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収益改善、期待できず=ファンド傘下で、再ストも示唆―そごう・西武労組委員長
時事通信社
高橋 義仁専修大学 商学部教授
そごう・西武の労働組合は、その親会社であるセブン&アイHDが第三者に株式を売却しないよう、労働者の正当な権利に基づき、そごう・西武の経営陣に対してストライキを行いました。株式会社のルールに基づけば、ストライキを行われたそごう・西武は、その親会社によるそごう・西武の株式売却を止める権限は有しません。この一件をもって、セブン&アイHDとしては、ますます売却を急ぎたくなるように見えました。 労組の短期的目的(売却阻止)が達成できる可能性があったとすると、売却予定先であるフォートレス・インベストメントがそごう・西武の購入を危険と考えて購入契約を撤回することでしたが、そうはならず、2200億円程度で株式売却は実行されました。 一連の労働組合の強硬姿勢が影響したか明らかではありませんが、今回の売却に伴い、セブン&アイHDがそごう・西武に貸し付けていた内の900億円が、フォートレス・インベストメントから付加的に放棄させられています。その結果、そごう・西武が抱えていた負債を引くと、実質、数千万円程度の売却になりました。それでもセブン&アイHDは株式を手放すことを急ぎました。セブン&アイHDには、本体の財務に影響を及ぼすほどの非常に高い勉強料になったと思います。 そごう・西武の労働組合は、新しい親会社(フォートレス・インベストメント)に対しても、「赤字の地方店を放置し、一番の稼ぎ頭をたたき切るもの」と批判、「新たな親会社の下で4期連続赤字の収益構造が転換する見込みには全くない」とし、「再度のストライキを行う姿勢」としています。 そごう・西武の事業内容を分析すると、赤字が積みあがり続ける構造になっており、再建のためには、客観的にみて同社の事業形態の見直しが不可欠だと思います。そのような中で、事業構造の転換に対して一切を拒否するような労働運動の目的は何を創造するためなのでしょうか。この状態が続けば、経営側としても債務超過企業に対して適用できる手段に訴える必要が出てくるでしょう。
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東京都が“インフル流行注意報” 患者報告数が基準超え 調査開始以来もっとも早く
日テレNEWS
《ジャニーズ性加害問題》ジュリー氏「代表取締役残留」は相続税支払い免除のためだった 国税庁関係者は「被害者やファンを馬鹿にした話」
文春オンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
国税庁関係者は、税制に基づきその基準を正しく適応する業務に携わっているのであり、「被害者やファンを馬鹿にした話」とは絶対に言わないはずです。公務員は業務上、このような個人の感情に基づく私見を述べることはできませんし、この基準にあてはめるか否かは都道府県の窓口が判断することになっており、その判断に国税庁は従う必要があります。 本件を考察する上では、まずは「事業承継税制」を理解する必要があり、それ以前に法的根拠になっている「経営承継円滑化法」も理解する必要があります。経営承継円滑化法は「中小企業の事業承継を後押しするために創設された法律」で、税制や金融支援などの優遇措置の充実が図られることが目的とされています。 同法適用の認定は都道府県が行います。円滑化法に基づく認定がされると、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予されます。この事業承継税制には、会社の株式等や個人事業者の事業用資産がともに対象になっていますが、ジャニーズ事務所は会社形式ですので、全社として適用を受けている可能性があります。現在猶予されているなら、期間内で基準を満たさなくなれば過去に遡り納税の義務が発生しますから、延滞税の対象にもなるでしょう。 ジャニーズ事務所としての存続を優先したいのであれば、特例税制の権利を放棄する判断も必要だと思いますが、税制特例を優先したいのであれば企業を存続させながら、タレントを自由にさせる(事実上事業はやめる)選択をするかもしれません。 それ以前に考えるべきことは、「親が行っていた事業を相続が発生する子らが継承する場合に認めている相続税控除」の是非についてです。全盛期のジャニーズ事務所のように、制度がなくても後継者に困らない場合や、税制の優遇だけで存続価値に乏しい企業を存続させることのデメリットを検討すべきですが、これは法律の問題ですので、ジャニーズ事務所の事案と分けて考える必要があるでしょう。
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社外役員兼任4割増の2500人 23年、女性候補少なく
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
