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【ドキュメント】「線虫がん検査」の知られざる過去
山田 広毅東京国際法律事務所 代表パートナー 弁護士
都甲センター長の「プロスワンに掲載した論文は、おそらく理学的には真実があるのだと思います。しかし、これだけの人間が追試を試みてできないということは、工学的には使えない、実用化はこのままではできないということだと判断してセンターでの研究を終了しました」というコメントをちゃんと読み解く必要があるように思いました。
Theranosは、理学的な内容も含め嘘ばかりでした。その結果、Holmesは詐欺罪で有罪判決を受け、現在服役中です。
一方で、広津氏の論文が、理学的に誤っているのかどうかについては、結論は出ていないというように読みました。再現性を確認している第三者の論文もあるとのことですので、それらの点も含めて、更なる分析が必要であるように思います。少なくとも私が初回の記事に「Theranosを想起させる流れ」とコメントしてしまったのは、ちょっと書きすぎだったのではという印象を、現時点では抱いています。
ただ、そのことと、事業化するに足る工学的な再現可能性があるのかという点や、そもそもスクリーニング検査として社会的に有用なのかという点は、別問題なのだと思います。前者は景表法で一部規制されている部分ですが、後者は既存の薬機法などでは必ずしも規制されていない部分かと思うので、ある意味法規制のブラインドスポットにあるような気がしています。
いずれにせよ、ちゃんと、議論のレイヤーを理解した上で、考えた方が良い事象ですね。
性加害のジャニーズ事務所からスポンサー離れ、契約更新見送りも
山田 広毅東京国際法律事務所 代表パートナー 弁護士
一般的なサプライチェーンにおける人権侵害事案(若年労働など)との類似性を念頭に、拙速な取引停止は、追加・継続的な人権侵害を放置し促進する可能性があるから、すべきでないという言質が複数見られましたが、今回の事案については、そのような構造はないと考えます。
なぜなら、端的に、今回の事案において、取引停止をしたとしても、未成年に対する性被害(やこれに付随する人権侵害)が追加で生じ、又は促進される可能性は低いからです。
むしろ、将来の人権侵害防止の観点からは、社会が、このような悪質な人権蹂躙行為が長期に渉り継続していた事実を直視し、これを断固として許容しないという態度を示すことの方が、大切だと考えます。
ジャニーズと契約解除検討=東京海上、相葉さん広告に起用―「タレントに非はない」の声も・企業対応
山田 広毅東京国際法律事務所 代表パートナー 弁護士
本質的には、ビジネスと人権の問題に関する考え方が問われているのだと思います。
広告に関する契約は、ある意味分かり易く、そもそも広告は、企業イメージを向上するために行うものなので、契約を継続していること自体が企業イメージを悪化させるような場合には、純粋に費用対効果の観点から、契約解除すべきとの判断がしやすいです。
そういった分かり易い費用対効果を超えて、人権侵害状況を改善するための働きかけの一環として取引停止・契約解除を捉えられると、また違った視点が出てくるのだと思います。
経産省の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」は、取引停止は、負の影響そのものを解消するものではなく、むしろ人権への負の影響をさらに深刻にする可能性があるので、慎重になるべきとしています。
ただ、ここでいる負の影響をさらに深刻にする可能性というのは、一般的に注視の目が行き届きにくくなったり、経営状況の悪化で雇用が失われることで、更なる人権侵害が生じる可能性があるからだとされています。
ところが、今回の件で取引停止をしたとしても、それが直ちに新たな性被害を生むことはないし、むしろ将来の人権侵害を防止するためには、スポンサー・マスメディアを含む関係者全体が、こういった優越的地位を利用した人権侵害に関する断固たる意志(ゼロ・トーラレンス)を示さないと「所詮芸能界ってこういうところ」という漠然とした共通理解が残存してしまい、今後も人権侵害の恐れが残ってしまうのではないかと思いました。
企業契約書の審査、AI活用を容認 法務省が指針公表
山田 広毅東京国際法律事務所 代表パートナー 弁護士
遂に法務省から、突っ込んだ内容の指針が出ました。
https://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00134.html
これが法務省というお役所から出てきたというのは、なかなかにすごいことだと思います。
なお、(結城さんも指摘していますが、)日経の記事は、1点大事な点を端折っているように思います。
GLは「審査対象となる契約書等の記載内容について、個別の事案に応じた法的リスクの有無やその程度が表示される場合」に弁護士法に抵触しうるとしています。
この「個別の事案に応じた」というのがポイントで、個別の事案に即したテーラーメードな法的リスクの有無の指摘(例えば、M&Aの買収契約において、法務DDにおける発見事項に基づき、具体的な表明保証文言を提案するなど)をするとアウトですが、単に、当該契約類型に照らして一般的・類型的なリスクの有無を指摘すること自体をアウトと言っているわけではありません。
人間である弁護士が価値を発揮すべきポイントが、よりクリアになってきているように思います。
アプリストア独占禁止で法制定へ 政府、アップルとグーグル念頭
山田 広毅東京国際法律事務所 代表パートナー 弁護士
最終報告書の内容をちゃんと読むと結構突っ込んだ内容になっており、大変面白いです。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/digitalmarket/kyosokaigi/dai7/index.html
一つ興味があるのは、この報告書で描かれている既存アプリストアと競争することが想定される「セキュリティ、プライバシーの確保等が図られているアプリ代替流通経路」(信頼ある他のアプリストア)なるものが現実的に出てきうるのかという点です。
一義的には、OS提供事業者としてのApple/Googleに審査されること等が想定されている中で(事後的な当局の介入はあり得るようですが)、かつ、グローバルな規制の足並みが必ずしも揃っていない状況で、一定の規模を確保して初めて利益を享受できるプラットファームビジネスであるアプリストアに、今から参入しようというプレイヤーがどれだけいるのか。
ただ、こちらの報告書の枠組みは、新たな問題にも横展開できるような普遍性の高いものであるように感じましたので、(やや手遅れ感のある)アプリストアよりも、これから生まれてくる新たなプラットフォーム型ビジネスにおける競争確保を考えるには、とてもよい教材になるのではないかと感じました。

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