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3カ国突撃ルポ。核のごみ捨て場どこに作る?
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
フランス、ドイツでの核のごみを巡る取材では、動画に登場しない人たちを含め、たくさんの出会いがありました。
一番印象深かったのは、ドイツのハレで開かれた会合に来ていた10代の子供たちです。1人ひとり、自分の言葉で核ごみについての考えを語ってくれました。ドイツは脱原発を果たしているので、彼ら自身は今後、原発が作り出す電気を享受することができません。にもかかわらず、ちゃんと自分たちの問題として学び、考えている。子どもたちもそうですが、彼らを引率している先生もすごいと思いました。
低中レベルの核ごみの処分場の近くにある学校でも取材したところ、放射線の種類や性質、核ごみについて、ガイガーカウンターなどを使って教えているとのことでした。
一方、フランスの予定地近隣の町で住民に話を聞くと、賛同だけではなく、無関心や諦めを伴う反対など、様々なトーンの声がありました。動画に登場する1人目の女性のコメントからは政府のとってきた方法が垣間見えます。
事前に聞いた話によると、2010年代後半には負傷者や逮捕者も出るような激しい反対運動があり、昨年にも反対派による数百人規模の集会があったそうです。
日本は今後、どんな道を歩むのか。2日目のインフォグラフィクスで紹介したように、日本特有の事情や背景もあります。ドイツ以上に険しい道のりになるのかもしれません。それでもやはり、未来の世代に「丸投げ」するのは違うと思うのです。この特集が誰かにとって、核ごみ問題に関心を持つきっかけになったら嬉しいです。
【提言】「出口なき迷路」。日本の核ごみ問題への処方箋
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
日本の核ごみ政策の構造や経緯を最もよく知る1人、長崎大学の鈴木達治郎教授にインタビューしました。
昨日のインフォグラフィクスでも紹介したように、ただでさえ難しい核ごみ問題をより複雑にしているのが、使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルです。
元々再処理のコストは高くつくので、再処理+地層処分をすると18兆8000億円もかかります。しかもこれは約20年前の試算。今試算したらもっと高いでしょう。さらに、すでに完成を26回も延期している六ヶ所村の再処理工場は、事業費が年々膨らんでいます。
高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」の失敗もあり、日本の核燃料サイクルは明らかに行き詰まっています。その上、再処理せず直接処分する方がはるかにコストはかからないことも2012年の試算で明らかになっています。最終的にコストを負担するのは国民なので、この問題が半ば放置されていることに、国民の1人として疑問を感じざるを得ません。
原発を運用する31カ国のうち、再処理の方針をとっているのは日本を含む5カ国だけ。鈴木教授も指摘するように、直接処分という選択肢やそれを可能にする方策を今一度、真剣に検討すべきタイミングに来ているのではないでしょうか。
【徹底解説】核のごみ処分、ニッポンの現在地
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
特集第2話の今日は、核のごみを巡る日本の現状をインフォグラフィックで解説します。
もっとも重要な論点として、安全性と経済合理性を取り上げました。いずれも日本特有の事情が絡む話です。後者については、使用済み核燃料の再処理(核燃料サイクル)も深く関わってきます。
現状と課題を整理しつつ、立場の異なるさまざまな専門家や処分の実施主体(NUMO)の見解を紹介しています。
なかなか日常生活の中では意識する機会の少ない「核のごみ」ですが、私たちが支払う電気料金や将来世代の負担、ひいては日本の未来に関わる大事な問題です。
ぜひ皆さんの率直な感想や意見をお聞かせください。
また、今日の記事には盛り込めなかった核のごみの大きな論点として、福島第1原発の廃炉の問題もあります。800トン超の燃料デブリを含む大量の放射性廃棄物をどこにどう処分するかはまだ決まっていません。廃炉の方式を含め、これも先送りできない大問題です。
昨日の動画(入門編)を見逃した方は、ぜひそちらからご覧いただければ。
https://newspicks.com/movie-series/14?movieId=3572
【入門編】人類史上、最も危険な「ごみ」の片付け方
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
今日から始まる特集「どうする?核のごみ」は、原発を稼働することで出てくる「ごみ」がテーマです。
最も危険なものだと、人が近づくだけで数十秒で死んでしまうようなごみをどうやって処分するのか。
ドイツ、フランス、そして日本の3カ国で、現状や課題を取材しました。
第1回は動画で、そもそも核のごみって何?というところから、噛み砕いてお伝えします。
動画の必見ポイントは、ドイツの処分場とフランスの研究所です。
どちらも400m以上深い地下にあります。
それほど深い場所は初めてだったので降りていくときにはちょっと緊張しましたが、着いた先には思いがけない光景が広がっていました。
【新発見】マウスの体内に天然の「遺伝子治療薬」があった
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
サイエンスの面白さや奥深さを最新のトピックスを通じて伝える連載「ディープな科学」。今回は、RNAにまつわる新たな研究成果を紹介します。
RNAといえば、タンパク質をコードする遺伝子から転写(コピー)されたメッセンジャーRNA(mRNA)がまず思い浮かびますが、今回の主役は、タンパク質をコードしていない「ノンコーディングRNA」です。そしてこのノンコーディングRNAにはものすごくたくさんの種類があり、その多くが、mRNAに引けをとらない活躍をしているのです。
今回の研究成果は、新たなRNA医薬の開発にもつながるかもしれない、という点もさることながら、生命システムの巧妙さを知る上でもとても興味深い内容です。同時に、中川教授のわかりやすい解説で、「スプライシング」や「レトロトランスポゾン」といった、分子生物学用語を学べる内容にもなっているので、ぜひご一読ください。
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