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「もっと投資を」 ブラジル大統領が呼びかけ、岸田首相苦笑い
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
(追記 誤タイプ修正)記事のタイトルが煽り気味だったんで、実際に両首脳の演説をブラジル政府側発信のXで視聴しました。
記事本文にある貿易額の少なさについてルーラが持ち出したのは、「まだまだ拡大できる余地がある」と主張したかったためでしょう。その拡大のカギはブラジルの農産品輸入拡大にあり、そのためにはブラジルの牛肉も解禁して欲しいというアピールに繋げたとみます。
そのアピールに関して大統領は思い出話を展開。小泉元総理がブラジルに来られた際(2004年 ルーラ政権第一期にルーラ大統領が最初に迎えた日本の総理)に、ブラジルのおいしいマンゴーを食べてもらった。
小泉元総理はとっても美味しいと言ったので、その際「28年も働きかけしてるのにハエ(地中海ミバエ)の存在を理由に日本は輸入してくれてない」と申し上げた。
それからまた二十数年を経てやっとこの4、5ヶ月後にペトロリーニャ(北東部の果実産業集積地)からマンゴーを対日輸出できるようになるだろうと紹介し、農業の貿易交渉で進展があったことを示唆しました。
その上で、今回、岸田総理にせっかく来てもらったのでブラジルのシュラスコ肉を食べてもらいたい。(出席していた)農業大臣が焼いたシュラスコを食べたら(美味すぎて)日本に帰りたくなくなるだろうとギャグを飛ばし、間接的に輸入解禁検討をお願いしてました。
細かい数字は違ってましたが、あまりそういうことを気にせず、心で感じてることを主張している所にルーラらしさを感じましたね。
なお、全体的にはポジティブなトーンだったと思います。農業、工業、環境・温暖化対策も一緒に発展していける重要なパートナーですよということと、岸田総理がここ数年ブラジルにしてくれたこと(旅行ビザ解禁とか、G7招待等)への感謝のメッセージが散りばめられてました。
【衝撃】EV化の裏側で、中国に「廃墟工場」が続出している
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
近年ブラジルでもBYDが工場建設していたり、GWMも投資を発表したりしていますが、もともとフォードやメルセデスベンツの工場跡地を利用しています。そういう動きって中国ではないのかしら?
(参考:https://newspicks.com/topics/jorge_takeshi_lac/posts/43?fromNews=true)
上記でインセンティブ供与の可否に関わる二酸化炭素排出量の測定対象範囲について、ブラジルが2027年以降に移行することを書きました。
中国も25年以降にLCA基準を検討しているとかという話がありますよね。廃墟工場については、それ(LCA基準導入)との絡みでどう変わるのか(変わらないのか)に興味あります。
岸田文雄首相、空路54時間の強行軍で経済協力の強化図る 対中意識、南米と仏へ出発
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
安倍元総理が中南米向けメッセージを発したサンパウロでのセミナー。ジェトロ側の主担当として関係各所との調整の仕事していました。もうあれから10年経ったのか・・という感じです。今回、脱炭素に向けたパートナーシップを立ち上げるとのこと。中国勢がEVでぐいぐい来ていますが、日本勢のプレゼンスも決して小さくありません。欧米勢も含めた各自動車アセンブラーのブラジルでの投資計画を以下NewsPicksの中南米トピックスにまとめていますのでご参照ください。
https://newspicks.com/topics/jorge_takeshi_lac/posts/43?fromNews=true
【完全保存版】100人に聞く「人生観が変わった場所」リスト
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
南米専門なのに最初に人生観が変わったタンザニアについて書きました。大学生になって初の海外一人旅だったことでインパクト大きかったわけですが、景色よりも人との会話、しかも金が絡んでない本音の会話がずっと心に残りましたね。ちなみにその後人生観が変わった場所としてはサンパウロも挙げておきます。5年近く一度も日本に戻らず、どっぷりブラジル漬けとなりまして、人生観というか人間性が変わった気がしました。日本に帰って元に戻っちゃいましたが(笑
人でなく「景色」そのものだと選ぶのが難しい。国内だと雲の平キャンプ場からみた北アルプスの名山群の夕景はまたぜひ見てみたい。海外だと記事で紹介したキリマンジャロ山ではなく、夕日に照らされたベネズエラ・ギアナ高地の絶壁、ミャンマーのパガンの夕景、ブラジルの中西部にあるスクリ川の水中(アクアリウムそのもの)が私のベスト3です。
ハイチのアンリ首相が辞任表明、治安悪化で周辺国が緊急会合
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
歴史は専門外ですしハイチは専門外ですが・・・おさらいすると次のとおりでしょうか。
・スペイン人に連れてこられたアフリカからの奴隷・・17世紀にはフランス人の侵入が始まり、スペインとフランスの戦争を経てフランス領へ。
・その後フランス革命に刺激され、黒人奴隷の中に自由を求める動きが広がり、それを受けてフランスは1794年に奴隷制の廃止を宣言、その後ナポレオンが奴隷制復活。反発したデサリーヌ率いる反乱軍がフランス軍を破り、1804年にハイチ独立。
・このあとの略年表は次のとおり( https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/haiti/data.html )ですが、特に医師からポピュリストの政治家に変貌したデュバリエとそれを引き継いだ親子の独裁で酷いことになったようです。息子の方は2014年、法の裁きを受けないまま死去( https://www.afpbb.com/articles/-/3028096 )
