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「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」年金モデルから複数案へ 厚労省
毎日新聞
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「従来のモデル年金は、現役世代の手取り収入に対する年金支給額の比率を示す所得代替率の50%維持を測る目安として用いられている」 (@@。 この50%は、旧来の言葉遣いを許して頂くなら、夫が正社員で40年間働いて年金保険料を納め続け、妻が専業主婦で保険料を払わず基礎年金を貰う”標準的な夫婦”が前提です。つまり、一人分の報酬比例年金と二人分の基礎年金の合計が現役世代の平均的な働き手の所得の50%を超えるということで、お一人様だととっくの昔に50%を割っています(2019年財政検証時点で43%)。これが、100年安心と言い続けて来た年金当局が、標準世帯という現実離れした”モデル年金”を捨てられない所以です。捨てた瞬間、50%が維持できていない事が露になりますからね。 今の若い世代は、お一人様だと本人負担分と企業負担分を併せた年金保険料を年金で取り戻すことさえ不可能で、それは、2019年の財政検証でもはっきりわかっていたところです。実現不可能な経済成長率や賃金上昇率を置いて糊塗してきた年金破綻の現実、つまり「いつの時代に65歳を迎えても現役世代の50%を超える年金が得られる」という約束が守れなくなった現実を、いよいよ年金当局が認めざるを得なくなってきたということであるような気がします。 そういえば、かつては年金破綻は無いと主張する人達が世論誘導の上で重用されていましたが、今は逆に、このままでは年金はもたないと主張する人達が重用され始めているように感じます。ひょっとすると、静かに前提を変えて国民の危機感と世代間対立を煽って累が年金当局に及ぶことを巧みに躱しつつ、保険料の納付期間を延ばしたり年金の支給開始年齢を引き上げたり、高所得者に一段と重い付加を掛けたりする算段かもしれません。 今年は5年に一度の財政検証の年。どんな前提でどんな案が出て来るか、大いに気になるところです。( 一一)
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【爆発】全米の大学で「若者の反乱」が巻き上がる理由
NewsPicks編集部
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
名にし負うニューヨークタイムズの記事ですね・・・ 「アメリカの帝国主義による暴力」という言葉と、思い出深いコロンビア大学のキャンパスの今の様子とが、1970年代初頭の日本の学生運動の「日帝(日本帝国主義)の暴力」という標語と、ゲバ棒とヘルメットと立て看板で溢れるキャンパスの様子に重なります。 東大の安田講堂事件を筆頭に、各地の大規模大学、有名大学で学生と警察の攻防戦が演じられ、”学生”の多くに、資金援助を受けるプロの活動家や他大学の学生活動家が交じっていたことが、後に判明しています。そのあたり、米国の大学デモではどのような状況になっているものなのか。 イスラエルを地上から殲滅すると主張して憚らないハマスが起こした1200人の無垢な人々の虐殺と250人もの人質誘拐から始まったこの紛争。イスラエル側からすれば、ここで攻撃の手を緩めてハマスが復活すれば再び同じ悲劇が起きるのは必定と見えるのでしょうし、パレスチナ側からすれば、自分たちの土地を奪ってガザに押し込めたイスラエルが許せないと見えるのでしょう。しかし、イスラエルのユダヤ人は2000年前に自分たちの土地を追われているのです。どこまで遡っても紛争の種は尽きないような気がします。 一刻も早く互いに矛を収めて欲しいと念じますが、構図が余りに複雑すぎて、簡単に終わらすことが難しそうなところに悲劇的なものを感じます。
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【証言】超円安を放置する植田日銀の「ホンネ」
NewsPicks編集部
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
