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厚労省、再生医療新法の対象範囲をin vivo遺伝子治療などに拡大へ
日経バイオテクONLINE
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
国内での遺伝子治療に関する定義と枠組みが整理されてきました。 理解しやすくするポイントは、遺伝子治療といっても、遺伝子に関する介入として 1. 特定の機能を期待して遺伝子(塩基)配列を持ち込む「遺伝子導入」 2. 特定の遺伝子(塩基)配列を変えてしまう「遺伝子改変」 の2つの分け方があり、それぞれの遺伝子操作を体の中(in vivo)で行うか、体の外(ex vivo)で行うかと考えることができます。 体外(ex vivo)で行うということになると、ほとんどが、操作を施した細胞を体内に打ち込むということになるので、投与する細胞自体の評価も必要になってきます。一方で体内(in vivo)で遺伝子を操作しようと思うと、正確に目的の標的だけを操作して、期待される効果を発揮する必要があり、その遺伝子の運び屋や、他の細胞に間違って影響を及ぼさないかなど安全性に対する技術的ハードルはとても高くなる傾向にあります。 しかしながら今まで対象になってなかった、体内で遺伝子を改変する in vivo遺伝子治療に関しても技術が進んできており、今後は再生医療新法の対象になる方向性です。 他方、細胞培養上清液を使った治療などは以前から規制対象外であり、再生医療新法ではカバーしないものの、このまま規制がないのも心配なところだと思います。 資料から、現状の遺伝子治療等の定義は下記の方向でまとまりそうです。 ① 遺伝子または遺伝子を導入した細胞をヒトの体内に投与すること (遺伝子の導入: in/ex vivo) ② 特定の塩基配列を標的としてヒトの遺伝子を改変すること (遺伝子の改変: in vivo) ③ 遺伝子を改変した細胞をヒトの体内に投与すること (遺伝子の改変: ex vivo) 厚生労働省:第5回再生医療等安全性確保法の見直しに係るワーキンググループ 資料https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21515.html
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ノーベル医学生理学賞に2氏 「温感と触覚の受容体の発見」
毎日新聞
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
今回の医学生理学賞は日本人が受賞していないので、例のごとくあまり取り上げられていないかもしれません。しかしながら、受賞時のリリースに記載されている Key publication には David Julius博士が責任著者である論文の共著者として富永真琴先生のお名前をリストに見ることができます。 Caterina MJ, Schumacher MA, Tominaga M, Rosen TA, Levine JD, Julius D. The capsaicin receptor: a heat-activated ion channel in the pain pathway. Nature 1997:389:816-824. 実験医学という業界の雑誌では、今回の受賞を記念して2014年に富永先生がTRP受容体の解説をした記事が無料公開されています。関係者の先生の日本語記事は貴重です。 TRPチャネル研究の現在と未来 https://bit.ly/jikkenigaku-2014vol32 上記のNatureの論文では唐辛子の主な辛味成分であるカプサイシンを感じる受容体を、カルシウムの流入を利用した発現クローニングの方法で単離しています。我々が外界を感じるためのセンサー(受容体)として様々な種類のものが存在しているわけですが、とりわけなぜ我々が「熱い」と感じることができるのか? その問を追う過程で単離されたカプサイシンの受容体、さらにはその受容体が有害な範囲の温度上昇によっても活性化されることから、生体内で痛みを伴う熱刺激を伝達する機能を持っていること示し、これが熱や痛みを感じるセンサーということを発見したというのが今回の大きなポイントとされています。 感覚を伝えるのは電気信号でありますから、もう一つの発見である機械刺激に関するセンシングと併せて、「温度や機械的な刺激は、神経系においてどのように電気的なインパルスに変換されるのか」という、それまでの未解決問題の理解に大きく貢献した事になります。また、これらの受容体を標的とすることで、慢性疼痛をはじめとするさまざまな疾患の治療法の開発に活用されているところで、医学的にもとても意義のあるものと思います。
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ディオバン事件でノバルティスファーマと元社員・白橋氏の無罪確定 最高裁が東京高検の上告を棄却
www.mixonline.jp
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
旧薬事法上の広告の解釈と照らしてこの判決ということで、この上告において仮に薬事法違反になっていたとしても、問題の本質にアプローチするには今後別の手当(広告に当たるか否か以外)が必要なのではないかと感じるニュースでした。 このような薬害など直接の被害者が出ていない状態で、しかし論文に不正があった場合には、社会的にペナルティを与える手段として適したものが挙げられなかったことを示している気がします。 個人的には薬事法上の広告には当たらない(三要件のひとつを満たさない)という解釈と、現実で間接的に生じる影響には大きく乖離があると感じます。 上記定義に当てはまる広告より、論文の方が業界的にはよっぽど重要でありインパクトも大きく、顧客/専門家に対しては広告"効果"の機能は大きく見えます。 "第一審、控訴審ともに、旧薬事法66条の法解釈、特に論文掲載が広告に該当するか、が焦点となった。控訴審では、広告の三要件のひとつである誘因性を主観的・客観的に備えていないとして、「顧客を誘引する手段に該当しない」とした。" 記事の最後にノバルティス社のコメントが掲載されていますが、この事件における業界への負のインパクトはとても大きかった。これらのケースに対しては、一社の再発防止に止まらぬ何らかの法的手当が構築されていくべきなのかも知れません。
