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国内IPO不調でも日本ベンチャーの米NASDAQ「上場」を支援する動き
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
SPACって、スタートアップにとって、クラシックな上場市場、ベンチャーキャピタルを中心とした未上場市場に次ぐ「サードウェーブ」だと思います。どちらにも似ているが、どちらとも違う。投資家も異なるし、リスクプロファイルも求められるファイナンス戦略も異なる。
昨年4月以降急速にSPAC市場は冷え込み、というか2020年の加熱したバブルが適正化しています。ただ、単純に元に戻っているわけではありません。それでも規模感は2019年までの長期の平均を大きく上回っています。さらに重要なことには、今年春にSECがSPACに対する規制をより明確にしました。これも米系投資銀行の撤退や市場の冷水の要因の一つとも言えますが、規制が明確になることはSPACの適正な発展にとっては望ましいものです。
SPACはその歴史こそ長いですが、昨年までのバブル期を経て、ようやくスタートラインについたと言えると思います。若い苗木から育った葡萄をなんとか熟成させ、ようやくメジャーリリースしたようなイメージです。
とはいえ、厳しい見方もしなければいけません。以前東証JXPの研究会でも申し上げましたが、SPACは長期的には全ての業種のスタートアップにとってサードウェイブとはなるわけではないと考えています。「サードウェーブ」らしく、現存する市場では捉えきれないニーズを埋める存在に過ぎません。
「サードウェーブ」がコーヒーのように本当に認められる存在となれるかは、時間をかけてSPACを選択した企業が成長するかにかかっています。ベンチャーキャピタルxスタートアップエコシステムもそうやって育ってきました。最初は零細企業はリスクが高すぎる割に成功確率も高くないという時代からスタートしています。潮目が変わるのは、大きな成功事例が出て、そしてそれが持続的に生まれてエコシステムとして発展する時です。
SPACは仕組みの欠陥ではなく、リスクが高い挑戦に向けてのファイナンス戦略を実装するプロトコルです。実際に運用するSPAC企業経営者と合併対象のスタートアップの経営陣が、社会的価値を創造できるかにかかっています。今後の事業発展に注目です。
参考)
SPACについては以前東証JPXの研究会で話した内容でnoteを書いています。
https://note.com/201707/n/n52865905056b
「スタートアップ担当大臣」山際大臣任命 スタートアップ企業への投資額を5年で10倍増へ
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
投資額を10倍にするだけなら政府なら簡単にできますが、難しいのは投資額に見合ったリターン総額を今の10倍にすることです。そうでなければ、ばらまきで第三セクターという赤字事業が大量発生したのと同じ状況が生まれます。
IPOの数は大きく増やせませんから、現在平均100億円程度の上場時の時価総額を平均1000億円にするような、そんな目線が必要です。平均1000億円のIPOが100社出て、更にそれが拡大する見通しなら、年間10兆円のスタートアップ投資も正当化されるでしょう。毎年10兆円投資するなら毎年最低10兆円の価値実現(=exit)、単純な計算です。
米シリコンバレーに今後5年で起業家1000人規模派遣へ 経産省
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
