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アラスカ航空、競合ハワイアン航空買収へ-19億ドルの取引で合意
Bloomberg.com
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
アラスカ航空は2016年にもヴァージンアメリカをジェットブルーとの入札合戦の末に26億ドルで買収し吸収合併しており、それに続く買収劇ということになります。現在アラスカ航空は米国内線についての4大エアライン(デルタ・アメリカン・ユナイテッド+サウスウエスト)に次ぐ規模となっていますが、アラスカ航空に次ぐジェットブルーと、さらに次ぐスピリット航空がすでに合併を発表しており(現在米司法当局での承認待ち)、この両者の合併に少しでも追いつく必要があるアラスカ航空と、コロナやハワイの山火事による需要減にあえぐハワイアン航空の利害が一致した格好です。路線網の重なりが少ないことも理由の一つでしょう。 ヴァージンアメリカの時にはその面影を一切残さず、塗装も若干変更したもののほとんどアラスカ航空の以前のデザインが踏襲されました。今回のハワイアン航空との合併で機体デザインがどうなるかも気になるところですが、ハワイアン航空はアジアやオセアニアへの直行便を運航する関係で、乗客数が多く航続距離も長いA330などのワイドボディを多く所有しており、アラスカ航空側と機材運用が共通化することもないことから、もしかしたらある程度オリジナルのデザインとなることが本当にあるかもしれません。ハワイに行くのにエスキモーのおじさんの絵ではあまりにもイメージが違いますから、何とか善処してほしいところです。
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ヤン坊マー坊 新デザイン案が波紋 マスコットキャラ変更の難しさ
産経ニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
ヤン坊マー坊天気予報で育った世代としては、昔の面影もテーマソングも懐かしいですが、すでに天気予報はWeb版では2013年に、テレビ版も2014年に終了してしまっており、少なくとも「ヤンマーが対象とする、農業や漁業に従事する大衆向けの広告を兼ねた天気予報」という役割は終わったと考えるべきなのでしょう。そのまま天気予報のヤンマーでいてほしかったのですが、そちらのビジネスについて参入してくることもありませんでした。NHKの番組「ねほりんぱほりん」がヤン坊マー坊天気予報のオマージュなのが分からない方も、若い方を中心に多くあるように見受けられます。 今後のヤンマーの事業の多角化を考えるにつけ、そうした昔のイメージをある意味で捨てる必要があるということなのでしょう。この件に関連して検索していて出てきた記事中にある、ヤンマー社員の方のご発言にも「もちろん2人は大切なキャラクターではありますが、「農業はかっこいい」ということをグローバルに伝えられるキャラクターかというと、やはり違います」とあるのが、端的なこれからのキャラクターの要件を示しているように思われます。それ自体は時代の移り変わりということで正しい経営判断だと理解しております。 願わくば、権利の関係などもあるでしょうが、Webサイトのどこかや、ヤンマーミュージアムのどこかでも構いませんが、歴代のヤン坊マー坊の動画でも閲覧でき、懐かしい思い出に浸れる場所を作っていただければ…!ニッチだと思いますが、そういうニーズもあるんです…
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フィリピン諸島でM7.0の大地震 日本に被害の心配なし 気象庁
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
