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【ニデックの買収劇から考える】今はM &Aブームなのか?経産省の新指針「同意なき買収」の中身とその行方は?
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
>「M&A関係者で全部を読んだのは、商売のネタを探した企業法務の弁護士ぐらいではないか」と嘲笑気味だった。
まさに飯のタネのために読んでみた弁護士本人ですが、上場会社間のM&Aに関しては一流のアドバイザーを抱える予算が十分確保されていることが通常であり、今更感が強いです、上場会社間のM&A担当者は困ったら一流の専門家に聞けばいいわけですし、一流の専門家とプレイヤーが常に知恵を絞り続けている世界なので
いま指針が求められているとすれば、事業承継需要のおかげで数も多いし予算もマイクロからラージキャップまで幅広く、とにかく実務が混沌としているPrivate Equityの世界だと思っています。
業務スーパー、運営会社社長が給料の原資を持ち逃げ…従業員が店舗を自主運営
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
こういうときのために未払賃金立替払制度があります。社長の夜逃げは同制度の適用が受けられる「事実上の倒産」に該当する可能性が高いため、労働基準監督署の認定をもって、8割までの未払賃金を受け取ることができます(退職をする必要もありますが、こんな会社を従業員が支える義理は一切ないですね)。
このニュースが教えてくれるのは、会社のEquity(株式)を持たない従業員の弱さに他なりません。いくら会社を思う気持ちがあっても、Equityを持っていなければ会社の経営に対して法的にNoを突き付けることはできません。
個人的には、スーパーを事実上運営できてしまっていた志ある従業員の方に起業していただき、素敵な事業者となってほしいと思ってしまいます。
《休職・無職はキャリアの汚点になるのか》空白期間を肯定的に捉える「キャリアブレイク」という第3の選択肢とは
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
無職であるという状態は、就労から形成・維持されていた社会的つながりやアイデンティティの喪失、就労規範からの逸脱、セルフエスティームや自己コントロール感の低下といった非金銭的な不利を伴うことで主観的厚生を下げ、さらに過去の無職経験の「傷跡効果(Scar(ring) effect)」によって長期間持続的に主観的厚生を下げていくことが指摘されています(『高齢層における過去の無職経験が与える主観的厚生への影響』前田豊 43頁)。
この傷跡効果は、高齢においては男性においてのみ影響が生じているようで、何故男性にだけそういった効果が生じているかは、いくつか解釈ができるものの(男性は働くのが当たり前という社会規範が一般的だったから等)、研究結果として判明はしていないそうです(同 59頁)。
無職を経験しただけで持続的に幸福感が下がっていくような規範に縛られて生きている現代こそ、キャリアブレイクといったような人生の肯定的な見直し期間が、個人の幸福感や、キャリア観、ひいては人生そのものに良い影響を及ぼし得ると期待をしています。私個人も無職だった頃を思い出して落ち込むことがあるので…
なぜ虚偽自白が生まれるのか
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
人事労務の現場でも、従業員同士のハラスメントに対する懲戒処分について「冤罪」が発生することがよくあります。本当はハラスメントをしていないのに、したと自白してしまい懲戒処分を受けてしまうことなどが分かりやすい例かと思います。
人事労務の現場では、特に身体拘束はしていなかったとしても、会社との関係や他の従業員との関係を有効に維持することや、オオゴトにされてしまったときの不利益を考え、穏便に済ませてくれるという会社側が用意した導線に乗って虚偽の自白をしてしまうことがあります。
身体拘束などなくてもそういうことが起きてしまうくらいですので、刑事裁判における冤罪問題の根深さは想像を絶します。
派遣会社で経歴詐称強要「違法」 代表らに賠償命令、東京地裁
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
以下の2点から本裁判例は珍しく、類似の裁判例はあまり見かけません。
①労働者ではなく派遣元が積極的に経歴詐称をしていたこと
②経歴詐称によって派遣先ではなく労働者が派遣元を訴えたこと