リーマンショックによる急激な落ち込みと新型コロナウイルスによる急激な落ち込みが共にあるので比較は難しいものの、異次元緩和が始まった2013年度から2022年度までの実質経済成長率の単純平均は0.64%、その前の同期間を取ると0.66%で、異次元緩和で実質経済成長率が上がったとは思えません。 低インフレの円は高くなってこそ購買力が維持できるもの。リーマンショックで円が買われて円高になったのは確かですが、円の実力(≒実質実効為替相場)は安定していて、異次元緩和直前も、2000年代始めの水準を維持しており、日本経済が世界を席巻した1980年代後半から1990年代始めに比べると、むしろかなり円安になっていたのです。 その中で始めたのが明らかな円の毀損策である異次元緩和で、そこから円の実力は継続的に下落を始め、いまでは2012年当時と比べ、三分の二程度に下がっています。実体経済が弱い時にマネタリーベースを増やしても無駄な準備預金が積み上がるだけで経済が良くなるわけがないというのが有名な岩田-翁論争における翁氏の主張でしたけど、12年に渡る壮大な社会実験で、翁氏の主張が正しかったことが証明されたように私は感じます。 3月の政策変更で、マイナス金利策のみならず、YCCとか中央銀行が株や不動産を買うとかいった世界の中央銀行が禁じ手とする異常な手段は廃止されましたが、実質的な変更はごく僅か。中央銀行は政治から独立しているべきというのが世界の先進国の共通認識ですが、日銀総裁が国会、なかんづく時の政権の意向で決まる以上、その影響が及ぶことは避けられません。もし、パーティー券問題に絡んで安倍派が力を失っていなければ、その変更すら無かったような気がします。 経済学者の中で異端とされ、ごく一部に過ぎなかったリフレ派が大きな影響力を持って世論まで味方につけたのは、時の政権がそれに染まってその方向に世の中を動かしたからにほかなりません。円安でインフレを起こせば経済が成長して国民が豊かになるとの幻想は、そろそろ捨て去るべきであるように感じます。 とはいえ長期に亘った異次元緩和で、我が国は、政策を変えれば一気に景気が悪くなる、そのまま続ければ緩和の出口のリスクが高まり続けるジレンマに直面しています。金利を上げて景気が冷えればリフレ派は声高にそれを追求するでしょう。新総裁の難路が続きそう。
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現役時代の給料7割保証 世界1位の年金王国に学ぶ?【報道1930】
TBS NEWS DIG
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
2019年の年金財政検証によれば、経済成長と労働参加が十分進む場合でも、30年後に年金を受け取り始める世代が受け取る年金は、今の8割程度です。経済成長と労働参加が一定程度なら、年金財政が安定するのは、支給額が今の高齢者の7割強まで落ちた時。 今の標準的な高齢者が受け取る厚生年金額はやや多めに見て22万円程度ですから、8割なら18万円、7割なら15万円で、厚生年金でさえ、夫婦二人が生活するにはかなり苦しい水準になるでしょう。いま6万8千円の基礎年金(≒国民年金)は更に悲惨で、経済が十分成長しても将来は5万円を下回ります。基礎年金保険料納付期間の延長は、将来の国民年金額が5万円を割り込まないようにするためです。どの時代に65歳を迎えても現役世代の所得の5割が貰える制度は既に破綻しています。 政府はいまの若い世代も、納めた保険料の2.3倍の年金が貰えると発表していますけど、実際には1.15倍と見るのが正解です。「収めた保険料」には企業負担分が含まれておらず、これだって本来なら賃金として貰える付加価値ですから、分母に含めないのは理屈に合いません。しかもこの1.15倍も、正社員の夫と年金保険料を納めずに済む専業主婦の二人を足した分が、夫が収めた保険料の1.15倍ということで、お一人様で65歳を迎えた場合、本人負担分と会社負担分を併せた保険料を生きているうちに回収するのは、今の若い世代にとって殆ど不可能です。同様に、現役世帯の所得の5割貰えるというのも、夫婦二人分を併せて現役社員一人分の賃金の5割ということで、お一人様であれば、確実に5割を下回ります。 パートや外国人の年金加入を増やして当面の年金保険料の支え手を維持し、年金は将来も安定しているという絵を政府は今年の年金財政検証でも多分描いてくるでしょう。しかし、その前提には多分に甘い予測が含まれています。年金制度の実態はこんな状況ですから、基礎年金保険料の納付期間の延長のみならず、年金の受給開始年齢を引き上げる、高所得者の年金保険料の上限を引き上げる、高所得者の基礎年金を減額する等々、様々な“改革”が遠からず打ち出されることは確実です。年金当局の大本営発表をそのまま報じるメディアに惑わされず、年金財政検証の前提条件と結果を自分の目でしっかり確かめて、何が起きるか想像力を働かせて将来に備えることが大切です。
