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東大、標高世界一の天文台完成 チリの高地に建設、来年観測開始
早崎 公威忠北大学 天文宇宙科学科 教授
電磁波には波長の短い方から、ガンマ線、X線、紫外線、可視光、赤外線、電波と6つの波長帯域があり、現代天文学では宇宙からやってくる光をそれぞれの帯域に特化した望遠鏡を作って観測しています。通常は地球大気に吸収されにくい可視光帯域と電波帯域のみが地上望遠鏡を作ることを許され、それ以外の帯域は色々な意味でコストのかかる人工衛星に乗せたスペース望遠鏡で宇宙を観測しています。
今回のTAOプロジェクトは赤外線帯域に特化した望遠鏡ですが、「地上からだと大気の吸収や散乱を受けて宇宙から届く光が見えない問題」を比較的大気の吸収を受けにくい地域を選びさらに標高の高い山の山頂に望遠鏡を設置することで解決し、地上に赤外線望遠鏡を実現したのです。赤外線望遠鏡といえばジェームスウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が有名ですが、TAOはJWSTではほぼ見えない中間波長域で高い解像度があるそうです。成果に期待しましょう。
>参考:TAOのウェブサイト
https://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/TAO/index.html
もしもブラックホールに落ちたら…… NASAが再現動画を公開 近いほど“時間がゆっくり”になる現象など解説
早崎 公威忠北大学 天文宇宙科学科 教授
現実的には、ブラックホールに突入するはるか前に宇宙船は潮汐力で壊れてしまいます。なので、この動画はなにがあっても壊れない宇宙船を暗に仮定しています。すると、ブラックホールの近くで一般相対性理論で予言されているさまざまな効果が再現されるという話です。下記では冒頭のブラックホールによる潮汐力で宇宙船が壊れてしまう話を説明します。
仮に宇宙船が太陽ぐらいの重さとサイズだったとすると、約1億km離れたところで壊れます(少数点以下は無視してます)。潮汐力によって壊れる半径は、宇宙船が軽ければ軽いほど大きくなり、宇宙船のサイズが小さければ小さいほど小さくなります。この両方の効果は相殺するセンスですが、これらを考慮すると、1000kgで10m程度の宇宙船だとその半径は、手元の計算では約20億kmとなります。今の場合、ブラックホールの半径は0.1億km程度なので、ブラックホールからはるか遠ところで宇宙船は壊れて残骸になってしまいます。
残骸の中心に中性子星 1987年の超新星爆発 国際チーム(時事通信)
早崎 公威忠北大学 天文宇宙科学科 教授
おおもとの疑問としては、大質量星が超新星爆発を起こした結果できる天体としてはブラックホールと中性子星両方の可能性があり、どちらなのか決着がつかなかったという経緯がある(こういう天体ないし天体現象は他にもたくさんある)。ただし3、4年前にアルマ電波望遠鏡で観測して同様の結果(超新星爆発残骸の中心天体は中性子星である)が報告されていたが、今回はJWSTを使って赤外線データを分析した結果、残骸の中心がブラックホールではなく中性子星であるという間接的ではあるが強い証拠を捉えたとのこと。
【参考文献】
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adj5796
https://alma-telescope.jp/news/sn1987a-202007
【月面着陸】日本は5か国目。ピンポイント着陸も「ほぼ成功」
早崎 公威忠北大学 天文宇宙科学科 教授
天文学の研究者からすると、H-IIAロケットで同乗していたSLIMの相方であるX線分光撮像衛星(XRISM)の方も気になるが、門外漢でもSLIMの着陸位置精度を実現した技術の高さがうかがえる。着陸途中でエンジントラブルが起きていたにもかかわらず上手に立て直したのは、設計段階でこういったトラブルを想定して幾重にも対策を仕込んでいたのだろうと想像する。素晴らしい。
話は変わるが、現代科学(技術)では民間のビジネスと異なり、他国の技術者や研究者は競争相手と同時に、その分野の発展に寄与する仲間であり共創相手でもあるので、五カ国間の競争をことさら強調する必要はないと思う。
NORMAL
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