インドネシアにはスマトラ島にマラピ、ジャワ島にメラピがあり混同しやすいのですが、今回噴火したのはマラピのほうです(ちなみにメラピのほうも最近は3年ほど前から火山活動が続いており、今年3月には火砕流が発生しニュースになりました。山頂に溶岩ドームを形成しそれが崩壊して火砕流が発生するという、日本でも雲仙普賢岳で目にしたタイプの火山であることや、首都のジャカルタから近いのでよくニュースで取り上げられます)。 マラピについては数年に一度やや大きな噴火を発生させる火山で、今回の噴火も確かに噴煙は一時的に高度10㎞程度まで達しており、その後は上空の東風に流されてインド洋のほうに流れていっているように見えますが、持続性がなく、昨年1月のトンガの噴火のような巨大なエネルギーを持った噴火でもありません。空気を振動させることによる気圧波のようなものも衛星画像で確認できるようなものはありません。従って、現地のインドネシアでさえほとんど目立った潮位変動を与えることはないと考えられます。日本においては、トンガの火山の時のような空振のエネルギーがないことや、太平洋を長い距離伝わってくることによって空気のエネルギーが波を作るという効果も小さいことから、こちらもほぼ観測できるような津波は発生しないと考えて問題なさそうです。 ちなみにインドネシアの火山についての航空路火山灰情報センター(VAAC)の管轄はオーストラリアのダーウィンVAACとなりますが、やはり一発高い高度に噴煙が上がったのみとしており、すでに南西側に拡散して目立たなくなっていることから、日本時間4日朝までには目立った火山灰はなくなると予報しています。主要な航空路もないことから(ジャカルター欧州の経路が若干影響する程度)、航空への大きな影響もないものとみられます。
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津波注意報はすべて解除 気象庁 多少の潮位変化続く可能性
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
フィリピンのミンダナオ島の東にあるフィリピン海溝付近で発生した地震で、米地質調査所のデータによると地震の規模はM7.6、震源の深さは30km、発震機構は東西方向からの圧縮による逆断層型と解析されています。震源の場所と深さ、そして発震機構から海から沈み込むプレートと陸地側のプレートの境界部分における地震と考えられます。 気になる津波については、ミンダナオ島の主要都市であるダバオ、その他太平洋上の対岸ともいえるパラオでも10cm以下であったとのことですが、日本付近で20cm以上、八丈島のフィリピン海側にあたる八重根では40cmと大きくなっています。理由は海底地形や複数の波が合わさったことが考えられ、例えば深い海で津波は小さく速く、浅い海では津波は大きく遅く伝わります。そのほか湾の固有振動と重なる周期の波がくると副振動(あびき)といい共鳴して潮位変動が大きくなることがあります。八丈島の八重根は2012年のフィリピン沖の地震でも津波注意報解除後に50cmの津波を観測しており、副振動があったと推定されています。 フィリピンは日本よりもはるかに複雑なプレート構造となっていて、首都のマニラがある北部のルソン島付近では西からプレートが沈み込む動きとなっているのですが、ミンダナオ島など南部では逆に太平洋からプレートが沈み込むような動きを見せており、その他現在はプレートが沈み込んでいない海溝が複数あるという、日本では考えられないような作りになっています(もとより日本付近が割と単純なだけではあるのですが)。プレートが沈み込む場所にはおよそ地震や火山活動が活発で、フィリピンも例外ではなく地震や火山の多い国土となっています。 フィリピン海溝については1972年にM8.0の地震があったという記録が米地質調査所に残っていますが、歴史に残るような被害にはなっていない模様です(1976年にミンダナオ島の西側でM8.0の地震があったため、そちらの記録にまとまってしまっている部分もあるのかもしれません)。その他M7クラスの地震は頻繁に発生しており、最近では2012年のサマール島沖でのM7.6、また2018年及び2021年にミンダナオ島の南東海域でそれぞれM7.2とM7.1の地震が発生し、今回の震源域はちょうど空白域となっていました。今回の地震はその穴を埋めるような地震であったといえそうです。
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北海道でオーロラ観測、夜空赤く染める 2日前の太陽フレア影響
毎日新聞
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
