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日本企業のアフリカ進出動向と事例
梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ
新しいのはまだですか、最新版はいつできるですかとこの数年言われ続けていた「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト」の2024年版をようやく公開しました。715拠点/535社の日本企業について、アフリカのどの国で、どういった事業を行っており、どこに代理店を設置しているのかを網羅しています。
アフリカビジネスの四季報として、報道機関、外務省や経産省といった各関連省庁、経済団体、大使館、日本企業、就職活動中の学生が利用されています。
2013年から継続して公開しているのですが、今回の全体結果のクイックサマリーとしては、
・アフリカに進出している日本企業の拠点数は715拠点
・2013年以来着実に伸びており、コロナやウクライナといったアフリカのマクロ経済に影響を与えたできごとにも関わらず、2019年からの5年間で約100社の増加
・もっとも進出数が多い国は引き続き南アフリカ。ケニアが30社増と大きく増やして2位に。「欧州の工場」として躍進し日本の製造業が進出するモロッコがエジプトを抜き3位に躍り出る
・業種別にみると、機械・機器、自動車部品、電子、化学といったBtoB事業での進出が多く、消費財企業の進出はこれから
・はじめからアフリカで事業を開始した「アフリカボーン企業」が増え、個人がアフリカで立ち上げたスタートアップも増加
中国、フランス、イギリス、米国、インド、韓国のアフリカビジネスとの違いもまとめてみました。
リンク先からご覧ください。
https://abp.co.jp/contents/overview/japanlist/
週刊アフリカビジネス714号(2024年9月23日号)
梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ
海外事業を売却した日立の家電ですが、エジプトで製造されることになりました。エジプトにはすでに東芝、シャープ、ソニーが同じ企業に委託し製造しているのですが、日立は別の企業ですね。おそらくまずは冷蔵庫が製造されるのかなと思います。シャープもついこないだ、20%を出資して新たな冷蔵庫工場を立ち上げたばかりです。
アフリカにAIブーム到来です。エヌビディアがチュニジアにAIトレーニングセンターを設立、GoogleがナイジェリアでAIファンドの設立で提携します。Googleは妊婦さんの超音波検査へのAI導入実証をケニア全国で実施中。妊婦向け超音波検査機器は、日本からも多数の企業が参入しようとしている領域です。
こういった、日本企業がアフリカのどの国で、どんなことを行っているのかを、以下にリストとしてまとめています。
アフリカビジネスに関わる日本企業リスト2024年版(最新版)
https://abp.co.jp/contents/overview/japanlist/
週刊アフリカビジネス712号(2024年9月9日号)
梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ
今月中国・アフリカ協力フォーラム、略称FOCACが北京で開催され、中国がアフリカに507億ドルの投融資を行うことを発表しました。前回は400億ドル、その前は600億ドルだったから少し増えたものの、内訳をよくよくみると安全なところに寄せた内容で、中国ももう大盤振る舞いはできないんだなと感じさせるものでした。金額の不足感を補うかのように対米国、対欧米のアピールはとても強く、自らを途上国として位置づけ、列強の支配に苦しんできたことに共感を示し、アフリカと中国は「グローバルサウスの仲間」であるとして、ともに連携して近代化を成し遂げようというメッセージを強く伝えています。中国の一帯一路構想を「債務の罠」として批判する欧米諸国を、アフリカを子ども扱いする国と非難し、中国は彼らとは違う、とアピールしています。
中国のインフラ投資というのは最近だけの話ではなくて、たとえば1970年代に中国の借款で作られたタンザン鉄道。内陸国のザンビアの銅をタンザニアの港から運ぶために作られ、だから中国も金を貸した。ただ老朽化しており、今回のFOCACではこれを改修することも約束されました。ザンビアと隣国コンゴ民の銅やコバルトは、電動化のいま、これまで以上に貴重な資源となっています。