この裁判例は、そもそも経歴詐称はダメだ という価値判断が先行しているとは思いますが、この裁判例の考え方を敷衍すると、労働者の能力・キャパシティを無視した業務命令は、経歴詐称ではないとしてもケースバイケースで違法な業務命令になり得ることを示しています。
人を派遣すれば売上が経つ派遣・SESビジネスではこの点がこれまでも軽視されがちで、派遣先と労働者の能力のミスマッチが様々な紛争を起こしてきました。判断の根底にある考え方を裁判所が示してくれたことは、派遣ビジネスの在り方に対するいい牽制になったのではないかと考えます。
カスハラ対策、企業に義務化へ 「マニュアル整備を」 厚労省検討会
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
従業員に対するカスハラは、事業者にとっても顧客からのハラスメント被害者という側面がありますが、事業者は事業者でカスハラに対する対応をしなければ従業員との関係では安全配慮義務違反になりかねません。これまでもカスハラの放置に関し、安全配慮義務違反を問われてきた裁判例が多数あります。
カスハラと安全配慮義務に関する司法判断は、十分に蓄積されていると考えられますので、事業者向け指針が出されるのは良いことだろうと思われます。カスハラの放置は、事業者にとって本来法的リスクのある行為であることが周知されるべきです。
カスハラをされた企業とカスハラをした企業・個人の紛争になりますが、直近では、札幌の扶桑物産に対しカスハラがあったとして東京の橋本総業が損害賠償請求をした事例もあり、また大阪の市役所の事案ですが、顧客である市民による公務員へのハラスメントがカスハラであるとして損害賠償請求が認められた事案もあります(大阪地判平成28年6月15日)。
カスハラ対応は、外に対する毅然とした対応、内に対するサポート対応と事業者に二重の負担を強いる構図にはなってしまっていますが、カスハラを受けた個人と事業者、いずれも泣き寝入りをすることがない社会になってほしいですね。
メンバーに嫌がられる「時代遅れの上司」に共通する口ぐせ - アジャイル仕事術
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
部下の経験がないことを指摘する言動は、不法行為となり得るパワハラにスレスレの言動といえます。これに「新入社員以下だ」といった余計な修辞を入れてしまえば「屈辱を与え心理的負担を過度に加える行為」であると判断される可能性もあります(東京高判平成27年1月28日 労経速 2284号7頁等)。事実として経験がなかったとしても、その後適切な指導につなげることが重要です。
また、仕事のやり方の強要に関しましても、「過大な要求」の強要とならないよう注意する必要があり、上司こだわりの仕事方法、仕事量を従業員のキャパを踏まえずに押し通し続けた場合には、パワハラとされる可能性があります(東京地裁平成14年7月9日判決労判836号104:国際信販事件では、休憩も取れず土日出勤をせざるを得ないような仕事の振り方がパワハラとされました。)。
16時に仕事が終わり、会社から人がいなくなる…フィンランドが「世界一幸せな国」であり続ける納得の理由
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
フィンランドの残業時間規制は、日本と比べても強力で、暦年で最高250時間且つ4か月間で138時間を超えてはならないとされています(フィンランド労働時間法第4条)。残業代も高額で、一日の最初の2時間は150%、これを超えれば200%です(フィンランド労働時間法第4条第17項)。
日本では三六協定を締結すれば年間360時間、三六協定の特別条項が締結済みであれば年間720時間まで残業が可能です。業種によっては、例えば運輸業者では年間960時間(!)も残業が可能とされています。日本の残業代は、125%が原則で月60時間を超えれば150%となるに過ぎません。
さらに、フィンランドは有給付与日数も多く、1年間同じ会社で働けば30日もの有給休暇が付与されます(フィンランド労働休暇法第3条、日本はその分祝日が多いという指摘もありますが、あらゆる労働者が有給で休める分フィンランドモデルの方が労働者に有利です)。
こうして見ると、効率的に働ける労働者にとって労働法上もフィンランドが魅力的に見えますが、一点落とし穴があり、フィンランドでは試用期間中の解雇は解雇理由が不要で通告さえすれば直ちに解雇ができます。一度正社員となれば解雇規制に守られるため、試用期間を切り抜けるために労働者は個人で切磋琢磨するわけです。
「シュプリーム」を世界最大のアイウエア企業が2370億円で買収
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