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「デジタル赤字」新たな円安要因に 巨大IT企業への支払い拡大
TBS NEWS DIG
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
安倍政権の誕生で大胆な金融緩和への期待が始まって円が安くなり始める直前の2012年頃まで、日本でアジア諸国からの観光客を見ることは稀でした。円安が進むに連れて訪日外国人が増え始め、最近の急激な円安で、こうした人たちが日本に落として下さるお金が一気に増え、逆に日本人にとって海外旅行が高値の花になり、昨年度の旅行収支の黒字は4兆2千億円に膨らみました。2012年度は1兆円の赤字でしたから、旅行収支の増加は5兆2千億円で、「毎年拡大を続け、昨年度は5.4兆円」というデジタル赤字に見合います。 2012年以前は日本旅行が高嶺の花だったアジアの諸国から多くの旅行者が日本に来て下さるが、日本人には海外旅行が円安で高嶺の花になり、旅行収支で浮いたお金がデジタル赤字に回る。政府はなんとかしようと力を入れていますが、クラウドやら様々なウェブ関連サービスやらソフトウェア開発やらへの支払いで海外に流出するお金が急増し、今後も増え続けそうな勢いで、国内勢は技術力でも供給力でも、もはや太刀打ちできません。 かつて東京銀座あたりでさえも姿を見ることが稀だったアジアからのお客様や欧米からのお客様が、日本中に溢れています。デジタル赤字が膨らんで円安要因になり、円安で外国からのお客様が増え、日本人は海外旅行が楽しめなくなり、もっぱら外国からのお客様に安いサービスを提供することに終始する。こうした現象に、かつての日本人がタダ同然の安さに感じて訪れたアジアの途上国並の姿が重なって、世界の中で相対的に貧しくなりつつある日本の現状を感じないでもありません。 ニューヨークに行ってもロンドンに行ってもパリに行っても物価が安く、ニューヨーク・マンハッタンのど真ん中のタイムズスクエアの看板さえも世界を席巻する日本企業が大部分を占めて、旅行収支の赤字を貿易収支の黒字が埋めていた時代がありました。そうした時代を知る身には、ちょっぴり寂しいニュースです。 f(^^;
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国際収支、経常黒字25兆円超 23年度、訪日客増で過去最大
共同通信
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
経常収支が黒字ということは、政府の赤字と民間の黒字を足した日本全体は黒字、つまり日本が生み出したモノやサービス等々の価値の取引結果が対外的に黒字ということで、政府が大きな赤字と借金を抱えるにも拘わらず、日本が安定していられる大きな要因の一つです。それが過去最大の黒字というのは、資金ベースで黒字かどうかというのは脇に置き、先ずは大きな安心材料です。 その主因が「訪日客の増加で旅行収支の黒字額が大きく伸びた」ことだということで、旅行収支は確かに、過去最大だったコロナ禍直前の2019年度の2兆4千億円から4兆2千億円に激増しています。 旅行収支は大胆な金融緩和への期待で円安が進み始めた2012年度からコロナ禍直前の2019年度まで一貫して改善を続け、2014年度に赤字から黒字に転じています。これは円の実力低下で日本の物価が外国人にとってじわじわ安くなり続け、外国の物価が日本人にとってじわじわ高くなり続けた期間と重なります。そしてコロナ禍で一旦動きが止ったのち、ここに来て一段と加速した円安で、一気に黒字幅が膨らんだわけですね。 外国の物価が高くなり過ぎて日本人が海外旅行を躊躇う傍ら、2012年以前は日本で姿を見ることも稀だったアジア諸国を含む各国から観光客が日本に大量にやって来て、安い安いと喜んで元気に買い物や飲食をして下さる結果です。日本経済にとって大変有難いことではありますが、ニューヨークに行ってもパリに行ってもロンドンに行っても物価が安く感じられ、日本人が大挙して押しかけて高級ホテルに泊まってブランド品を買い漁って顰蹙を買った過去を知る身には、ちょっぴりもの悲しさを感じさせる出来事です (*_*)
