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値上げだけじゃない。インフレが生む「サービス劣化」の現実
NewsPicks編集部
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役・フューチャー経済金融所長
物価指数の本質的問題を取り上げた良記事と思いました。 インフレ率は「物価指数の前年比」で表されることが多い訳ですが、現実には「去年と全く同じモノやサービス」を探す方が難しい。そこで品質調整という手法が使われる訳ですが、これは様々な問題を伴います。 まず、全てのモノやサービスに品質調整をかけているのではなく、現実には「品質調整しやすいモノ」を恣意的に選んで品質調整を行っていることです。 例えばPCなら、CPUやメモリー性能など定量化しやすい要素が多いため、ヘドニック調整をかけやすい。しかし、例えば「今の野菜は昔の野菜のように美味しくない」と言って、「●●さんの作った特別な有機野菜」などを購入する人々も多い訳で、食品の「美味しさ」(あるいは手を抜くことによる「不味さ」)に品質調整をかけることは困難です。ましてや、記事にある「サービスの質」は、品質調整はほぼ無理でしょう。 また、ヘドニック法による品質調整時代、恣意性を完全に避けることは困難です。例えば、PCの処理性能が10倍になったら効用が10倍になるのかと言えば、現実には、古いPCを持ち続けていても今のソフトの多くが十分動かせないため、仕方なくPCを買い替える人々も多い。そう考えると、PCのカタログ性能通りに人々の「効用」まで増加している訳ではないかもしれません。また、PCやスマホは世界中ほぼ同じものが供給されている筈ですが、その価格変動は、品質調整のやり方の違いを反映し、各国間でかなり違っています。 さらに、品質調整の有無や方法次第で、各国の物価指数に相当大きな差が出るということです(日本の物価指数が帰属家賃の調整次第で大きく変わるというのは有名な話)。 これは特定の物価指数が悪いということではなく、全ての物価指数が避けがたい本質的問題です。重要なことは、問題を十分認識した上で、物価指数の特定の数値に過度に拘るのではなく、他の経済変数も踏まえながら幅を持って指数を捉えることだと思います。
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中国、フィンテック業界の締め付け継続へ-人民銀総裁が言明
Bloomberg
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役・フューチャー経済金融所長
易綱さんの発言は、国際決済銀行(BIS)のビッグテック規制に関するコンファレンスの基調講演で行われたものです。論点も正確には「フィンテック規制」と言うよりも、「ビッグテック規制」と言うべきでしょう。 BISも、中国人民銀行総裁に敢えて基調講演をさせている訳で、この問題に関しては、BISと中国の利害が合致していると思います。 BISやFSBはリーマンショック後、銀行(特に大銀行)への規制強化を進めた訳ですが、その後銀行が規制や低金利環境などの逆風で苦闘する中、むしろ注視すべきはノンバンク巨大企業(ビッグテック)の金融参入ではないかという議論が、近年ずっと高まっていました。 (この中で、私自身もBISやFSBでいろいろな報告書に関わりました。https://www.fsb.org/wp-content/uploads/P140219.pdf など) この間中国は、まさにアリババやテンセントのようなビッグテックを育てた訳ですが、ここにきて、これらが国を凌駕し得るパワーとなることは歓迎しない姿勢を強めており、最近では独禁法規制や業務規制、上場ストップ等、さまざまな方策を採っています。(デジタル人民元も、アリペイやウイチャットへの牽制という意味合いもあります。) また、もともと中国の規制はビッグテックに有利という声がありました。例えば中国のビッグテックはグループ内に決済(AlipayやWeChat)、バーチャル銀行(MyBankやWeBank)、投信(YueBao)などの機能を揃えていますが、これまでは個別の銀行エンティティの部分しか銀行規制がかかりませんでした(これが米国であれば、持株会社グループ全体がFHCとして金融規制の対象になる可能性が高い)。 その意味で、易綱さんの発言は、今の流れを意識し、国際的にも「受けやすいもの」を並べたなと感じます。
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ベネズエラ、デノミ実施 100万分の1に
共同通信
