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1-3月期の実質GDPはマイナス転換へ、一時的な自動車減産が主因
Bloomberg.com
米4月PPI、前月比0.5%上昇と予想以上に加速 インフレ高止まり示唆
Reuters
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
家計がコロナ禍中の消費を使い果たしたとされる米国ですが、バイデン政権の大盤振る舞いも寄与しているものか、高金利が継続するわりに勢いが落ちません。インフレが賃上げを招き、賃上げが物価上昇を招いてインフレ期待が高まると、それを鎮めるのは容易なことではありません。 企業の生産コストに当たる卸売物価指数が高まると、その影響はいずれ消費者物価に表れます。9%台のインフレ率を3%台に下げるより、3%台のインフレ率を2%に下げて安定させる方が難しい面があるというのは屡々言われることですが、卸売物価(≒日本で言えば企業物価+企業向けサービス価格)の動きを見る限り、米国のインフレはまだ暫く続きそう。 それはそれとして、企業物価指数の上昇分が未だ半分ほどしか消費者物価に織り込まれていない我が国で、一旦下がった企業物価に反転上昇の兆しが見え始めています。企業向けサービス価格もじわじわ上がっていますので、日本のインフレも米国並みにしつこいものになるかも知れません。政府が巨額の税金を投入して表面的な物価は抑制されていますけど、日本のインフレ圧力は今では米欧と変わらないと見てよさそうに感じます。そんな中、米国はインフレを警戒して高金利を続け、日本は”基調的インフレ率”なる摩訶不思議なものが未だ2%に達しないと称して金利を抑制し続けています。庶民を貧しくし続けている日本のインフレが、米国並みにしつこいものにならなければ良いけれど・・・ (・・;
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4月のインフレ率289% アルゼンチン、前年同月比
共同通信
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
インフレ率が下がりそうなことを理由に政策金利(リバースレポ金利)を先月も引き下げたアルゼンチンですが、異常気象で農産物を中心に食品価格が上がる不運に見舞われた上、労使交渉の縺れで最低賃金を大幅に上げるなど、ミレイ新政権も苦労しているようですね・・・ 私が中学生だったころ、先生が、アルゼンチンは豊かな農業国で国民の所得も高いと教えてくれました。パンパをバックに民族衣装の若い女性が明るく微笑むむ教科書の写真に、いつか行ってみたいと憧れを抱いたものでした。ところがその後、アルゼンチンの政府が放漫財政で借金を積み上がて、私が大学を卒業して就職し、銀行の国際企画部門で働き始めた1980年代の初めころ、米国が今と似たインフレ状態に陥って金利を引き上げた途端に財政破綻を起こして経済が混乱し、その後は立て直しが上手く行かず混乱に混乱を繰り返し、今では昔の豊かさは見る影さえなくなりました。 ヨーロッパで実質的に財政破綻したギリシャは小さな国でEUに属す他の国々が助けることが出来ましたが、全ての国がそうして貰えるものではありません。元本に利息を加えて借金の借り換えが出来る限り財政は破綻しませんが、無茶な政策が積み重なって信用が無くなって借り換えが難しくなった時、危機は突然やって来る。リスケだ、ヘアカット(債務の切り捨て)だという1980年代の騒ぎを経験して私が得た教訓です。 アルゼンチンを含む過去の破綻国はほぼ例外なく、政府が赤字というのみならず、政府と民間を合わせた国全体が赤字という状態でした。政府債務の対GDP比がアルゼンチンより高い我が国ですが(日本252%、アルゼンチン155%、2023年IMF推定)、幸い、経常収支はまだ黒字を保っています。しかし、キャッシュフローベースの経常収支は必ずしも黒字で無いと囁かれ始め、円安とインフレが進み、諸外国による国債保有比率がじわじわ上がる状況を見ていると、幾許かの不安を覚えないでもありません。財政拡張と異次元緩和の組み合わせが水面下で産み出すリスクです。
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これは「インフレ税」の始まりなのか。実は減り出した日本の政府債務
Business Insider Japan
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
