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(free!)豊田会長の発言切り抜き問題とメディアビジネスの“宿命”
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
この記事は、情報の取り方やメディアの意義を考えるうえで、ぜひ読んでもらいたい記事。
朝日新聞が報じたこの記事は、SNSでも話題となっていたので私も目を通していました。
https://www.asahi.com/articles/ASS7L26DCS7LULFA00WM.html
不正問題で刺されたことに逆切れした豊田章夫会長が、「日本を出ていくぞ」という恫喝をしたように読めるのですが、「どうせ切り取りか、曲解で書かれたものだろう」と流してしまっていました。事実を事実として伝えてくれないメディアに絶望して、トヨタはオウンドメディアを立ち上げたわけで、「何をしても叩いてくる」というのはメディアの一部に対しての言葉だということは容易に想像ができたからです。
ただ、豊田会長が記者さんたちにお話になったその現場にいた池田さんの解説は、リアルですし、とても分かりやすい。朝日新聞のような記事が書かれる「構造」や、テクニックを知って、騙されないリテラシーを高めていくということがとても大事ですね。
それにしても「今「トヨタの味方」と見られるリスクを想像してみる」には、わかりみしかない。それこそ私も、反原発に回り、既存電力を叩き、「こいつらとんでもない」という方がよほど、よほど楽です。震災直後には、「そうした論調にするなら」という条件つきで、契約しないかという芸能関係者の方もおられました。大きな存在を叩くというのはそれだけである程度の商売になるんでしょうね。
今はだいぶ減ったとはいえ、それでもエネルギーの現場の話などをすると、「東電の回し者」と言われることがありますが、辞めて10年以上経つ会社のために無償でこんな損な役回りをやる人がいたら、断言しますがそれはアホな人です。
強きを叩くことで自分たちの存在意義を創出したいメディアに踊らされて、日本の国力を落とすというのは避けたいものです。
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【ゼロからわかる】今、電気代が「過去イチ高い」理由
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
「電気代高い!」からの、「エアコンの効率的な使い方は?!」という単純な報道が多い中で(それも大事な情報なんですが)、きちんと「なぜ高くなっているのか」を因数分解した記事で良いですね。
ただ、2021年秋ごろから始まった資源価格高騰による、電気代の上昇について、各国と比較すると、欧州諸国は日本とは比較にならないほど上がっています(日本はまだ”〇割の上昇”ですが、欧州諸国は”〇倍の上昇”という感じ)
私自身は、エネルギーはぜいたく品ではなく、価格の上昇は生活弱者や中小企業にとって極めて厳しいと思っていますが、ただ、価格が上昇するから省エネ投資が促進されるわけですし、それを補助金で誤魔化してしまうというのは、いわば麻薬だなと思っています。
電気代の構造を知ると、エネルギー政策について関心が出てくるかもしれませんね。わかりやすい記事だと思いました。
敦賀原発2号機 規制庁 26日に審査 再稼働初めて認めない可能性
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
この問題は、敦賀2号機の廃止という問題にとどまらないという前提で考える必要があります。
そもそもの話になりますが、敦賀原発を運営するのは、日本原子力発電という原子力専業の発電会社です。日本が、原子力の平和利用(原子力発電の活用)をすると決め、原子力基本法を定めたのは1955年。終戦からわずか10年のことでしたが、原子力発電を導入すると言っても誰がやるべきなのか。官主導か、民主導かは大きな論争がありました(河野一郎vs正力松太郎)。
日本は、戦時中電力を国家管理のもとに置いたことへの強い批判・反省もあり、正力が押した民営案が通り、日本原子力発電は電力会社の出資により設立されました。日本で初めての商用原子力発電所は日本原電のものです。
彼らは、茨城県東海と福井県敦賀に原子力発電所を持っていますが、ユニークなのはPWRとBWRという2つの型式を導入していること。原子力技術開発の役割を担っていたという歴史的な経緯を背負った会社です。
これからのGX・DXで電力需要が急増する見込みが示される中(さらに、IEAが
7月19日付のレポートで出したように冷房需要が急増する)、安全性の高い新たな原子力を導入するとすれば、JAEAなどの研究機関と日本原電が協力して取り組むことが必要です。