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14日超えるヒト受精卵の培養 国際学会が解禁
朝日新聞デジタル
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
業界としては大きなトピックだと思います。 国際幹細胞学会の新しいガイドラインに関して、なにか危なそうなことが解禁された!という短絡的な解釈による誤解のなきように重要なポイントを補足させていただきます。 1)14日を超えて胚を研究する提案の審査と承認を義務付けること(解禁は解禁だが、その国や宗教的な状況に合わせて個別によりきちんと精査することを強く求めている点で誤解のないようにしたい) 2)サルとヒトの受精卵ができたことで、ハイブリッド動物についての議論が再開されたこともあり、この分野の科学者がどの実験が法的にも社会的にも受け入れられるのか、研究者は明確な境界線を必要としていること 3)今回のアップデートのタスクフォースでは、科学者、臨床医、倫理学者、弁護士、政策専門家など、45名の国際的な専門家で構成したチームで、18ヶ月間、100回以上の電話会議を行って完成させた 4)関連する世論調査や市民参加型のプロジェクトも参考されており、ガイドラインは、同様の専門家による査読を経ている 5)大きな点は「14日ルール」を緩和したこと。(この制限が提案された約40年前には、ヒトの胚を着床後5日以上培養することはできなかったけども、現在では組織が形成される重要な時期である14日から28日の間の研究ができない状態。これらの研究により流産や、心臓や脊椎などの先天的な異常の原因に重要な情報をもたらす可能性がある) 6)承認を得るためには、国民の十分な支持が必要である。これは、(世論調査などの)定量的な評価と(市民パネルなどを用いた)定性的な評価を行う必要があるということ 7)幹細胞を用いた治療法を早急に商業化することを禁止し、科学的根拠のない未検証で安全性の低い治療法を提供する悪質なクリニックの活動を抑制する方法も提案 8)ヒトの配偶子を持つ動物を繁殖させるような研究は、一切許可すべきではない 等です。ご参考になれば。
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拒絶反応起こさずがん攻撃 遺伝子改変iPS免疫細胞
共同通信
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
所属する金子研究室から免疫拒絶を受けにくいT細胞をiPS細胞から作製し、そこから作ったCAR-T細胞と白血病マウスモデルを用いてそのコンセプトを示した論文が Nature Biomedical Engineering に出ました。 免疫拒絶から守る手法としてこれまで、個人を識別するHLAという分子を欠損させて移植先の免疫拒絶から逃れる方法が進められています。一方で、実はHLAの欠損だけではカバーできない免疫システム(NK細胞等)も存在しており、今回はCD155という分子も追加で欠損させ、かつ、MHC class-I antigen E を導入して、より多くの免疫システムから逃れるコンセプトを示しています。 同時に、これらを共に欠損させてもT細胞の抗腫瘍力(マウスモデルにおける)を維持したままであることも示しているものになります。 この論文のプロジェクトが始まったのは4~5年前と記憶しております。その間にHLA欠損まわりの論文も多く出て技術としてメジャーになってきている中でした。もう一つ先のHLA欠損+αの可能性を示せたということで、王さん、おめでとうございます。 Published: 17 May 2021 Nature Biomedical Engineering | volume 5, pages 429–440 (2021) Generation of hypoimmunogenic T cells from genetically engineered allogeneic human induced pluripotent stem cells DOI : https://doi.org/10.1038/s41551-021-00730-z
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拒絶反応抑えたT細胞 がん攻撃維持、iPSにゲノム編集 京大(時事通信)
Yahoo!ニュース
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
所属する金子研究室から免疫拒絶を受けにくいT細胞をiPS細胞から作製し、そこから作ったCAR-T細胞と白血病マウスモデルを用いてそのコンセプトを示した論文が Nature Biomedical Engineering に出ました。 免疫拒絶から守る手法としてこれまで、個人を識別するHLAという分子を欠損させて移植先の免疫拒絶から逃れる方法が進められています。一方で、実はHLAの欠損だけではカバーできない免疫システム(NK細胞等)も存在しており、今回はCD155という分子も追加で欠損させ、かつ、MHC class-I antigen E を導入して、より多くの免疫システムから逃れるコンセプトを示しています。 同時に、これらをともに欠損させてもT細胞の抗腫瘍力(マウスモデルにおける)を維持したままであることも示しているものになります。 この論文のプロジェクトが始まったのは4~5年前と記憶しております。その間にHLA欠損まわりの論文も多く出て技術としてメジャーになってきている中でした。もう一つ先のHLA欠損+αの可能性を示せたということで、王さん、おめでとうございます。 Published: 17 May 2021 Nature Biomedical Engineering | volume 5, pages 429–440 (2021) Generation of hypoimmunogenic T cells from genetically engineered allogeneic human induced pluripotent stem cells DOI : https://doi.org/10.1038/s41551-021-00730-z
