Picks
45フォロー
27063フォロワー
米CDC、新型コロナ感染ガイドライン緩和-熱なければ職場復帰可能
Bloomberg.com
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
このような変更を、過去にやっていたことが間違っていた、コロナが感染伝播しにくくなったなどと捉えるのは大きな誤解です。それでは、なぜこのような変更が行われるのでしょうか。 公衆衛生策を成功させるためには、最善の科学的根拠に基づく計画と同じぐらい、一般市民の理解と協力("buy in")が不可欠で、両者の最善のバランスを図る必要があります。根拠があるからと言ってそれを強引に押し通しても、効果は得られません。 具体的な例として、科学的根拠に基づき、マスクの着用義務やソーシャルディスタンスなどが推奨されてきましたが、これらの対策が、当初は一般市民のコロナへの不安などから来るニーズと合致し、「三密回避」に代表されるようなわかりやすいコミュニケーション、なぜ重要であるかが理解されることで、広く受け入れられ、感染流行の抑制に有効でした。しかし、そのような不安が軽減した2024年時点で同じことを推奨しても、おそらく理解は得られず、効果は得られないばかりか、不信感だけを買うことになり、百害あって一利なしになってしまうでしょう。 また、政策の柔軟性も大切な要素です。公衆衛生の状況はダイナミックに変化するため、新しい科学的知見が得られれば、推奨事項を速やかに更新し、それを市民に明確に伝える必要があります。例えば、パンデミック初期のガイドラインでは、マスクの供給不足やエビデンスの不足もあり、マスクの普遍的な使用は推奨されませんでしたが、ウイルスの伝播に関する理解が深まるにつれて、ガイドラインは更新され、マスクの使用が広く推奨されるようになりました。 このように、公衆衛生策の成功には、科学的根拠、一般市民の協力、そして状況の変化に応じた柔軟性の全てをうまく組み合わせる必要があります。このため、こうした変更がなされますし、妥当だと考えられるのです。当然全てを満たす100点の回答はなく、反対意見が出るのは当然のことです。
10Picks
オズワルド・畠中悠、初期の腎臓がんを公表「みんなも検査して!」
ORICON NEWS
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
このタイトルの意図やお気持ちはよく分かるものの、がんの早期発見というのはそんなにシンプルなものではありません。報道のケースのように、腎臓がんの早期発見がもし上手にできたら、救われる方はたくさんいるでしょう。しかし、現状では残念ながらこれが上手くできません。 例えば、腎臓がんの早期発見をするために、10万人の人に検査をしたとして、5人に腎臓がんが見つかるかもしれません。この5人のうち、2人はもしかすると検査のおかげで救われることになるかもしれません。一方、10万人のうち、1000人ほどには本当は見つけなくてよかった画像上の異常を見つけてしまうかもしれません。この1000人は不安で眠れない夜を過ごすことになるでしょう。また、この方たちは高い確率で精密検査が必要になり、中には針を刺す検査が必要になる人が出てきます。 針を刺す検査をした場合、一定の確率で出血などの合併症のリスクが生じます。腎臓がんの精密検査の場合には、1%程度で輸血が必要になるほどの大出血が起こることが知られています。こうして、例えば2人を救う間に、10人を命の危険に晒すことになるというような事態を生む可能性もあります。 このように、闇雲な検査は益よりも多い害を生む可能性もあり、だからこそ、どのような検査をどのような人に行うか、賢い選択が求められます。腎臓がんについては、残念ながら今のところ上手な早期発見の方法が確立されていません。
2Picks
ED治療薬に「アルツハイマー病」の予防効果、脳の血流増加で
Forbes JAPAN
山田 悠史マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー
この日本語のタイトルは明らかに言い過ぎです。Forbesの英語の記事はタイトルで「かもしれない」と言っているのに、残念です。 この記事の背景となった研究は、コホート研究と呼ばれるもので、治療薬の投与とアルツハイマー病の発症の間の因果関係を明らかにするのに優れた研究デザインではありません。 たしかに、ED治療薬の処方とアルツハイマー病の発症リスク減少の間に関連性が見られていますが、比較した相手はED治療薬の処方を受けていない人であり、例えばこんな例が考えられます。 ED治療薬の処方を受け、それを使用していた人たちは、より性活動が活発な方が多く、性活動性の高さこそが(例えば体を動かすことにつながったり精神的にプラスに働いたりなどして)アルツハイマー病の発症リスクを減らし、薬の影響は全くなかったという可能性もあります。事実として、この研究では性交渉の影響を調整できていません。 また、誰にでもこうした関連が見られていたわけではなく、糖尿病や高血圧がある人、70歳以上の人では見られていたものの、そうした病気のない人、70歳未満の人では関連が見られなくなっています。このようなことも、上記の可能性を懸念させるかもしれません。 このように、研究には必ず限界があることを理解し、過大解釈しないようにする必要があります。その限界を克服するためには、さらなる研究が求められます。こうした知見をもとに、次のステップとして、ED治療薬とその偽薬を用いたランダム化比較試験を行うことで、より因果関係の言及がしやすいポイントまで辿り着くことができます。追加試験が待たれます。 引用文献 https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000209131
17Picks
NORMAL