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【最新レポ】コロナの救世主mRNAは、がんも征圧するのか
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
mRNAワクチンといえば新型コロナの予防ワクチンですが、実は元々、mRNAの医療応用における大本命はがんでした。臨床試験の有望なデータも出てきつつあります。最新の開発状況を取材しました。
「がん治療ワクチン」というと、これまでなかなかうまくいかないイメージがありましたが、期待される理由や臨床試験のデータを知ってなるほどと思いました。
また、この記事の編集作業中にもRSウイルスワクチンがFDAに承認されるなど、幾つかの新しい動きがありました。新型コロナのワクチンの取材時にも開発のスピード感に驚かされましたが、改めて、進展の目まぐるしい分野だと感じます。
【最新研究】反物質を落としたらどうなるか、実験してみた
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
サイエンスの魅力や奥深さを伝える連載「ディープな科学」。今回のテーマは「反物質は地球の重力によって落下するか」です。
映画や漫画、アニメなどで時々、登場する「反物質」ですが、実は「落下するのか」というごく基本的なことがまだわかっていなかったんですね。(もちろん記事本文では、反物質とは何かというところから丁寧に解説されているので、反物質なんて初耳、という方もご安心を)
反物質はこの宇宙にはほとんど存在しない物質ですが、加速器を使ってほんの少しなら作り出すことができます。どうやって作り出し、どうやって「落下」するかどうかを調べるのか。創意工夫が詰まった実験の方法にご注目ください。
取材の際、物質と反物質とで重力の働き方が全く同じなのかが気になり、「同じ実験を(普通の物質の)水素でやったらどうなるのか」と質問してみました。藤原さんによると、意外にも水素は、今回使われた反物質以上に検出が難しいなどの課題があり、現時点では全く同じ実験はできないのだそうです。でも将来的には、水素でも実験して比較したいとのこと。今後の研究の進展も楽しみです。
言わずもながですが、バナーでリンゴの木の下にいるのは、万有引力の法則を発見したニュートンです。ニュートンの時代には反物質の存在すら予測されていませんでしたが、もし現代に蘇って今回の実験を知ったら、きっと大興奮したに違いありません。
【解説】mRNAワクチンは「危険」の主張をどうみるか
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
最近、新型コロナのmRNAワクチン接種によって死亡を含む深刻な健康被害が多発しているという主張を目にする機会が多くなっています。果たして本当にそう言えるのか、取材しました。
mRNAワクチンはパンデミック下で初めて承認されたワクチンですが、短期間でこれだけたくさんの人が接種したワクチンも他にありません。有効性や安全性については大量の論文が出ていますが、中でも注目すべきは、米国などで行われた大規模なコホート研究です。
後半では、今後もワクチンを接種すべきかどうかについて、専門家のアドバイスを紹介しました。新型コロナの後遺症の予防効果についての報告と合わせ、読者の皆さまの参考になれば幸いです。
92兆円のバイオ市場どうつくる。双日が米「合成生物学」パイオニア、日本展開へ業務提携
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
ギンコ・バイオワークスは、MITで2003年に合成生物学の講座を立ち上げた「合成生物学のゴッドファーザー」、トム・ナイトが、かつての教え子たちと作った企業です。生物学と工学を融合させたその伝説の講座は、今も続く学生の国際大会「iGEM」に発展しました。iGEMはこの分野の人材育成に大きく貢献しています。
もう8年ほど前になりますが、以前、ボストンにあるギンコの研究施設「バイオファウンドリ」を見学したことがあります。すでにロボットによる実験のオートメーション化が確立され、「バイオものづくり」を効率的に進める環境が整っていることに驚きました。また、同社の研究者は、人の皮膚に生息する細菌を使ってチーズを作るという、合成生物学のプロモーションを兼ねた研究プロジェクトについて話してくれて、すごく面白かったのを覚えています。
ギンコの事業が今後、日本でどんな展開を見せるのか、楽しみです。
<神への挑戦>ゲノム編集ベビー「やがて世界は受け入れる」初作製の中国研究者(毎日新聞)
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
2018年にゲノム編集ベビーを誕生させたと発表し、約3年間収監されていた賀建奎氏が、人の胚(受精卵)を対象とした研究を再開したとのこと。日本メディアでは初の単独インタビューという意味でも要注目です。
賀氏は昨年6月、自身のSNSでアルツハイマー病の治療法開発の目的でマウスやヒトの胚をゲノム編集するという研究計画を公表していました。そこではゲノムを改変した胚を子宮に移植して子供を誕生させることはしないと書かれており、今回のインタビューでもそれを明言しています。
しかし、子宮に戻さないなら問題ないかというと、そう単純な話ではありません。ゲノム編集ベビーの誕生以前には、中国を中心とした複数の研究グループによりかなり拙速とも言えるヒト胚の改変研究が行われており、それが賀氏による「臨床応用」の呼び水になったとも言えるからです。
一方で、「難病の治療目的ならゲノム編集は許されるのか」については、まだ国際的なコンセンサスは得られていない状況です。たった一つの遺伝子改変であっても他の遺伝子の働き方に影響を及ぼすなど思わぬ副作用が起こり得ますし、「改変ミス」も防ぎきれません。人が人を改変していいのか、というさらに重大な倫理的な問題もあります。
重大なルール違反をした賀氏が再びヒト胚を使う研究に戻ること自体に対しての批判の声もあるでしょう。今回のインタビューでも過去の試みについて説明責任を果たしたとは言えません。
卵子や精子は試験管内で作れるか。「命をつなぐ細胞」の秘密
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
iPS細胞から卵子や精子を作り、受精させて子を生ませる……。まるでSFのようなことが、マウスではすでにできるようになっています。
この分野のトップランナー、京都大学の斎藤通起教授のインタビューをお届けします。研究の動機から現状、そして今後の展望まで、じっくり語っていただきました。
将来起こりうる倫理的な課題について考えるために、哲学の勉強会を開いているというお話が印象的でした。最先端の研究がもたらす新たな課題にどう向き合うか。技術が確立されてからの議論では間に合いません。
研究の最先端を最もよく知る科学者自身が、率先して思索を深め、議論に参加する意義は大きいと思います。
【視点】ドイツは「核のごみ捨て場」をこうして選ぶ
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
ドイツと日本。高レベル放射性廃棄物の処分場選定の進展具合という意味ではさほどの違いはないのですが、プロセスには大きな違いがあるように思います。透明性の高さや市民参画の仕組み作りという点で、ドイツは日本のだいぶ先を行っているというのが、今回の特集を終えての率直な印象です。
違いは取材への対応でも感じました。日本の実施主体のNUMOは面会取材に応じず、メールでこちらの質問に回答するのみでしたが、ドイツでは実施主体のBGE、規制機関のBASEともに気さくに取材に応じ、ドイツが現在のプロセスに至った理由や現状を丁寧に説明してくれました。
一方、選定プロセスにはすでに遅れも生じています。国民の関心を高め、理解を得ながら、候補地を選び、絞り込めるのか。脱原発に続くドイツの挑戦の行方に、今後も注目していきたいと思います。
そして、ミランダ・シュラーズ教授へのインタビューは今回が2回目。1回目はオンラインだったので、やっと対面でお会いできて嬉しかったです。
記事中で紹介したフォーラムの様子は特集の動画でも出てきますので、ぜひ併せてご覧ください。
https://newspicks.com/movie-series/14?movieId=3582
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