新着Pick
2740Picks
Pick に失敗しました

人気 Picker
村上誠典(TAKA)です。

「スタートアップの成長と資本政策」

宇宙工学エンジニア→ゴールドマン・サックス→シニフィアン創業、と歩んできました。一貫して産業創出を、エンジニア、アドバイザー、経営者、投資家、という多様な立場で目指してきました。専門的になりすぎず、異なる立場&異なるフェーズで得た「学び」を実務に役立つ形で共有できればと思います。

今回、3つの問題意識から、プロピッカー新書の機会を頂戴しています。

1)スタートアップ経営において、事業戦略の重要性は多く語られるが、コインの裏表の関係にある、財務戦略、特に「資本政策」について語られること相対的に少ない

2)資本政策と資金調達を混同されているケースが多く、資本政策の明確な定義を説明できる人が少ない

3)未上場スタートアップと上場スタートアップで「分断」が生じており、本来は連続的に捉えるべき「資本政策」を未上場と上場の双方の知見から連続的に語られることが極めて少ない

4回シリーズで、毎週日曜日に掲載されます。週末のちょっとした読書として、また翌月曜日からのビジネス脳への切り替えの準備として、是非ご覧いただけると嬉しく思います。多岐にわたるテーマで正直1回では語り尽くせていませんが、4回を通じて少しでもエッセンスを掴んでいただけるように工夫しています。

最後に、「資本政策は財務の専門家に任せておけば良い」という誤解があると思います。それは本当に勿体ないことです。資本政策を含めた財務戦略を、組織戦略やテクノロジー戦略などの事業戦略と同様に武器にすることができれば、日本はもっと良くなると思います。少しでも多くの人に「資本政策」の重要性を理解いただくことで、日本のエコシステム全体が活性化し、もっとオープンに人とサービスが繋がってくると思います。今回の寄稿を通じて、少しでも産業創出のお役に立てれば嬉しいです。
網羅性高いこちらの記事を読まれた経営側の方に、実務の注目点をコメントするならば、
1 シリーズAでリード投資(主導して投資して役員派遣等する投資家)してくれた投資家に、シリーズB、Cでも継続投資してもらうこと
2 そのためには、シリーズAで投資家に示した事業計画やプロダクトのプランを、失望されないように実現すること、言い換えれば本気で実現する算段がないプランを提示しないこと

これが非常に大事です。
1 そもそもこのシリーズABCという考え方の総本山であるアメリカではよほどの大失敗か仲たがいがない限り、シリーズAのリード投資家はそれ以降のシリーズは別の投資家がリードしつつも、自社のシェア維持する程度には継続してフォロー投資します。
この慣例は日本にもまあまあそのまま入ってきており、主力大手VCならこれを踏襲しています。
この考え方をとらないVCもおられますが、
「シリーズAリード投資家がそれ以降のラウンドで追加投資しない」ということ自体、その企業に対する重大なネガティブ・シグナリング(将来投資検討してくれる投資家)になるので注意が必要。
投資家を選ぶときに次回ラウンド以降での追加投資方針・ファンドサイズや過去実績(他社への投資ではどうしたか)を必ず聞いておくべき。
尚シード投資家はシード投資特化しているためこれにはあたりません。

2 経営側としては、シリーズCくらいまで進んで初めてわかってくることでシリーズAの時期には無我夢中で調達後の約束のことを重要だと思う余裕がないことが多いのですが、ファイナンスとそのためのプランは投資家との夢の提示であると同時に「約束」なのです。この資金でこうするんだ、のこうする、を実現しなければなりません。
よく、調達が終了したとたんに事業計画を下方修正(というか現実的な小さなプランを提示しなおす)する経営チームがいますが、本来非常によくないことであり相応の説明が必要になります。
こうしたやりとりはすべて投資家の記憶と評価に残っており、それがシリーズB以降に影響してきます。
「この経営陣は最初のプランどおりにしっかり結果を出しているから、次も安心して仲間の大手投資家を紹介出来るし、当社も追加投資出来る。」
というのが理想の状態で、かつて起業した時の苦い経験に照らしても、、その逆は極力避けるべきなのです。
シニフィアン村上氏のスタートアップファイナンスの基礎講座的な寄稿。わかりやすいです。

