した警察官が犯人を逮捕せず、精神科救急外来に搬送して済ませてしまうことが日常化しています。
こうして病院に搬送されてくる人物のほとんどがただの反社会的な人物であり、重度の精神疾患であることは稀です。病院としては、こうした反社会的で危険な人物であっても、重度の精神疾患でない限り入院させずに速やかに帰宅させるしかありません。
このような背景から、犯罪を犯して逮捕されそうになった反社会的な人物が故意に精神疾患を装って逮捕を免れ、病院に搬送されてくることもしばしばです。
欧米で新規感染者数が最多更新 オミクロン株猛威
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
ニューヨーク市内の大学附属病院精神科救急外来に勤務していますが、コロナによる深刻な医療従事者不足のため、コロナ診療とは直接関係のない精神科急性期医療にも大きな影響が出ています。
特に看護師の不足は深刻で、コロナ感染、濃厚接触で出勤できない看護師はもちろんのこと、コロナ禍以降の慢性的な看護師不足のため、派遣看護師の給与が高騰しており、週給1万ドル以上の給与を提示する看護師派遣会社もあり、病院を退職して派遣会社に乗り換える看護師が急増しています。病院を退職してすぐに同じ病院に今までより遥かに高い給与で派遣看護師として戻ってきたという笑えない話もあります。
コロナ禍以降精神科急性期の患者さんも増えている一方、看護師不足により精神科病棟も病床削減を余儀なくされており、入院が必要な患者さんが救急外来に数日待機を余儀なくされることもしばしばで、精神科救急外来が定員オーバーのため、一般救急外来に留め置かる精神科の患者さんも多発する状況です。
増加が著しい小児の精神科の患者さんは特に深刻な事態となっており、小児の精神科急性期医療は崩壊寸前の状態です。
女性の自殺15%増、7千人 非正規拡大が一因 全体は11年ぶり増
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
貧困や失業など、社会的ストレス因子がうつ病などの精神疾患の誘因、悪化要因となり、結果的に自殺者が増えることは想像に難くありません。
自殺の原因を社会問題に帰することは簡単です。しかし、残念ながら社会をすぐに薔薇色に変えることはできません。自殺予防ためには、メンタルヘルスケアの拡充が必要なのはもちろんのこと、自殺防止の水際対策も非常に重要です。
自殺は多くの場合衝動的な行為であり、思い立ってから実行に移すまでの時間は数分以内であることが多いとする報告が多数あります。そのため、メンタルヘルスの専門家でも事前に自殺を予知するのは困難です。
https://www.hsph.harvard.edu/means-matter/means-matter/duration/
私はNY市内の大学附属病院の精神科救急外来にも勤務していますが、NY市の場合、本人からか第三者からかを問わず、希死念慮や自殺の恐れの通報があった場合、直ちに救急隊と警察が身柄を確保し、救急外来に搬送するシステムが確立しています。
実際、SNS上で生きていたくないと仄めかしただけでも第三者に通報されて救急搬送されてくるケースもよくあります。搬送後は精神科医の診察を受け、差し迫った自殺の恐れがないと判断されるまで帰宅は許されません。
社会として本気で自殺防止に取り組むなら、これくらい踏み込んだ対応をしないと自殺者を大幅に減らすことはできないと考えます。

NORMAL
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