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「一世代に一度のアップグレード」 英国で週休3日制法案提出へ
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
日本企業でも働く選択肢としては徐々に広がってきた週休3日。
ただ、日本企業の場合は、人手不足の中で多様な人を定着・採用しなければいけないというディフェンシブな理由での導入が目立ちますが、ヨーロッパではワークライフバランスを求める社会的意識のベースがエンジンになっているように思います。
そのため、日本企業においては「他の人が働いているのに自分だけ週休3日」を選択しにくい(空気を読む)という問題が常に発生しますし、これが運用上の最大の課題でしょう。
週休3日はしばしば制度導入だけがニュースになりますが、その後、実際に週休3日制を使っている人がどのくらいいるか・そして育児期女性に偏っていないか、は要チェックです。メディアもそこまで追いかけて報じるべきだと思います。
テストで100点とるよりも山で遊ぶ方が将来のためになる…ホリエモン「今の学校教育に決定的に足りないこと」
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
こうした「大人になったときにためになる」系の議論はほとんど体験談レベルなので「ぼくの・わたしの教育論」ばかり。大人が論じる分には楽しいですが、子供と教育を巻き込むことになるので、きちんとデータで語ることの大事さも忘れてはいけません。
特に成功者は自己のキャリアについては強い回顧バイアスがあるので、今活躍している人の「今になってはあれが為になった」論というのは、たいてい「あれ」の中身を総入れ替えしても成立する言説です。
パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・立教大学中原淳教授による研究では、社会人になる前に「手触り経験」「見渡し経験」「踏み出し経験」が多いほど、社会的な意識が高く、活躍する大人になっていることは示されています。質的なインタビューでの知見と合わせると、かなり頑強な事実ではないかと思います。
となると、重要なのは誰しもが好きなわけではない「山登り」そのものではなく、そうした「手触り経験」のほうにあり、その代替物は何かという発想につなぐことができます。そうした機能的等価物を探せるのも、科学的知見のいいところです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001151.000000120.html
小泉進次郎氏、総裁選に出馬表明 早期解散を明言、解雇規制緩和も
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
解雇規制の緩和が改めて注目されていますね。解雇の金銭補償、金銭解決の明文化はアリだと思いますが、それが雇用の流動性につながるかというとそこには大きなジャンプが存在します。この「規制緩和」=流動化促進ではないという複雑な論点は、大内伸哉・川口大司編著『解雇規制を問い直す』などに詳しいです。
そもそも、バブル崩壊後、希望退職募集によって大企業は計画的・かつ大規模に退社を促すことを実践してきました(優秀な人から出ていくという人材マネジメント上の問題は起きますが)。私は、人間関係の不和ばかりが転職要因になる日本において雇用の流動性を促進するには、解雇規制緩和は本丸ではないと考えています。
解雇と転職について、労使で議論が深まることを期待しています。
オンライン就職試験、2人に1人が「不正」 放置は企業にもリスク
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
オンラインのテストも常々不正は指摘され続けているのに決定打がでないですね。性格特性を測定するテストなどもある程度「攻略」されています。しかも、統計的には妥当性がかなりあるとされる構造化面接(質問を固定した面接方法)もあっという間に質問がネットに出回るのですぐに対策されます。
新卒一括採用というのは、どこまで行ってもこうしたキツネとタヌキの化かし合いです。生成AIで書いたエントリーシートをAIで判定して、何の意味があるのでしょうか。
化かし合いの割には学生も企業もあまり得しておらず、マクロな若年失業率緩和には貢献しているという、合成の誤謬の「逆」になっている珍しいシステムです。
【図解】全員に必要。気楽に「リスキリング」する5つの方法
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
リスキリング・ブームはまだ続きそうですね。「モチベーションの維持の仕方」も「テクノロジーによる仕事の変化」も何十年も前から言われてきたことです。リカレント教育トレンドを思い出してみれば、ほぼ同じ文言が並びます。
にもかかわらず日本の学びが中長期的に減少してきたのは、組織に埋め込まれたラーニング・バイアスの存在を上から下まで内面化しきったから。それを打破するのは、企業が推進するコミュニティ・ラーニングしかなく、逆に言えばいくら危機感を煽っても、個人にはほとんど期待できないと考えています。
拙著「リスキリングは経営課題」や講演などでこのあたりの具体的処方箋を広げてきましたが、その後、旭化成さんらがまさに実践で証明しつつあります。
ちなみにこの議論、日本人の学ばなさについて、雇用流動性の低さを持ち出す人が必ずでてきますが、学ばない日本人でもより学ばないのは、流動性が圧倒的に高い非正規雇用労働者です。
【本音】みずほ「年功廃止」で給料が上がった人、下がった人
小林 祐児株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員
人事管理の専門家以外にはよく誤解されていますが、「賃金や処遇が年功的になっていること」と「人事制度として年功制度をとっていること」は全く別のことです。この点を区別できているメディアも、管見の限り見たことがありません。
多くの日本企業の能力主義管理は、「能力」というあいまいな基準で査定を繰り返すために、年功制度ではないのに「結果だけみれば年功的処遇」になっているのです。
そもそも能力主義管理は職務給(いわゆるジョブ型)の普及に挫折した財界が、学歴主義・年功主義を脱してより「実力主義的」にするために70年代導入されました。最初から「脱・年功」のための制度だったのが、運用によって年功と区別がつかなくなっているのです。
能力主義管理の弱点は、「能力」という基準があまりにも測りにくいこと。日本のように年齢エイジズムが異常に強く、未経験から就職可能な国では、結局、1年目より3年目の社員が、3年目より5年目の社員の方がよい評価を受けますし、順番待ちをしているベテランが登用され続けます。
「社会的規範」が企業制度ぐらいでは変わらないことを示す例です。
ここ20年広がり続けている役割給も、上記のような「能力」の要素が多分に入り込みます。実運用に苦労するのはここからでしょう。
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