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村田製作所や東大、バーチャル触覚実現 「XR」に新技術
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
おぉ,どこだろうと思ったらうちの研究室でした.
別のトピックのところにも超音波アレイの写真が使われていたり,ちょいちょいセンサの話をしながら基本的には提示の話だったりするので,読んでいてトピックがちょっと入り乱れている感じの記事ですが,ここで取り扱われているのは,
1)空中に超音波で触覚を出す話
2)振動で牽引感など多様な触感を出すミライセンスの話
3)ピエゾを用いた薄型振動子の話
という感じですかね.
”ミライセンスの香田夏雄社長は「脳を錯覚させられれば物理的に再現する必要はない」と語る”
の部分は,いつもそこまで仰々しく話さなくても,と思う面もあります.
というのも,例えば視覚だと,RGBの3つの光の組み合わせで黄色を表現したりするわけで,物理的に同一の刺激でなくても,感覚的に等価な刺激を提示する,というのはそこら中にある話なので.

【岸本拓也】変な名前の高級食パン屋をプロデュースする男の正体
動く腕にぴったり貼り付いて映像を投影 東工大が開発
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
渡辺先生は大学の同期なのですが,ずっと高速カメラ+プロジェクション系の研究をされています.出身の石川研の成果を含むダイナミックプロジェクションマッピングの研究の変遷が同じところでうまくまとまっていたので一応ご参考まで.
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/31/news174.html
人体表面とか,服とか,変形するものの表面にビターっと貼り付いたように映像が投影されていると面白いですよね.
個人的には,途中のキャリブレーション前後の動画にあったように,前腕表面の対応箇所が,あんなにねじれた状態になっているというのが驚きでした.

【3分理解】なぜゲーム実況が「爆発的人気」なのか
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
これ,うまいことやれば若者ではなくて私達くらいのおじさん世代にも刺さる気がします.
結局ゲームは,一連の謎を解いたりというストーリーを追う部分と,自分がやっているという主体感とでできていると思うのですが,40歳くらいになってくると(少なくとも私は),主体的にあれこれやる煩わしさ,というのが少なからず出てくるんですよね.単純にストーリーを楽しみたいのに,派生的に発生するレベル上げとかそういう作業をしなければならないという煩わしさ.オープンワールドとか,自由度いらないから話を進めたいと思っちゃいますし.あと,テクニックが無いとあるところから先には進めないとかもあると思います.
最近のゲーム事情は知らないですが,少なくともこういった印象を持ってます.
で,ゲーム実況って,その主体性の部分を他人が肩代わりしてくれる形になっているので,自分でやる気の出ない私のような人間にはとても向いている気がします.(ただ,クリアまでに要する時間をすべて追体験するのも大変なので,実況をリアルタイムでというよりも,ストーリーをダイジェストで楽しみたいという感じかもしれませんが)
このあたり,うまいことやってくれれば,映画とかアニメとかと似たようなコンテンツとして,楽しめそうな気がします.
150キロ先の患者をロボット操作で手術する 弘前大が実験、医師不足に悩むへき地が寄せる期待
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
この手のロボット手術で最もクリティカルになるのは遅延です.こちらで操作した結果が遠隔地に反映され,その映像や触覚情報が再びこちらにフィードバックされることになるので,この行って帰っての所要時間が長いほど,操作が困難になります.
手術の場合には,ちょっと行き過ぎて神経を傷つけてしまう,というようなことが致命的になりますので,いかに低遅延で情報を伝送するかが大きな課題です.
触覚情報は,接触瞬間,つまり時刻0で発生する感覚のため,フィードバックに遅延があることが操作性を下げてしまう可能性もあります.このあたり,こういった実証実験を重ねながら,許容範囲を検討していくということになるのかと思います.
アップルがMacBookの物理キーボード廃止を検討、特許資料で判明
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
平らな面にソフトキーボードというのは,5年ほど前にLenovoがYogabookでやっていまして,触覚研究者としてこれは試しておかねばと購入して試してみたのですが,やっぱりキーボードの使い勝手は今ひとつと言ったところでした.
https://japanese.engadget.com/jp-2018-10-22-yogabook.html
キーボード,打鍵感はもちろん大事なのですが,それについてはAppleはTaptic Engineで培った技術があるので,そんなに違和感はないのではという気もします.実はもう一つの触覚の使われ方の方が大事なのですが,それは,キーがどこに有るか,キーのエッジを知覚することで押さずに知る,という部分です.これが上述のYogabookではとても難しかったため,気づくとホームポジションがズレていて入力が変になる,ということが頻発しました.
これは,入力に対するレスポンスではないので,振動の精密さ等でカバーできるものではなく,平らな面になってしまうと,なかなか難しいところだと思います.これにAppleがどういう回答をもってくるかは,興味のあるところです.
東大前期、2993人合格 女性は2割、「通過点」と副学長
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
東大は長いこと女子の割合が2割を超えないという通称「女子2割の壁」があったので,それを突破したということでこういうニュースになっているのでしょうね.
https://www.asahi.com/articles/ASN2X4V2QN2NUTIL047.html
とはいえ,東大としては入試の判断基準を変えて女性を入りやすくするというようなことは当然していませんので,女性が志願する割合が増えてきたとか,そういった部分が要因でしょうか.来年度以降も増え続けるようであれば,少しずつ女子学生のマインドを決定する部分の社会構造が変わっていっているということなのかもしれません.
わずか49gで見る近未来。ドコモの軽量ディスプレイグラスを体験
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
こういうの体験してみたいですが,最近は展示会とかも無いので実体験できないのが残念なところ.
「普及が伸び悩む背景には、メガネ型ウェアラブルの「装着感」がひとつのボトルネックになっている」はたしかに一理あると思うのですが,とは言えやはり見た目なんじゃないですかね.女子高生がこのデバイスをつけて電車に乗っている姿はどうしても想像しづらいです.
あと,ケーブルにすることで軽量化というのは良いのですが,一方でこの手のHMDを日常的に装着して15年以上(?)くらい過ごしている神戸大の塚本先生(http://cse.eedept.kobe-u.ac.jp/tuka-j.html)が以前おっしゃっていたのが,「ケーブルは必ずドアノブに引っかかる」とのことでした.ケーブルレスと軽量化,どちらを優先したほうがユーザビリティが上がるのか,悩ましいところですね.

