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「覚せい剤中毒より治療が困難」普通の人を薬物依存に陥らせる"あるクスリ" - 精神科医の気軽な処方が根本原因
PRESIDENT Online:プレジデント社の総合情報サイト
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
日本におけるベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬の薬物依存は深刻な問題です。その大半が処方薬によるものであることから、患者さん側に依存症であるという自覚が乏しいことも問題を更に難しくしています。 ベンゾジアゼピンは短期間必要時のみ使用する場合は非常に有効な薬ですが、長期間使用すると依存症を形成します。依存状態になると、内服を急に中止するとすると極めて不快な身体的離脱症状(俗に言う禁断症状)を生じます。時には痙攣、震戦せん妄など、生命に関わる深刻な離脱症状が起きることもあります。 一方、覚醒剤依存症の方が急に使用を止めても心理的な離脱症状はあるものの、身体的離脱症状はほとんどありません。この点においても、ベンゾジアゼピン依存症の方が、覚醒剤依存症よりも治療が難しい一因です。 米国においてはベンゾジアゼピンは依存症のリスクが高いことから麻薬と同じ規制薬物に指定されており、その処方が厳しく監視、規制されており、長期使用は原則禁忌とされています。一方、日本ではまだまだベンゾジアゼピンの多剤多量長期処方が一般的に行われているようです。 そのため、日本から米国に来たばかりの患者さんを診療する場合、根本的な問題の治療の前にまずベンゾジアゼピンの減薬に取り組まなくてはいけない例が非常に多いです。 ベンゾジアゼピンの減薬には非常に時間がかかることが多く、断薬までに数年かかることも珍しくありません。ベンゾジアゼピン依存症及びその治療についての資料・ガイドラインはアシュトンマニュアルが有名で、一般の方向けの日本語版も公開されいています。私もこれに沿ってベンゾジアゼピン依存症の治療を行っています。 以下、アシュトンマニュアル日本語版 https://www.benzo.org.uk/amisc/japan.pdf
米国の薬物過剰摂取による死者数、昨年は過去最多-コロナ禍で悪化
Bloomberg.com
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
誤解を招きやすいですが、これは意図しない薬物過剰摂取による死者数の増加によるもので、必ずしも故意の薬物摂取による自殺者数の増加を意味するものではありません。 米国では、コロナ禍の2020年は一部の地域では有色人種の自殺者数が増加しているものの、米国全体では自殺者数はわずかに減少しています。 日本ではあまりお目にかかりませんが、米国では麻薬性鎮痛薬やヘロインなどを含むオピオイドの乱用が以前から深刻な問題です。オピオイドは過剰摂取による死亡のリスクが高い薬物です。 ドラッグ汚染が深刻なニューヨーク市内の大学病院の精神科救急外来でも診療していますが、薬物依存関連の受診者数がコロナ禍で急増したことを実感しています。 一方、コロナ禍に伴ううつや不安などの心理的なストレスとオピオイドの過剰摂取による死亡者増を結びつけるのはいささか短絡的だと思います。オピオイド乱用はコロナ禍以前から深刻な問題で、オピオイド使用障害の患者さんはコロナ禍前から既にオピオイドを乱用していた可能性が高く、コロナ禍に伴う不安やうつを原因として新たにオピオイドに手を出したとは考えにくいです。 死亡者増の背景はむしろ社会的な要因が大きいと思います。意図しない過剰摂取で死亡するリスクが高い重度のオピオイド使用障害の患者さんたちの多くは、コロナ禍前まではオピオイド依存症治療施設を出たり入ったりして暮らしていました。しかし、コロナ感染拡大防止の観点からコロナ禍の最中は薬物依存症治療施設が軒並み閉鎖されてしまいました。そのため、オピオイドの乱用に歯止めが効かなくなってしまった方が多いことは容易に想像できます。さらに、治安の悪化から警察の取り締まりも行き届かなくなり、違法薬物の流通も著しく増加していることも実感します。
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大坂なおみ、メンタルヘルスへの理解に期待 米誌に手記
毎日新聞
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
原文を読みましたが素晴らしい手記です。 "It's OK not to be OK." というタイトルに全てが集約されています。 世界の第一線で活躍するアスリートは肉体的なストレスだけでなく、内外からの激しい心理的ストレスに晒され続けていることは想像に難くありません。 体の調子がすぐれない時は体調を悪化させないように早めの休息が必要なと同様に、精神的に調子がすぐれない時も早めの休息が必要です。常に最高のパフォーマンスが求められるトップアスリートであれば尚更のことです。自分の心身を守るために勇気を持って休息を取ることを選択した大坂なおみ氏の決断を全面的に支持したいと思います。 一方、この件に関する一連の報道で「うつ」という言葉がメディア上で独り歩きしてしまっていることは由々しき事態です。一般社会でもことにメンタルヘルスに関しては診断名だけが独り歩きしてしまうことが多いのですが、精神的な不調の症状、背景、事情は千差万別であり、誰1人として同じ人はいません。そのため、実際の臨床現場では診断名はあくまで便宜的なもので、本質的ではありません。うつ症状=うつ病、と短絡的に捉えないように注意が必要です。 症状や原因をあれこれ詮索する態度も厳に慎む必要があります。有名人かどうかに関わらず、本人が不調で休みたいと言った場合には、それ以上詮索せず、本人のプライバシーを尊重する周囲の姿勢が強く求められます。相手が有名人だからといって、人の心に土足で踏み込むような質問や言動は決してあってはなりません。 手記の原文はこちら https://time.com/6077128/naomi-osaka-essay-tokyo-olympics/