インフレで表面的な成長率が高まって、日銀が金利を成長率より低い状態に抑えつければ、GDPに対する政府の借金の割合は理屈の上で下がり続けます。しかしその一方、金利が十分につきませんから家計が抱える巨額の貯蓄の価値はインフレ分だけ目減りし続けますし、累進課税の所得税は、実質的な所得が増えないのに税率区分だけが上がって政府の税収を増やします。つまり、家計の所得と貯蓄が減って政府に移転して政府のGDP対比の借金が減るのですから、これはインフレ税そのものです。  国債は市中で売られている、つまり国債を買う人は自分でお金を使わず政府にお金を渡して使わせているのだから、政府が使い過ぎる分は民間が節約していることになり、財政ファイナンスではないというのが公式な立て付けですが、実際には政府が銀行等に売った国債を日銀が直ぐに買い上げてカネを市中にばら撒いていますから、実質的な財政ファイナンスが我が国で行われていることは明らかです。しかも、借換債については日銀が直接引き受ける、つまり財政ファイナンスをストレートにやるいう無茶なことが既に認められており、巨額の国債が借り換えで回転するいま、実質的な財政ファイナンスが日本で行われていることは確かでしょう。 こんなことを続けると日本はいずれ円安とインフレで真綿で首を絞めるように貧しくなって行くと異次元緩和と財政拡張の組み合わせが始まる前から言い続けて来ましたが、いよいよそれがはっきりして来たな、という感が拭えません。 (・.・;)
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【米国市況】円は156円台に下落、S&P500小幅安-CPI控え警戒も
Bloomberg.com
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
デフレと低成長が長く続いた日本の円は、高くなり続けなければ購買力が保てなかったのですが、円安とインフレを追い求める政府と日銀が組んでモノとサービスの裏付けの無い円を異次元の量的緩和で世の中に大量にばら撒いて円の価値を意図的に落とし、マイナス金利政策とイールドカーブコントロールで長短金利を無きに等しくして円の魅力を無くし、そこに資源高と円安による貿易収支の赤字転落が加わったのだから堪りません。貯蓄から投資への掛け声と新NISAで、魅力の落ちた円を手放してドル資産を買う動きも強まっています。しかも、今では日本のインフレ率は欧米並みで、そのこと自体、円安に向かう要因です。その結果、購買力の点から見れば90円台後半から110円台前半程度の範囲にあって良いはずの円が、ここまで強烈な円安に陥っているのです。根本的なところで政策を改めない限り円安圧力は簡単に収まらないような気がします。 為替は財務省の問題で自らの政策目標でないと言い続けて来た日銀ですが、最近は、植田総裁が為替を意識する発言もなさってはいるようです。しかし、長く続いた異次元緩和と財政拡張の組み合わせで利上げに耐えられない構図が日本に生まれている以上、日銀が急激な量的引き締めに走ったり利上げに動いたりすれば、いろんな問題が噴出して、景気が一気に冷えかねません。もし、量的引き締めや利上げで景気が冷えたら、そうした構図を作った責任を棚に上げ、リフレ派と称する人達が一斉に日銀攻撃に走るでしょうからね。日銀が動けなければ、もはや、ドル円は米国の動き次第かも。大変なことになって来ましたね・・・ (・・;
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神奈川のライドシェア「想像以上に需要少ない」 解禁から1カ月
毎日新聞
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「想像以上に需要少ない」 (@@。 そりゃ、そうなるでしょう。日本版ライドシェアは本来のライドシェアでなく、タクシー会社の人員不足の解消策に過ぎません。専用の車と運転手を備えた事業者に役所がタクシーという名のお墨付きを与えて安心安全を担保するタクシー業法の枠内で進めれば、可能な限り客が自家用車オーナーの運転する車を避け、安心度が高そうな専用の車とプロの運転手を選ぶのは当たり前。自家用車オーナーがどれくらい使われるかは、専用の車と運転手の不足度次第になるのが自然な成り行きです。 本来のライドシェアはタクシーとは全くの別物で、GPS、キャッシュレス決済、クラウド、ビッグデータ、AI、スマホといった手段を駆使してSNSが客と運転手双方の安心安全を担保して、客は、車の種類も運転手も料金も待ち時間等々も、極めて柔軟に選ぶことが出来るのです。日本のタクシーのような複雑怪奇な営業領域の制約もありません。田舎から都会まで至る所に無数にいる普通の自家用車オーナーが自分の車を運転するのですから、本来の意味でのライドシェアが解禁されれば、日本中至るところに十分な車も運転手もあって、国民の利便性が圧倒的に向上するだろうことは、想像に難くありません。カナダと米国でウーバーのサービスを使って見ましたが、本当に便利で安心です。 ところが日本では、タクシー業界の恩恵にあやかる政治家や役所が、国民の利便性を高めることよりタクシー事業の利権を守ることに熱心で、本来のライドシェアが入る気配は一向にありません。本格的なライドシェアの導入を指向する政治家さんが一部にあるようですが、「想像以上に需要少ない」といったキャンペーンが拡がれば、それも勢いを失って行きそうな気がします。 似たような現象はタクシー事業に限りません。日本が世界の変化に立ち遅れて衰退していく所以です。なんだかなぁ (._.)