さて、中南米諸国で20世紀半ばから後半にかけて独裁が続いた国は他にもありますが、その後の民主的な選挙で立て直して発展している国が多い中、ハイチは選挙で選ばれた大統領の政策がどうだったのか、そしてそもそも産業基盤がどうなっていたのかも注目すべきです。
後者に関し、地理学的な観点では、2010年の大地震の後に現地視察された浦部先生の論考の視点が参考になります。https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2013s/0/2013s_110/_pdf/-char/en
これを読むと、貧困ゆえに森林伐採→洪水頻発、農業発展阻害→食糧自給率低水準→輸入依存高まり、食糧自給不安定→社会も不安定(例 2008年の内閣退陣も一次産品価格高騰が背景) という感じでしょうか。人材についても、支援団体が根こそぎ優秀な人材を雇用する一方で公的部門は人材不足という援助を巡る問題もあるようで考えさせられます。
同じ島のドミニカ共和国は、先週日本で貿易投資セミナーやって、拝聴していましたが、なかなかの発展ぶりでして、同じ島なのにハイチとの差はなんなのかと思わざるをえませんでした。
ちなみにハイチとの国境地帯に企業進出インセンティブを設けているようですが、難民流入対策&防衛も兼ねているのかと思ってしまいました。
ヘリ墜落で前大統領死亡 チリ南部、ピニェラ氏
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
同氏の趣味はヘリコプター操縦でしたので、このような事故も起きうるだろうとは思っていましたが。。。ピネェラ第1期政権時にチリに住んでましたので個人的にショッキングなニュースです。
時代を先取りするような政策を展開したほか、チリ大地震(2010年)からの復興、そして2期目のパンデミック対応等でその手腕を発揮しました。
彼の異色なところはビジネス界出身の大統領、しかも、一代で財を築いたということでしょうか。親は政策投資機関勤務で財産家でもありませんでした。ピネェラ氏はハーバード大学で修士、博士とりましたが、成績が超優秀だっただけでなく、行動力も抜群でした。VISAなどクレジット事業をチリで最初に広めたり、金融企業設立、放送局、航空会社(現LATAM航空)の経営に参画したりしてピネェラ財閥を築き、フォーブスの長者番付にも名が載るほどになりました。
第1期政権時は震災からの復興を短期間に成し遂げ、日本との防災ノウハウ取り込みにも熱心で、前職ではそのあたりの政策に沿って日本企業との接点づくりをさせてもらいました。また、情報化社会到来、脱炭素社会の到来を見越したインフラ・エネルギー政策も展開し、政権が変わってもこうした社会発展に必要な政策は引き継がれました。
2期目は、1期目よりも社会政策に注力したにも関わらず、皮肉にもデモが活発となり、COP25のホスト国であったにもかかわらず直前で開催を断念するということもありました。
日本とは、防災以外にもTPPや太平洋同盟といった通商関係でも良好な関係を築けていたと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
【ニュース上乗せ】“楽園”エクアドルで起きていること
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
追記 Kawai Atsushiさん アボカドを巡る状況、大変参考になります。有難うございます!
(原文)
長くなったので分割しようと思いましたが、一挙に読める方がいいかなと思い一本にしてみました。個人的にエクアドルについては、一人旅で10日ほど滞在したり、出張で地デジ関連機材の市場調査などテレビ局まわり(今回襲撃されたテレビ局には行っていません)をした程度であまり現地感覚はありません。ただ、前職では現地要人や経済界の方々との意見交換の場に参加し、いろいろお聞きしたことはあります。同国の専門ではありませんが、公開情報からまとめてみました。
生放送中のテレビ、武装した男らが乗っ取り エクアドル
竹下 幸治郎(ホルへ・タケシ)拓殖大学 国際学部 教授
以前のコロンビアみたいな雰囲気になってきましたね。軍事・治安関係は専門ではないので、別のエクアドル専門家のレポートをざっとみると、コレア政権の対米姿勢と隣国コロンビアでの内戦終結がアンデス地域の麻薬組織の勢力図に変化を与え、エクアドルが麻薬組織にとっては重要度が増したと理解しました。とりあえず以下のように時系列で整理を試みてみます・・・
1)コロンビアのコカイン密輸監視のため、アメリカとエクアドルの間に1999年から2009年の10年間、米軍が使用できる協定が結ばれた(米国は同国内での麻薬問題根絶という動機あり)。しかし、この協定を2007年に就任したコレア大統領が延長せず、その後コロンビアから飛来する麻薬組織の飛行機や船に監視の目が行き届かなくなった。
2)他方、コロンビアの方は、米国とともに麻薬組織撲滅を目指す取り組みを継続。内戦を続けていたFARC(コロンビア革命軍、麻薬ビジネスで資金調達し重武装)と政府の間で2016年に停戦合意。麻薬組織弱体化(?)
3)それまでコロンビアで製造された麻薬の通過点にすぎなかったエクアドルは、コロンビアに替わり、周辺国から原料を集めてコカインに生成し、輸出する一大拠点へ。
4)麻薬組織増加(このテレビ局乗っ取りの直後に大統領が22の麻薬団制圧を宣言したが、それだけ数が多いということ)。麻薬組織間の抗争激化で殺人事件急増。
5)政府も対策強化(治安部隊に対しても犯罪者の銃撃前の銃撃も可とする大統領令出すなど・・)。刑務所改革もEUなどの協力のもとで進める。2023年の殆どの大統領選候補者が治安対策を掲げ、当選したノボアも明確なメッセージ打ち出す。
エクアドルでは2022年以降、いろんな州で非常事態宣言が出されていますが、コロンビアとの国境に近い北部州から港湾のある州にかけて目立つ感じです。
エクアドルも、治安が悪いだけの国ではないので、この際、NewsPicksの中南米トピックスでエクアドルの経済とか産業についても近々まとめてみようかと思います。
NORMAL
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