社外役員とは、企業の業務に携わっていない取締役や監査役のことです。企業は株主の集合体(以下、株主)のもので、株主は能力が高い経営陣(=取締役)による事業運営を望みます。しかし、株主と「トップマネジメント(=執行役など)」の利害関係は必ずしも一致しません。利害関係者が取締役に入ると、株主の意見が通らないというデメリットが起こりやすくなります(少なくとも外形的には)。 取締役や監査役は株主総会で選任される株主の代表者という位置づけですから、取締役は基本的に社外人材で構成されるべきであるという理屈になり、実際、欧米大企業のコーポレートガバナンスでは、株主に納得してもらうため、社内から選任される取締役をCEOやCOOを含んだ0~2名に留めているところが多いと思います。 社外取締役の必要性は、第1に「外形基準」を満たすため、第2に多面的な視点から経営のアイディアやリスクの所在と言った視点を確保する「ダイバーシティ」の獲得にあります(女性の選任もこれを目的にしているといえます)。国際的なフィールドで事業を行うなら、社外取締役の割合を増やす必要があり、特に女性の取締役が増えている理由です(ダイバーシティをいうなら多国籍でも構成されるべきと考えられます)。 近年日本企業でも増加する社外取締役ながら、形は重視しながらも役割は発揮してほしくないかのような、以下のような選任例は気になります。 (1) 実質的に非独立 トップマネジメントの「取締り」をするためには、企業運営の問題点を把握する高度な能力が必要ながら、能力を発揮されるとトップマネジメントの自由度が低下することを嫌い、グループ企業や仲間内などから円環状的に選任するケースや他社と兼任する取締役をあえて選任するケース。 (2) 高額すぎる報酬 月に数日程度だけ勤務する(本業や他社との兼任で忙しい)社外取締役に対し、極めて高額報酬を設定することにより、企業の「トップマネジメント」に対する忖度を期待しているとみられるケース(あるいは結果的に)。 (3) 都合の良いダイバーシティの解釈 「企業イメージが向上する」方を選任するのは良いのですが、企業経営者に意見を言えるレベルでの経営への高度な専門性を有しない方を敢えて選任するケース。 取締役の意味が正しく理解されないと、コーポレートガバナンスの質の向上は日本では難しいと思います。
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《ジャニーズCM打ち切り問題》元ネスレ社長独占告白! 看板商品のCMに退所後の香取慎吾さんを起用した「タレントには罪がない」という理由
現代ビジネス
高橋 義仁専修大学 商学部教授
リスクマネジメントとして当然のことが書かれていますが、日本でできていたことに対してプロ経営者の見識を感じます。香取慎吾さんを助けたいからあえて使ったということよりも、「前事務所所属ではリスクマネジメントの点から使えなかった」ということだと思います。企業経営に必要な判断ですが、現状、これができていない経営トップが多いため、トップが広告に対する判断をすることの手本にしたいところです。 日本ではタレントの活用が横並びになりがちです。経営トップが関与しないことにより、担当部署レベルは「単純に売り上げ重視のための無難な選択」をしたがり、したがって「広告代理店の提案通り」を受け入れがちになり、また広告営業も「特定のタレントを抱える事務所に便宜を図ってもらうためにその事務所を推す」という流れになります。このような構図が、日本の広告の現状につながっているといえるでしょう。 記事には書かれていませんが、欧米(特に米国)の場合、不祥事のリスクから企業本体を守るために、ブランドは製品単位で構築するという考え方が主流です。私が関係していた医薬品産業では、医薬品自体にどうしても副作用などのリスクがあるため、製品名と企業名と関連付けすぎないようにすることが意識されていました。マーケティングには高額な支出をするのですが、考え方や使い方において、日本とは異なる点があります。 同様の意図から、タレント自体にも(不祥事)リスクがあるため、商品とタレントを関連付ける場合はメリットがデメリットを上回る場合にとどめているように思います。つまりは、イメージキャラクターとしてのタレントの活用は、製品内容の判断が難しいセグメント(および想定する消費者)の商品にとどめるという考え方です。
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正式社名「日本電信電話」は「事業とマッチしていない」…NTT社長が社名変更に言及
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