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「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」年金モデルから複数案へ 厚労省
毎日新聞
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「従来のモデル年金は、現役世代の手取り収入に対する年金支給額の比率を示す所得代替率の50%維持を測る目安として用いられている」 (@@。 この50%は、旧来の言葉遣いを許して頂くなら、夫が正社員で40年間働いて年金保険料を納め続け、妻が専業主婦で保険料を払わず基礎年金を貰う”標準的な夫婦”が前提です。つまり、一人分の報酬比例年金と二人分の基礎年金の合計が現役世代の平均的な働き手の所得の50%を超えるということで、お一人様だととっくの昔に50%を割っています(2019年財政検証時点で43%)。これが、100年安心と言い続けて来た年金当局が、標準世帯という現実離れした”モデル年金”を捨てられない所以です。捨てた瞬間、50%が維持できていない事が露になりますからね。 今の若い世代は、お一人様だと本人負担分と企業負担分を併せた年金保険料を年金で取り戻すことさえ不可能で、それは、2019年の財政検証でもはっきりわかっていたところです。実現不可能な経済成長率や賃金上昇率を置いて糊塗してきた年金破綻の現実、つまり「いつの時代に65歳を迎えても現役世代の50%を超える年金が得られる」という約束が守れなくなった現実を、いよいよ年金当局が認めざるを得なくなってきたということであるような気がします。 そういえば、かつては年金破綻は無いと主張する人達が世論誘導の上で重用されていましたが、今は逆に、このままでは年金はもたないと主張する人達が重用され始めているように感じます。ひょっとすると、静かに前提を変えて国民の危機感と世代間対立を煽って累が年金当局に及ぶことを巧みに躱しつつ、保険料の納付期間を延ばしたり年金の支給開始年齢を引き上げたり、高所得者に一段と重い付加を掛けたりする算段かもしれません。 今年は5年に一度の財政検証の年。どんな前提でどんな案が出て来るか、大いに気になるところです。( 一一)
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【爆発】全米の大学で「若者の反乱」が巻き上がる理由
NewsPicks編集部
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
名にし負うニューヨークタイムズの記事ですね・・・ 「アメリカの帝国主義による暴力」という言葉と、思い出深いコロンビア大学のキャンパスの今の様子とが、1970年代初頭の日本の学生運動の「日帝(日本帝国主義)の暴力」という標語と、ゲバ棒とヘルメットと立て看板で溢れるキャンパスの様子に重なります。 東大の安田講堂事件を筆頭に、各地の大規模大学、有名大学で学生と警察の攻防戦が演じられ、”学生”の多くに、資金援助を受けるプロの活動家や他大学の学生活動家が交じっていたことが、後に判明しています。そのあたり、米国の大学デモではどのような状況になっているものなのか。 イスラエルを地上から殲滅すると主張して憚らないハマスが起こした1200人の無垢な人々の虐殺と250人もの人質誘拐から始まったこの紛争。イスラエル側からすれば、ここで攻撃の手を緩めてハマスが復活すれば再び同じ悲劇が起きるのは必定と見えるのでしょうし、パレスチナ側からすれば、自分たちの土地を奪ってガザに押し込めたイスラエルが許せないと見えるのでしょう。しかし、イスラエルのユダヤ人は2000年前に自分たちの土地を追われているのです。どこまで遡っても紛争の種は尽きないような気がします。 一刻も早く互いに矛を収めて欲しいと念じますが、構図が余りに複雑すぎて、簡単に終わらすことが難しそうなところに悲劇的なものを感じます。
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【証言】超円安を放置する植田日銀の「ホンネ」
NewsPicks編集部
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