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現状判断DIは前月比-2.4ポイントの47.4=4月景気ウオッチャー調査
Reuters
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
可処分所得に対する家計の貯蓄の割合が、コロナ渦中の2020年度に、ゼロパーセント近傍から一気に12%近くまで高まりました。2021年度も、半減しながらも高い水準を保っています。政府が一律給付金などでお金を配ってくれるけど、コロナ渦中の行動制限で使えなかった結果です。 その後、社会経済活動が正常化するにつれ、家計の貯蓄率は再びゼロパーセント近くに低下しましたが、マイナスに転じることはなく、コロナ禍中に貯め込んだ60兆円ほどの余剰貯蓄が家計の懐に残っています。活発な消費活動で余剰貯蓄が使い果たされたんじゃないかと心配されている米国辺りとは、状況が大きく異なります。 水際対策が諸国に大きく遅れながらも解除され、感染症分類も漸く見直された当初は、旅行と飲食を中心に消費意欲が一瞬盛り高まりましたけど、インフレが勢いを増すに連れて節約ムードが強まって、残念ながら元気が出ませんね・・・ 今年こそは実質賃金が上がって家計に安心感が広がって、コロナ禍中に蓄えた貯蓄が使われて、諸外国に遅れた経済規模の拡大を取り戻して欲しかったけど、極端に進んだ円安に起因するインフレで、その期待もすっかり消え去りました。 異次元金融緩和の拠り所は、通貨を大量に供給してインフレ期待が高まれば、物価が上がる前にモノやサービスを買っておこう、設備投資をしておこう、というので人々の行動様式が変わり、経済が成長軌道に向かうというものでした。ところが実際に起きた現象は、インフレが心配で人々が節約に走るというものでした。期待というあやふやなものに依存する政策の危うさです。 10年以上前から恐れていたことが現実になったような気がしますけど、日本の本質的な成長力が高まって人々の間に安心感が広まれば、余剰な貯蓄が取り崩されて景気のムードも回復するでしょう。政府も日銀も、性根を据えてそうした環境作りに精を出して欲しいと念じます。 (^.^)/~~~フレ!
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神田財務官 為替介入「いつでもやる用意ある」市場けん制も円安続く
TBS NEWS DIG
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
日銀と政府が組んで実質的な円安政策を続けているうえ、長年の財政拡張と金融緩和の組み合わせで金利上昇に耐えられない構図が出来上がっていますから、いかに日銀総裁が為替に注目していると”口先介入”で牽制しても、意表を突いた急激な利上げは実際には難しい。そうなると、円安を期した投機の勢いは、たぶん、簡単には収まりません。 そんな中、実際に介入しても押し戻されることがはっきりすれば、今後の介入は、投機筋に絶好の儲けの機会を与えることになりかねませんし、介入に限界があると投機筋に見くびられるのも、絶対に避けたいところでしょう。介入余地が大きく広がっているように見せながら、すべてを曖昧にして疑心暗鬼を誘っておくことが、最善の防御策かと納得です。米国債を売ることが仮に米国当局と合意出来ていなくとも、手の内を明かさなければならない理由はないはずです。 国連から制裁を課されながら核ミサイルの開発に突き進むどこかの国じゃないですが、核で報復する能力を持っている、権力を握る親分が何をするか分からない、という状況は、相手に恐怖心を植え付けて攻撃を思いとどまらせる大きな抑止力になりますからね (^^;
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安倍派会計責任者、起訴内容大筋で認める 自民派閥裏金事件の初公判
毎日新聞