起業家志望の人には有り難いプログラムですね。海外志望の人にとっての短期留学のような魅力に思います(※受け入れ先が学校ではないのが問題ですが)。 海外を知ることはプラスではあるので、自ら行動して海外にいけない人への救済型機会提供です。ただ、その結果1000人派遣して、日本人起業家同士の大規模な仲良しネットワークが完成するだけだと勿体無いです。
起業家になること自体が自己実現にならないように、スタートアップは課題解決の手段であることを忘れないで欲しいです。
そして、選定基準をどういうものにするか、個人の学びを全体の学びに昇華できるかも肝心ですね。起業家は日本の教育からは生まれづらい、独自の判断基準や行動理念、価値観といったO/Sがあると思います。例えば、受験勉強が得意な人が選ばれやすい先行なら、受験勉強型日本人O/Sを備えた集団になると、仲良しネットワークに成り下がってしまうかもしれません。
あとは、このプログラムを通じて政府自体が学ぶきっかけになることが、副産物としては結構意味があるのかもしれません。
選ばれた方は是非、インド人等他国エース人材のように即戦力で貢献して引き抜きに合うぐらいに頑張って欲しい。実際、リアルな貢献からしか学べない。そのまま現地で起業の選択肢もあると思います。
(※全方位でダメ出し来そうだったので極力前向きに書いてます)

【直談】NEC社長、両利き経営の「等身大」を大いに語る
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
もし今NECに復活の種が眠っているとすると、1)森田社長に言い意味で権限が集中していることと、2)これまで15年ほど低迷期を過ごしてきた中で、試行錯誤の歴史があること。3)ある程度客観的に自らの強みを理解していること、4)成功しているかは別にして、M&Aなども積極的に模索・実行し、小国内市場だけではなく海外市場の厳しさも理解していること、でしょうか。
この記事で触れられている両利き経営のポイントとして、重要かつチャレンジングなのは、「時間軸」でしょうか。日本企業の多くは短期思考で時間軸の設定がうまくないと思います。ただ、これから大きな社会的価値を創造する事業の多くは長期的な視点と、それに沿った目標管理、それに組織ロードマップ、プロダクトロードマップが不可欠です。PLなどの収益ドリブンではない形で、いかに目標を管理しながら、非財務投資を通じて無形の価値を積み上げ、将来の大きな有形の価値につなげていけるか。
ソニーの吉田社長もそうですが、CFO出身のCEOらしい時間軸を考慮した財務規律と資産配分という強みを活かして、非連続な成長を実現してほしいと思います。最後に、この記事では触れられていませんが、NECも日本企業としてインセンティブ設計には苦労していると思います。
上限は最大1億円で何枚も発行可能、LayerXが新たに法人カードサービスの提供を開始
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
法人カード発行はB2B事業を提供する企業にとって、まず考える垂直統合型のサービス拡大ですね。特にSaaSなどソフトウェア系企業で決済が絡む業務にとっては格好の収益拡大の一手になります。また決済が直接絡まなくても、法人カードで決済を絡めることで、よりサービスの拡大の基盤とすることもできます。
かなり乱立することになりますが、法人と言っても業種や規模でかなり細分化されているので、当面は各社拡大期に当たると思います。決済業務だけで大きな収益を挙げられる発行会社は一部でしょうから、法人カードを活用してどのように事業展開していくかが各社の腕の見せ所でしょうか。
いずれにせよ、FAX、請求書、決済など特に地方の中小企業の生産性を落としていた負の遺産を解消するには期待できる一手です。法人カードが普及することで、日本のビジネスのDX化が進むことに期待したいですね。

【超図解】脱炭素時代の大本命。「パワー半導体」って知ってる?