——
最近いくつかのスタートアップの経営者をお手伝いしています。企業のフェーズ毎にお伝えする内容は変わります。アドバイスの内容が大きく変わるのは、上場が現実的に可能となるタイミングです。

上場後にも持続的に成長を行いたいとする経営者に対しては、特に下記の2つをお話しします。
①社員数が100人を超えても成長可能な組織の器を作ることの重要性。そのためにコストを投じることの意義
(⇄アーリー段階では、コストを抑制したミニマムセットでの経営を概ね推奨します)
②創業者/事業パートナーの持分の集中は流動性を枯渇させ、上場後の投資家の関心を喪失するリスクがあるため、上場を見据えた資本政策を持つことの意義
(⇄アーリー段階では、希薄化を抑制し、持株の過度な分散を回避することを推奨します)

→ 上記2つ目が本稿とリンクする部分です。資本政策は上場前・後の両方の観点にて入念に準備しないと、あとあと大変です。

——
ちなみに、村上さんは私のGS IBDの2期上の先輩です。2000年代中盤に私がGSにアナリスト(= 下っ端)入社したばかりのとき、いきなり超難解なコングロマリットへの投資プロジェクトにアサインされました。村上さんは同じ投資チームでアソシエイトでした。
入社したばかりの私はテクが足りず、深夜3時になっても財務モデルを繋げられずクビを覚悟していたとき、「森ィィ、ちょっと見とくわー」でモデルを引き取ってくれました。そしたら朝9時までにモデルを直してくださいました。

村上さんにはそのときから頭が一切上がりません。
まとまっていて分かりやすい!
シリーズについて、調達する各社の呼び方も色々違ったりするのも分かりにくい背景。UBグループでスタートアップのデータサービス提供しているINITIALでは以下のように定義している(①)。
・シード:原則、初の外部資金調達
・シリーズA:原則、株価が変化しており、調達後企業評価額が5億円以上
・それ以降:原則、シリーズA以降のラウンドを対象都市、前回ラウンドとの変化率が20%以上
※定義によって横比較がしやすくなる(分析は「分けて比べる」ことからはじまるので、定義が本当に重要)。

評価額を主な起点として定義をしているが、評価額が上がっていくためには記事で村上さんが記載されているようなフェーズを辿っていくことが実質的に必要なために、概ね一致すると思う。

最近では「プレシリーズA」といった言葉もたまに出てきて(②、③)、また色々難しくなってきている。

https://initial.inc/articles/7oUK5qkbYvX4tLeU0VMnwM
https://initial.inc/articles/briefing04
https://coralcap.co/2018/10/the-rise-of-the-pre-series-a/
スタートアップ関連のニュースでよく聞く「シリーズA・B・C」「〇〇億円調達」の本当の意味合いは。スタートアップが立ち上げから上場に至るまで、どのような場面を経験するのか。現在はSaaSを中心に、赤字の企業に巨額の時価総額がつくが、そのメカニズムとはどのようなものか・・。

これらの問いに対して、グロースキャピタルなどを手掛ける、シニフィアン共同代表の村上誠典さんが徹底解説する連載が、本日からスタートします。

取材をしていく中で村上さんのお話をじっくりと伺いましたが、これらの知識が体系的にまとまっているのは、見たことがありません。初回は1万字超えの大作、ぜひ休日にじっくりとお読みいただければ幸いです。
とてもわかりやすかったです。
国内スタートアップファイナンスのファクト面の補足をすると、シリーズ別の相場観は時代によっても変わっていると思います。

この5年でのPost Money相場は全て中央値ベースかつ弊独自定義で以下です
シリーズA 11.8億円
シリーズB 29.1億円
シリーズC 58.1億円
シリーズD以上 142.8億円
https://initial.inc/articles/6eDb1OkqwX1T0IO3sLKdlV
(各ラウンドにおける調達額と希薄化率中央値も算出↑)

