ホーム
97フォロー
18304フォロワー
もしもブラックホールに落ちたら…… NASAが再現動画を公開 近いほど“時間がゆっくり”になる現象など解説
早崎 公威忠北大学 天文宇宙科学科 教授
現実的には、ブラックホールに突入するはるか前に宇宙船は潮汐力で壊れてしまいます。なので、この動画はなにがあっても壊れない宇宙船を暗に仮定しています。すると、ブラックホールの近くで一般相対性理論で予言されているさまざまな効果が再現されるという話です。下記では冒頭のブラックホールによる潮汐力で宇宙船が壊れてしまう話を説明します。
仮に宇宙船が太陽ぐらいの重さとサイズだったとすると、約1億km離れたところで壊れます(少数点以下は無視してます)。潮汐力によって壊れる半径は、宇宙船が軽ければ軽いほど大きくなり、宇宙船のサイズが小さければ小さいほど小さくなります。この両方の効果は相殺するセンスですが、これらを考慮すると、1000kgで10m程度の宇宙船だとその半径は、手元の計算では約20億kmとなります。今の場合、ブラックホールの半径は0.1億km程度なので、ブラックホールからはるか遠ところで宇宙船は壊れて残骸になってしまいます。
残骸の中心に中性子星 1987年の超新星爆発 国際チーム(時事通信)
早崎 公威忠北大学 天文宇宙科学科 教授
おおもとの疑問としては、大質量星が超新星爆発を起こした結果できる天体としてはブラックホールと中性子星両方の可能性があり、どちらなのか決着がつかなかったという経緯がある(こういう天体ないし天体現象は他にもたくさんある)。ただし3、4年前にアルマ電波望遠鏡で観測して同様の結果(超新星爆発残骸の中心天体は中性子星である)が報告されていたが、今回はJWSTを使って赤外線データを分析した結果、残骸の中心がブラックホールではなく中性子星であるという間接的ではあるが強い証拠を捉えたとのこと。
【参考文献】
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adj5796
https://alma-telescope.jp/news/sn1987a-202007
【月面着陸】日本は5か国目。ピンポイント着陸も「ほぼ成功」
早崎 公威忠北大学 天文宇宙科学科 教授
天文学の研究者からすると、H-IIAロケットで同乗していたSLIMの相方であるX線分光撮像衛星(XRISM)の方も気になるが、門外漢でもSLIMの着陸位置精度を実現した技術の高さがうかがえる。着陸途中でエンジントラブルが起きていたにもかかわらず上手に立て直したのは、設計段階でこういったトラブルを想定して幾重にも対策を仕込んでいたのだろうと想像する。素晴らしい。
話は変わるが、現代科学(技術)では民間のビジネスと異なり、他国の技術者や研究者は競争相手と同時に、その分野の発展に寄与する仲間であり共創相手でもあるので、五カ国間の競争をことさら強調する必要はないと思う。
NORMAL
投稿したコメント