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米、コロナワクチン許可へ=FDAの諮問委員会が勧告―近く接種開始
時事通信社
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
オンライン会議拝聴しましたが、緊急使用許可という事に関する議論や言及が多くありました。サンプル数というより、中長期の副作用については検討できていないリスクを含みながらも、現時点での報告データでは恩恵の方がリスクよりも大きく、副作用に関しては慎重に観察しつつ使用許可という事です。 ここからは暴露される人数の規模が違いますし、多くの多様性のある人々に渡りますので、予想していない原因で有害事象(adverse effects, AE)や副作用(adverse drug reaction, ADR)が出る可能性があります。想定のあるなしに関わらず、有害事象が出たときにはそれが副作用なのか因果関係の分析を出来る様にデータ収集し、しっかりと頻度と共に追跡して行く事が求められています。そういった緊急使用許可に伴う責任もあります。 これは臨床試験とは違ってコントロール下で行える世界とは違う、所謂リアルワールドデータの話しとなり、言うのは簡単ですがとても大変だと思います。 多くの方に適応するので有害事象が上がってくるのは避けられない中、その有害事象(AE)が因果関係のある副作用(ADR)であるか否かの報道も言葉に気をつけながら行って頂きたいと思います。
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ファイザーのコロナワクチン、米承認へ前進 FDA報告書が支持
Reuters
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
10日のミーティングに先駆けて事前にイベントマテリアルが公開されています。 https://www.fda.gov/advisory-committees/advisory-committee-calendar/vaccines-and-related-biological-products-advisory-committee-december-10-2020-meeting-announcement#event-materials Date: December 10, 2020 Time: 9:00 AM - 6:00 PM ET 誰でも聴くことができます。 https://youtu.be/owveMJBTc2I そこに含まれる FDA Briefing Document ではこれまでの約4300人以上の治験のデータが報告されています。この資料により多くの人が直接情報を得やすくなったと思います。 https://www.fda.gov/media/144245/download これから最終判断されるところと思いますが安全性においてゼロリスクはない世界なので、承認の流れがとても強いと思います。ここまでの動きを短時間で行えたこと、メガファーマの資金力や保持するネットワークと経験が急事に果たす役割を感じます。 治験のリクルートとデータ収集はもちろんですが、個人的には治験薬グレードでこのタイプのワクチンを大量に用意する体制を用意できることが驚きます。 規制当局のリーダーシップ(特に今回の場合はCDER)は学ぶものがあります。ワクチンに限らず治療薬の方でのコロナウイルス治療促進プログラム(CTAP)などもそれを感じます。 当日は聴講したいと思います。
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iPS細胞使いコロナ治療法開発へ 京大で続々 免疫効果や病態解明など多角的に
毎日新聞
三嶋 雄太再生医療・幹細胞生物学研究者
個人的に良くしていただいている河本先生のリバーセルと藤田医科大学と共同で行う iPS細胞由来キラーT細胞による治療の記事。 10/14, 15 あたりから色んなところで記事になっており時制柄期待も高いと思います。ここでは現実的なタイムラインと技術要素について付け加えたいと思います。https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/19/news052.html 記事にある通り臨床試験に2〜3年以内を目指しているので実用はそこから試験結果を見ての流れになります。 すでにiPS細胞から一定の能力を持ったキラーT細胞を作り出すところは技術として存在しています。(iPS細胞から分化誘導したキラーT細胞としての機能を追い求める研究だけでも多くの競争がありますが)このプロジェクト特有の大きな課題は簡単に言うと「患者さんの中にコロナに感染した細胞によく反応して、過去にやっつけることができたキラーT細胞をとってこれるか。」ということになります。 そのキラーT細胞が標的を認識するのに使っている受容体の遺伝子情報をコピーして、iPS細胞由来T細胞に導入して、コロナに感染した細胞によく反応するキラーiPS-T細胞の集団を作ろうとしているというプロジェクトです。 導入するレセプターの情報を実際に導入してみて、非臨床試験で2〜3年以内にヒトに打っても良いような安全性のデータを取得するということになると思います。
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