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「特捜部は松本被告を起訴したものの、安倍派の事務総長経験者ら幹部議員については、松本被告との共謀が認められなかったとして、立件を見送っている」 (@@。 「松本淳一郎」をインターネットをググっても本件関係以外で殆どヒットしないので、世耕氏がNTTの幹部から連れてこられたということくらいしか、私には分かりません。76歳というご年齢と、本件を除けばネットに殆ど情報がないことから察するに、純然たる民間人として人生を送られて、いざという時の首切り要員、ン?尻尾切り要員?、まあどっちでも良いですが、そういう役割を担うべく「会計責任者兼事務局長」という一見重いタイトルに”抜擢”されたんじゃないかという気がします。だって、政治の世界を殆ど知らず議員経験も無い”会計責任者兼事務局長が、大物政治家も絡むこれだけの資金の扱い方、故安倍元総理がやめようと言っても終わらなかったほどの重い事案の扱い方を、自ら決める裁量と権限を実態的に与えられていたとはとても思えませんものね。名前は重々しいけど、実態は多分軽いポジションでしょう。 日本の犯罪捜査の恐いところは、事件の構図をどのように描くかも、立件するかしないかの判断も、検察当局の胸三寸にあって、誰もそれに意を唱えられないところであるような気がします。検察審査会はありますが、たとえそこに持ち込まれても抜け道は多々あって、根本的なところで構図が崩れることは先ずないでしょうから、ややこしいところには踏み込まないのが一番です。かといって、世論がこれだけ盛り上がっている案件で誰も立件しなければ、検察のメンツと庶民の気持ちが収まりません。 税金や社会保険料は取り易いところから取る、犯罪は裁き易いところから裁く、といった風潮が、政治と関係各所に拡がっていなければいいけれど。 いや、本件の裏事情を知る立場に全くない私の、単なる妄想に過ぎません f(^^;
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実質賃金プラス、遠のく恐れ 一段の円安、輸入物価押し上げ
時事通信社
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
大胆な金融緩和が始まりそうになったあたりから、円安によるインフレは真綿で首を絞めるように国民を貧しくすると言い続けて来ましたが、残念ながらそんな様相になって来ましたね・・・  インフレが国民を豊かにするのは、生産性の上昇で儲けた利益を企業が従業員と企業自身で分け合って、従業員が消費を増やし、企業が投資を増やして生産性を更に上げ、消費と投資で需要が増えて消費者物価(≒販売価格)は上がるが、生産性の上昇がコスト上昇を抑えて企業が更に儲かる好循環が起きる場合に限ります。生産性が上がらぬ中で円安と資源高が交易条件を悪化させ、日本が生み出すモノとサービスの価値、即ち労働が生み出す賃金の原資となるべき価値の一部が海外に流出する状況下では、企業が成長投資を減らすなり株主の取り分を減らすなりして身を削らない限り、実質賃金は減少するのが当然です。 そこをインフレが襲いましたから、物価の上昇に賃上げが追い付かず、労働分配率が下がって実質賃金の下落が際立つようになったのです。足元の企業物価の上昇率は消費者物価の上昇率を下回っていますが、4年前と比べて2割強上がった企業物価はまだ半分ほどしか消費者物価(1割弱上昇)に転嫁されていないように感じます。近時の賃上げで企業物価に代わってサービス価格が上昇し始めていますから、物価の上昇はおそらく簡単には止まらないでしょう(企業が購入するモノの値段の企業物価とサービス価格は共に生産コストの上昇要因)。 24ヵ月連続で実質賃金が下がり続けた、つまり消費者物価(≒販売価格)の上昇に賃上げが追い付かなかった結果生まれた余剰の一部を今年は大幅な賃上げで従業員に還元するので、過去の実質賃金の低下分は取り戻せないまでも、今年だけは賃上げ率がインフレ率を超えて実質賃金が上がると期待されていたわけですが、円安がインフレを後押ししてそれさえも難しくなったとすると、状況はかなり深刻です。実質賃金が減り続けるにもかかわらず名目賃金が増え、累進課税の所得税率が上がり続ける状況が続くわけですからね。 円の毀損策でインフレを起こせば日本が成長軌道に戻って国民が豊かになるとの幻想は、そろそろ捨て去るべき時が来ているように思います。中長期的に日本を成長軌道に戻して国民を豊かにする道は、企業と産業を国内で育て、国内で価値を生み出すほかないのです。