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役・フューチャー経済金融所長
ベネズエラは、支援がきわめて困難なケースです。 ベネズエラの経済破綻の原因は、(他の破綻国と同様、)放漫財政と排他的経済政策であるわけですが、国際機関との断絶も深刻であり、IMFの調査団が最後に同国に入れたのは、今から17年前に遡る2004年のことです。 (IMF加盟国は年に1度、「4条調査」と呼ばれる調査を受け入れなければならない筈であり、私がIMFに着任した2007年の段階で既に「ベネズエラはIMF加盟国でありながら、3年も調査を受け入れないことが許されるのか」という議論になっていました。加盟国の調査が17年も行えないのは異常なことです。) 米国との関係が険悪な中、ベネズエラの人々が自国通貨ではなく米国の通貨(すなわち米国の政策)の方を信じざるを得ない、実に悲惨な状況と思います。デノミ自体はゼロを取るだけであり、「デノミと合わせて思い切った信認回復策を採る」ということをしないと、同じことの繰り返しです。ただ、ベネズエラに限らずどの国でも難しいと感じるのは、政治家が「バラマキを止めたら私自身が政権を追われる」と思っており、国際機関との交渉が成り立たないことです。さらにベネズエラの場合、政権が事実上分裂し、どちらを承認するかが国際社会でも二分されていることから、国として国際機関の支援リソースにアクセスする事自体が難しくなってしまっています。
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中銀、デジタル通貨の対応マニュアル概要を作成
Reuters
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役・フューチャー経済金融所長
これは、もともと国際決済銀行(BIS)が中心となって設置した、中央銀行間の情報交換のフォーラムに参加していた7中銀がまとめたもので、参加は国際決済銀行、米、ユーロエリア(ECB)、日、英、加、スイス、スウェーデンとなっています。 (かつて「G10中央銀行」と呼ばれていた、BISの昔からの参加国が中心です。なお、G10メンバーの独、仏、伊、蘭、ベルギーなどは、ECBがまとめる形になっている訳です。) これらの国々はまだ、どこもCBDCの発行自体未定であり、あくまで検討中ということですので、このレポートの内容自体は概括的・総花的なものとなっています(例:「官民双方のプレーヤーを活用すべき」等)。 ただ、3つのサブレポートを同時に出していて、こちらには興味深い内容があります。CBDCの大きな論点の一つとして、「危機時の流動性逼迫を加速させる」というものがあります(CBDCがあると、預金者は預金をいっせいにCBDCにシフトさせるかもしれないため。)この分析に関し、日本の1990年代末の金融危機時に、個別行からどの程度のスピードで預金が流出したのかというデータが再掲されています。これを読むと、本当にあの時は大変だったなあと、しみじみと思い出されます。
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NY外国為替市場 円相場 1ドル112円台に値下がり 1年7か月ぶり
NHKニュース
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役・フューチャー経済金融所長
最近、メディアでも円高・円安双方の問題に言及されるようになってきているのは、良い事だと思います。 70年代の狂乱物価と80年代のバブルという、第二次大戦後の日本のマクロ政策の二度の大きな失敗は、いずれも対ドルでの円高恐怖を契機としています(最初はニクソンショック、次はプラザ合意)。しかし、円高、とりわけ対ドルでの円高に過度に傾った政策の割り当ては、中長期的には経済にマイナスです。もちろん、円安は短期的には輸出促進的ですが、一方、高付加価値型の産業構造への転換の遅れという問題を伴います。また最近では、世界からの人材獲得競争で劣後するという問題も、徐々に大きくなっています。 日本のメディア報道は、これまでとかく円高恐怖症に流れがちでしたが、真に恐ろしく、また政策対応が難しいのは、信認の瓦解と円安が同時に進行するケースです。(私の経験上、最も日本経済が危機に瀕していたと思われる1998年夏は、急速に円安が進んだ時期でもありました。) もちろん、これは円高が良いということではありません。「為替相場はファンダメンタルズを反映し安定的であることが望ましい」ということに尽きると感じます。
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