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「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」年金モデルから複数案へ 厚労省
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
「モデル世帯で所得代替率が50%を割るか否か」という年金の財政検証のメルクマールは、論理的にも意味をなしていないものだが、法律にも書かれているから、これを根本的にやめるなら、法改正が必要だ。
ただ、共稼ぎ世帯の年金の「(現行の定義による)所得代替率」を算出したところで、何の問題の解決にもならない。なぜなら、共稼ぎ世帯の「所得代替率」は、「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」のモデル世帯の所得代替率よりも当然高くなるからである。目下、「モデル世帯で所得代替率が50%を割るか否か」が焦点のところ、共稼ぎ世帯なら「所得代替率」は75%前後になって、「これだけ年金がもらえるなら安心」だから年金改革不要と逆手に取られてしまいかねない。共稼ぎ世帯の方が多数なのは事実だが、共稼ぎ世帯の「所得代替率」の扱い方を間違うと、逆効果だ。
そしてそもそも、「所得代替率」の定義がよくない。現行の定義は、支給開始(65歳)時にもらう年金額が、同時点の男性現役世代の平均手取り収入額(ボーナス込)と比較してどのくらいの割合かを表す。これでは、実際に自分の老後にいくらもらえるかを実感を持って理解できない。国際的によく用いられる所得代替率の定義は、自らの現役時(退職直前)の収入に比べて年金額がどのくらいの割合かを意味する。いくら年金がもらえるかは、他人の平均収入と比較してもイメージできず、自分の収入と比較することでイメージできる。この点も、今後の日本での改善点だろう。
【証言】超円安を放置する植田日銀の「ホンネ」
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
目下のわが国の財政金融政策の役割分担として、金融政策は物価や金利等の市場動向に無理に逆らわずに通貨価値(表裏一体の関係にある物価)の安定を図る役割を果たし、財政政策は市場での資源配分を歪ませないようにしつつ、所得再分配を行う役割を果たすことが求められる。例えば、金融政策による利上げで倒産や失業者が増えたら、財政政策で、産業の新陳代謝を阻害しないようにしつつ、労働移動の促進や失業給付や低所得者への支援などを行う。
では、実際はどうか。日銀は、利上げした場合に景気に水を差す(倒産や失業者が増える)ことを気にし過ぎて、自由な政策判断ができていないような気がする。
水俣病担当審議官を新設 発言制止問題受け体制強化―環境省:時事ドットコム
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
霞が関では、内閣人事局が機構・定員審査を毎年度厳格に行っている。
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/satei_03.html
各府省が、大臣の思い付きで場当たり的に年度途中にポストを新設したり、定員を増やしたりすることはできない。この記事にあるような審議官ポストを新設するなら、別の審議官ポストを減らさずに、誰かが昇進して着任するのだろうか。また、特殊疾病対策室の人員を増やすというが、純増になるように定員を増やすのだろうか。もしそうではなく、別のポストとの併任で定員の純増はないということなら、単に担当者の業務を増やすだけという結果に成り下がる。
現役時代の給料7割保証 世界1位の年金王国に学ぶ?【報道1930】
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
2024年現在、日本の年金の支給開始年齢(受給し始める標準的な年齢)は、基礎年金は65歳だが、厚生年金は男性64歳、女性62歳(目下支給開始年齢引上げ途中で、いずれこれらも65歳になるが今は違う)
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/generation/50_60.html
年金のパフォーマンスがよいとされる国の支給開始年齢は、1位のオランダも2位のデンマークも3位のアイスランドも67歳。受給の開始を遅らせれば、それだけ年金給付は手厚くなる。
そして、日本では負担と給付の牽連性(結びつき)を重く見るがゆえに、年金保険料をたくさん払った人にはそれだけ多く給付するという度合いが強いし、(現役時代の所得が低いがゆえに)年金保険料を少なくしか払わなかった人にはそれだけ給付が少ない。確かに一旦納められた保険料収入をどう再分配するかは、制度設計次第だが、この牽連性の強さが、老後にもらえる人ともらえない人の差異を大きくする。
高速道路の料金、時間帯による変動制に…来年度以降に順次拡大・骨太の方針に明記へ
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
混雑時に価格を上げ、閑散時に価格を下げるという「ロードプライシング」は、早期に導入して積極的に活用すべきだろう。実現に向けた検討は極めて重要だ。
ただ、「ロードプライシング」は「骨太の方針」に盛り込むという話かと言えば、「骨太の方針」に盛り込むまでもなくさっさと決着をつけて実現すればよいだけの話だろう。「ロードプライシング」は、反対勢力が強力で、説得するのに政治力と時間が必要というなら話は別だが、実際はそうではない。「骨太の方針」は、政権として当該政策を実施したいが、関係者を説得しきれていないものについて、途中経過としてどこまで妥結し、今後どの方向で進めるかをコミットする役割がある。「骨太の方針」は、単なる政策集(実施する予定である政策のリスト)ではない。
【今知りたい】日本が100年前に経験した円安政策の「失敗」
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
インタビューは大変興味深い。
今の日本は、円安で次なる経済的飛躍の契機がつかめない(という悲観論が日本国内で支配いている)ところがあり、それが戦前や高度成長期と大いに異なる。
円安が中期的に続く見込みなら、短期的にマクロ経済でデメリットが上回ったとしても、中期的には円安のメリットを生かした産業が出てきてGDPを押し上げる。もしかすると、(これまで競争力がなかった)日本の農林業も円安のメリットで外国産品に伍する地位が築けるかもしれない。伝統的な輸出産業だけが円安の恩恵を享受するわけではない。その論理は、髙橋是清が生きた戦前や高度成長期と今とで変わるものではない。
24年度の企業倒産、1万件超か 原材料高、人手不足が収支圧迫
NORMAL
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