別記事でもコメントしましたが、こちらでも。 ーーーー 北海道で低緯度オーロラが出ることは、スマホとカメラがこれほど普及する前は伝説のように言われていたことですが、割と頻繁に発生している現象であることが分かってきました。今回は肉眼でも見えるほどであったということで、北海道がうらやましい、ともいえるようなオーロラでした。 今回のオーロラはオホーツク海北部の真上数百kmに発達したオーロラの上の部分を北海道から観測したというのが正しい言い方となります。オーロラは上の部分が赤く、次第に高度が下がると緑、そして青など飛びこんでくる電子のエネルギーや大気側で反応する分子や原子の違いでそれぞれ違う色に発光します。 11月29日の未明(日本時間)に発生した太陽フレアはCME(コロナ質量放出)と呼ばれる割と規模が大きいものでしたが、これが地球の方向を向いており、日本では1日夜にあたる時間帯に中規模の磁気嵐を発生させ、その過程でオーロラが北極海沿岸に予報される状況となっていました。 先日もヨーロッパで広く低緯度オーロラが観測されたという報道もあり、太陽の活動が徐々に活発になりつつあることの一つの証拠といえそうです。太陽の活動はおよそ10~12年の周期で活発になることが知られており、現在は便宜上定められた第25太陽周期に入ってすでに4年近くという位置におり、これから数年が太陽活動のピークとみられています。オーロラが見える程度であればさして影響はないようなものですが、強い磁気嵐などとなると通信障害が発生したり、宇宙開発においても人工衛星への影響が発生したり、ひどい場合には地上の送電線やパイプラインにも電磁誘導が発生して大停電を引き起こすなどの被害が発生することがあります。 地球の火山などもそうですが、一見すると恵みとして得られるものも、度を超すと災害となるということを十分理解しておく必要があります。
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北海道各地 夜空の下が赤く染まる―“低緯度オーロラ”を肉眼で観測 陸別では20年ぶり SNSでも次々投稿「家から見えた」「日本で見える日が来るとは」
UHB:北海道文化放送
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
北海道で低緯度オーロラが出ることは、スマホとカメラがこれほど普及する前は伝説のように言われていたことですが、割と頻繁に発生している現象であることが分かってきました。今回は肉眼でも見えるほどであったということで、北海道がうらやましい、ともいえるようなオーロラでした。 今回のオーロラはオホーツク海北部の真上数百kmに発達したオーロラの上の部分を北海道から観測したというのが正しい言い方となります。オーロラは上の部分が赤く、次第に高度が下がると緑、そして青など飛びこんでくる電子のエネルギーや大気側で反応する分子や原子の違いでそれぞれ違う色に発光します。 11月29日の未明(日本時間)に発生した太陽フレアはCME(コロナ質量放出)と呼ばれる割と規模が大きいものでしたが、これが地球の方向を向いており、日本では1日夜にあたる時間帯に中規模の磁気嵐を発生させ、その過程でオーロラが北極海沿岸に予報される状況となっていました。 先日もヨーロッパで広く低緯度オーロラが観測されたという報道もあり、太陽の活動が徐々に活発になりつつあることの一つの証拠といえそうです。太陽の活動はおよそ10~12年の周期で活発になることが知られており、現在は便宜上定められた第25太陽周期に入ってすでに4年近くという位置におり、これから数年が太陽活動のピークとみられています。オーロラが見える程度であればさして影響はないようなものですが、強い磁気嵐などとなると通信障害が発生したり、宇宙開発においても人工衛星への影響が発生したり、ひどい場合には地上の送電線やパイプラインにも電磁誘導が発生して大停電を引き起こすなどの被害が発生することがあります。 地球の火山などもそうですが、一見すると恵みとして得られるものも、度を超すと災害となるということを十分理解しておく必要があります。
近畿各地で水不足 琵琶湖では“道”が出現で取水制限も検討 生活への影響は?今後の見通しは?