リーマンショックによる急激な落ち込みと新型コロナウイルスによる急激な落ち込みが共にあるので比較は難しいものの、異次元緩和が始まった2013年度から2022年度までの実質経済成長率の単純平均は0.64%、その前の同期間を取ると0.66%で、異次元緩和で実質経済成長率が上がったとは思えません。 低インフレの円は高くなってこそ購買力が維持できるもの。リーマンショックで円が買われて円高になったのは確かですが、円の実力(≒実質実効為替相場)は安定していて、異次元緩和直前も、2000年代始めの水準を維持しており、日本経済が世界を席巻した1980年代後半から1990年代始めに比べると、むしろかなり円安になっていたのです。 その中で始めたのが明らかな円の毀損策である異次元緩和で、そこから円の実力は継続的に下落を始め、いまでは2012年当時と比べ、三分の二程度に下がっています。実体経済が弱い時にマネタリーベースを増やしても無駄な準備預金が積み上がるだけで経済が良くなるわけがないというのが有名な岩田-翁論争における翁氏の主張でしたけど、12年に渡る壮大な社会実験で、翁氏の主張が正しかったことが証明されたように私は感じます。 3月の政策変更で、マイナス金利策のみならず、YCCとか中央銀行が株や不動産を買うとかいった世界の中央銀行が禁じ手とする異常な手段は廃止されましたが、実質的な変更はごく僅か。中央銀行は政治から独立しているべきというのが世界の先進国の共通認識ですが、日銀総裁が国会、なかんづく時の政権の意向で決まる以上、その影響が及ぶことは避けられません。もし、パーティー券問題に絡んで安倍派が力を失っていなければ、その変更すら無かったような気がします。 経済学者の中で異端とされ、ごく一部に過ぎなかったリフレ派が大きな影響力を持って世論まで味方につけたのは、時の政権がそれに染まってその方向に世の中を動かしたからにほかなりません。円安でインフレを起こせば経済が成長して国民が豊かになるとの幻想は、そろそろ捨て去るべきであるように感じます。 とはいえ長期に亘った異次元緩和で、我が国は、政策を変えれば一気に景気が悪くなる、そのまま続ければ緩和の出口のリスクが高まり続けるジレンマに直面しています。金利を上げて景気が冷えればリフレ派は声高にそれを追求するでしょう。新総裁の難路が続きそう。
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現役時代の給料7割保証 世界1位の年金王国に学ぶ?【報道1930】
TBS NEWS DIG
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
2019年の年金財政検証によれば、経済成長と労働参加が十分進む場合でも、30年後に年金を受け取り始める世代が受け取る年金は、今の8割程度です。経済成長と労働参加が一定程度なら、年金財政が安定するのは、支給額が今の高齢者の7割強まで落ちた時。 今の標準的な高齢者が受け取る厚生年金額はやや多めに見て22万円程度ですから、8割なら18万円、7割なら15万円で、厚生年金でさえ、夫婦二人が生活するにはかなり苦しい水準になるでしょう。いま6万8千円の基礎年金(≒国民年金)は更に悲惨で、経済が十分成長しても将来は5万円を下回ります。基礎年金保険料納付期間の延長は、将来の国民年金額が5万円を割り込まないようにするためです。どの時代に65歳を迎えても現役世代の所得の5割が貰える制度は既に破綻しています。 政府はいまの若い世代も、納めた保険料の2.3倍の年金が貰えると発表していますけど、実際には1.15倍と見るのが正解です。「収めた保険料」には企業負担分が含まれておらず、これだって本来なら賃金として貰える付加価値ですから、分母に含めないのは理屈に合いません。しかもこの1.15倍も、正社員の夫と年金保険料を納めずに済む専業主婦の二人を足した分が、夫が収めた保険料の1.15倍ということで、お一人様で65歳を迎えた場合、本人負担分と会社負担分を併せた保険料を生きているうちに回収するのは、今の若い世代にとって殆ど不可能です。同様に、現役世帯の所得の5割貰えるというのも、夫婦二人分を併せて現役社員一人分の賃金の5割ということで、お一人様であれば、確実に5割を下回ります。 パートや外国人の年金加入を増やして当面の年金保険料の支え手を維持し、年金は将来も安定しているという絵を政府は今年の年金財政検証でも多分描いてくるでしょう。しかし、その前提には多分に甘い予測が含まれています。年金制度の実態はこんな状況ですから、基礎年金保険料の納付期間の延長のみならず、年金の受給開始年齢を引き上げる、高所得者の年金保険料の上限を引き上げる、高所得者の基礎年金を減額する等々、様々な“改革”が遠からず打ち出されることは確実です。年金当局の大本営発表をそのまま報じるメディアに惑わされず、年金財政検証の前提条件と結果を自分の目でしっかり確かめて、何が起きるか想像力を働かせて将来に備えることが大切です。
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