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【意外】米国で「超稼ぐ記者」が生まれている深層
NewsPicks編集部
杉本 りうこ
WSJとワシントン・ポストと言えば、米国を代表する名門新聞です。 この2紙両方で編集長を務め、今はメディア産業に投資するベンチャー・キャピタリストという、マーカス・ブロクリ氏に独占インタビューしました。 「メディアの生き残りには、ブランドが重要だ」。 彼がこう繰り返し指摘するのを聞きながら、最近圧倒されたある経済誌の特集を思い出しました。 それは英エコノミスト誌の「Homeland Economics」というカバーストーリーです。 地政学リスクが高まる中、各国が補助金を乱発して産業に介入し、自由貿易を歪める現象を「自国優先の経済学」として描きました。 この現象自体は、誰もがぼんやりと気づいているもの。 しかしそれを数々のデータで可視化し、さらに各国と世界の経済をどう蝕んでいくか鋭く批判したのは、さすがです。 そして何よりもハッとさせられたのは、以下のような下りです。 「エコノミストは1843年、自由貿易と政府の役割の制限を求めるキャンペーンのために創刊された。 この古典的自由主義の価値観は今、不人気であり、政治においてどんどん顧みられなくなっている。 しかし自国優先の経済学は結局、失望で終わるだろう……」 この下りを読んで改めて、特集が重みを増して感じられました。 自由貿易、市場経済、規制緩和を「信奉」するエコノミスト誌の論調は、いわゆるグローバル経済の勝ち組から受けが良く、庶民には鼻につく時もあります。 それでも時流におもねらず、独自の信念・価値観を180年!も掲げ続けてきた姿勢によって初めて、高級経済誌としてのブランドを維持できているのだと思います。 マーカス氏の指摘は決して、ブランドさえあればメディアは上手くいく、というものではありません。 しかしメディアがブランドを築き、それを維持するためにどれだけ弛まぬ編集努力が必要かと考えると、業界の末席に身を置く記者として、改めて身が引き締まる思いがしたのでした。
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【米国上場へ】世界に打って出るメディアが日本にあった
NewsPicks編集部
杉本 りうこ
メディアジーンという社名は知らずとも、この会社が運営するネットメディアは必ず目にしたことがあるはず。 私もガジェットマニアとして「ギズモード」を日々巡回して物欲に悶えたり、 「ルーミー」で連載「こぐれひでこの『ご飯日記』」を読んでは「毎日こんなに美食を堪能して、こぐれさんの健康は大丈夫か」と心配したり。 要は、コンテンツを楽しんでいます。 このメディアジーンが、台湾の同業と経営統合し、来春米国に上場します。 詳細は記事をお読みいただくとして、ここでは創業者の今田素子さんが熱く語った、もうひとつの話題を。 今田さんが起業したのは1998年(もうひとつの会社、インフォバーンの設立年)。 今でこそ女性起業家は珍しくありませんが、今田さんは先駆け的存在です。 自身の四半世紀にわたる経験を踏まえて今田さんが「日本の大問題」と指摘するのは、スタートアップ界隈におけるボーイズクラブ・カルチャーです。 日本の起業家における女性の比率は34%。 しかし資金調達額の上位50社で創業者か経営トップが女性の企業が手にした額は、わずか2%です(出所:金融庁)。 これでは女性の企業は、なかなかスケールできません。 この要因を今田さんは、以下のように指摘しています。 「日本の女性起業家には、経営に必要な情報が圧倒的に不足しています。 それは情報を共有する起業家と投資家のコミュニティが、男性中心だから。 ここに女性が入り込むには、男性に阿るか、名誉男性として振る舞うかしかないのです」 この起業生態系のボーイズクラブ化は米国にもあり、日本に限りません。 また起業界隈だけでなく、日本のあらゆる業界で女性は「男性に媚びるか、名誉男性としてマッチョに振る舞うか」の二者択一を強いられがちです。 女性だから「ゲタを履かせてもらえる」面もありますが、そもそもなぜゲタが必要かというと、男性と別のトラックで「育てられている」からでもあります。 「この現状を何とかして変える。それがライフワーク」と語る今田さん。 今田さんは順調なら来春、日本初どころか、アジア初のナスダック上場を果たした女性起業家になります。 このマイルストーンを機に、日本の女性起業家を巡る議論が活発化すればよいなと願っています。
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【朗報】「半導体のレジェンド」が日本の技術者を育てる日
NewsPicks編集部
【半導体】生成AIで「チップのカンブリア爆発」が始まる
NewsPicks編集部
杉本 りうこ
私が経済記者として歩み出したのは2006年。 最初に担当業界として割り当てられたのが、半導体でした。 その頃の日本の半導体企業の共通テーマは「打倒、サムスン」。 東芝も、今はなきエルピーダも、トップがこの御旗を掲げていました。 日本の半導体メーカーは、1980~90年代の猛烈な強さを失ってはいましたが、まだかろうじて世界上位に食い込んでいました。 この地位を守れるか。 存亡が問われた結果、悲しくも敗退していったわけです。 この当時、あるイベントに登壇したTSMC創業者のモリス・チャン氏は、日本企業に向けてこのような趣旨の話をしています。 「日本は半導体の製造にこだわるな。 TSMCという半導体受託製造の専業企業(ファウンドリー)が成立するのは、顧客である設計専業(ファブレス)があるからだ。 設計専業は主に米国の企業で、非常に成功している。 日本も製造ではなく、設計専業をやるべきだ」 この言葉には、経営者としてTSMCのビジネス領域を守る意味があったとは思います。 と同時に、世界の半導体産業で起こっている変化と、そこで生き抜く道を示した言葉でもあったと思います。 当時の半導体産業の、いえエレクトロニクス産業全体の一番大きな変化は、企業間の水平分業でしたから。 あれから17年。 今また、産業は大きく変わりつつあります。 日本が半導体復興を目指すなら、今度こそメガトレンドに適合した戦略を選ぶ必要があります。 今はまだないAIチップ、誰も見たことがない新しいコンピュータシステムを実現する半導体が、日本から生まれることを願ってやみません。
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【解剖】「疑惑のユニコーン」を肥大化させたエコシステム
NewsPicks編集部
杉本 りうこ
「日本版セラノス」HIROTSUバイオサイエンスを巡る第4弾です。 NewsPicks 調査報道チームの丹念なレポートは今日も続きます。 この特集、月曜からすべて濃密で圧巻です。 チームの皆さんに頭が下がります。 今回は、同社のビジネスを側面的に支える役割を担った、提携先等の企業と研究機関の責任を追及しています。 今回のスクープ特集に対し、「この検査、気になっていた」「この検査を受けようと思っていた」という声が多数ありました。 科学性、再現性に疑問符が点るこの検査、控えめに言っても未知数である検査が、なぜここまで広く知られ、何となはなしの信頼感を勝ち得たのか。 それは同社の「権威ある組織との関係を自社の信頼性に繋げる」戦略が「優れていた」からではないでしょうか? 企業の経営には、信用が不可欠です。 ヒト、モノ、カネに並ぶ重要な経営資源と言っても良いでしょう。 だからこそ、信用を供与する側には慎重な判断が求められます。 HIROTSUの外部企業や研究機関との関係を活用する戦略は、スタートアップとして当然の経営努力ではありました。 では企業や研究機関は、同社に信用を提供する可否を慎重に検討したでしょうか。 深層を追いました。
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