日テレNEWS NNN
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
ダムの水量は、夏場は台風などによる大雨に備えて少なめに調整されており、秋口になってこれが解除され通常の体制に戻されます。普通は秋の台風や長雨によって水量が回復していく過程をとるのですが、今年は9月以降の降水量が特に関東から西で少なめで、記事になっている近畿よりもさらに中国や四国の西部、九州地方北部のほうが降水量の平年比としては少なくなっています(平年比およそ30~50%)。実際にいくつかのダムでは取水制限などの渇水対策がすでにとられており、一部のダムでは貯水率が0%となっているところもあります(貯水率はそもそも砂が貯まるであろう体積は差し引いて考えるので、0%が干上がることとイコールではありません)。 琵琶湖についてはというと、台風対策もあり10月中旬まで水位を-30cmとする制限水位で運用されています。そこからの戻りが悪いのは別に今年に限った話ではなく、例えば昨年は9月の時点ですでに-100cm近くまで水位が低下しており、冬場の降水や雪解け水により春先にかけて水位が回復したという経緯をたどりました。ですので-70cmというのはもちろん水位としては低いものの、記録的に低く問題かというとそれほどでもないというのが実のところです。 同様に記事中にある日吉ダムも洪水対策により10月中旬まで本来の貯水率の45%程度にまで抑えていたため、そこから雨が降らずに貯水率が下がってしまったというのが真相で、特に夏場に晴れが続くと似たような状況になることは決して珍しくありません。 気になる今後についてですが、気象庁の3か月予報では関東から西で全般に降水量が平年並みかやや多くなる確率が高いと出ており、実際に今後10日ほどの気圧配置を見ても周期的に本州付近を低気圧が通過する見込みで、冬型が続いて降水が少ない平年に比べれば降水量は多めで推移しそうです。現時点では、大渇水になる可能性は低いと考えてよさそうです。
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ボーイング787ドリームライナーが南極に着陸…この機体としては世界初
Business Insider Japan
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今までに南極に着陸したことのある大型旅客機は767やA340でしたが、787もついに南極の土(氷?)を踏むことになりました。南極の中でも大西洋に面して南アフリカも近い場所にある、ノルウェーのトロール基地の滑走路に降り立ったのですが、周辺には北欧やドイツ、南アフリカなどの観測拠点が多く、物資や人員の輸送がこうした民間機を使って定期的に行われています。ここからさらにそりを付けた小型のプロペラ機に乗り換えて、およそ1000km離れた日本の昭和基地へ行くこともあります。 軍用輸送機であればその他米国やロシアの各基地に整備された滑走路に降り立つことはありますが、民間旅客機ではまだほとんど開拓されていないというのが実情です。例えば、乗り降りするためのタラップがない、コンテナを積み下ろしするエレベーターのような車両(HLと言います)もない、給油車も電源車もない、ついでに照明や誘導電波の類もほとんどない、というように、民間旅客機には必要不可欠な設備がほとんどないことが今までこうした機会がない理由ともなっていました。 意外ですが南極は寒すぎて雪や氷が融けないため、滑走路自体は滑りやすいものではなく、離着陸自体にはそれほど大きな問題はありません(それでもプロペラ機よりははるかに長い滑走路が必要ですが)。問題は照明や誘導電波が用意できないことで、このためにいわゆる晴れて良い天気でなければ滑走路がまず見えず着陸できません。また、真っ白な滑走路なので路面の形が分かりにくく、滑走路端に並べられた旗を目印に、一面同じ景色で高度の感覚もままならない状況で上手く着陸させる必要があります。仮にGPSを使っても結局何らかの形の誘導電波が必要で、そのための電源や燃料の用意はさすがに南極では厳しいかというところです。結局は南アフリカで往復分の燃料を積んで待機し、ここぞというタイミングで手早く往復するというオペレーションとなります(運航管理者の腕の見せ所です)。 上述のように制約は多いですが、南極は夏場といえども周辺の海域は地球上でもっとも荒れた海であり、宇宙飛行士をして「宇宙よりも遠い」と言わしめた氷の大陸です。そうした閉ざされた大陸に、タイミングを選ぶとは言え民間機でアクセスできるというのは、過去の南極探検家たちからすれば夢のような話ではないでしょうか。
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世界最大の氷山「A23a」が移動 縮小して海底から外れる
CNN.co.jp