現在のNTT(The Nippon Telegraph and Telephone Corporation: 日本電信電話)の名称は事業内容を表していません。企業名をつける際に想定されていた電信(電報)事業は限りなく小さく、(専業としての)電話事業でさえ今後存続しないでしょう。 しかしながら、事業ドメインと企業名との一致性は必ずしも必要ではなく、その内容は経営理念や経営ビジョンで補うことができます。したがって「名が体を表さない」名称の是非は、その企業の事業ドメイン(領域)の関連性を重視するか、ブランドを重視するかで異なってきます。 IBM(International Business Machines Corporation: 直訳=国際事務機器)の語源は、手動計算機などの事業を手掛けていた同社の当時の事業を反映したもので、1924年のIBM創立以来使われて続けている名称ですが、いくつもの変遷を経て、同社の現在の主力事業はITコンサルティングに移っています。 GE(General Electric: 直訳=一般電機)の語源は、1892年のトーマス・エジソンが設立した電気・機械製造企業をもとにして使われ続けている名称ですが、現在は電気事業のほか、航空機エンジン、金融事業、コンサル事業など、多分野に事業を有する多国籍コングロマリット企業ながら、この名称を使っています。 NTTの名称を変える理由は、事業ドメインとのリンクを重視するというもので、変えない理由は伝統の企業ブランドの継承の重視からというものになります。
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ジャニーズ性加害問題、タレントの広告起用で揺れる企業
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
基本的に企業はイメージアップのためにタレントの力を借りているので、逆効果になるなら依頼することはありません。そのタレントが社会的責任を果たしていない企業に所属していた場合はタレントの責任ではなく気の毒に思いますが、仕事を依頼するのがクライアントである企業である以上、企業の判断が全てです。 企業がどのように判断するかですが、立場を利用して「児童に対する性犯罪」を長期間行っていた代表者の過去の実態が不明確なままだと、犯罪に対する贖罪・精算がされているとみなすことはできず、一般に取引を継続することは難しいという判断が主流になると思います。特に、欧米は取引の際の規則が厳しく、児童に対する性犯罪の懸念が払しょくできないと判断した場合は、消費者の不買を招く恐れも考慮に入れると、日本企業より取引を避けたがる傾向にあると思います。 事務所がすべきことは、「どの角度から見ても隠蔽することができない」という社内の組織体制と、「被害にあわれた方に真摯に向き合っている事実」を社会に認めてもらうためにできることをすべてすることです。逆に、隠蔽や保身の雰囲気を少しでも感じ取られると、社会がざわつき、頓挫します。 この件に関して、企業が「頑張っているタレントをつらい立場に追いやる」などと考えると方向を誤る可能性があります。なぜならば、大多数熱狂的なタレントのファンからは構成されていない一般の企業顧客は、「タレントを応援するためであっても広く一般の社会的責任を軽視できる側」についてくれないからです。結果、タレントを応援したい一部の世論に応じてしまうと、多数の一般顧客の離反を招く可能性があると思います。 所属タレントも被害者と考えると、その受け皿としての芸能事務所を社会が協力して運営するなどの方法をとれば、一定の効果があると思います。
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変異株が「想定外の進化」、コロナ治療薬の開発中止に…富山大など共同研究
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
「スーパー中和抗体」については、2021年6月に富山大学らからプレスリリースされており、「独自技術」として製造工程の大幅短縮を掲げ、「従来2か月以上かかる工程が1~2週間で、目的とする抗体を作製することができる」と広報していました。「患者由来の抗体の複製技術」という説明でした。抗体の複製は既成技術でしたが「圧倒的短期間で作成できる技術」に対して研究助成が行われたものと理解していました。 「富山大学独自のコア技術を結集し、 新型コロナウイルスの多種の変異株感染を防御できる ヒト・スーパー中和抗体を新規に取得」(富山大学 2021年6月22日) https://www.u-toyama.ac.jp/news-education/27907/ 当初のプレスリリースが事実であれば、変異株が「想定外の進化※」であるオミクロン系統に変わることにかかわらず、「1~2週間」で製造できるはずと考えるのが普通だと思います。(※大幅な変異は実際に想定されます) それを裏付けるように、2022年5月には富山大学自身が、オミクロン系統の変異にも効果があるという内容のプレスリリースも出しています。 「ヒト・スーパー中和抗体 UT28K はオミクロン株を含む新型コロナウイルスの多種の変異株感染を防御できる治療薬となり得ることを確認」(富山大学 2022年5月12日) https://www.u-toyama.ac.jp/news-press/50131/ さらに1年以上たち、2023年8月30日の定例記者会見で富山県は、「新型コロナの変異株が『想定外の進化』を遂げ、抗体の設計が困難と判断した」といった内容で回答しました。 