VFは、2021年にシュプリームを21億で買い、今回15億で売っています。
シュプリームのビジネスモデルとVFのビジネスモデルでは買収シナジーが得られなかったとアナウンスをしており、買収シナジーが限定的なことが明らかになればM&A当初の想定よりも将来CFは当然減りますのでこれ以上保有し続けてシュプリーム株の価値が下がり切る前に売っておきたかったのでしょう。
VFにとって主力のVANSとTIMBERLANDも不振で赤字を垂れ流しているので、なんとか売りに出せるものを売りに出している印象です。
一方のエシロールルクスオティカは、サイズを問わないM&Aの繰り返しで企業規模を拡大してきたM&Aが上手な企業となりますので、エシロールルクスオティカがシュプリームの企業価値をどうやって成長させていくのか見物です。
「除斥期間」の主張取り下げへ 強制不妊訴訟で政府方針
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
国のトップが司法判断に対してきちんと従い、他の訴訟でも主張の取下げを行えるよう指示ができるようになったのは間違いなく我が国の進歩だと思っています。
例えば、古くは尊属殺重罰規定違憲判決後、法律から同規定を削除するのには22年間がかかっています(国会はその間立法による対処をせず、専ら通達に基づく法の不適用で現場での処理がなされていました)。ハンセン病に関する「らい予防法」の廃止には、制定から43年もの時間がかかりました。一度GOサインを出したことから正式に引き返しをすることに多大な時間をかけてしまっていたことが我が国の一つの側面というのは否定し難いと思っております。
過ちを素早く認めることは、以後無駄なリソースをかける必要がなくなり、また無駄なリソースをかける代わりに有効なリソース活用ができるようになることから、国家リソース有効活用の観点からは二重に得です。
一方刑事司法の世界では、冤罪事件の振り返りのための再審請求に関し、未だに不合理な意地やプライドに基づいて不思議な抵抗をしている国家公務員の一団がいるように見えるので、岸田さんを見習って、間違いは間違いであると認められるような人間に、刑事司法を担ってもらいたいと思っております。
「モンスター社員」を文章で見極める方法
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
高能力型の非倫理的な人間はむしろ文章能力が常人より卓越していたりするので、文章構成能力の高低で倫理性を計るのはやや疑問です。また、知能が高く倫理観に問題がない人間であっても、文章を書くトレーニングを十分な量受けていなければ稚拙なアウトプットになってしまうことも30代くらいまではよくあります。
確かにひとたび雇用をしてしまえば解雇までのハードルは高くなるのでスクリーニングが大事だというのはとてもよくわかります。ただ、採りたい人間と採りたくない人間の解像度を高めなければこのあたりはワークしません。記事の内容では、chatGPTに文章の添削をさせれば一発で搔い潜れるようなレベルのスクリーニングなので、各社の欲しい人材のペルソナに応じたスクリーニング方法が知れると採用側としてはうれしいです。
大谷翔平選手の新居報道問題は、スポーツ選手のプライバシー侵害報道の分岐点になるか(徳力基彦) - エキスパート
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
有名人の住所を面白半分で報道するのは昔から違法です。
ジャニーズのタレントの実家住所や電話番号を「おっかけマップ」として雑誌に掲載していた出版社がプライバシー侵害の主張をタレント本人から受けていたジャニーズゴールドマップ事件(東京地判平成9年6月23日判例タイムズ962号201頁)では、おっかけマップの掲載によってタレントの実家や家の前に多くのファンが集まり、写真を撮られる、郵便物の持ち去り、生卵の投げつけ、大量の無言電話の被害、洗濯物やゴミの盗難、落書き、ピンポンダッシュなどの被害にあったとされています。
同裁判例では、芸能人にはその職業上一定の制限はあるものの、営利を目的とし、本人に著しい私生活上の不利益を強いるような情報の公開までは受忍しなければならないものではなく、自宅住所の公開は違法であると判断されました。
25年以上前の裁判例ですが、大谷翔平の自宅を公開する必要性はスポーツ報道上特段の意味もなく、報道機関に自宅を公開させる意義に乏しいため、ジャニーズゴールドマップ事件と同様の判断がされる可能性があります。
日本における取調べと自白の歴史
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
