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《休職・無職はキャリアの汚点になるのか》空白期間を肯定的に捉える「キャリアブレイク」という第3の選択肢とは
集英社オンライン
カスハラ対策、企業に義務化へ 「マニュアル整備を」 厚労省検討会
毎日新聞
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
従業員に対するカスハラは、事業者にとっても顧客からのハラスメント被害者という側面がありますが、事業者は事業者でカスハラに対する対応をしなければ従業員との関係では安全配慮義務違反になりかねません。これまでもカスハラの放置に関し、安全配慮義務違反を問われてきた裁判例が多数あります。 カスハラと安全配慮義務に関する司法判断は、十分に蓄積されていると考えられますので、事業者向け指針が出されるのは良いことだろうと思われます。カスハラの放置は、事業者にとって本来法的リスクのある行為であることが周知されるべきです。 カスハラをされた企業とカスハラをした企業・個人の紛争になりますが、直近では、札幌の扶桑物産に対しカスハラがあったとして東京の橋本総業が損害賠償請求をした事例もあり、また大阪の市役所の事案ですが、顧客である市民による公務員へのハラスメントがカスハラであるとして損害賠償請求が認められた事案もあります(大阪地判平成28年6月15日)。 カスハラ対応は、外に対する毅然とした対応、内に対するサポート対応と事業者に二重の負担を強いる構図にはなってしまっていますが、カスハラを受けた個人と事業者、いずれも泣き寝入りをすることがない社会になってほしいですね。
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16時に仕事が終わり、会社から人がいなくなる…フィンランドが「世界一幸せな国」であり続ける納得の理由
PRESIDENT Online
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
フィンランドの残業時間規制は、日本と比べても強力で、暦年で最高250時間且つ4か月間で138時間を超えてはならないとされています(フィンランド労働時間法第4条)。残業代も高額で、一日の最初の2時間は150%、これを超えれば200%です(フィンランド労働時間法第4条第17項)。 日本では三六協定を締結すれば年間360時間、三六協定の特別条項が締結済みであれば年間720時間まで残業が可能です。業種によっては、例えば運輸業者では年間960時間(!)も残業が可能とされています。日本の残業代は、125%が原則で月60時間を超えれば150%となるに過ぎません。 さらに、フィンランドは有給付与日数も多く、1年間同じ会社で働けば30日もの有給休暇が付与されます(フィンランド労働休暇法第3条、日本はその分祝日が多いという指摘もありますが、あらゆる労働者が有給で休める分フィンランドモデルの方が労働者に有利です)。 こうして見ると、効率的に働ける労働者にとって労働法上もフィンランドが魅力的に見えますが、一点落とし穴があり、フィンランドでは試用期間中の解雇は解雇理由が不要で通告さえすれば直ちに解雇ができます。一度正社員となれば解雇規制に守られるため、試用期間を切り抜けるために労働者は個人で切磋琢磨するわけです。
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「除斥期間」の主張取り下げへ 強制不妊訴訟で政府方針
共同通信
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
国のトップが司法判断に対してきちんと従い、他の訴訟でも主張の取下げを行えるよう指示ができるようになったのは間違いなく我が国の進歩だと思っています。 例えば、古くは尊属殺重罰規定違憲判決後、法律から同規定を削除するのには22年間がかかっています(国会はその間立法による対処をせず、専ら通達に基づく法の不適用で現場での処理がなされていました)。ハンセン病に関する「らい予防法」の廃止には、制定から43年もの時間がかかりました。一度GOサインを出したことから正式に引き返しをすることに多大な時間をかけてしまっていたことが我が国の一つの側面というのは否定し難いと思っております。 過ちを素早く認めることは、以後無駄なリソースをかける必要がなくなり、また無駄なリソースをかける代わりに有効なリソース活用ができるようになることから、国家リソース有効活用の観点からは二重に得です。 一方刑事司法の世界では、冤罪事件の振り返りのための再審請求に関し、未だに不合理な意地やプライドに基づいて不思議な抵抗をしている国家公務員の一団がいるように見えるので、岸田さんを見習って、間違いは間違いであると認められるような人間に、刑事司法を担ってもらいたいと思っております。
