土田 陽介

結局は、日銀前執行部が、インフレ目標を金融緩和を是とするために導入したツケを、日銀現執行部なり、国民が払わされているということに尽きるのではないでしょうか。日銀のスタッフの方々は、本当に大変だと思います。

早く治したければ自費治療もやるでしょう。医療費を下げたら需要を刺激します。供給が追いつかず、自ら医療崩壊を招く気でしょうか？一体、この５年で、何を学んだのでしょうか？夏風邪は昔からしつこいです。

現金の匿名性、アナログゆえの堅強性が、リテール型ＣＢＤＣの検討過程で見直されています。何もかもをデジタルに置き変えれば良いわけではないと私は考えています。

インフレ課税で財政を健全化させることになる、これは政策当局として一番、回避したいシナリオです。強烈な痛みを伴うためです。唐鎌さんが結論に書かれている、制御不能な状態になります。耐えるしかない状況です。 したがって、歳出を絞るか、増税をして歳入を増やすか、あるいはその両方をする必要があるわけですが、結局、痛みを回避しようと問題を先送りすると、最終的にインフレ課税に向かう。これは正に、マクロ経済のオーソドックスな理解です。

制裁を科された相手は必ず制裁逃れに努めますが、１００%を取り戻すことはできません。学者さんにも、制裁の効果をゼロサムで評価したがる向きがあり、それでは焦点がボケていると私は考えています。 制裁がない状態から比べて貿易数量を９割、８割の状態まで落とし込み、さらにコストも増やすことが重要なのだと考えられます。その意味で、米国による二次制裁はかなり強力ですから、ロシアと中国が、どうその迂回に努めるか、注視したいところです。

10年前はドイツがもてはやされました。 物事には必ず、陰と陽があります。それを両面、勘案した上で、評価はなされるべきだと私は考えます。そう、理想郷などないはずです。

策士策に溺れるを体現した感が否めません。国民連合の台頭という目的は果たしましたが、そのために飲んだ劇薬で体力を削がれたようなものです。マクロン大統領のレームダック化は、ＥＵ執行部の在り方にも大きな影響を与えそうです。 以下、私の見方です。 想定外だったフランス総選挙、左派連合が躍進したフランスに忍び寄る財政危機の足音 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81939

選挙結果は想定外となりました。そして、面倒な事態になったというのが率直な感想でした。議会は空転し、フランスは政策停滞に陥るというのが私の基本的な見方です。左派連合は合従連衡に過ぎず、不安定な存在です。左派、中道、右派の三つ巴と捉えられやすいですが、実際はもっと複雑だと考えています。 これまでは、財政リスクといえばイタリアでしたが、これにフランスも加わった感が否めません。次期２０２７年の大統領選もにらみつつ、フランス政局はかなり流動的に推移するのではないでしょうか。

割と面倒な事態となったように理解しています。財政拡張圧力が高まるのは必至でしょう。左派連合から新首相となるかはまた別の話ですが。次期大統領選まで、フランス政治はかなり混沌としそうです。ＥＵの財政規律との狭間で、市場が混乱しそうです。

この再エネシフトの加速が、かなり問題を含んでいると考えています。要するに、時代との逆行を産みかねないわけで、その可能性が高そうなためです。 ヨーロッパの右派政権は、再エネ一択から原子力の利用を前提に、エネルギー政策を転換しています。私は、時期に化石燃料に対する考え方も変えてくると考えています。 他方、スターマー労働党は、天然ガスから再エネシフトを加速すると主張している。投資コストは莫大、生産コストも増える。ゆえに、インフレ圧力になる。 スタグフレーションの時代に逆行する左派政策です。

以下のエッセイで、今後の英国の経済運営のポイントを整理しています。 英国総選挙で野党・労働党が大勝も、スターマー新首相にチラつく「オールドレイバー」の影 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81912 スタグフレーションの時代に、バラマキを好む労働党政権ができるというのが、歴史の皮肉です。 果たして、スターマー党首はブレア元首相のようなニューレイバーとなれるでしょうか。オールドレイバーによれば、労働党が７０年代に自ら引き起こしたようなスタグフレーションの長期化は必至です。 これは万国共通ですが、中道右派の左傾化が生み出した悲劇でもあります。下野した期間に、保守党が旧来の自由主義かつ成長重視の性格を回復できるかも注目です。

英総選挙を受けて、今後の英国の経済運営のポイントがどうなるかを示したエッセイです。 スタグフレーションの時代に、かつてその長期化をもたらした労働党が政権を担うのは、歴史の皮肉です。ここでかつての様なバラマキ優先の左派政策を採るなら、それこそ、労働党は再びスタグフレーションを悪化させることになります。 個人的見解として、下野している間に、保守党が旧来の中道右派、成長重視、自由主義に回帰できるかどうかが、将来的な英国経済のあり方を大きく左右すると考えています。