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
1986年にロンネ棚氷から分離し、当時最大の氷山として扱われていたのがA23aですが、その後すぐに海底に着底してしまい動かなくなっていました。このため、普通ならば「最大の氷山」などと報道されてもすぐに融けてなくなっている氷山の世界にあって、現存する氷山として横綱級の存在感を示してきました。 2020年になりゆっくり動き始めており、昨日今日で急に動き始めたものではありません。もともとはウェッデル海の東側にあった氷山でしたが、その後3年かけゆっくり西へ動き、10月ごろから急速に北上して南極半島の先端付近まで北上してきたというものです。現時点での面積は4000平方km近いとのことで、およそ埼玉県ほどの大きさとなります。 今後はこれまでの氷山が辿ったように、南極半島の先端付近で海流や低気圧の風に揉まれながら、徐々に崩壊し消滅していくものと考えられます。この場合、よくサウスジョージア島など周辺の島への衝突の可能性が話題となりますが、こうした巨大氷山は海面上に出ているのは全体の10%程度で、ほとんどが海面下に沈んでおり(「氷山の一角」などという慣用句でも用います)、島に衝突する前に島の手前の大陸棚に座礁してしまうものとみられます。 なお気になる地球温暖化との関連ですが、個別の氷山が棚氷から分離して融けていく過程自体は温暖化と関係なく発生するものですのでそれ自体を憂う必要はありません。むしろ融けないと困ります。ただし今年の南極の冬シーズンの海氷面積は最小を更新しており、南極の氷河や棚氷の融解も懸念される状況で、全体として氷がなくなりつつある傾向は出ているように思われます。すでに地球温暖化は避けられないところまで来ていますので、決定的な悪影響が出ないことを常にモニターしている必要があります。
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“1グラムで地球破壊”超高エネルギーの宇宙線捉える 大阪公立大など
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
宇宙線は宇宙放射線とも呼ばれます。地球で観測できる宇宙線の大半は太陽から放射される電磁波や陽子や電子などの粒子ですが、中には銀河宇宙線といって太陽系の外からやってくる宇宙線もあります。特に今回のようにエネルギーの高い粒子は銀河系の磁場でも捉えられないので、銀河系外の巨大な爆発であるガンマ線バーストや巨大ブラックホールなどと関連していると考えられ、発生機構を調べることは宇宙の謎の解明につながると期待されている部分もあります。しかし如何せん地球にやってくる数が少ないので、その観測もめったにできるものではなく研究者にとってはとても貴重な資料ということで今回ニュースになったものと推測されます。 宇宙線は地球の大気にやってくると、まるでビリヤードのように粒子同士の衝突を招き、ほとんどが地上に到達する前にエネルギーが減衰して消滅します。したがって、観測するならより高い山の上のほうが適しています。ボリビアのチャカルタヤ観測所は、標高5000mを超える世界で最も高い場所にある宇宙線観測所として有名です。今回のテレスコープアレイ実験についてはいくつもの観測器を並べる広大な土地が必要であることもあり、ソルトレークシティー近くの標高2000m近い場所で行われています。 アマテラス粒子が地球大気に突入し、ビリヤードのように地球大気の粒子も加速されて様々な反応を起こし、そのさまを複数の観測器で捉えたのが今回の研究チームによる観測成果となります。宇宙線はたった一粒だったと考えられますが、それが様々な連鎖反応を大気中で発生させるので空気シャワーとも呼ばれます(今回の記事で画像に使われているのがまさに空気シャワーです)。 地球には大気や磁場があり、宇宙線を遮蔽してくれています。地球付近では主に太陽からの宇宙線が大部分ですが、宇宙飛行士からは「不意に目に火花のようなものが散る」ことがあると報告されており、割合高いエネルギーを持った宇宙線が目の網膜にあたったときの反応なのではないかと考えられています。一種の放射線には違いないので、いわゆる被曝という概念があり、それに対して人体や機器類をどう防護するのかというのは今後の宇宙開発においても一つのテーマとなっています。
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東京タワー上空に近づくジェット機に「障害物、急いで上昇を」連呼…飛行ルートを外れた都心の空で起きたこと
東京新聞 TOKYO Web
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