しかし、この敦賀2号機が廃止となれば、日本原電の存立を危ぶみ、いま安全対策工事を進めている東海発電所の安全対策投資について、金融機関が引き上げようとする可能性もあるでしょう。また、日本原電に出資する民間の電力会社もいま相当財務的に厳しい状況であるなかで、同社が倒れるなどと言うことになった場合、電力各社の財務をさらに毀損して、彼らの資金調達コストを上げる方向に行けば、さらに電力の原価を押し上げる要因になります。(仮定の話で恐縮ですが、仮定の話を考えておかねばならないのが現実社会)
また、使用済み燃料などの問題で、国際的・国内的に厳しく説明責任を問われることにもなるでしょう。
いずれにしても、前回の審査会合で、日本原電が更なる調査を要望しているのに、打ち切ろうとするのは異常であり、このまま廃止の結論をだすのなら司法の場に訴え出る必要があると思います。国民生活の将来を左右する大事な判断が、国会休会中、オリンピックで盛り上がる中でこそっと決まるなどと言うことがないように、議論を尽くしてほしいと思います。
石炭火力を35年までに廃止を、JCIが提言-ソニーGなど216団体賛同
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
CO2削減は大事なんですけどね。
猛暑による電力需要の急増で綱渡りの電力供給をようやく乗り切っているというところでこういう提言を出しますか・・。
そして、生成AIの活用等によって電力需要が急増すると見込まれる中でこれをいいますか・・。
[FT] 米電力需要、AIで急増 石炭火力停止の先送り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB172LT0X10C24A6000000/
電力供給の現場では、明日以降も続く猛暑を乗り切るために、例えば揚水発電(電気の供給に余裕があるタイミングで、水を上の池に汲み上げておいて、供給力が足りなくなってきたら上の池から下の池に水を落としてその落差で発電するものです。発電ではありますが、要は電気を使うタイミングをずらすためのもの=大規模な蓄電池です)をどう運用するかなど頭を悩ませていることでしょう。夜間は太陽光発電は発電しないので、夜間も電力需要が大きいままだと揚水発電を”充電”することが十分できないのです。
そういうタイミングでこのニュースを見ると、なんだかエネルギーの現実はどれくらい考慮されているのだろうかという気になります。
“危険な暑さ”で電力需給に厳しさ 東電は他社から融通 「効率的な電気の使用」呼び掛け
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
これだけ「危険な暑さ」になるということは、「危険な電力供給」になるということですね。
先ほど、OCCTO(電力広域的運用推進機関)から、発電機を持っている事業者への焚き増し要請(能力いっぱいまで働かせて!というお願い)と節電への協力依頼が出されています。
わかりづらいかもしれませんので補足すると、発電機を持っている事業者さんも、例えば電気を外部から買ったほうが安い、といったような場合には発電機は目いっぱい働かせていなかったりします。寝かせていたり、目いっぱい使っていなかったりするものを「発電能力が足りなくなっているので、あなたのところの発電機を働かせてください!」というお願いをしているわけです。
夏の日中は太陽光発電が発電するのですが、ただ、あまりに暑いと発電効率が落ちるのも事実。。。
東京電力管内の電気は、福島の原子力は廃止になり、新潟の原子力はまだ動いていませんので、東京湾岸の火力発電への依存度が6割くらいにもなっています。その多くが高経年化していますので、この暑さの中でフルで動かし続けると、どこかに不具合が出る可能性ももちろん考えなければなりません。
エアコンはこの状況で切ることはできませんので、できる範囲での節電をちょっと頭の片隅に置いていただければm(__)m。
大飯原発3、4号30年超え認可 規制委、新制度導入で初
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
日本のように、原子力施設の運転期間を定めている例は、諸外国を見てもありません。
全く違う技術ではありますが、車は何年前に製造されたものであっても、車検を通れば、人命を乗せるに足る安全性を有している、と判断されるわけで、その時点で設備の健全性を評価して判断するというのが基本です。
米国は当初のライセンス期間を40年、あとは20年ごとに詳しい検査を行いライセンスを発行するという方式であり、80年運転の許可を得る炉が増えています(確か、いま6基)。
ちなみに、当初40年のライセンスとしたのは「40年も経てば新しい技術もいろいろ出てくるだろう」ということと、「建設に携わった人が全員定年退職するとき」ということで、一度そこで判断するのが良いと考えられたと言われています。
政府が導入した原子力施設の運転期間(40年、60年)には、科学的根拠は無いと当時の国会での質疑でも明言されており、科学的な評価で判断するよう、落ち着いた状態で改めて議論することが必要でしょう。
それにしても、毎日新聞のプロピッカーの方が、能登地震で志賀原発が「間一髪で過酷事故を逃れた」などと書いていますが、イメージによる風評加害でしかありません。
