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サウジとシリア、約10年ぶり大使館再開へ イランとの正常化合意受け
Reuters
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
2年前までは、中東は、大雑把には以下のような対立構図がありました。 サウディアラビア+UAE同盟(+エジプト、イスラエル) vs. イラン、トルコ、カタール同盟 この対立は、イエメン、リビアなどの内戦への中東諸国の介入にも反映されてきました。  2011年以来のシリア内戦の場合、この対立構図とは違っていて、 アサド政権←イラン、ロシアが支援 反アサド政権武装勢力←トルコが支援 クルド人勢力←米国が支援 で、シリアにおいては、イランとトルコの利益は対立しています。 昨年、トルコの通貨下落などがあり、トルコがサウディアラビアとUAEから財政支援を受けて、半ば屈服のかたちで、両国と関係改善しました。カタールも両国と関係改善しました。  昨年はイランの孤立が目立ちましたが、イランもサウディアラビア、UAEと関係改善しつつあります。 シリア内戦は、アサド政権勝利のかたちで、もう終わらせる、というのが、イランとロシアはもちろん異論のないところで、国内のシリア難民300万人を送還することが優先のトルコも、もうそれでいい、というのが、この動きの最大の原動力でしょう。  サウディアラビアとUAEが主導して、アサド政権の勝利が確立されます。 なお、サウディアラビアは、シリア政府が大量に生産している麻薬が自国に流れ込んでくることが非常に深刻な社会問題となっており、それをアサド政権に止めさせたい、というのが動機としてあるでしょう。 シリアにイランの軍事力が駐留することを嫌うイスラエルと、実質的な自治を確立しているクルド人勢力を保護するために駐留している米国としては、これら中東諸国がアサド政権の勝利を確立するのは、受け入れがたいことです。
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スロバキア、ウクライナにミグ29戦闘機4機を引き渡し
Reuters
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ロシアは米国と並んで、世界各地に最も戦闘機を輸出している国なので、戦闘機も1000機くらいは持っているはずです。  なぜそれを投入してウクライナ軍を圧倒しなかったか、というと、レーダーと地対空ミサイルの性能が向上していて撃墜されるおそれが高かったから、というのがたぶん主な理由です。 20世紀、第2次世界大戦では華々しく戦闘機が活躍したように、戦闘機をたくさん持っていれば、戦争で優位に立てる時代がありました。  21世紀になって、レーダーと地対空ミサイルがあれば、侵入してきた戦闘機を次々に落とせる時代になっています。  米軍やイスラエル軍なら、電子戦でレーダーなどを機能不全にして、一挙に空爆で壊滅させることができますが、ロシア軍はできませんでした(米軍によるウクライナ軍支援もあって)。 それでは、戦闘機は高価な割に無意味なのか、というと、現在もロシア軍、ウクライナ軍双方が戦闘機を投入しています。  地対空ミサイルに撃ち落とされることが非常に多いですが、生きのびれば成果を挙げています。  結局、どちらかが電子戦で圧倒的に優位に立つか、戦車なりドローンなりで相手の地対空ミサイルを破壊したうえで、戦闘機を大量に投入すれば、大きな効果があります。  今、数十機の戦闘機で戦局を覆すことはできませんが、そういう局面が来れば、戦闘機の数が物を言います。 ポーランド、ウクライナに戦闘機供与へ NATO加盟国で初 https://newspicks.com/news/8230628?ref=user_1125005
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中ロ首脳「対話解決」を強調=和平案、ウクライナに対応要請―習氏、プーチン氏の訪問招請
時事通信社
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
中国側が示したのは、ロシアとウクライナ以外の諸外国は、「中立」であるべきだ、という主張です。  中国はロシアに兵器を供給しない、だからNATO諸国もウクライナに兵器を供給しない。  また、中国は欧米諸国にもウクライナにも経済制裁はしない、だから欧米諸国もロシアや中国に経済制裁しない。  この「中立」要求を、プーチン大統領も全面的に支持しました。 いうまでもないですが、この諸外国の「中立」が実現すれば、実際のところ、ウクライナは1年もせずに全土を占領されます。  習近平主席は、この「中立」案を提唱するのは、中国が「中立」だからに他ならない、という論です。  しかし、この「中立」がまかり通るなら、ロシアは旧ソ連諸国を全部占領できるし、中国も台湾や、東南アジア諸国の一部を占領できるでしょう。 ロシアの提唱する「多極化」について、中国はやや消極的ですが、首肯している向きもかなりあります。  旧ソ連のことはロシアに任せて欧米諸国は介入するべきではない、アジアのことは中国に任せて欧米は介入するべきではない、というのは、中国にとって利益が大きいように見える提唱です。  第2次世界大戦の時にドイツがヨーロッパ諸国を、日本がアジア諸国を占領したようなことが起きます。  それでは軍事力を持つ国に蹂躙される国の方が多くなるので、そうならないためにできたのが、現在の国際関係の枠組みです。  ロシアはそれに真正面から挑戦し、中国を引きずり込むためにしきりに働きかけています。 その他、表に出てきた具体的な合意は、主に貿易に関することで、特に、 ・人民元決済による貿易の拡大。中露2か国だけではなく、アジア、アフリカ、中南米でも人民元決済を拡大してい方針 です。  中国側から、表立って兵器を供給するとはいいませんが、鉄鋼やその他の物資を供給するなら、半ば以上兵器を供給しているようなものです。  それに対して、ロシアはエネルギー資源と食料を中国に供給できますが、人民元での決済であれば、米国の経済制裁を回避しやすくなります。
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日本のヤクザや世界の独裁者をも支援──こんなに黒かったクレディ・スイスの実態