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時流に乗り、米「コーチング」のスタートアップが初の資金調達
Forbes JAPAN
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
米国の企業が従業員のメンタルヘルスに投資するのは大きなトレンドになっており、従業員に対するメンタルヘルスケアを請け負う企業も数多く設立されています。従業員のメンタルヘルスが生産性に与える影響の甚大さを企業が認識していることの表れと考えます。 私はLyraという元Facebook CFOのDavid Ebersmanが2014年に立ち上げたメンタルヘルスケアサービス企業の業務委託を受け、同社の顧客企業の従業員の診療を行なっています。 同社の顧客企業にはFacebook, Google, Tesla, SpaceX, Uberなどを始め、米国の今を時めく企業が80社以上名を連ねています。 これらの顧客企業の従業員は同社のサービスを通じて精神科医や臨床心理士よるメンタルヘルスケアを無料、もしくは低価格で年間一定回数受けることができます。 従業員側としては自分で受診先を探す手間がないだけでなく、無料か極めて少ない自己負担額ですぐに気軽にメンタルヘルスケアの専門家を受診することができます。もちろん、受診した事実が勤務先に開示されることは決してありません。 メンタルヘルスケアを提供する我々からしても、患者さんの紹介を受けられるだけでなく、保険会社に対する煩雑な診療報酬請求手続きをせずに速やかに診療報酬の支払いを受けられ、どちらにとってもwin-winの関係となります。 米国の医療保険制度は非常に複雑なだけでなく、保険会社の利益優先主義が蔓延っており、患者さんにとってもメンタルヘルスケア専門家にとってもメンタルヘルスケアの普及の大きな障壁になっています。こうした制度上の不備を穴埋めする形で、同様のサービスは全米でさらに拡大していくと思われます。
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日本の「うつ」 コロナ後は8年前の2倍以上に
TBS NEWS
松木 隆志マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授
この記事は「うつ病」の有病率を指しているように誤解を与える恐れがありますが、こころとからだの質問票(PHQ-9)のスコアが10点以上であった人の割合を指しています。  この質問票のスコアが高いほど「うつ症状」が強いと回答したことを意味しますが、PHQ-9はプライマリーケア領域でのうつ症状のスクリーニングには有効である一方、うつ病の診断には有効ではありません。PHQ-9スコア10点以上によるうつ病有病率は過大評価されていると報告する論文もあります。  「うつ症状」はうつ病だけなく、それ以外の様々な原因・背景で生じます。時にはストレスに対する正常範囲内の反応であることもあるので、「うつ症状=うつ病」と早合点しないことが重要です。一方で、うつ症状を自覚した場合は治療・介入の必要があるかどうか気軽にメンタルヘルスの専門家に相談できるような環境・制度の整備が重要と思います。  記事のデータの元となった原著を調べてみると、2013年と2020年ではサンプル数もサンプル抽出方法も異なるため、両者を一概に比較することはできませんが、コロナ禍のような未曾有の事態では多くの人が強いストレスを感じ、うつ症状を自覚する人が増えるのは当然のことです。 引用されたOECDの報告:https://www.oecd.org/coronavirus/policy-responses/tackling-the-mental-health-impact-of-the-covid-19-crisis-an-integrated-whole-of-society-response-0ccafa0b/ 日本のデータの原著はこちら 2013年:https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-018-6327-3 2020年 https://www.researchgate.net/publication/340966793_Mental_Health_Status_of_the_General_Population_during_the_COVID-19_Pandemic_A_Cross-_Sectional_National_Survey_in_Japan
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若い世代2割以上「治療が必要な抑うつ状態」コロナ感染拡大で
NHKニュース
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