江戸時代よりも前の日本、たとえば室町時代では、否認を続ける被疑者に対して有罪判決を下すかどうかといったタイミングで湯起請の実施申出がなされることがありました。
湯起請は、お湯に手をつっこんで火傷をするかどうかで証言の信用性を検討する非科学的な営みではありますが、当事者の主張の食い違いについて客観的証拠に基づく判定がどうしてもできないようなケースに利用は限られ、無罪を主張する被疑者が、自身の潔白を証明するために自ら申出がされた例もあります。お湯に手を突っ込んでいるところは措いて、現代からすれば糾問主義的と評価され得るような中世の裁判手続においても、当事者の主張と客観的な証拠自体は重視していたことが伺われます。なお、湯起請の結果に関わらず客観的な証拠との不整合から「やっぱりあやしい/あやしくない」といった再検討はされていたようで、純粋な神頼みというわけでもなかったようです。
江戸時代では、訴訟体制の整備が進むにつれて非科学的な湯起請は廃れてしまいました。徳川吉宗は、相対済し令によって民事裁判にかける公費を削減し、公事方御定書の制定により、従来よりも裁判に効率性と合理性を追求しました。これらは、幕府の財政難を立て直す最中に打ち立てられた改革で、証拠の取扱いについても役人のスキルの上下によらずできるだけ公平かつ迅速な裁判が実施できるように工夫がされたといわれています。司法リソースを節約するための自白偏重という観点と、捜査の合理化という点では、現代日本でも同様の観点から自白を重視しているとも考えられますね。
公事方御定書では、自白をしない場合の拷問実施について謙抑的な在り方も説いており、自白を重視する一方で、虚偽自白が生じる可能性の高い取調べ手法を制限することも盛り込まれていました。また、これまで刑罰の重さに偏重していた刑事裁判の場を、犯罪者の更正に目をむけたものでもあり、近代水準でいえば不十分なのですが、理性的な面も見られるのが面白いです。
【音声】弁護士が解説する「クリニック広告」の悪徳手口
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
御公開とコメントをいただきありがとうございます。
実際の広告例を交えてもっといろいろお話をしたかったところでした。
広告規制の世界に興味を持っていただくきっかけになっていただけると嬉しいです。
広告系の記事を見かけ次第、なるべく楽しく学べるようなコメントは今後も心がけていきます。
たまたまコメントを見かけましたので回答をいたしますと、●●ザップは、医療ではないので医療広告規制には該当せず、景品表示法が問題になり得ます。「痩せ」に関する表現に対する規制は非常に厳しく、過去には消費者団体から返金期間に関する申入れがされたこともあります(有利誤認表示)。消費者団体がよく目をかけている事業者の一つであるため、何か問題があれば消費者団体が動くであろうと思われます。
解雇訴訟でマスク氏勝訴 旧ツイッター、退職金請求
松下 朋弘ユニヴィス法律事務所 弁護士
この訴えですが、連邦従業員退職所得保障法(ERISA)に基づくものですね。ERISAに基づく請求は、企業が具体的に後援する公的年金制度や構築された独自の年金制度を前提に行われるものですが、今回トンプソン判事からは、Twitter社の買収後プランは退職金制度といえるような設計は何もなされておらず、ERISAの適用はできないとされています。
どういうことかというと、日本の裁判でも「退職金を支給する」といった程度の就業規則上の記載では具体的な退職金請求権は発生していないとして労働者側の退職金請求が棄却された事例があり、退職金に関する制度は具体的に構築されたスキームを前提にしない限りワークしないことを示しています。退職金制度は日本でもアメリカでも義務的なものではないので、この結論は妥当です。
おそらくですが、本件は解雇にあたっての合意に基づく金銭請求が証拠上困難であるため、なんとか退職にあたっての解決金が支給されるよう退職金という法的構成を考え、ERISAに基づく請求を立てたのだろうと考えられます。そしてTwitter社にはそういった退職金制度が構築されていなかったので結局負けてしまったと読んでいます。
また余談ですが、アメリカ連邦法の解雇規制は確かに形式上は緩い(Employment at-will doctrine)ですが、組合の弱体化に伴って徐々に不当解雇と判断される事案は増えてきており、州法で上乗せ的な解雇規制が設けられていることや、解雇にあたってのガイドラインができる程度には解雇に気を遣うこと、日本はOECD加盟国でいえばむしろ解雇がしやすい部類の国で、適切な手続さえ踏めば普通解雇は意外とできてしまうところはなぜか誤解されているので知っていただけると嬉しいです。
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