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【野口悠紀雄】円安信仰がもたらす3つの損失
NewsPicks編集部
Furuyama MasayukiChemical Trading Company Manager of General Affairs
【経済】円安を信仰しているわけではないけれども、野口氏のような「円高信仰」にも与することはできない。 何度でも書くけれども、外為というものは相対的なものだと思うので、「円高=善、円安=悪」でもなければ「円高=悪、円安=善」でもなく、それぞれの局面に合わせて対応するしかないというのが私の立場。ただ、野口氏のように世の中の「円高=善、円安=悪」と捉える人たちに対して強く問いたいのは、長く続いた円高下で日本は本当に豊かになったのかという点。 私が就職活動をしていた20年ほど前の製造業でよく言われていたのは、汎用品は海外拠点で生産、高機能品は国内拠点で生産ということだったけれども、円高が進行した10年ほど前には、高機能品の生産も海外拠点で行うようになり、資材調達の業務をしているはずなのに新しいプラントを建てる仕事ではなく、老朽化したプラントを潰す仕事ばかりしていた。 その後、海外でのプラント建設プロジェクトに携わった際には、EPC(設計、調達、建設)の発注先はウォン安で価格競争力があった韓国のプラントエンジニアリング会社となり、円高で価格競争力の劣る日本のプラントエンジ会社とはならなかった。韓国のプラントエンジ会社は工事品質に難があり、現場のプロジェクト・マネジャーが「あと100億余計に支払ってもJGC(日揮)にしたかった」とぼやいていたのをよく覚えている。 先日も関連記事をPickしたけれども、私が就職活動をしていた頃には「球形タンクを備えたLNG船は日本企業にしか造れない」と言われていたが、2016年以降日本の造船会社はLNG船の受注はゼロになった。韓国や中国の造船技術が向上したことももちろんあるだろうが、円高によって競争力を失ったというのが大きな理由ではないだろうか? ビジネス以外に目を転じてみても、円高によって豊かな生活を送れていたかと言うとそうではないと思う。国産品>輸入品だとは必ずしも思わないけれども、食材の多くが輸入品に変わってしまっている。 岡山名物のままかりのさっぱがタイ産であり、小浜名物の鯖缶とへしこの鯖がノルウェー産であり、高野山や比叡山名物の胡麻豆腐の胡麻がホンジュラス産とグアテマラ産であり、名古屋名物のういろうに使われている砂糖がタイ産であった。円高によって確実に国産の農林水産物は競争力を失い、食文化の一部が破壊されている面もあるのだ。
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「学費を払えるか心配」残業規制に揺れるサトウキビの製糖工場、月給が10万円以上減る社員も
47NEWS
Furuyama MasayukiChemical Trading Company Manager of General Affairs
【経済】精糖業もそうだけど、長く円高が続いたことで国内の農林水産業は対輸入品の競争力を削がれてしまい、コスト削減のために労務費を削減せざるを得なかったという事情もあるはず。現在食品や飲料で使われる砂糖のほとんどは輸入品であろう。 多くの食品や飲料でかつては国産品が使われていたのかもしれないけれども、円高が続いたことで原材料コストの関係で国産品から輸入品に切り替えられたはずである。「日本は食料自給率が低く、輸入品に頼らざるを得ない。だから円高の方が良い」という意見もあるだろうけれども、「円高が続いたため、食料自給率が低い状況が続いている」と見ることもできないだろうか? 国内旅行をする際にお土産物に食品や菓子を購入する時はぜひ原材料をチェックすることをおすすめする。そこで使われている原材料には輸入品が多く使われているはずだ。 ここ数年で私が経験したのは、岡山名物のままかりのさっぱがタイ産であり、小浜名物の鯖缶とへしこの鯖がノルウェー産であり、高野山や比叡山名物の胡麻豆腐の胡麻がホンジュラス産とグアテマラ産であり、名古屋名物のういろうに使われている砂糖がタイ産であった。円高によって確実に国産の農林水産物は競争力を失い、食文化の一部が破壊されている面もあるのだ。
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