以前本件でコメントした内容を多少編集してコメント致します。 飛行機はふつう、離陸そのものはパイロットの手動操作で行い、離陸が順調に行われて着陸装置(いわゆるタイヤ)が格納された頃合いで自動操縦に切り替えます。自動操縦に切り替えた後は、事前に公示されている飛行方式で航空路まで上昇していきます。着陸は管制官の誘導によるので、便ごとに違う経路ということがありますが、離陸についてはふつう離陸後すぐに自動操縦に切り替えるので、便によって経路が違うということはありません(上昇角度は微妙に異なります)。 今回はこの自動操縦との切り替えの過程でうまくいかず、あたふたしているうちに飛行機がまっすぐ進んでいってしまった、気が付いたら都市の上空を飛んでいたので慌てて手動操縦のままとりあえずいったん東京湾へ戻るような形で飛んだ、という筋書きはなんとなく描くことができます(ちなみに航跡データを見ている限り、離陸後20分ほどして長野県付近まできてようやく完全に自動の航法に移行したような形になっていました)。 当日はやや強い北東風でかつ雨も強めに降っており、離陸の滑走路が北西向きか北東向きかが予想しにくい状況でした。北東向きの滑走路のほうが向かい風で風向きが良いため、これを期待して出発したところ急に北西向きの滑走路を指定され、アビオニクスのデータをきちんと入力することができなかったのかもしれません。アビオニクスには2通り経路を入力できるので、北東向きか北西向きか二つ分作っておけば良かったのですが、不慣れな羽田、制約も多く、天気も悪く、不運が重なったかなという感じは否めません。 この記事については、管制側でもきちんと東京市街地へ突っ込んでくる飛行機がないかを警報してくれるシステムが必要ではないかというのが主張だと見受けられます。それはそれで良いのですが、現場の管制官に余計な負荷がかからないようにして欲しいところです。
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【燃費半分】100年変わらなかった「飛行機」が、ついに変わる
NewsPicks編集部
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
以下のニュースに関連する記事ですね。 https://newspicks.com/news/9079815 そこでもコメントしましたが、翼と胴体が一体となった設計を全翼機と言いますが、航空機の歴史としては割と黎明期から研究されてきた形です。しかし未だに航空機の主流を占めるには至りませんでした。 理由はずばり、胴体や尾翼が存在することによる抵抗がある意味必要であったからです。現代においても航空機は基本的に人間が操縦するという前提で設計されています(実際には巡航中などを中心に自動操縦にしている時間のほうがはるかに長いのですが)。人間が操縦する以上、抵抗が少ないだけではなく、一つ一つの操作が行きすぎずに安定してくれるような、安定性と呼ばれる特性も重要となります。全翼機は抵抗は少ないのですが安定性が悪く、自動操縦を前提とした機体でないと安定して飛行させることが難しかったことが最大の理由です。 今回はNASAが長年テストしてきたBWBという機体デザインをもとにしており、米空軍がBWBの試作機を製作するにあたりパートナーとしてジェットゼロ社が選定されていますので、ゆくゆくは効率の良い輸送機や爆撃機として採用される可能性は高いと考えられます。 民間旅客機においては、空港の設計を大きく見直さなければならない面があり、例えば駐機スポットの幅であったり、搭乗橋の設計であったり、大きな見直しが必要であるため、越えなければならないハードルはまだまだたくさんあるということになります。実際にどれほど燃費が良くなるのか、トータルの運用コストの低減幅がどの程度になるかというところに左右されそうです
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週後半は強烈寒波が襲来、劇的な気温の急降下に要注意
Yahoo!ニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
11月上旬には最高気温が25℃越えの日が続いていたところ、数日間で一気に真冬になったような寒さになったことがありましたが、またしてもそうした気温の変化がありそうです。 23日ごろまでは本州は最高気温が20℃越えのところが多くなるものの、オホーツク海で低気圧が発達する過程で換気が流れ込むため、西日本では24日から、25日には東日本や北日本も冷え込むことになりそうです。おおむね気温が平年比で5℃程度低くなるとみられており、関東から西の各地では最低気温が5℃程度、最高気温が10℃そこそこまでしか上がらないような見込みとなっています(ちなみに北海道は最高気温でも0℃に届かないような気温となりそうです)。今回の寒気のピークは25日ですが、関東では26日には太平洋側に低気圧が発生するために26日も小雨が降り寒い天気が続きそうです。 その後寒気は長続きしない見込みですが、また急激に上がるという見込みもなく、低気圧の通過とともにまた季節が進むような状況となりそうです。その後も12月にかけて引き続き低気圧が通過しやすいとみられており、真冬のような寒気が入り込むという状況が何回かありそうな形となっています。気温が乱高下しやすいため、体調管理にはご注意ください。 このような気温の乱高下があるのは、北極の寒気が安定していないということが関係していそうです。北極にはそろそろ極渦と呼ばれる真冬の低気圧が安定して北極付近に存在していなければならないのですが、まだ極渦がはっきりと見えておらず、その代わりに北極の周辺の中緯度地方に寒気が南下するような状況が続いています。温暖化やエルニーニョ現象との関連ははっきりしませんが、きちんと調べるべき時期に来ているのかもしれません。