【書く技術】接続詞「4タイプ10種類」で文章を速く、わかりやすく
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
内容はとても良いのですが,一点,論文・レポートの型の部分が,僕が学生にかなりの頻度で指摘する書き方になってしまっているので,そこだけコメントします.
論文は,基本的に過去の成果を否定しない,というのが大前提です(少なくとも私の分野では).なので,ここにあるように,「しかしこれまでの研究では〇〇はやられていない」というような書き方は基本的にはNGです.
これがNGな理由は3つほど考えられます.
1つは「やられていないことをやる」ことに価値があるとは限らない,という点です.やられていないというのを理由にして,なのでやりますという主張は,実は何の説得力もない主張になることが多いです.
2つめの理由は,そもそも先行研究はほとんどの場合対立する存在ではないためです.論文というのは自分の解きたい課題の範囲を明確にして,その範囲内で有効なことを検証する,というのが基本です.「これまでに〇〇がやられていない」というときは多くの場合,先行研究でその範囲を対象としていなかった,ということです.つまりそれを先行研究で取り扱わなかったことが問題なのではなく,自分が新しく問題をそのような視点で切り取ったというだけなわけです.別の視点から問題を見ている人に対して,その視点は間違いだ.こっちが正しい.と主張する必要はなく,自分はこの切り取り方をしたことで,こんな問題の解決法を見出しました,と言えばよいのです.
3つめの理由はもう少し泥臭い話ですが,論文は,その分野の人が見て査読してというプロセスを経るため,仮にその否定された著者が査読をするようなとき,正直あまりいい気にはなりません.もちろん中立的に査読はなされるべきですが,否定されればやはり厳しい目で見てしまうというのもある話なわけで,それもあって,基本否定はNGなのです.
ということで,先行研究に対して,「しかし先行研究では〇〇がなされていない」というような書き方をしなくても自分の研究を位置づけることは出来るのですが,学生が最初に論文を書くとき,ほぼ100%この書き方になります.
否定しない書き方というのも,できれば高校で伝えてほしいなとそんなことを思いました.
なお,この話は論文の書き方の話であって,ビジネスでのプレゼンなんかではまた違うのかもしれません.競合他社が出来ていないところを明確にするというのは大事かと思いますので.
50代以上もTVよりネット=コロナ下でユーチューブ―民間調査
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
以前知り合いの方が「YouTubeでずっと包丁を砥ぐ動画を見てるんですよ」と言っているのを聞いたとき,これは流石にテレビはカバーできないなぁと思ったのを思い出しました.同様に自分の体験としては,子どもが小さい頃,仮面ライダーのベルトのレビューをしてる動画とかを見まくっていたのですが,この需要も絶対にテレビではカバーできないなぁと.
つまり,人々の興味は本来かなりバラけているのに対して,これまではテレビという少ないチャンネルしかコンテンツがなかったので,みんなそちらに合わせていたのが,多様なコンテンツが供給されるようになったことで,本来の自分にあったコンテンツに流れていっているという.
一回スマホで見られるようになりさえすれば,年齢とか関係ないですからね.好きなコンテンツに流れるのは自然なことかと.
2021年IT注目キーワード10
牧野 泰才東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授
おぉ,Hapticsが注目ワードにありますね.新型コロナで触れることが出来なくなった物等が多かった分,触覚の必要性が気になるようになってきたという感じでしょうか.
学術的にはそれなりに古いのですが,Haptics sysmosiumという北米を中心とした触覚の国際会議は1992年からだそうです.Euro Hapticsというヨーロッパを中心とした学会と一緒になってWorld Hapticsが開催されたのが2005年からですから,世界で触覚盛り上げていきましょう!となってから15年以上たっている感じですね.
こうして注目していただいているので,是非触覚研究も形にしていきたいものです.

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