時系列で並べると理解するうえで必要な説明がついていないことがわかります。本研究は、富山大学学長裁量経費、日本医療研究開発機構(AMED)創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)、文部科学省国立大学改革強化推進補助金、内閣府地方大学・地域産業創生交付金「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムの支援を受けて行われていますが、基礎研究費の獲得に不可欠な新規性を強調したものの、その後、医薬品の実用化に不可欠な臨床研究への計画までには進めなかったものと思います。大学への研究費の支援が、学術レベルの向上に役立ったという一般論としては「その通り」です。
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損保ジャパン社長辞任
宮崎日日新聞 MIYANICHI ePRESS
高橋 義仁専修大学 商学部教授
株主には出資先に対する経営責任はありませんが、取締役会での議決を通じて適切な事業運営を行える株主の代理人(出資先の取締役)を株主総会で選任することにより、経営をコントロールできます。 有価証券報告書によると、SOMPOホールディングズは損保ジャパンの議決権を100%保有(2023年3月31日時点)していることから、取締役の選任・解任権を通じて、損保ジャパンをコントロールしているはずです。 実際に「損保ジャパン」の取締役には、「SOMPOホールディングス」代表執行役会長が名を連ねています。損保ジャパン社長が不正に関する情報を取締役会に提供していなかったのであれば損保ジャパン社長の単独引責はわかりますが、情報提供して取締役会メンバーが不正を認識したうえ、取締役会において取引継続という判断をしたのであれば、企業ガバナンスの点からは、取締役会において本件に強力に反対した取締役以外には責任があるとされます。取締役は個人として会社(その所有者が株主)に対する責任を負います。 この状況で、子会社社長の独断により、100%議決権を有する親会社代表執行役に判断材料を与えなかったということがありえるのか・・・。この点を明確にする必要から、損保ジャパン社長の辞任をもって、本件の調査が終わりになることはないでしょう。 関連コメント:「損保ジャパン社長 ビッグモーターとの取り引き再開促す発言」(NHK 2023年8月29日) https://newspicks.com/news/8831420?ref=user_1310166
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不正認識も「反発恐れ」 損保ジャパン社長引責辞任
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
企業ガバナンスの観点からは、「損保ジャパン」の取締役会において、他の取締役の同意を正当な方法で得ていたかという点を明確にする必要があります。損保ジャパン社長が不正に関する情報を取締役会に提供していなかったのであれば単独引責による辞任はわかりますが、情報提供して取締役会メンバーが不正を認識したうえ、取引継続という判断をしたのであれば、取締役会において本件に強力に反対した取締役以外には責任があるとされます。取締役は個人として株主に対する責任を負うため、損保ジャパン社長から圧力をかけられたとしても、それ自体は情状を酌量する理由にはなりません。 もとより損保ジャパンの取締役会メンバーには、損保ジャパンの親会社の「SOMPOホールディングス」代表執行役会長が名を連ねていますが、子会社社長の独断により、親会社代表執行役に判断材料を与えなかったということがありえるのか・・・。この点を明確にする必要から、損保ジャパン社長の辞任をもって、本件の調査が終わりになることはないでしょう。 関連コメント:「損保ジャパン社長 ビッグモーターとの取り引き再開促す発言」(NHK 2023年8月29日) https://newspicks.com/news/8831420?ref=user_1310166
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性加害のジャニーズ事務所からスポンサー離れ、契約更新見送りも
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