北陸電力さんは、あれだけの被害を受けながらかなり適切に情報発信しておられましたので、賢明な皆さんには、メディアの風評加害記事ではなく、直接プレスリリースをご覧頂くことをお勧めします。
GX 実行の第2フェーズに向けて
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
5月に開催された第11回GX実行会議。
これまでの議論から、また一段階あがったといいますか、フェーズが変わったと捉えています。
政府資料(斎藤健GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)の、特にスライド12以降をご覧いただくと、日本経済が沈んでいくことに対する強烈な危機感が示されています。
グリーンはグリーンのためにやるのではないのです(それもあるが)。
グリーを契機とした、貿易戦争に生き残り、自国の守り(エネルギー自給率向上やサプライチェーンの国内確保など)を高め、国民の生活や経済をより良くするためにやるのです。
GXの第2フェーズに向けての議論をどう読むかを書きました。
ぜひご一読いただければ。
敦賀原発敷地の活断層否定できず 規制委結論、廃炉可能性も
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
原子力規制委員会の行政機関としての活動に、かなり課題があることは以前から繰り返し指摘していますが、日本原電への審査活動を詳細にみると、多くの疑問が出てきます。
まず、審査活動の頻度ですが、敦賀2号機の審査は、2023年9月以降、9ヶ月で6回の審査会合と現地調査、現地確認が実施されるなど、他地点と比べ短期間に集中しているように思えます。手厚く審査している、と言うことかもしれませんが、事業者側が規制委員会の宿題に応えるには時間もかかるので、短期間に審査を集中させた理由を聞きたいところです。
断層の活動性と連続性を並行で審査するとされて、連続性については、3月の審査会合で日本原電側から説明、4月現地確認、6月と7月の審査会合でコメント回答という同時並行という慌ただしさ、6月6、7日の現地調査では、連続性のコメントを当初の回答予定時期より早めて7月中旬までに回答するよう求めたようですが、ここにきて何を急に急いでいるのか。
新規制基準への審査については全般的に時間がかかりすぎているのは事実ですが、ここにきて急に半月、1か月を急がせるというのは、何かあるのでしょうか?
また、5月で確認は終えた、と規制委員会側から議論打ち切りととれる通告があり、事業者としては、追加調査の結果など説明の継続を主張したとのこと。規制委員会は、「事業者が追加調査を実施するのは否定はしないが、確認は終了したという姿勢を崩さなかったようです。「事業者が追加調査を実施するのは否定はしないが」というのはずいぶんな言い草で、行政機関としての規制委員会に対して、国会がきちんとガバナンスすべきことを示しています。米国の原子力規制では、議会が規制委員会に対してきちんとチェック機能を果たしています。
よもや国会閉会中にこれほどの重大な決定がされることはないと思いますが、この不安定な国際情勢の中で、エネルギーという生命線を確保する上で、極めて重大な判断であり、政府・国会でもきちんと議論していただきたい。
自民党の「原子力規制に関する特別委員会」が以前出された安全規制に関する提言は極めてよく考えられたものでしたが、改めてあの提言を活かして、より良い規制活動にしていただくことを祈ります。
上川氏「うまずして何が女性か」 静岡知事選の応援演説で
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
何事かと思えば、「この方をうまずして」との発言だったとのこと。
あたかも出産せずば女に非ずと言ったように報じていますが、「この知事を誕生させずして」、という文意であることは明らか。
第一報では「産まず」として出産のことを言ったというイメージを与え、その後「うまず」と平仮名に修正しているあたり、これはもうメディアの印象操作ではないですか?
日本の報道、ホントにどうなっているのでしょうか。
こちらは毎日の記事。
https://mainichi.jp/articles/20240518/k00/00m/010/236000c
こんな記事を、プッシュ通知で出してこないでほしい。というか、もう共同通信の記事はいいです。
【追記】共同通信の記事はいい、どころではなかったです。共同通信英語版の記事、皆さんご覧になりましたか?これは「捏造」というべきレベルではないでしょうか?
「Japan minister queries women's worth without birth in election speech(日本の大臣、選挙演説で出産しない女性の価値を問う)」
今回の記事、第一報では出産の意味を持つ「産む」を使って印象操作を行い、その後「うむ(生む)」に修正するなど少しずつ軌道修正をして責任を問われない形にしているようです。報道機関の行動としていかがなのでしょうか?