クーリエ・ジャポン
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ゴルゴ13のような日常的に殺人を行っている人物ですら口座を安全に保持して、個人情報が流出することもない国なのですから、ヤクザや世界各国のその他犯罪組織、独裁者などもスイスの銀行に口座を持つでしょう。 犯罪組織や汚職政治家、宗教団体などは大口の預金者ですから、それらの顧客の獲得競争は、世界中で激しさを増しており、現在の人気はやはりドバイです。他にもキプロスやレバノンなど、出どころは問わない金を受け入れる(つまりマネー・ロンダリングですが)ことで財政の足しにしようとする国は、いくつかあります。  最近はビットコインなども出てきたので、マネーロンダリングを請け負う競争は激化しています。  ドバイは、不動産も買えるうえに亡命も受け入れるので、最近は人気です。  カルロス・ゴーン氏のようなレバノン人であれば、レバノンもいいですが、最近はレバノン自体の存続も怪しいので、人気が落ちました。  資産の安全性からいえばスイスですが、スイスは犯罪者の逃亡先には不向きなので、その筋だとドバイの方が好まれます。 なお、ゴルゴ13が口座を持っているのは、クレディ・スイスではなく、もっと小規模なプライベートバンクでしょう。  スイスのプライベートバンクであれば、口座番号だけ渡せば、誰でもその口座に振込ができる匿名口座を開けます。依頼人がゴルゴ13の個人情報を知る必要はありません。
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戦争の行方左右、ロシアに半導体流出か-米ハイテク規制強化でも
Bloomberg.com
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
現代の兵器は、ミサイルはもちろんですが、戦闘機も、ドローンも、砲弾でさえ、GPSを使って飛びます。  歩兵も、GPSは必須です。カーナビのような装置が、多人数での共同作戦で非常に有益なのはわかりやすいでしょう。  GPSというのは、衛星と通信しながら衛星との距離を測定し続けつつ、三角関数を使った計算で現在地と目的地との距離を計算し続ける装置です。  つまり、ある程度の水準の計算機が必要です。  小型計算機が高速で計算を続けるのに必要なのは、半導体です。  半導体の数が、ミサイルや戦闘機やドローンの数、それに戦車部隊や砲兵や歩兵の戦力の高さに必要です。 ロシアは、原油とガスを売り続けることができる以上は、金はあります。  あとは、どこから半導体を買うか、です。  ロシア政府が現地人を使ってダミー企業を設立すれば、日本ででも買えるでしょう。EU諸国や米国でも買えます。  そこからロシアに直接運び込むのはむずかしいですが、UAEやトルコやカザフスタン、ウズベキスタンを経由すれば、問題ありません。 ロシア政府が設立したダミー企業だと見破られるかもしれませんが、イラン人や中国人がつくったダミー企業もあります。そもそも、ダミー企業ではなくても、中国の国営企業や名だたる大企業であれば、半導体の購入など、容易でしょう。 かつて、日本は日中戦争で、中国の補給ルートに使われているというので、ベトナムやミャンマーに攻めこみました。  ベトナム戦争では、米軍は、ベトナム戦争への補給ルートに使われているというので、カンボジアやラオスに攻めこみました。  国際的な補給ルートを断つ、というのは簡単なことではなく、どうしても新たな敵をつくることになります。場合によっては、泥沼への道になります。
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イラク戦争から きょうで20年 その後の国際情勢に大きな影響
NHKニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
1991年の湾岸戦争と2003年のイラク戦争は似て非なるものです。  湾岸戦争は、イラクがクウェートを武力で占領して併合したので、それは国連憲章違反なので阻止する、という名分がありました。安全保障理事会で、このことが確認され、安全保障理事会で決議もされました。 イラク戦争は、名分としては ・イラクが大量破壊兵器を保持している ・イラク政府がアル=カーイダと関係がある といったものでした。  いずれも事実ではありませんでしたが、仮に事実だったとしても、これらが武力で阻止されなければならないほどの国連憲章違反かというと、それは国連憲章では判断できません。  「武力で阻止するべき」という合意も、安全保障理事会ではされませんでした(国連憲章上、イラク政府に問題がある、という程度の確認はされましたが)。 そもそも、大量破壊兵器を国際的な合意なく保持しているのが武力で阻止されなければならないのなら、イスラエルもインドもパキスタンも北朝鮮も、多国籍軍によって侵攻されなければなりません。 代わりに米国から出てきたのが、いわゆるネオコンによる、「中東民主化」論ですが、武力侵攻で占領して民主化することで現地の人々の利益にもなるし、国際的にも有益(ヨーロッパに移民が来なくなる)というものでしたが、相手国の合意を得たものでもなく、国際的に合意したことでもありません。植民地支配の論理と変わりないものです。   結局、米国はリソースと信用を失ったのですから、米国(ブッシュ政権)の失策でしょう。 2011年にはオバマ大統領がイラク戦争の終結を宣言、その後イスラーム国を名乗る勢力が台頭し、イラクは北半分を占領されました。  それは何とか掃討しましたが、当時のイラク政府に力を貸したイランが、イラク政府への圧倒的な影響力を持つようになりました。 国連憲章も一種の法ですが、法というのは、文章による規範に過ぎないので、上が守らなければ守られなくなります。  法律がある国でも、政府やその手下が日常的に殺人や略奪を繰り返す国では、法律を誰も真面目に気にしなくなり、自分たちの身を守るために、民間の武装勢力を頼りにします。  上が法律を守らない、という実例を米国が示したことが、ロシアや中国、中東やアフリカに、国連憲章を気にしない行動をとらせるようになった、という面はあります。
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