芸能事務所に所属するタレントが企業のイメージキャラクターに求められる役割のほとんどはそれまでに積み上げた「イメージ」だと思われます。今後ジャニーズ事務所に対して、性被害者への補償や内部調査が行われます。このような状況で、同事務所出身タレントの東山氏にトップを委任、創業家が全株所有のまま閉鎖会社を続けるということでしたので、この環境下で行われる社内調査は「信用できない」と考える方が多数に上るはずで、ジャニーズ事務所自体に好印象は生まれません。 社会がジャニーズ事務所に嫌悪感があれば、企業活動に「社会的責任」を掲げる企業はそのイメージ低下を恐れ、ジャニーズ事務所所属のタレントの起用を避けるのはごく自然な流れです。企業にとっては、これまでイメージキャラクターで作り上げたブランドイメージが消失しても、継続してイメージキャラクターを依頼し、企業イメージが失墜するリスクの方が怖いと考えても不思議ではありません。特に欧米諸国は未成年者に対する性加害への対応がしっかりしているため嫌悪感も強く、徹底して排除する動きに出ますので、国際的な企業はジャニーズ事務所所属タレントを使うことは絶対に避けてくると思います。(使った場合は、不買運動の対象にされてしまう恐れすらあります) この件に関し、スポンサーの動向を変えることはできません。今後は仕事が減少すると予想される状況を所属タレントが嫌い、同事務所からの移籍が増加するのではないでしょうか。所属タレントには全く非はありません。したがって芸能事務所が変われば社会からは逆に「援護」が得られる可能性すらあります。 ジャニーズ事務所にとってのリスクマネジメントのチャンスは、経営陣交代のタイミングではありました。犯罪調査に向き合うことに専念する経営者を社外から招き、真摯に取り組む姿勢を見せることが絶対条件と思われましたが、そうはしませんでした。その代わり、性加害者である故人をよく知る生え抜きのタレントに社長を委任し、創業家が経営の中心にとどまり続けるという判断をし、社会やスポンサーから見放されてしまったという流れになると思います。
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コロナワクチン、国費での無料接種終了へ 65歳未満は原則自己負担
毎日新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
新型コロナウイルスが第2類感染症に指定されていたときは、国内へのウイルスの感染をできる限り封じ込める方針から、予防(ワクチンの接種)、診断(検査キット)、治療(医薬品代、入院)のすべてを国家が負担していましたが、第5類というインフルエンザと同等の区分に移行すると、それに対応させて国家負担は基本的に廃止されます。 一方、日本の医療保険制度は、例外を除けば予防医療への保険支出を認めていないため、ワクチン接種は基本的に自由診療でした。保険医療を認めていない診療報酬や医薬品の価格には、国家が指定する価格はつけられず、医療機関や製薬企業がそれぞれに希望する価格が売買の基準になります。 これまで、新型コロナワクチンについては、国家が購入量を保証することを条件に、1接種あたりのワクチン価格が2500円程度で取引がされていました。購入に国家が関与しないとなれば、価格交渉力が低下します。製薬企業としては、大量購入が前提でないのなら低価格では販売できず、大幅に値上げせざるを得ません。 今後新型コロナウイルスワクチンでも、製薬企業が価格設定し医療機関にワクチンを販売、医療機関が接種手技に係る報酬を得て自由価格が決められます。他の感染症用ワクチンのケースを参照すると、おそらく1接種あたり、2万円を超える程度の価格(全額自己負担)になるのではないでしょうか。 65歳以上は、感染した場合のリスクが高いので、国家としては接種を推進したほうが様々な面から得策との判断から、一部または全額の補助を行うことになります。このような公衆衛生の点から見たハイリスク集団へのワクチンの公費補助も、他の感染症対策で見られる政策の1つになっています。
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ジャニーズと契約解除検討=東京海上、相葉さん広告に起用―「タレントに非はない」の声も・企業対応
Jiji Press
高橋 義仁専修大学 商学部教授
企業が大金を投入するイメージキャラクターの起用に関して、少しでもイメージに対する懸念があれば行うはずがありません。今回のジャニーズ事務所の経営陣の交代は悪手をとることになるようで、タレントにイメージを求める企業からの契約解除が相次ぐと思います。そのことにジャニーズ事務所が気づかないことが不思議です。 今後ジャニーズ事務所に対しては、性被害者への補償や内部調査が行われます。この場面で、同事務所出身タレントの東山氏にトップを委任、創業家が全株所有のまま閉鎖会社を続けるということですが、この環境下で行われる社内調査は「信用できない」と考えるかたが多数に上るはずなので、どう転んでもジャニーズ事務所自体に好印象は生まれません。社会がジャニーズ事務所に嫌悪感があれば、企業活動に「社会的責任」を掲げる企業はそのイメージ低下を恐れ、ジャニーズ事務所所属のタレントの起用を避けるのはごく自然な流れです。 もちろんタレントに非はありませんが、イメージを求める企業がそのように判断することは正当な判断であり、まさに前途多難です。また、仕事が減少すると予想される状況をタレント自身が嫌い、同事務所からの移籍が増加すると思います。経営判断の重大なミスと言わざるを得ず、残念に思います。
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新型コロナの新たな変異株を国内で初確認「BA.2.86系統」 東京都
