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岸田政権の「奇妙な安定性」を支える2つの要因
黒瀬 浩一りそなアセットマネジメント株式会社 チーフストラテジスト チーフエコノミスト
政策が非合理であることや、米国の言いなりであることは、今に始まったわけではありません。むしろこの国ではそれが普通でした。岸田政権の不思議な安定は、野党が弱すぎる、自民党内で岸田下ろしが起こらない、この2つの要因も大きいと思います。野党は次の総選挙で維新が野党第1党になる可能性が高まっています。元々が大阪の地域政党でしたので、全国区の野党が存在しないも同然だったということです。自民党内では、清和会(旧安倍派)が安倍元総理の急死で次の派閥会長が決まらず身動きが取れない、菅元総理が岸田下ろしの動きを見せるも健康問題もあり支持が集まらない、という状況です。ただ夏場が想定される次の総選挙では、自民と公明が友好関係を維持できるのか、維新の獲得議席数、維新に近い菅元総理の出方、など安定感を揺らす要因は出てきていると思います。
“ウェルビーイング”で地域経済は活性するのか?
黒瀬 浩一りそなアセットマネジメント株式会社 チーフストラテジスト チーフエコノミスト
資本主義を修正するため、従来の金銭的価値だけの計測を見直す流れは続いています。大きな方向性として、従来の経済を意味する人工資本、心の幸福度を測る人的資本、自然保護を意味する自然資本、の3つの合計を最大化が正しいのではないか、という点ではほぼ世界的に合意があると思います。そして、まだ言葉の定義という意味では市民権は得ていないと思いますが、ウェルビーイングはぼんやりとこの3つの合計を意味しているように思います。この記事のタイトルの正確な意味は、経済を活性化しつつ心と自然を価値を高められる地域ではウェルビーイングが増大する、だと思います。
米CIA長官、5月に中国を極秘訪問 対話維持の重要性強調
黒瀬 浩一りそなアセットマネジメント株式会社 チーフストラテジスト チーフエコノミスト
米中は、対立がエスカレートしているのか緩和してるのか非常に分かりにくいですね。最近はイエレン財務長官は緩和、サリバン安全保障担当の大統領補佐官はエスカレートする内容の演説をしています。G7で合意した「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」の創設、半導体分野の厳しい禁輸措置は、中国に対し強力な圧力をかけていると思います。ただ、余りに追い詰めると暴発するリスクがあることは指摘されているところです。台湾について、もし接収されたらTSMCの工場は破壊する準備までさせていると報道されています。他にもロシアウクライナ戦争は停戦に金は動き始めています。ただ、訪中で会った人物から推測すると、本気で大きな意思決定のための地ならし、という感じはあまりないように見えます。
米雇用者数は予想上回る、賃金鈍化-強弱まちまちで利上げ休止か
黒瀬 浩一りそなアセットマネジメント株式会社 チーフストラテジスト チーフエコノミスト
雇用者数の増加33.9万人は企業調査の給料を支払った人の数です。一方、家計調査で働いているかどうかを尋ねる調査では31万人も減少しています。労働参加率は同じです。この結果、雇用者数は大幅増加したのに失業率が前月比0.3%もの大幅な上昇となりました。仕事の掛け持ちや副業が増加した結果だとみて良いと思います。実際の雇用の増加は、10-15万人が実相だったとみて良いと思います。週労働時間は前年比1%もの大幅減少、平均時給は前年比4.3%とやや上振れです。企業は、中長期的な人手不足に対応するため雇用者数は確保しつつ、残業時間を減らしていると考えられる。総合評価としては、雇用はごくゆっくりと減速を続ける中、賃金はごくゆっくりとしか下がらない、まあ一言で言うと、これまでのトレンドの通りという理解で良いと思います。
ECB、一段の引き締め必要 インフレ率高すぎる=ラガルド総裁
黒瀬 浩一りそなアセットマネジメント株式会社 チーフストラテジスト チーフエコノミスト
消費者物価が前年比6.1%上昇、うちコア物価は5.3%の上昇、対して政策金利はは3.75%、10年国債金利はドイツで2.2%です。物価上昇率から金利を差し引いて実質金利を計算します。これは明らかにマイナスであり、その意味は、景気も物価もまだを押し上げる方向に作用しているということです。企業にしてみれば、借金して在庫を持っていると、その値上がりだけで利益が出る状態です。このように物価だけ見れば利上げ継続は当然なのですが、ドイツは二四半期連続のマイナス成長で景気後退に入っています。景気にも配慮しつつ、慎重に利上げを継続、がECBのスタンスです。
日銀の政策修正、欧州債市場にリスク ECBが異例の警鐘
黒瀬 浩一りそなアセットマネジメント株式会社 チーフストラテジスト チーフエコノミスト
欧州は急激な利上げが続くものの、長期金利の上昇はまだ抑制されており、景気の急失速は免れています。この背景に、日本の低金利と円安があり、日本から海外に資金が流れることで海外の急激な金利上昇を抑える要因になっています。日銀植田総裁は、4月には金融引締め観測を否定して異次元の金融緩和維持を維持する方向性を打ち出しました。これにより市場は落ち着きました。しかし、今週に入って微妙に修正するニュアンスを打ち出しました。日本の物価が落ち着くどころか逆に加速し始めています。日銀の政策修正は想定外とは言えない状況になりつつあると思います。
中国、融資10兆円焦げ付き 20~22年の新興国向け
黒瀬 浩一りそなアセットマネジメント株式会社 チーフストラテジスト チーフエコノミスト
何も重債務国は中国に対してだけ債務を負っているわけであありません。米国、IMF、日本、欧州にも同様に負っています。重債務国の支援は「債権者平等の原則」に則って債権国がほぼ平等に債権放棄する必要があります。日本が債権放棄しても、その金が中国向け返済に充てられるようだったら、全く重債務国支援になりません。重債務国の支援で日本や米国のような民主主義陣営と中国が協力できるかどうかがポイントになります。来月にフランス主導で国際会議が開かれます。中国は協力して欲しければ、半導体禁輸など貿易制限を解け、と要求すると想定されます。もし債権放棄で上手く合意できなければ、アフリカは失われた10年になるという悲観的な見立てもあります。

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