Picks
10フォロー
5304フォロワー


「運用会社を抜本改革」岸田文雄首相が指示 資産所得倍増へ
奥野 一成「おおぶね」ファンドマネージャー |農林中金バリューインベストメンツ最高投資責任者
この記事は金融庁が先日出した「プログレスレポート」と同じ内容です。
資産運用とは、資産価値の「増大」を目的とするビジネスですが、日本では金融商品の「販売」に主眼が置かれ、「運用<販売」の関係性が問題であることは、指摘通りです。そしてそれは、資産価値の増大を収益の源泉とする運用会社が少ないということにも起因すると思います。
ただ、より本質的な問題は、日本企業が総体として企業価値を毀損してきたという事実です。イソップ童話の「ガチョウと黄金の卵」は物事の因果関係をうまく表現しています。
株式などの金融商品価格上昇(=黄金の卵)を考えるときに、原資産である運用対象資産の価値、すなわち株式であれば企業価値という原資産の価値増大こそが「黄金の卵を生むガチョウ」です。
つまり、日本企業の企業価値の毀損が続き、結果として株価の上昇がおこなかった。当然として日本株を中心とした日本の資産運用は、蚊帳の外に置かれてきたという因果関係です。
しかし、だからといって私は日本の資産運用業を擁護したいわけではありません。運用に身を置く人間であればこそ、どこに富の源泉があるのかを見抜き、そこに自らの運用の中心を移していく必要があるからです。
実際、我々NVICは、総体として日本株に長期投資対象としての魅力がないことに気付いていたからこそ、2007年にグローバルに勝てる日本企業のみに長期厳選投資するプロジェクトを立ち上げ、当然のプロセスとして、米国企業、欧州企業に長期投資の対象を拡大してきました。
真に競争力のある企業は、どこに上場しているかなど関係ありません。この強い企業群こそが「黄金の卵を生むガチョウ」です。
ついでに言えば、このガチョウを見極めるのにオフィスが米国にある必要はありません。バフェット氏がオマハにいながら「ウォールストリートの情報など無駄」と言い切るのも、事業を見極めるのに証券市場に身を置く必要などないからです。NVICは東京にある必要すらないと思っています。
記事には「日本の投資信託で国際分散投資が主流になるなか、海外の運用会社に運用を実質的に丸投げする現状に金融庁は危機感を強める。」とありますが、我々は「丸投げ」したことなど一度もありませんし、これからも日本人ならではの「手触り感」と合理的なリターンを受益者の方々にお届けします。
米シリコンバレー銀行が破綻 リーマンショック以来の規模
奥野 一成「おおぶね」ファンドマネージャー |農林中金バリューインベストメンツ最高投資責任者
銀行にかぎらず企業が破綻するのは、調達に目詰まりが起こるときです。
私がかつて勤めていた日本長期信用銀行(長銀)の破綻は、不良債権を主因に挙げる人が多いですが、当時、利付金融債(リッチョー)のトレーダーをしていた私の総括は異なります。
長銀の調達は、利付金融債を地銀などの金融法人に引き受けてもらうことで成り立っていました。銀行として事業が順風に乗っている時は、物凄く効率よく調達できるので、一時長銀の格付けは邦銀で最も高いトリプルAでした。
しかし、逆風になるとこのプロ機関投資家に集中した調達構造は逆回転します。当時のバブルに踊った銀行のバランスシートの左側の不良債権は似たりよったりでしたが、調達サイドが個人預金者を中心に分散されていた都市銀行は破綻することはありませんでした。長銀と同様の調達構造になっていた興銀、日債銀は明示的に破綻はしませんでしたが、5年国債の発行とともに調達、債券の独自性もなくなり、長期信用銀行の役割を終えたということです。
シリコンバレーバンクの調達構造は、西海岸のベンチャー企業というかなり特殊な企業からの調達に偏っていたことが命取りになったと考えます。
今回のシリコンバレーバンクだけでなく、世界中の機関投資家、金融機関はこの1年半の金利上昇+リスク資産下落で相当にバランスシートの左側が傷ついています。生き残れるかどうかはバランスシートの右側(調達構造)にかかっています。
https://voicy.jp/channel/2959/488180

NORMAL
投稿したコメント