テレ朝news
大麻の医療使用解禁 乱用阻止に使用罪新設へ
産経ニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
今後の法改正により、特定の目的を有する場合の「大麻の所持」が可能になる一方で、日本における「使用が罪」になります。使用を罪に問えない現状は、犯罪の認定に問題が生じやすく、「正規の目的外の使用は罪とする法整備」は、乱用防止の観点からは不可欠な状態でした。 これまで「使用」に対する罰則が規定されていなかったのは、日本はかつて大麻草生産は産業であり、栽培者(法で認可された「大麻取扱者」)がやむを得ず大気中に飛散した大麻成分を吸引してしまう場合があったことから、使用を法律上の罪から除外していたことによるとされています。 現在のような「所持はだめだが使用の罪は問われない」といったねじれた状態は、昭和28年(1958年)に制定された大麻取締法の規制の根拠がねじれていることによります。その第3条には「大麻取扱者(大麻栽培者、大麻研究者)でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。」とあります。 「大麻栽培者」とは、都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で大麻草を栽培する方であり、「大麻研究者」とは、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用する方を指します。一般の薬剤師や医師なども含むこれ以外の方のだれもが大麻を所持できません。 以前から、ケシ成分を含む医薬品「モルヒネ」の医療使用は医療で使用可能だったところ、大麻に関しては、先に記載したように「所持に関して」極めて厳格な規定があったため、「医療使用」どころか臨床試験のための治験薬を所持・保管することを含め、研究開発活動も制限されています(大麻研究者が行う大麻研究を除く)。そのため、日本で大麻成分を医療に使うなど「ありえない」状態でした。 今回に実施される改正は、日本で大麻を医療に用いるためには不可欠なものです。改正後は、日本でもようやく、モルヒネ同様の管理を条件に医療目的での使用を試みることが可能になります。
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ヨドバシHD、西武池袋の土地など3000億円で取得 渋谷にも出店か
毎日新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
7&iが親会社として参画していた「百貨店事業」は、親会社の利益を相当圧迫していましたが、「いつかは改善させたい」と考えていたのだと思います。しかし、海外の株主からは、事業が見通せず経営効率が悪い百貨店・スーパーマーケット事業を縮小しコンビニ事業に集中し、経営資産の効率を高めるよう求められていました。今回のそごう・西武の株式の譲渡は、事業再構築の一環ながら、自社での再構築は無理と考えたのでしょう。 「ほとんど無料で米ファンドに譲渡した」ように書かれていますが、あくまでも実際は2200億円程度の価格での売却です。ここからそごう・西武が抱えていた負債を引いたら、価格が数千万円程度という計算になるので、この価格が報道に出ています。債務は整理し、債務が買収先には引き継がれないという意味になると思います。 7&iが今回のような売却をせず、すでに債務超過になっていると思われるそごう・西武を倒産させることは可能だったと思われますが、そごう・西武の債権者の債権放棄が伴い、社会に大きな負担をかけます。7&iの他の事業に波及することを考えればできなかったのでしょう。 また、先のそごう・西武が有する債務以外に、7&i自身はそごう・西武に1650億円程度の金銭を貸し付けていたとされますが、そごう・西武を倒産させた場合は、この債権の放棄が伴います。(その一部である900億円強については、今回の売却に伴いファンドに放棄させらています) そごう・西武の事業をこのままの形で継続させれば、非常に大きな債務が積みあがってくるはずで、すでに相当に決断が遅い状況であることは理解でき、株主の求めには合理性があるように見えます。 今回海外ファンドが約2200億円で取得したそごう・西武のうち、ヨドバシHD西武池袋の土地を3000億円で売り、その金銭はそごう・西武の負債の精算にあてられて、複雑な財務状態が整理されていきます。つまりは、今回の売却は、実質的な倒産手続に近いものと理解できます。 ヨドバシの出店については、購買力が高い層、つまりは外国人観光客を中心とした店舗づくりが指向されていき、そのコアに日本での買い物の対象になりやすい家電を置くということだと思います。 ヨドバシが良い悪いではなく、利潤が獲得できる形で事業をしないと、事業の持続が確保できないことは言えます。
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