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【2024H1調達動向】拡大するスタートアップの土壌
朝倉 祐介アニマルスピリッツ 代表パートナー
2024年上半期のスタートアップ資金調達動向。2022年に潮目が変わって以降の傾向が続いていますが、調達規模は前年同時期とほぼ同規模。それでも他地域と比べれば随分マシという印象です。一昨年や昨年は「スタートアップ冬の時代」というフレーズが盛んに叫ばれましたが、これが平常状態(もしくはまだやや過熱気味)と認識しておいた方が良いと思います。
最近は国内スタートアップに対して悲観的な見方や、IPOが厳しい故のM&A期待論を耳にする機会が増えましたが、これもシクリカルの一環かなと感じます。
8月22日に、こちらのレポートに関する恒例の解説セミナーを森さんと参加します。よかったらこちらも是非ご参加ください。
https://jp.ub-speeda.com/seminar/20240822/
【図解】ニッポンの会社を大改造。「物言う株主」はここまでやる
朝倉 祐介アニマルスピリッツ 代表パートナー
アクティビストのことを総会屋と同じように扱う方がいますが、両者は全くの別物です。
グリーンメーラーめいた要求を主張する高圧的なアクティビストも中にはいるのかもしれませんが、それはあくまで個々の問題。
私が過去に直接対話したアクティビストは提案内容も合理的でしたし、賛同できる点も多々ありました。
同時に取締役は本来、企業価値向上と少数株主保護のための「社内アクティビスト」でなければならないというのが持論です。
上場企業経営者としても社外取締役としても、その思いで今まで取り組んできたつもりでいます。言い方の問題はあるにせよ、執行側に対して耳の痛いことも言うのも仕事の内。それが嫌ならやめた方がいい。
スタートアップに第3の出口戦略 大手傘下で成長しIPO 日本発祥の「スイングバイ」に勝機 - 日本経済新聞
朝倉 祐介アニマルスピリッツ 代表パートナー
スイングバイIPOを目指すスタートアップが仮に増えるとすると、これから浮上するのは親子上場の問題。スイングバイIPOはその性質上、上場時に親子上場になりやすいからです。
上場後、子会社であるスタートアップが独立性のある経営が本当に実現できるのか、少数株主の利益がきちんと保護されるのか等、クリアすべき論点を思うと、ハードルは相当高いと感じます。
また、買収時点ではスタートアップ経営者に対して買収者が寛容な態度を示していたとしても、蜜月関係がその後も続くのかどうかはわかりません。
トップや担当者の交代、また時間の経過によって、親会社の態度が豹変するのはよくある話。
親会社の都合次第で、いつ何時、スタートアップ経営者が社長の座を追われるかわかりません。
この点、スイングバイIPOを検討なさる起業家の方には、絶版になっていますがクレイフィッシュ松島社長の顛末を描いた『追われ者』を是非読んでいただきたいと思います。2000年にNASDAQとマザーズに同時上場したスタートアップです。
今風に言えば、クレイフィッシュも「スイングバイIPO」に近い状態での上場だったと言えるでしょう。
親子上場については昨年、東証が親子上場の必然性に関する説明を求めるなど、より厳しい目が注がれるようになっており、昨今の東証改革とは完全逆行する施策です。
また同時に、親子上場企業は近年日本でも活動的になったアクティビストの格好のターゲットでもあります。
こうした論点を踏まえてもなお、スイングバイIPOが自分たちにとって理想的な施策なのかどうか、スタートアップ経営者は冷静に判断する必要があるでしょう。
ただ、売却側の意思以上に大事なのが、買収側がどれだけ節度を持ってスタートアップに向き合えるかどうか。
買収後にアンフェアな対応をした買収者の悪評は簡単に広まります。
元クレイフィッシュの松島氏が“告白本”,非ネット系の新事業で再起賭ける
https://xtech.nikkei.com/it/free/NC/NEWS/20020401/3/
追われ者: こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた
https://amzn.asia/d/19l53WV
「学生ベンチャー」が1200社近くまで増加 東大生「学生にとって『起業』は当然の選択肢」
朝倉 祐介アニマルスピリッツ 代表パートナー
先日、大学発スタートアップの経営者と話していたところ、直近の「大学発スタートアップ」に関して痛烈な批判を聞かされました。
曰く、「AIスタートアップ」の名の下に受託開発で小金を稼ぐようなスモールビジネスばかり。中には就活で話す実績づくりのためにスタートアップごっこに勤しむ学生が「学生起業家」を名乗る始末。
大学は大学で「起業家教育」というお題目の下、Yコンビネーターの劣化版のような小手先論をフォーマット化して講義しているものの、起業の本質論が伝えられておらず、グローバルにスケールする野心的なスタートアップを生み出そうという機運が全く作れていないとのこと。要は「志が低い」と。
