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【衝撃】下方修正3回、「改革の先駆者」住友化学の誤算
北川 文子NewsPicks 編集部 記者
住友化学が過去最大の最終赤字に陥ります。同業他社が黒字決算を見込む中、住友化学の苦境が鮮明になっています。
国内の総合化学メーカーはどこも石化事業(汎用品事業)に苦戦しています。中国勢が台頭して汎用品ビジネスは成り立たなくなっているからです。
石化事業の再編は総合化学メーカーの共通の課題であり、住友化学は、いち早く対応してきました。ところが、気付けば危機的状況に置かれています。
赤字の要因の一つであるラービグへの投資は2005年、当時社長だった米倉氏の決断によるものでした。米倉氏はその後、経団連会長に就任し、米倉氏の次の社長の十倉氏も現在、経団連会長を務めています。
稼働が安定せず、たびたび赤字に陥るラービグは長年、住友化学の経営課題でした。しかし、有効な手を打たないまま、現在に至ります。今回、初めてラービグの位置づけも含めて見直しが入ります。
住友化学はかつて三井化学との統合を進めていたことがあります。最後は破談に終わるのですが、その後、3代社長のバトンリレーで赤字体質から脱却した三井化学と強い経営基盤を持ちながら苦境に陥る住友化学の明暗から経営トップの決断の重要性を痛感します。
【深層】「コンサル嫌い」の伊藤忠、ボスコンと異例タッグの理由
日鉄の買収、素晴らしい結果に 米鉄鋼大手USスチールCEO
北川 文子NewsPicks 編集部 記者
日本製鉄のUSスチール買収に、各方面からの意見表明が続いています。
通常、労組と会社の交渉は非公開で進み、結果が出た時点で公表されることが多いと聞きます。けれども、USWと日本製鉄の交渉は、労組が意見表明をし、日本製鉄がリリースを出すなど表に出る機会が多いです。
歴史が長く、成熟産業の労組の政治力は強力です。米大統領選に絡むとあって、USWはメディアを使った戦いを仕掛けているようです。
USスチールもこうした動きに対抗する形で、CEOが従業員へのメッセージを出しています。
12日には、日本製鉄の買収を決議する株主総会があります。大株主は賛成を表明。また、米自動車業界団体が(買収の対抗馬である)クリーブランド・クリフスによる買収に懸念を表明しています。
労組と会社の交渉は、あって当然のことです。政治や特定の利害関係者の思惑に左右されず、USスチールの従業員にとって最良の決断がされることを願います。
「日本製鉄新社長が語る2兆円買収の「勝算」」(NewsPicks編集部、2024/04/01)
https://newspicks.com/news/9774181
日本製鉄新社長が語る2兆円買収の「勝算」
北川 文子NewsPicks 編集部 記者
2兆円買収が米大統領選で揺れる日本製鉄の新社長に、脱炭素の「大本命」といえる今井副社長が就任しました。
USスチールの買収は厳しい状況に追い込まれているように見えますが、米国に詳しい専門家に話を聞くと、ペンシルベニア州や一部経済紙で取り上げられる程度で、全国民が注目するような事案ではないそうです。また日本製鉄以外に有力な買収候補があるかというと、そうとも言えません。クリーブランド・クリフスは買収金額が低く、仮に買収が成立しても独占禁止法に触れる可能性が高いとされています。他の外資を考えても、安全保障や技術力の観点から日本製鉄が最良の買収先との見方が多いです。実際にどうなるか、注視しなければいけませんが、関係者の取材では、日本製鉄はやるべきことをやっているとの評価でした。
そうした中、新たに日本製鉄の社長に就任した今井氏の最大の任務は「脱炭素」対応です。ただ、脱炭素ビジネスは技術開発もこれからです。脱炭素の製造法は高コストになるため、その費用を誰が負担するのかという問題も解決できていません。電炉への投資は巨額です。投資回収の目途が立たなければ投資の決断はできません。現実的な解をどこに求めるか。今後の投資の行方も気になります。
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