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米との核管理協議「停止」 台湾への武器売却に反発―中国
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
中国から日本〜第二列島線辺りを射程におさめる弾道ミサイルは中距離ミサイルに分類されます。中国は中距離ミサイル能力を拡大することで、このエリアに米軍を近づけない戦略(A2AD)を強化してきました。実は米国は、この種類のミサイルを保有していません。理由は、ロシア(ソ連)との間の核軍縮枠組みに基づき、中距離ミサイルを削減してきたからです。
米国としては、中国の軍事的台頭を踏まえてこの枠組みに中国を入れたかったわけですが、トランプ政権時代に米国自身がこの枠組みから離脱してしまったため、軍縮の枠組みや議論は停滞しています。現状の米中関係を踏まえると、驚くべきニュースではないですし、今後しばらくは前向きな議論が再開する可能性は低いのではと思います。
【図解】いま、世界経済の「ルール」が変わろうとしている
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
バイデン政権が関税にまで手を出した背景には、中国による主にグリーンエネルギー分野での市場席巻に対する強い懸念があります。米国での中国製EVシェアは欧州程高くないですが、今のうちに手を打たなければ、米国市場もやられてしまうと考えたのでしょう。
西側の対中貿易政策はデリスキング、つまり、戦略的に重要な分野での対中依存を低減させることに主眼がおかれており、今回関税引き上げ対象となった分野の多くはまさに戦略的に重要かつ中国の競争力が高い分野です。
既に米国は当該分野で国内産業を支える政策を実施していますが(代表的なのはインフレ抑制法です)それだけでは足りないと判断したのでしょう。
ちなみに、この中にレガシー半導体が入っている理由については、これまでの半導体規制強化とその限界を辿ると解像度が上がります(詳細は長くなるのでまたの機会に…)
TikTokが米政府提訴 「禁止法」の差し止め求め
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
大統領令の根拠法であるIEEPAは強力な権限を大統領に付与していますが、表現の自由に関わる制限を例外規定としています。トランプ時代の大統領令はこの例外規定にあたるとして、差し止めになりました。今回は大統領令ではなく新たな立法が行われたわけなので、話はより複雑です。本質的な議論が必要で、それには時間がかかります。しかし、米国の脅威認識としては、一刻の猶予も許されない状況です。このジレンマを乗り越えることは容易ではありません。
TikTok禁止令は技術の問題でも競争の問題でもありません。安全保障の問題です。TikTok側はそのことをよく分かった上で、技術や競争の問題として論点をずらそうとするでしょう。
TikTok、米で禁止法成立なら法廷で争う意向-社内メモで明かす
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
コミュニケーションに関わるツールに手を出すことは、米国ではこれまで御法度でした。トランプ大統領もTikTokを禁止しようとしましたが、大統領令の根拠となるIEEPAは通信や表現に関わる問題について例外規定をもうけており、大統領令では禁止が難しいです。そのため、新たなロジックでの立法が必要になっています。
TikTokの脅威は無視できないものです。TikTokでもfacebookでも、そのデータを使えば世論誘導も容易くできてしまいます。やるか、やらないかの違いしかありません。TikTokは懸念国傘下だからやる可能性が高い、というロジックなので、米国の下におくか、禁止するか、ということになります。安全保障の観点からはすんなり理解出来ますが…いずれにしても、法廷闘争含め議論が深まることは良いことだと思います。これからの時代、安保と表現の自由とデータの話は避けて通れないので。
NATOの核兵器配備受け入れ「用意ある」 ポーランド大統領
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
ここで言及されている「戦術核」とは、短い射程で出力も小さい核兵器を指します。対する「戦略核」は大陸間弾道ミサイル(ICBM)のような長距離射程で出力の大きい核兵器となります。要は、米ソ(米露)が直接相手を狙える核兵器が戦略核です。
使用へのハードルが低い戦術核の配備合戦は核戦争リスクを高めるとして、米ソ(米露)は戦術核の撤廃を目指すINF条約を締結して、その数を削減してきました。が、2019年にトランプ氏が破棄しています。その背景には、条約に縛られない中国の台頭とロシアの条約違反があったとされています。
