Sugie Hiroshi

今回の「ウクライナ戦争」で改めて、戦争について考え、新たな気づきもあった。  ロシアによるウクライナ侵略は、我々が営む国家成立の過程の一景色。  ウクライナを侵略したロシアは、「停戦」によりいくつかの好条件、利益を得る。  ウクライナの中立化やウクライナの一部の領土に関して。  ロシアやウクライナは、ヨーロッパやアフリカ、アメリカ大陸などに置き換え可能で。  かつてスペイン人はアメリカ大陸を侵略し、数年でアステカ帝国を滅ぼした。  いくつかの「停戦」の度にスペイン人は新たな領土、領民、食糧の定期的な提供、「納税者」を獲得した。  軍隊、領土、領民、納税者は、そのまま維持され、現在の我々が営む国家につながる。  かつては食糧や香辛料だったものが今は、（国家の）貨幣になった。  国家の領土内に生きる我々は、国家の貨幣がないと生きられない、不便になっているが、それはかつて、また今も、「皆殺し」と引き換えに「納税者」になることを受け入れたプロセスにも関係がある。  自分が侵略者側でも相手にそれを強いた関係性にも由来する。  今回もマリウポリからロシアに移送された人々やロシアに編入される土地に住む人々は、生きるために「ルーブル」が必要な人々になり、「ロシア」に納税することになる。  また「格差」の発生も観察できる。ウクライナからロシアに移送された人々の暮らしは、ロシア人より貧しいものになる。  「貨幣」が、人がやりたくないことをやらせる力があることも観察できるが、それは国家の貨幣だからで、暴力と一体でもあるから。  ロシアのテレビ局の人々は、プロパガンダと分かっていても番組を作る。反戦のプラカードを掲げる人を取り締まる警察官は、クビになり年金が貰えなくなることを恐れて、やりたくはないが逮捕する。  ウクライナからロシアに移送された人々は、ロシアのために働きたくはないが、ロシアのために働く人生を送る。  貨幣を使うすべての人々に置き換え可能な話し。  この貨幣がないと生きられない生き方や社会について、見直しも必要だし、自分だけ良ければいい話でもなく。  自分だけ豊かだが、「第三次世界大戦」が始まれば、自分も被害に遭う。  見知らぬ他者の有り様、生き方、営みが自分の生死にも関わる。