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大谷翔平選手の新居報道問題は、スポーツ選手のプライバシー侵害報道の分岐点になるか(徳力基彦) - エキスパート
Yahoo!ニュース
日本における取調べと自白の歴史
刑事司法の一隅を照らす
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
江戸時代よりも前の日本、たとえば室町時代では、否認を続ける被疑者に対して有罪判決を下すかどうかといったタイミングで湯起請の実施申出がなされることがありました。 湯起請は、お湯に手をつっこんで火傷をするかどうかで証言の信用性を検討する非科学的な営みではありますが、当事者の主張の食い違いについて客観的証拠に基づく判定がどうしてもできないようなケースに利用は限られ、無罪を主張する被疑者が、自身の潔白を証明するために自ら申出がされた例もあります。お湯に手を突っ込んでいるところは措いて、現代からすれば糾問主義的と評価され得るような中世の裁判手続においても、当事者の主張と客観的な証拠自体は重視していたことが伺われます。なお、湯起請の結果に関わらず客観的な証拠との不整合から「やっぱりあやしい/あやしくない」といった再検討はされていたようで、純粋な神頼みというわけでもなかったようです。 江戸時代では、訴訟体制の整備が進むにつれて非科学的な湯起請は廃れてしまいました。徳川吉宗は、相対済し令によって民事裁判にかける公費を削減し、公事方御定書の制定により、従来よりも裁判に効率性と合理性を追求しました。これらは、幕府の財政難を立て直す最中に打ち立てられた改革で、証拠の取扱いについても役人のスキルの上下によらずできるだけ公平かつ迅速な裁判が実施できるように工夫がされたといわれています。司法リソースを節約するための自白偏重という観点と、捜査の合理化という点では、現代日本でも同様の観点から自白を重視しているとも考えられますね。 公事方御定書では、自白をしない場合の拷問実施について謙抑的な在り方も説いており、自白を重視する一方で、虚偽自白が生じる可能性の高い取調べ手法を制限することも盛り込まれていました。また、これまで刑罰の重さに偏重していた刑事裁判の場を、犯罪者の更正に目をむけたものでもあり、近代水準でいえば不十分なのですが、理性的な面も見られるのが面白いです。
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解雇訴訟でマスク氏勝訴 旧ツイッター、退職金請求
共同通信
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
この訴えですが、連邦従業員退職所得保障法(ERISA)に基づくものですね。ERISAに基づく請求は、企業が具体的に後援する公的年金制度や構築された独自の年金制度を前提に行われるものですが、今回トンプソン判事からは、Twitter社の買収後プランは退職金制度といえるような設計は何もなされておらず、ERISAの適用はできないとされています。 どういうことかというと、日本の裁判でも「退職金を支給する」といった程度の就業規則上の記載では具体的な退職金請求権は発生していないとして労働者側の退職金請求が棄却された事例があり、退職金に関する制度は具体的に構築されたスキームを前提にしない限りワークしないことを示しています。退職金制度は日本でもアメリカでも義務的なものではないので、この結論は妥当です。 おそらくですが、本件は解雇にあたっての合意に基づく金銭請求が証拠上困難であるため、なんとか退職にあたっての解決金が支給されるよう退職金という法的構成を考え、ERISAに基づく請求を立てたのだろうと考えられます。そしてTwitter社にはそういった退職金制度が構築されていなかったので結局負けてしまったと読んでいます。 また余談ですが、アメリカ連邦法の解雇規制は確かに形式上は緩い(Employment at-will doctrine)ですが、組合の弱体化に伴って徐々に不当解雇と判断される事案は増えてきており、州法で上乗せ的な解雇規制が設けられていることや、解雇にあたってのガイドラインができる程度には解雇に気を遣うこと、日本はOECD加盟国でいえばむしろ解雇がしやすい部類の国で、適切な手続さえ踏めば普通解雇は意外とできてしまうところはなぜか誤解されているので知っていただけると嬉しいです。
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NORMAL