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
インターネット業界はネットワーク効果、ブランドなどMoatを築きやすく、一度GAFAMのポジションを固められるとなかなかそのポジションからの逆転は容易ではない。一方、半導体は一度コテンパンにやられたり、勝ち切ったと思っても一年では無理だが、10年単位で見ればシェア変動が大きく、技術や価値筋の変化が大きい。
技術力(商品力)x生産力(供給力)x資本力の勝負で、商品力と供給力は顧客企業が判断し見つけてくれさえするので、この3点を失わず持ち続けていれば逆転の目がある業界。逆にこの3点を維持し続けるのは容易ではなく、その過程で倒産や買収対象になり、徐々にプレイヤーが減少してく。
日本にはまだ技術力を有した企業が複数あるが、供給力+資本力=シェア向上、また競争力向上の観点で劣後しがち。この敗戦の経験を活かして、緩やかな年次成長ではなく、圧倒的成長、No1企業を目指す戦略を描く企業が出てきてほしい分野。圧倒的成長を描けないと結局は衰退の末路に至りやすいのも半導体業界。
安倍元首相の政治的遺産ウーマノミクス、女性管理職登用に課題残す
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
ガバナンスと評価制度の改革が必要です。
「女性は人数も少ないし、横比較すると物足りない」という議論を続けていても一向に管理職比率は上がってこないと思います。女性人数は働き方改革を通じて、そしてフェアな評価制度が浸透することで今度は飛躍的に上がってくるはずです。そもそも若者世代では働く女性が増えていますから、入り口の拡大はもう相当煤でいますし、時間と共にますます解消していくと想定されます。
問題は「能力面の評価」が「男性的価値観」で行われ続けていること。ダイバーシティの観点で言えば、日本人的価値観で行われ続けていれば、グローバルな人材登用が進まないことと同様です。若者の登用も同じで、おじさん的価値観で評価していては若者の抜擢は進みません。
ガバナンス(含む報酬指名制度)を運用面からしっかり機能させ、評価制度の改革をしていくことが大きな一歩につながると思います。今、ガバナンス改革は内部統制や投資家コミュニケーションが主体で進んでいますが、より広くステークホルダー経営、そしてインセンティブや評価制度を通じて、企業価値を向上できる経営に移行することがより重要になります。
近い将来、多様性(ダイバーシティ)や女性や外国人、そして若者の活躍は間違いなく企業価値に貢献する。それが当たり前の時代がやってくると思います。
「人への投資」ソニーなど100社超連携 相互に兼業も
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
企業も人的投資に一方踏み込みました。これを続けることは中期的には、労働者側に働く場の決定権を移行することを意味します。古くは終身雇用の時代は、優良企業に入社することがその後の安定を意味し、だから企業が優秀な人材を選ぶという側面があった。そして一度選ばれた人はそのまま安泰、企業もそれを雇用し続けることが指名であり義務でもあった。
これから企業はどんどんステークホルダーに選ばれる存在であることが求められます。代表的には消費者であり、消費者に持続的に選ばれ続けられるかが企業価値を大きく左右します。そしてその競争力の源泉でもある人的資本、つまり労働者に選ばれる企業でありつ続けなければいけません。より競争力にある企業は、消費者からも労働者からも選ばれます。
では、投資家はどうか。GAFAMに代表されるように大きなリターンを生む企業は、ポストIPOでは一部の企業が富を独占する傾向が続いています。つまり、多くの投資家が投資したい企業であり、投資家は企業に投資させてもらっている状況です。その構造は、未上場スタートアップでも同様です。一部の超有望企業には投資家が殺到します。もはや、投資家が企業を選ぶのではなく、消費者や労働者から熱い支持を得ている企業が投資家を選ぶ時代でもあります。
この連携に参加している企業はソニーや日立など競争力の高い企業が多いです。なぜならば、競争力にある企業ほどこの取り組みをやるメリットが大きいからです。人的資本を通じて、日本の企業の取捨選択が少しつづ進んでいくことになるでしょう。

【ゼロ入門】誰も全貌を知らない、これからの経営の王道
村上 誠典サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える
両利きの経営の成功事例の多くは「求心力型」です。主力事業を新しい事業に移していく(集中)、新規事業も経営トップがコミットし立ち上げ、既存事業との相性が良い、など。
ソフトバンクがやっている群戦略のように特定の時代の方向性に向けて、勝てる事業を立ち上げていく(※ソフトバンクは投資で行っています)のは、遠心力を聴かせていく必要があります。これは結構難しい。
「求心力型」で成果を出すには、外部視点を取り入れられる良いカルチャーを持った「ガバナンス」「取締役会」、そして新しいことに挑戦できる良いカルチャーを持った「組織」が重要になると思います。
ソニーの復活も経営トップの変更を機に発した「ガバナンス」「組織」「カルチャー」の改革があってこそと思います。

NORMAL
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