とくにシリーズC以降のファイナンス実施例が増えたのもこの5年以内です。
シードで調達し、下記リリースを出させて頂いたばかりですが、分かりやすく現状を反映されている解説記事だと思います。起業家サイドから言えば、やはり気になるのは希薄化でしょう。創業者/経営陣がどれだけの自社株を保有して後まで持っていけるかは、資本政策を語る上で最重要ファクターの一つだと思います。個人的には、大きなビジョンを掲げているため、キャピタルゲイン面での希薄化は一切気にしていません。しかし、自分が一番この会社をうまくマネージでき、成功まで最短の距離で持っていけるという自負があるため(弊社は事業エリア&領域から特殊ですが汗)、議決権・会社コントロールは保持したいと考えています。そうすると契約書に買戻し契約の条項や、GoogleのクラスB(議決権10倍)、サイバーダインの種類株的なものが適用できる柔軟な環境が日本にも必要だと考えます。ただやはり、市場規模と資本政策上の将来性・規模が小さくなってしまいがちなのが日本だとも僭越ながら考えているので、メルカリではないですがgo big&boldに行って世界を変えていきたいと、起業家の端くれとして日々思っております!Let’s go!

『アフリカにて、小規模農家の生産性を倍増させるDegas株式会社が2.4億円の資金調達。農家ネットワークの拡大およびサプライチェーンのデジタル化を推進』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000048157.html

『デガス、ガーナでトウモロコシ生産 農家の所得増に』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65552170Y0A021C2FFT000/
わかりやすく解説されています。
資本政策はCFOに一任するのではなく、マネジメントとして一定の理解はしておくべきなので、一読すると良い内容だと思います。

証券会社にいた際に、シリーズA→B→C→D→IPOと資本政策、バリュエーション、シンジケートストラクチャーのアドバリザリーをやっていましたが、資本政策はIPO後も視野に入れて逆算し、IPO時やIPO後の資本政策の選択肢を持つ事が必要です。資本政策は実行すると修正が極めて困難です。企業ステージに応じた適切な選択は、企業価値を向上させる上でも極めて重要です。
エクイティファイナンスは持ち分をどんどん放出していく仕組みなので、原則後戻りができません(買い戻しなどを除く)。ですので記事を貫くテーマでもある、「出来上がりから逆算して戦略的に資本政策を考える」ということが非常に重要です。ファイナンスチームだけでなく、事業戦略、人事戦略など経営の全てに関わってきます。

いくつかの日本のスタートアップから、海外VCから投資を受けたいという相談を受けますが、資本政策がグローバルのスタンダードにフィットせず、プロダクトやテクノロジーの検討以前に見送りというケースが数多くありました。本記事により、国内外のソリッドなVCからスタートアップが投資を受けることにつながることを願います。

尚、シリーズの議論は記事でも触れられているように、厳密な定義がある訳ではありません。アメリカのトレンドとしては、ひと昔前と比べるとシリーズの定義が早くなっている点が挙げられます。つまり、10年前の定義だとシリーズBと見なされていた状況が、クラウド環境の進化もありスケールしやすくなったので、現在ではシリーズAで実現できるといった具合です。投資家目線としてはシリーズAだからアーリーと機械的に決めつけることなく、ビジネスの特性とその会社のファイナンスをしっかりみることがより重要視になっています。
各ラウンドの特徴を表した、分かりやすい一言まとめですね。

・シード:「ピープル(起業家)ドリブン」
最大のアセットである起業家または経営チームを重視して評価される。

・シリーズA:「プロダクト(商品)ドリブン」
サービスや商品などのプロダクトがおおよそ完成し、初期ユーザーへの販売実績等が評価される。

・シリーズB:「ビジネス(事業)ドリブン」
ビジネスとしての成立性、開発したプロダクト、獲得した顧客、組織化したチームなど事業アセットの価値が見定められる。

・シリーズC:「ファイナンス(財務数値)ドリブン」
プロダクトのユーザー利用が進み、PMFがかなり進んでいる段階で、売上高や利益などの財務情報が、過去数年間のトレンド、予算や事業計画との乖離などと合わせて一定量溜まってくるため、徐々に「財務数値」で会社を評価できる。
この連載について
教養を身につけたいけども、忙しすぎて学ぶ時間が取れない。一方で、日々のニュースだけでは、体系的な知識を得られない──。そんなビジネスパーソンに向けて、NewsPicks編集部が月ごとにテーマを設定し、専門家による解説記事をお届けする。週末のひとときで、手軽に「新書一冊分の知識」を体得してほしい。