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欧州は「消滅の危機」 仏大統領、防衛強化訴え
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
ちなみに中国は、欧州各国との会合の際、Strategic Autonomy(「戦略的自律性」ないし「戦略的な自立」)を推し進めるべし、と背中を押すのが通例になっています。ロシアも、「米国覇権の特徴の一つは諸国のStrategic Autonomyを抑え込むことにある」というナラティブを使うことがあります。皮肉な逆説ですが、各国にStrategic Autonomyを追及させておく方が国益に叶うという、中露側の判断なのでしょう。「我々は米国の従属国ではない」と唱える一方で、マクロン氏自身も、「消滅」しないためには引き続き米国をどうコミットさせておくかが重要であるという現実もよくわかっていると思います。
余談ですが、インドのStrategic Autonomyは、これは長年の議論の蓄積を経てもはや深淵な概念に発展してしまっているので、単純比較はできなさそうです。また日本のStrategic Autonomyは、こちらは主に経済安全保障の文脈に閉じられているので、重なる部分もあれば、重ねられない(重ねにくい)部分もあるように思います。この辺の比較研究の成果がそのうち紹介されるようになるかもしれません。
全米に広がる学生運動、ハーバード大で激化-ガザの戦争停止訴え
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
親イスラエル派はこの運動を「反ユダヤ主義」や「ハマス支持」とフレーミングしようとしていますが、現時点では必ずしも上手くいっていません(今後もっと有力なPR材料が出てくるかもしれませんが)。欧米におけるイスラエルの支持基盤が衰えるとまでは思えないものの、ガザを殲滅しようとする姿勢があまりに露骨で、その惨状を伝えるSNSの発達や若い世代の価値観の変化を踏まえるとPR的に優勢とは言えません(むしろロシアが文明的に見えるくらいだ、と皮肉る人も出てきています)。それでも、止まったら刑務所に送られるネタニヤフ氏はこの道を突き進むしかないという、極めて悲しい構図になっています。
多くの国の有権者が民主主義に懐疑的=政府間組織IDEA
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
「民主主義は最悪の政治形態といわれてきた。他に試みられたあらゆる形態を除けば」というチャーチルの込み入った名言が改めて思い出されます。しかも正統性への信頼が揺らいでいる状況だと、情報の受け手の側で、偽情報対策と(ただ政府に都合の良い)情報操作の区別が認知的・感情的にし難くなるので、ますますむずかしい。血の通った情報リテラシーを個々が一生かけて育んでいくところに良き民主主義が成り立つのでしょうが、情報伝達スピードの加速度は過去と比べものにならず、そんな悠長なことも言ってられません。テクノロジーの発展が政治形態に与える影響、変わる要素と変わらない要素、避けては通れないテーマに至ります。
米中首脳が電話会談 習主席は「台湾問題は越えてはならないレッドライン」と警告
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
中国経済のファンダメンタルな停滞に米国の対中「デリスキング」政策(中国はそれを「リスクメイキング」政策と揶揄)が加わり、対中直接投資が大きく減って、いよいよその痛みが応えてきた事情もあるようです。民間レベルで各国へ各省担当者が中国投資を募りに訪問しているとも聞きます。
中国としては、時間を稼ぐためにもエスカレーションは避けたいし、米国としても国民の経済的利益とのバランスを図りたい面も当然あります。会談自体は「建設的」だったと同席者が評価したとする報道もあります。ただそれでも、地政学的な対立構造は今後も変わらないでしょう。
ところで、新華社通信(新華網日本語)の記事では、習氏が台湾問題を「中米関係における、越えてはならない最初の(原文では「第一の」)レッドラインだ」(中国語:台湾问题是中美关系第一条不可逾越的红线)と強調した、となっていますが、この「最初の」という文言の意味・示唆が気になりました。
【読書】日本に必要なのは「変化を受け入れる力」である
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
日本で唯一変化しないのは変化し続けることを拒む姿勢だけだ、という趣旨の皮肉は、欧米の日本通の間でよく聞きます。その一方で、明治維新や戦後など、日本的な意味での「お上」が変わると、一気に「じつは…だった」的にプログラムが自動で更新されます。
確かに日本では、「訂正」や「変化」が(一般的に好ましい姿勢とされる)「筋が通っていること」や「信念があること」と両立しないと見られることが少なくないと感じます。その意味では、二項対立を乗り越える文系的な力が(本来強いはずなのに)弱いと感じる局面が少なくありません。むしろ、二項対立文明と見られている欧米の方が結果的に一貫性を持って柔軟に自己変容しています。嫌いな隣人とも毎日社交し、時に結婚し、多くの場合殺し合ってきた中で培われた、まさに「ヨーロッパ的な知性のあり方」なのでしょう。
なお最後の「幻想をつくる力」は、日本はある意味で超先進国と思います。但し、やはり戦後の制約条件の中で先走るしかなく、皮肉を込めた意味で「超」がつくほど早熟なので、最も大事な要素であるはずの「未来へと進んでいく新たな物語」の中身の方がついてこられず、その点については生みの苦しみだけが続いているように感じます。