そうすると米国をはじめとするG7の国々も乗り出してきた。ザンビアもコンゴ民も内陸国で港まで効率的に運んで輸出するには鉄道が必要で、米国は大西洋から、つまりインド洋からアジアに向いているタンザニアとは反対側の、米国側に面したアンゴラのロビト港まで鉄道を敷設しようとしています。中国がタンザン鉄道を改修する動きをみせているので、そのままタンザニアまで結んで、アフリカ横断鉄道をつくってしまおうという案もでています。
というようなニュースをとりあげています。
アフリカにおける日本企業の動き(2024年8月)
梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ
8月の日本企業の動き。今月は、日野自動車、オーシャンネットワーク エクスプレス ジャパン、豊田通商、サントリー食品インターナショナル、Hakki Africa、オギハラ、住友商事、コマツ、双日、Degasを取り上げました。
サントリーのケニア事業売却のニュース、同社が約10年前にグラクソ・スミスクラインの欧州飲料事業を買収した際、おまけのようについてきたのがアフリカ事業で、南ア、ナイジェリア、ケニアのエナジードリンクと果汁飲料の工場を手に入れました。リンク先の写真に写っているのがその飲料ですが、3カ国のスーパーの棚には必ず並んでおり、悪くないシェアを得ています。ただしこの10年、販促はスーパーに限定され、広告やマーケティングもアフリカにフィットしたものではなかった。日本やアジアで培ってきた販促をアフリカでも同じように展開して、成果がでない事例は、日本企業に非常に多くみられます。とくにサントリーはアフリカ事業をシンガポールの傘下においていました。他のアジアと並べると、アフリカでの売上は物足りない規模だったことと思います。今回ケニア事業を現地消費財メーカーに売却しましたが、この買い手は、日本企業等の商品から学んで競合商品を出すのが得意な企業。一定のシェアを伸ばすことと思います。
オーシャンネットワーク エクスプレスジャパンは、日本のコンテナ連合隊であるONEのこと。モロッコに支店開設です。「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト2024年版」にあるように、モロッコはいまや欧州の工場で、日本も自動車部品メーカーが多く工場をもち、欧州から輸入し、欧州等に輸出しています。たとえばワイヤーハーネスは住友電工が8工場、矢崎が8工場を稼働させています。デンソー、ジェイテクト、三井金属アクト、NSK、富士機工と工場を持つ企業は多い。詳細はリストをご覧ください。
ちなみに日系ではないですが、モロッコは米国や欧州と自由貿易協定を結んでいるため、インフレ抑制法により米国市場からはじき出された中国EV部品メーカー等が、トンネル輸出のためいまモロッコに工場をがんがん設立しています。
週刊アフリカビジネス709号(2024年8月19日号)
梅本 優香里アフリカビジネスパートナーズ
サントリーは、2013円にGSKの飲料事業を買収して、ナイジェリアとケニア、南アの飲料事業を手に入れましたが、そのうちケニアを現地の消費財メーカーに売却します。扱っているのはエナジードリンクと果汁飲料で、スーパーなどにはほとんど入っており一定のシェアを持っていますが、ケニアの主要なソフトドリンク購買チャネルはパパママショップ、キオスク、そして行商といったいわゆる伝統的小売と飲食です。サントリー食品インターナショナルの海外事業は欧州とアジアとアフリカなので、他の地域に比べると財務的に見劣りしたのかと思います。ナイジェリアについても22年にライセンスを残して工場と販売といった事業はPEに売却しています。
また、日本郵船、商船三井、川崎汽船が出資して設立されたコンテナ定期船会社オーシャンネットワーク エクスプレス ジャパン(ONE)が、モロッコに合弁会社を設立しました。モロッコに日本の物流企業が拠点を持つのはなぜでしょうか、ということを週刊アフリカビジネスで解説しています。
ほか18本、計20本の、直近で起こったアフリカビジネスに関するニュースをとりあげています。
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