こんなことに世論が引っ張られてはいけないと強く思いますし、海外に向かって与えられた負のイメージをどうしてくれるねん、と思います。
https://english.kyodonews.net/news/2024/05/487c82dcc718-japan-minister-queries-womens-worth-without-birth-in-election-speech.html
2040年脱炭素戦略を年内策定 岸田首相が指示、電力需要に対応 - 日本経済新聞
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
GX実行会議に出席し、丸ノ内線で押しつぶされながら先ほど帰宅しました。
今日の岸田首相、斎藤経済産業大臣のお話には迫力がありました。「エネルギーは戦後最大の難所を迎えている」というのはその通りで、現実的に安定・安価なエネルギー供給を確保しながら、新たな社会システムに移行していかなければなりません。また、エネルギーを変革するだけではなく、産業構造の転換・産業立地の再編・GX市場創造といった産業政策と統合的に進めなければならないわけです。この激動期に入った国際情勢の下で。
こうした状況において、国家戦略を策定することの表明と、戦略策定に向けた議論で必要な論点の整理が今日の主な議題でした。
私自身は、政府が計画を描いて産業を誘導するというような経済発展は、『官僚たちの夏』が描いた時代で終わっていると考えており、政府の創造を越えた変化・スピードについていくには意思決定のプロセスを変える必要があるとも認識しています。ただ一方で、脱炭素という価値がまだ市場で明確にならない現状では、政府のビジョン提示が産業を動かす前提となります。この戦略が担うべき責任は大きい。
実はこの分野の政策はすごい勢いで進んでいますし、皆さんの生活・経済に影響する話ですので、今後も関心を持っていただければ嬉しいです。
電力価格の高騰抑制を 東京都、東電に株主提案
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
東京都のウェブサイトを見ると、定款に以下の条文を追加することを提案したようです。
>
第7章 電力価格の高騰抑制・安定供給の確保・再生可能エネルギーの活用促進
(電力価格の高騰抑制)
第40条 電力価格の高騰抑制に向け、次の取組に最大限努めることと
する。
(1)様々なコスト縮減を含めた不断の経営改革
(2)省エネや効率的な電気の使用の推進による利用者負担軽減の促進
>
東京都のエネルギー問題アドバイザリーボードの委員を依頼されているので、第1回で、「東京都の電気料金抑制に向けて知事にお願いしたいのは、柏崎刈羽原子力発電の再稼働に同意いただくよう新潟県の皆さんに頭を下げること」と申し上げたのですが、全く反応は無かったうえでのこの動きは、自分ができること、やるべきことを丸投げしているように思います。
そもそも電力の小売りは全面自由化しているので、安い小売り事業者がいればそこから買えばよいはずです。あれば、ですが。(むしろ自由化したにもかかわらず、「経過措置」として残置された規制料金が抑制されていたので、新電力と言われる新規参入事業者の価格の方が高くなってしまい、新電力が続々つぶれるという訳の分からない事態が発生しています。自由化したのか、自由化していないのか、東京都から経産省に聞いてほしい。)
自由化されて競争しているのですし費用抑制は当たり前、そして再エネ促進は公言しているので、定款に入れるというのは意味が分からない。株主として主張すべきことなんですかね?
知事のパフォーマンスが過ぎませんか。
海水からトリチウム検出 原発処理水放出口付近
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
この見出しよ‥。
海水から塩化ナトリウム(注:塩です)が検出されました!というレベル感なのですが、北海道新聞なども同じよう煽りタイトルで報じています。
「海水からトリチウム検出 原発処理水放出口付近:北海道新聞デジタル」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1008576/
本文にあるように「1リットル当たり13ベクレル」であり、「世界保健機関(WHO)の飲料水基準(1万ベクレル)は大きく下回っている」です。
タイトルを流し読みする方を不安にさせて反原発にできれば勝ち、ということでしょうか。
もうこういうタイトルは、読むべきメディアかどうが判断するリトマス試験紙ということで良いと思います。
再生可能エネルギー「足りないのに捨てる」いつまで 脱炭素に矛盾 エネルギー基本計画の論点(下) - 日本経済新聞
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
本文では、電気が一瞬一瞬で需要と供給をぴったりと合わせなければならない(同時同量)極めて難しい財であることに触れられてはいますが、全体として再エネの出力抑制は悪という論調であり、見出しの「足りないのに捨てる」に至っては、長い時間で見た需要量の話と混同しています。
その瞬間は、余っているから捨てるんです。需要に合わせて供給を調整するのは当然で、それを避けるためには蓄電池で供給のタイミングをずらしたり、電気を使うタイミングをずらすしかありません。ただ、蓄電池はエネルギーを生むわけではなくあくまでタイミングをずらすだけ。そのためのコストとしては蓄電池はまだ高すぎるので、再エネを大量に導入し余った時には捨てる方が安いのです。
使うタイミングをずらしても良い柔軟な需要を束ねるような取り組みも進みつつありますが、まだ十分ではありません。
「既に再エネに投資をした事業者」の立場にたてば出力抑制は少ない方が良いに決まっていますが、今後さらに再エネへの投資を拡大するのであれば、出力抑制は避けて通れません。
東京新聞、毎日新聞、朝日新聞はさておき、日経も、再エネをさらに導入すべき、と言いつつ、出力抑制を否定していますが、電気のイロハを理解しているのでしょうか?