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天気予報もAIが高精度にこなす時代になる:Google DeepMindの研究成果がもたらす波及効果
WIRED.jp
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
一見しただけでは何がすごいのか分かりにくいニュースですが、これはすごいニュースです! スーパーコンピューターで数時間かかってようやくはじき出される数値演算よりも精度が高いような予報が、ノートパソコンでわずか1分で出力できるというものになります。 今までは物理法則の数式をもとに、それをいかに細かく計算し、また地球規模に展開して広げるか、ということが天気予報におけるテーマでした。世界初のコンピュータといわれるENIACにより初めて数値予報が成功し、現代では地球全体をおよそ10日ほど先まで数値予報を行うことができるようになっています。ただ、コンピュータが桁違いに進化したとはいえ、その程度です。 なぜこれほどまでにコンピュータの進化を必要とするかといえば、基本的な物理法則を無視しては正確な予報ができないという、言ってしまえば当たり前の考え方によるものでした。ところが近年のAIの進化により、細かな物理法則についていちいち計算しなくても割と精度の高い予報が出せるのではないかという試みが始まり、各国でAI天気予報合戦の様相を呈しています(プレイヤーは主に米国と中国で、日本は残念ながらほとんど蚊帳の外でした)。 AI天気予報においてベンチマークとなっているのが、数値予報モデルとしては精度が高いと名高い、欧州中期予報センターのモデルです。各国の数値予報モデルを比較する中で平均的な精度が最も高いとされており、私も全体的な大気の場の流れを確認するときにはまず内容を確認するモデルです。これと同じかそれ以上の精度の計算がわずか1分というのは驚きですし、今までの地道な数値予報の取り組みは何だったのかと落胆するほどの衝撃もあります。 しかしよく考えれば、今までも数値予報モデルの出力結果に対し、人間が経験で補正するということは多く行われていました。自分も数値予報モデルの結果をそのまま受け取るのではなく、モデルによる再現が苦手な現象は特に注意して補正して捉えるように心がけていました。これはまさにAI天気予報が行っていることであり、そう考えればAI天気予報は「お天気博士」をパソコン上に再現したようなものと考えることもできます。 基本的な物理法則によるアプローチと、お天気博士によるアプローチ、これからはその二つをうまく組み合わせて天気予報を行うようになるのでしょう。
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【混沌】世界中のCEOの最大関心事は「地政学リスク」
NewsPicks編集部
秋をスッ飛ばし急な冷え込み…は「厳冬」の前触れか? 気象予報士・森田正光さんに聞いた(日刊ゲンダイDIGITAL)
Yahoo!ニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今年はエルニーニョ現象真っただ中での冬で、かつ日本付近の海水温も高い状態が続いていることから、平年よりも暖かい冬(いわゆる暖冬)になる可能性が極めて高いと考えられます。そもそも、この数日の冷え込みも、11月上旬がむしろ暑すぎた(9月並み)ことで落差を感じているというのが実態で、平年の水準からはせいぜい1か月程度季節を先取りした程度です。この冷え込みももう落ち着き始めており、15日以降はおおむね平年並みかやや高い程度で推移するとみられています。瞬間的な冷えは季節柄当然あるものの、全体を平均すれば暖かかった、ということになるように思われます。 気になる点があるとすれば、日本周辺の海面水温が平年比で高い状態が今年の春ごろからずっと続いており、これによって一時的に大陸からの寒気の影響を受けるような際、日本海側での雪雲が平年以上に発達するのではないかということです。全体としては暖かいものの、一時的な雪は平年よりも強く、強い雪がドカッと降る傾向が出るのではないかと懸念されます(すでに気象研究所の研究成果として、温暖化が進行した気候においては日本海側の山沿いではドカ雪による降雪量が増える見込みというものも発表されています)。 またエルニーニョ現象が発生していると、本州に南岸低気圧が接近することが多くなるという研究もあり、仮にそうなるとすると東京など太平洋側でも低気圧の発達による降雪・大雪となるような機会が増えることを意味しますので、全体としては暖かいのに雪が多いという可能性は十分にあります。