彼の焦燥感は半分共感できる一方、日本の起業環境に関する悩みが随分と高度化して贅沢な悩みになったんじゃないかとも思います。
10年前なんて、スモールビジネスだろうと何だろうと、そもそもやる人がいなかったんですから。
草野球すらやったことない人間がメジャーリーグを目指せるはずがありません。たとえ「起業ごっこ」であろうと、まずは何かを実際に自ら始めた人を応援したいと思います。
スモールビジネス志向で始めた人の中から、いつかはより大きな課題に取り組もうというアニマルスピリッツが沸き立つ人も出てくることでしょう。そうした野心的な起業家がスモールビジネス学生起業家の中から出現するには、5年から10年程度のギャップがあるかもしれません。そうした予備軍がいることを、今は肯定的に受けとめたいと思います。
「志低い起業の奨励を」とは、まさに10年前に自分がNewsPicksで言っていたことでもありますし。
「志低い」起業論──日本発のイノベーション創出のために
https://newspicks.com/news/992940
ベンチャーキャピタル規範策定、有識者会議で異例の反発 - 日本経済新聞
朝倉 祐介アニマルスピリッツ 代表パートナー
海外機関投資家からの資金流入を促すために公正価値評価の導入を促進するのは良いのですが、これを全VCに対して一律に課すことになると、二桁億円前半規模のファンドは実質的に組成が不可能になると思います。
監査等の対応コストで年間に数千万円は追加費用が生じることになり、これでは肝心のベンチャーキャピタリストを採用することができません。
ましてや新規VCによる一桁億円規模の1号ファンドなど設立できるはずもありません。意図せずして、既存VCにとっての強固な参入障壁として機能することになるでしょう。
新規参入は不要でマイクロファンドは一律に退場せよというのが政策意図なのであるとすれば、さすがにそれは乱暴な議論でしょう。
機関投資家からの資金獲得を目指す大規模ファンド向けの枠組み整備を進めようということであれば結構な話だと思います。
また、「投資先の経営支援」といった文言を見るに、どうも官界の方々はVCの経営手腕なるものに幻想を抱いているのではないかと、「支援」を受けるスタートアップ経営者の立場だった現VCとしては感じる次第です。
経営経験の乏しい人間の筋違いなご指導なんて迷惑で不必要です。
【真相】あの有名な社外役員、株主総会の前日に謎の辞任
朝倉 祐介アニマルスピリッツ 代表パートナー
過去にインサイダー疑惑等も追求しているNewsPicksきっての社会派番組ということでおっかなびっくり出演しましたが、一連の経緯を説明する良い機会になりました。本来は株主総会の場でご質問いただければいくらでもお答えしたんですけどね。
社外取締役の役割は「企業価値の向上」と「少数株主の保護」を担う「社内アクティビスト」であると考えています。そうした職責の下、面と向かって言いにくいことも取締役会では相当踏み込んでお伝えしてきたつもりです。
これからの経営体制の移行を責任持って見届けることができないのは心残りですし、議決権行使助言会社のISSやグラスルイス、大量保有株主であるオアシスからも再任にご賛同いただいていた中で少数株主のご期待に応えられないのは残念ではありますが、社外取締役はあくまで株主からの負託を受けて活動するもの。必要とされる限りは職責の完遂に務めますし、不要と言われれば去るのみです。社外取締役のポストに執着する気は毛頭ありません。
以下、取材時のご質問にお答えした内容の内、動画から漏れたものを列記します。
・オアシス・マネジメントとのコミュニケーションについて
独立社外取締役全員が1on1を実施している。非常に建設的な議論ができたし、指摘や提案の多くはリーズナブルな内容だったと自分は認識している。一部、外部からわかりづらい内容については自身の見解を伝えた。
・佐藤氏の実績
佐藤氏が社長に就任して以降、企業価値は20倍以上に成長している。これは特筆に値する実績だと評価している。
・社外取締役としての取り組み
コミックスマート社のスピンアウトやOBガバナンスの撤廃など、執行側の方針に真っ向から反対する主張も時にはした。電通グループとの資本提携に際しては少数株主保護の観点と先方の支配権獲得を踏まえ、第三者割当増資における割当価格へのプレミアム上乗せやEPSベースでの説明追加などを最後まで主張した。
なお、取締役会における執行側の提案のほとんどは極めて真っ当な内容でした。
私自身はセプテーニには非常に大きな可能性があると思っていますし、大変好きな会社でもあります。
新経営チームの皆さんが新生セプテーニのさらなる発展を実現されることを心から望んでいますし、残られる独立社外取締役の皆さんも健全な緊張感を持って経営の意思決定をされることと期待しています。
NORMAL
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