仮に戦術核が使われた場合、戦略核で反撃することは「やりすぎ」でエスカレーションにつながるため、戦術核には戦術核で対抗する必要があります。一方、戦術核の配備が広がればその分、核戦争のリスクも上がります。
『「核の忘却」の終わり 核兵器復権の時代』という素晴らしい本があります。まさにタイトル通り、私たちは冷戦終結以来の核の時代に生きているのだ、ということを実感させられるニュースです。
北朝鮮が戦略巡航ミサイル、「超大型弾頭」試験 国営通信報道
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
北朝鮮は年初に対南政策を大幅に変更し、韓国を「敵国」と定義付けました。これまでは、韓国を「同族」とし南北統一を目指すとしていましたが、この変更によって韓国は北朝鮮にとってただの外国となり、統一ではなく奪還の対象となりました。
金正恩は自身の正統性の証明に、先代・先先代とは異なるロジックを持ち込もうとしているようにみえます。最悪のケースは、軍事行為による韓国の占領ですが、別の見方をすると、外国である韓国と和平条約の締結し国交を結ぶ、という帰結もありうると思います。
この辺の動きには米大統領の結果も関わってくると思いますので、今年は北朝鮮の動きにも注目が必要です。
イランがイスラエル報復攻撃、200超の無人機とミサイル 安保理開催へ
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
中東情勢の不安定化は、米国のリソース配分を難しくさせる要因になります。折しも、岸田首相の米議会演説での「世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません」との言葉が注目されたタイミングです。中東情勢をふまえてみると、この言葉がより重く聞こえます。
ちなみに…巡航ミサイルは飛行機のようなイメージで、速度も飛行機くらいです。弾道ミサイルはロケットのようなもので、高く打ち上げ放物線を描いて遠くに落ちるイメージです。ロケットの技術が必要な弾道ミサイルは、巡航ミサイルよりも開発に技術力が必要で、より速くより遠くに飛び、落下速度も速いので迎撃もより難しいです。
尖閣諸島へ安保条約適用確認 米上院超党派、同盟確認の決議案
香港国家安全条例が可決 スパイ防止目的、自由後退
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
香港国家安全条例は、2020年の国家安全維持法や関連法規制を強化、発展させる形でつくられています。
日本企業をはじめとする香港でのビジネス活動という観点では、経済や技術に関わる情報も保護すべき国家秘密として明示されたことが大きいです。2020年版では曖昧な定義だった国家秘密に、明示的に経済・科学技術が含まれたことで、香港との事業上の情報のやり取りがスパイ行為とみなされる可能性が高まりました。
米国の中国関連規制では既に香港、マカオは大陸と同等の扱いとなっていましたが、日本企業ではいまだに香港は中国とは違う、という前提で活動しているケースが多いように思います。本条例の施行により、その前提を見直す必要性がより高まったと思います。
日鉄、USスチール買収へ決意 「最適なパートナーと確信」
菊池 咲多摩大学ルール形成戦略研究所 客員研究員
米国の産業政策が迷走しているようにみえます。経済安保政策の観点では、最重要同盟国の一つである日本企業の買収そのものは大きな問題にはならず、買収を仕掛ける日本製鉄の個社としてのガバナンス体制が米国の経済安保対応水準にミートしているかが焦点となるはずです。他方、トランプや労組の観点は保護主義的で米国以外の参入を否定しています。これまで米国政府は米国の経済安保政策を保護主義ではない、と主張してきましたが、バイデンの本件に対する態度はトランプに引っ張られて保護主義的な観点に寄ってしまっているようにみえます。安易に反対と口にする前に「日本製鉄を経済安保の観点で徹底的に調べ上げる」とでも言えば良かったのでは…と思います。
別の記事では、日本製鉄もロビー会社を雇って対策を検討し始めたとあるので(政府元高官等も多数所属する米国トップクラスのAkin Groupかなと思います)この辺は今後しっかり対策するのでしょう。
米国はこれまでの政策方針に則り合理的な判断を下さないと、同盟国からの信頼を失うことになりかねません。
参照
日鉄が挑むアイコン買収の壁 保護主義と地政学の間で:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1323J0T10C24A3000000/
NORMAL
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