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南極の氷が底から海水に削られ、崩壊が加速している
WIRED.jp
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
南極はおおむね2~3kmの厚さの氷河(氷床)に覆われているわけですが、この氷の重さもあり、南極の地盤が海面下になっている部分が南極の面積のおよそ半分くらいあります。また、氷河の先端は海に張り出し、棚氷(たなごおり;記事中では氷棚と和訳されていますが誤訳と思われます)として海の上に広がり、さらにその先端では棚氷が分離していわゆる氷山となり南極海に浮かんでいます。 近年注目されているのはこうした棚氷での融解過程で、特に記事になっている南太平洋に面したスウェイツ氷河はほぼすべてが海面下から発達した氷床となっており、先端の棚氷が後退した場合、より海からの融解の影響を受けやすくなりますます後退が加速するのではないかと懸念されている氷河です。(割と分かりやすい記事は以下URLです。 https://gigazine.net/news/20200714-scientists-worried-thwaites-glacier/ ) 棚氷の下に水中ドローンを走らせて表面を撮影する試みは日本の研究チームでも行われており、昭和基地近くの棚氷もこの記事と同様に特徴的な凹凸が確認されています。これは南極の周りにある周極深層水というやや暖かい海水によって融解が進んでいる証拠とみられており、記事中のロス棚氷における観測結果と一致します。 周極深層水とは、海洋の大循環の中継基地のようなところで、大西洋やインド洋、太平洋に到達した深層海水がやや暖まって南極の周りを取り巻く海流に乗っているものです。水温はおよそ1.5℃、塩分濃度が高いために表層ではなく数百mの深さにありますが、海水はおよそ-2℃が融点であることを考えれば十分に暖かい海水といえます。 地球温暖化により南極を取り巻く偏西風が強化されているために周極深層水がより南下していると考えられており、このために南極の沿岸部では今後さらに棚氷の融解が進むと考えられています。今後数百年という地球の気候の変化としては極めて短い期間で、こうした棚氷や氷床の融解が進む可能性があり、改めて地球温暖化の影響を感じさせる最前線となっています。
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エアバスが24年に大幅な生産増予想、需要急増-ワイドボディー機など
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谷村 研人国内航空会社 気象予報士
これはボーイングとエアバスのごたごたをいろいろ勘繰りたくなりますが、純粋にバックログ(受注残)の問題と考えられます。今年2月にエアインディアがボーイング・エアバス合わせて500機以上の大量発注をかけた件も記憶に新しいところですが、例えばエアバスの売れ筋である単通路のA320については9月末時点で6700機以上の受注残があり、月産45機という製造ペースから考えると受注残の消化に10年以上かかる計算になります(これは大型機のA350や、ボーイングの単通路機や大型機でも同様です)。当然製造メーカーとしては製造ペースを早めるのは自然なことであり、むしろ早めないと注文キャンセルリスクや、今後設計・販売されるであろう新型機への切り替えにおいてもまごつくことになります。 また、現在の航空機の製造ペースはコロナにより大きく減産していたところからの回復途上にありますが、サプライチェーンのメーカーの製造ペースが回復しきっていないこともあり、最終的な製造ペースもコロナ前ほどには回復できていません。これをコロナ前かそれ以上に回復させるという過程にあります。 今回のニュースは、エアバスのフラグシップとしてのA350という主力機においても、いよいよ増産のメドが立ちそうだというものとなりますが、ボーイングの新型機777Xが737MAXの二の舞を避けたいFAAから厳しく審査されて開発にまごついている隙に一気に水を開けたいという魂胆が透けて見えますので、結局はいつものボーイング対エアバスの泥仕合の一幕と理解するのが自然でしょう(ボーイングも、787については現行の倍以上に製造ペースを早めるとして報道されています)。
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