2024年度の容量拠出金額を検証する、小売競争がゆがむなら容量市場は失敗だ
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
先日朝日新聞の「間違いだらけの有料記事」を批判しましたが、今度は日経エネルギーnext。こちらは新電力向けの媒体で、日経の名前を冠しているものの(日経本体のエネルギー関連記事も相当の低打率ではありますが)、その主張はかなりおかしなものが多いとして、以前から定評があります。
今回は、めちゃくちゃな謎理論を持ち出してきて、容量拠出金に抵抗しています。2020年11月にも同様の謎理論の記事を掲載したので、U3イノベーションズのnoteに解説記事も掲載しましたが、届かなかったのでしょうか。容量拠出金をオプション価値と捉えるのは間違っていませんが、具体的な定義が全く間違っている。もし意図的に謎理論で煙に巻こうとしているのであれば、相当に悪質と言わざるを得ません。
先日の朝日新聞やこの記事に辛辣なことを申し上げるのは、間違っているからではなく(間違っているくらいで怒っていたら、この分野の報道なんてほとんど読めない)、相変わらず日本のメディアが「二項対立を演出することで、この世界を悪くしていることに対してあまりに無自覚」だと思うからです。
メディアは「原子力vs再エネ」、「旧電力会社vs新電力」という構図を取り、旧電力会社に比べて不利な新電力や、原子力という悪に比べて善の再エネを優遇すべき、という主張に立つことがほとんどです。
その構図が何をもたらしたか。過剰なまでの再エネ優遇により、再エネ賦課金は膨張、自然との共生をないがしろにする甘いFIT制度が通りました。市場調達で電気を転売するだけの電力小売りが何百社も生まれ、消えていきました。
わが国の電力システム改革は、原子力停止と小売り全面自由化、再エネ大量導入の同時進行であったことに加え、限界費用玉出し強制という愚策によって、既存事業者の体力が急速に削られました。安定供給に必要な余裕が急速に乏しくなったことが問題になっています。この容量拠出金は、限界費用玉出し強制のおかげで「ただ乗り」していた人にもコスト負担をしてもらう「是正」。負担増と主張するのは、全体最適を考えていないことを示しています。
これまで電気事業に関わった経験の乏しい新電力の方たちに情報を提供する媒体は必要だと思っていましたが、こんな記事は変な被害者意識を与える以外に何ら効果はなく、むしろ有害。
これを書いた人、載せた人に問いたい。あなたは何をしたいのですか。
発電所維持費の負担開始 地域新電力、半数以上が「電気料金に反映」
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
こんな間違いだらけの記事を署名で出し、しかも有料記事にするという勇気に脱帽。
しかも、電子版と紙版で出すタイミングにかなり差があるようですが、(少なくとも関西地方では)今朝の一面だったとか。1週間ほど前に電子版でこの記事が出た後SNSでは「また朝日が容量市場で間違いだらけの記事を出している」と話題になっていましたので、それらを認識していないとは考え難い。こうした批判を認識したうえでこの記事を一面で出しているとすれば、確信犯で読者をバカにしている。
さらに、風力発電関連のスキャンダルで京都大学再エネ講座の方にはさすがにインタビューできなかったのか、自然エネ財団の高橋洋氏のコメントを掲載している。今のタイミングで自然エネ財団の関係者にコメント取って記事つくるって、もはや「すごいな」としか言いようがないです。
新電力だけが値上げしなければならないとすれば、それは、これまで安定供給のコストについて「タダ乗り」していたからです。
これでお金をとるのか。かえすがえすもすごい。
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