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ライドシェア、開始から1カ月 広がるか、安全担保が前提
共同通信
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「ライドシェア、開始から1カ月 広がるか、安全担保が前提」 (@@。 日本版ライドシェアはライドシェアでなく、タクシー会社の運転手不足の解消策。ライドシェアは未だに日本に入っていないというのが現実です。 タクシーは、知らない土地に行って知らない人が運転する知らないクルマに乗るなぞ怖くてできなかった時代に、一定の条件を備えた事業者に政府が「タクシー」という名のお墨付を与えて安心・安全を担保する仕組みです。 ライドシェアは、GPS、キャッシュレス決済、クラウド、ビッグデータ、客と運転手の相互評価、スマホといった新しい技術とシステムが、SNSで安心と安全を担保する仕組みです。 タクシーとライドシェアは人を運ぶという点で似ていても、社会インフラとして全くの別物です。これをタクシー業法の枠内に押し込めて実質的に認めず、日本版と称されるまがい物をライドシェアと同列に並べて「拡がるか、安全担保が前提」なんて言っているようじゃ、大本営発表に誤魔化されて国民の現状認識を誤らせかねないように感じます。 日本版ライドシェアなるものは、タクシー会社とタクシー議連に代表される政治家と監督官庁の権益の”シェア”に過ぎません。敢えていうならタクシー利権への相乗り(ライド)です。登場から僅か2年で世界800都市に拡がったほどのメリットの恩恵は、日本国民に及びません。なんだかなぁ・・・ (・・;
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日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ共和国以下!マスコミを萎縮させる諸悪の根源とは - 情報戦の裏側
Diamond Online
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「既存の報道機関のみ、記者会見や政府高官へのアクセスを許可する「The system of kisha clubs(記者クラブのシステム)」こそが、記者に『自己検閲』を促し、フリーランスや外国人記者に対する露骨な差別にもつながる諸悪の根源だと国境なき記者団は批判」 (@@。 他の記事のコメントに「記者クラブ頼りで自分で記事が書けない不自由度は能力不足の問題で論外です」と書きましたが、政府に批判的な記事を書いたら記者クラブから締め出される、というのは、記者クラブ頼りで記事を書き続け、努力と勉強が足りず主体的な記事が書けないメディアと記者の劣化の問題で、報道の自由と関係があるとは思えません。記者クラブでの”大本営発表”なぞ無視して、思い通りの記事、場合によったら嘘さえ書いて恥じない自由が日本にはあるのです。 https://newspicks.com/news/9935684/?ref=user_1228737 このランキングはパリに本拠を置く国境なき記者団なるものが各国のジャーナリスト団体や人権団体にアンケート調査をして、その結果を集計したものです。政府に批判的なジャーナリストや人権活動家が意図的に悪い評価を下して政権批判に使おうとすれば、簡単に順位が下がります。言論が自由であればあるほど、そうした批判もやりやすい。主要メディアに左派系の影響が強い我が国のジャーナリストが、自らの努力と勉強不足を棚に上げて記者クラブ制度を悪者に仕立ててランキングを押し下げたとすれば、世界の中で日本の評価を下げる忌々しき行為です。 基準を明確に示して客観的に評価したランキングはそれなりに信頼できますが、判断基準も根拠もはっきりしないこの手のランキングを金科玉条のように扱うと、国民は判断を誤ります。大々的に報道するほどの質を持つランキングではありません。 それはそれとして、「報道すべきことを報道していない」というのは本当で、記者とメディアを劣化させる記者クラブ制度は廃止して然るべしと思いますけどね。
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