インド上位1%への富の集中が過去60年で最高、ブラジルや米国上回る
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
地政学など外部要因の追い風もあってインド投資は一部で熱を帯びていますが、中間層が十分に育っていないことを示すデータであり、さすがに「英植民地時代のインドよりも格差が広がっている」というのは政権にとって心地の良いものではないでしょう。ちなみに同報告書(“INCOME AND WEALTH INEQUALITY IN INDIA, 1922-2023: THE RISE OF THE BILLIONAIRE RAJ”)の著者欄には「21世紀の資本論」で注目を集めたトマ・ピケティの名もあります。同世界不平等研究所(World Inequality Lab)のCo-Directorのようですね。
敵国への個人情報売却禁止 米下院可決、中国念頭
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
個人情報の保護について、個人のプライバシーだけでなく、国家安全保障の観点からの重要性が増し、だだ洩れし得る状況の回避に向けた動きが進んでいます。米国では先月も個人の位置情報、生体情報、健康情報、財務情報などがデータブローカーを通じて懸念国(countries of concern)に大量に移転することを制限する大統領令が発せられています。特に今回想定の「敵国や敵国の管理下の企業」は党に直結しており、通常の民間企業とは異なる点の再認識が必要でしょう。データがもたらす価値・経済合理性との兼ね合いもありますが、安保観点での個人情報保護に対する意識は今後日本でも高まっていくことが予想されます。
プーチン最新インタビューで、世界のメディアが「報じなかった」こと | 「西洋の吸血鬼舞踏会は終わりを迎える」
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
様々な話題を報じてもらえる関係性にないので、仕方ないでしょう。彼は核兵器の使用が何を意味するかをよく理解しているので、きっと使用しないだろうと信じていますが、今回のウクライナ侵攻からも明らかなように、意思決定が合理的であるか否かの基準は世界観や認知過程の特殊性と無縁ではありません。元米NSCロシア担当主席顧問で、随一のロシア分析官であり、プーチンの幼少期からの行動様式・発言・意思決定を多面的に分析してきたFiona Hill氏の、2022年POLITICOにおける発言を改めて思い出すと背筋が伸びます。
“Every time you think, ’No, he wouldn’t, would he?’ Well, yes, he would,” Hill said. “And he wants us to know that, of course. It’s not that we should be intimidated and scared…. We have to prepare for those contingencies and figure out what is it that we’re going to do to head them off.”
当然、プーチンはコミュニケーションとミスコミュニケーションによる受け手側の混乱を好み、その才能があるので、何重ものシグナリング効果を意識していると思われますが、Fiona氏の、きっと彼は核兵器を使用しないだろうという希望的観測はあるが、いや、本当に使用し得ると思って不測の事態に備え、回避するために何をすべきかを考えなければならない、という発言を忘れてはならないように思います。
ムニューシン氏、TikTok買収に向けたグループ結成へ=CNBC
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
いかに素晴らしいビジネスであっても、現在の地政学的な情勢と技術革新の動向を加味した国家安全保障の観点から再評価した際、やはりTikTokは極めて特殊なアプリであり、普通のビジネスには収まりきらない要素を備えたものである点を改めて認識する必要があると思います。一見全く無関係で何らの意味を成さないと思われる情報・データの集合体から、敵国の国民の行動類型を把握したり(政治行動含め)影響を与えたりするというのが、もはやSFの世界にとどまる話ではなくなっています。大統領選の年における、いかにも米国らしい傲慢さが垣間見える決定でも、経済的実益と安全保障の結節点を探る賢明な判断と思います。
バイデン氏、日本製鉄のUSスチール買収巡り懸念表明へ=関係筋
セブラニ クレビス株式会社ボードアドバイザーズ プリンシパル
大統領選が絡むこのタイミングでは、党派性を問わず政治化は免れませんが、雇用創出など労働者の観点からも、資本の論理の観点からも、また経済安全保障の観点からも合理的な買収案と言える点には変わりないと思います。ただ、米国は論理とフェアネスに訴えれば最終的に(いつかは)理解を示すと言われてきたが、そのような米国が今我々の目の前にあるかは分からない。当然プランBもあるだろうし、現段階では一所懸命に理に訴え続けるしかないのだろうが、今後の日本勢にとっての教訓になるという意味では、先陣を切って行動した日本製鉄の功績は未来形で既に大きいと思われます。
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