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バルカー(ばら積み貨物船)のことをもっと知ってもらいたい(基本・歴史編)
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
コンテナ船よりも早く,荷役システムと連動した専用船化の進んだバルカーについて経緯や仕組みを,林さんがまとめられた記事です.この記事があと二か月早かったら授業で読ませたかったです.
ばら積み船は不定期船ということもあり,効率的な輸送をコンテナよりも突き詰めています.バルク輸送では港でプライベートバースを使って港と工場が直結していることもたくさんあります.
発電や製鉄,食料などお世話になっているところも多いです.日本の海運企業にとって売り上げ・利益の大きな柱にもなっています(かつてのコンテナ船事業が赤字続きだったのとは対照的です).さらには日本の造船業や船主業の主力はばら積み船です.
一方でばら積み船は関連する企業や人の数がコンテナに比べて限られ,コンテナに比べても専門性の高い船種になっています.それが世間的な注目度を低める要因にもなっています.ぜひ今後の記事を期待しております.
日本クルーズ市場へのインパクトはディズニークルーズ、最大の日本船籍就航で
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
海事プレスがディズニークルーズの新造船日本就航に関してまとめた無料記事.無寄港,短期のクルーズを実施するために日本籍船にするとのこと.
一人平均25万円,という話が出ていましたが,USJやディズニーランドに泊りがけで行くことを考えても,すごい高い金額ではないということでしょうか.
あとは,投資の使いみちですが,3330億円だとおそらく船だけではない部分へ使うとの話があります.ここをどう使うのか,たしかに興味あります.もう決まっているのか,港をさらに整備するとかあれば経済効果すごそうです.
一応,日本クルーズ&フェリー学会の会員なので,一度は乗ってみたいなあと思っています.
オリエンタルランド、クルーズ事業に参入へ 2028年度就航予定
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
標準的な価格帯が2〜4泊で10万〜30万円とあります.クルーズだと低めの価格帯(カジュアルクルーズ)に属するのですが,プレスリリース見ると日本籍船を予定しているとのこと.
(Blue Schenkoppさん,ありがとうございます! さっと見たところ今のディズニー・ウィッシュボトムが一人一泊500ドルくらいでしょうか.)
日本籍船でその価格を実現するには,高い部屋を徹底的に高くするのか,そのほか何か策があるのか...
あと,追記になりますが,建造はMeyerWerftですね.本当は国内造船がこういうのできるのが望ましいんですよね...仕方ないこととは言え...
https://www.meyerwerft.de/en/press/press_detail/meyer_werft_to_build_disney_wish_class_cruise_ship_for_oriental_land_company_to_operate_in_japan.jsp
小規模運送会社の倒産急増 4月からの「2024年問題」影響か
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
行間が広すぎる,という指摘がありますが,同感です.速報は速報として伝えるので良いのだと思いますが,掘り下げるのであればもう少しきちんと調べて書く必要があります.
たとえば,運送会社でもB2Bの会社の倒産が増えているのか,宅配の下請けを中心とする会社が倒産しているのかで説明が異なってくるはずです.後ろのコメントは宅配下請の話になっていますが,これも従業員っぽいのですし,背景の説明に使うのには不適切ではないでしょうか.
一般論として,倒産自体はあってもいい話だと思いますし,倒産そのものを怪しからんというのは違う気がします.重要なのは新陳代謝の痛みを雇われる側にどれだけ負担させないか,ではないでしょうか.
コンテナ運賃決定メカニズム・フーシ派攻撃直後の運賃上昇要因(スエズ運河迂回とコンテナ運賃)
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
「コンテナ運賃の決まり方:需要、供給、擾乱要因 」の図2のコンテナ船の需給比率が小さくなっている=コンテナ船一隻当たりで運ぶ貨物の量が減っている,というのが明確に見えていて面白いです.
また,この図を見る補助線として,海運サービスに対する供給曲線が普通のものとは異なる点を指摘したいと思います.
https://www.jpmac.or.jp/img/research/pdf/A201573.pdf
図1を見てください.以下の説明は上の図を見ながらだと分かり易いと思います...
海運では船舶が輸送サービスを提供できる水準までは費用は大きく上がらないと考えられています(空いているスペースに荷物を積み込んでも,追加費用はほとんど発生しないためです).一方で運べる限界に達すると,急速に追加費用が上がります.したがって,海運サービスの供給曲線は逆L字型になると考えられています.
通常はキャパシティにまだ余力があるため,供給曲線の平坦なところで需給均衡が定まります.しかし,ひとたび攪乱要因が発生して需要が急増する(需要曲線が右にシフトする)と供給曲線の角度が急なところへと需給均衡が移り,輸送量に対して急激な運賃上昇が起こります(※)
(※)海上輸送サービスは,貿易をしたいという本源的需要に支えられて発生する派生的需要という側面を持ちます.そのため需要が運賃の変化に対して鈍く(非弾力的,と言います)需要曲線の角度がきつい特徴があり,これも運賃の上がりやすい要因です.
紅海情勢の問題では,供給がそこまで絞られることはないと考えられていたのでパニックが落ち着くと需要曲線が元に戻り,運賃は下がると思われていましたし,一時期は運賃が落ち着く傾向がありました.
しかし,その後明らかになったのが,林さんがいうように,輸送距離が長くなっており,供給が絞られて供給曲線が左にシフトしました.
(迂回に加え,南米方面や南アフリカ方面の航路の輸送量が伸びていたことも背景にあります)
この需給の変化の順番は,コロナ禍では①需要の減少,②供給の絞り込み,③需要の拡大,④供給の制約という順番になっていましたが,紅海情勢以降では①と②がない状況であったと解釈できます.
NORMAL
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