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【快進撃】ルルレモン、売上高でスポーツブランド「3強」入り
貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
攻める新興、守る古参という構図の中で、問われるのは”古参の攻め”だろう。
筆者の幼少期、スポーツアパレルといえばプーマ、アディダス、アシックスが絶対的な存在であったが、ナイキが風穴を開け、近年ではアンダーアーマーなどもプレゼンスを拡大してきた。
ひとたび成功したプレイヤーは、いつの間にか自らの地位を当然のものと感じ、大きなチャレンジを避けがちになっていく。
これは例えば、筆者が担当する自動車産業にも通じる。
規模が大きくなっても守り偏重ではない姿勢を、経営者も従業員も一貫して共有し、実践できるか。
そういう点では、ルルレモンとテスラは同じ局面にあるようにも思える。
これからに着目したい。
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貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
他の産業にも展開しうる取り組み。
表面的な意味は異なれど、本質的な意味は同じで、「価値に基づく値付け」、Value Based Pricing である。
例えば自動車部品でも、毎年部品によらず、原価低減の名の下で毎年売価を引き下げざる得ない構造だった。
海外から見ると、部品の価値が変わっていないのに、なぜ一律で値下げ要求に応じなくてはいけないのか、という疑問の声も根強い。
そのような産業構造においても、値下げしないばかりか、状況に応じて値上げもする、で良いのではないか。
その状況とは、部品の一時的な需給バランスや納期などが考えられる。
もちろん、完成車メーカーも、生活者に対しする値付けをダイナミックに変動させれば良い。
このような「価値と価格のアンバランス」を補正する動きは、社会全体に広まっていくべきだろう。
航空大手ボーイングが直面する「熟練工の消滅」とトラブル頻発の関係
貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
日航123便墜落事故を身近に感じた日本人としては、いたたまれない思いである。
熟練工がもたらすもののひとつに、想像力があると思う。
「このばらつきが将来どんな影響を及ぼしうるのか?」、「この念押し確認を省くことがどんな結果に繋がる可能性があるのか?」といった想像力は、自身の実体験や周辺の事象により育まれることも多い。
熟練=業界経験が長い=触れてきた実体験や周辺の事象が多い、と考えると、想像力に長けた熟練工は、”クリティカルになりうる手抜き”と”ならない簡素化”の違いを見極めることができる。
その見極めができない、経験が短い技能者が、効率化の過度の圧力を受けると、この手抜きと簡素化を混同してしまうのだろう。
経営としては、組織としての見極め能力の担保、見極め能力に応じた効率化のメリハリをつけていくことが必要ではないか。
異論言う人物は放逐…トヨタ豊田会長、異常な独裁経営の弊害、不正続出の元凶
貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
功罪両面があるのではないか。
近い考えの役員で固めることの弊害もあるだろうが、一方で、トップの構想が企業としてのスピーディな意思決定につなげやすい、というメリットもある。
むしろ昨今の日本の製造業が陥っているのは、時間を掛けて議論をし尽くさないと意思決定できないという従来の構図による、スピード感や飛び感の欠如ではないか。
特にボトムアップ文化の強い日本の製造業がいきなりトップダウンに転換するのは難しい中、仲良し政権化というのは、現状打破のひとつのアプローチであるように思う。
もちろん、トップの構想への依存度が高まる分、それがリスクだという見方もあるだろう。
しかし、自動車産業のように動きが早く読みにくい産業においては、クリティカルにならない範囲で、新たな取り組みを次々打ち出していくことが、勝ち残りの前提となりつつある。
”侃々諤々の弊害”にも目を向けるべきだろう。
米フォード、主力EVを最大8100ドル値下げ 1月の販売減受け
貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
今後は販売台数の捉え方も変えるべきだろう。
Software Defined Vehicle(SDV)化が進むと、車両販売後に自動運転などのソフトに対するサブスク収益も大きくなっていく。
実際、テスラは既にこのようなビジネスモデルに転換している。
中国新興EVメーカーのNIOも、車両購入時に電池は除外し、電池の利用をサブスクで毎月支払うビジネスモデルも展開している。
つまり、従来のアフター以上に、販売後の収益源が広がっていくという中で、車両を値引いてでも販売して、サブスク収入源となる保有台数を積み増しておく、ということの重要性が増す。
まさにかつての0円ケータイに似たモデルである(もちろん、ただでもバラまくほどではないが)
今回のフォードが、そのような戦略的値下げかどうかは定かでないが、単純な値下げ=悪とは限らない、という見方も必要になってくるだろう。
インドに存在するEV普及よりもHV優遇すべき構造問題
貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
市場拡大のフェーズにおいて、揺れ戻しや市場によるまだら模様があるのは当然だろう。
これまでも、先進安全機能などは、同様の傾向があった。
ただし、法整備や政策に大きく影響されるため、ひとつのきっかけにより一気に市場拡大が加速することも考えられる。
このような複雑な状況を正確に予測する事は誰にもできない。
だからこそ、起こり得る状況とそのきっかけとなるドライバーを事前に把握しておくこと、どういう状況になったら自社としてどのような影響受け、そのためにどのような対処が必要か…このような構えを持っておくことが重要となる。
闇雲に正確な予測を追い求めても、自社の事業マネジメントがうまくいくわけではない。
テスラ、EV販売苦戦の競合から計90億ドル稼ぐ-排出枠売却なお好調
貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
これこそがテスラの強みだろう。
EV領域だけを見ても、テスラの場合は、車両販売以外に、自動運転等のソフトウェア提供に対するサブスクリプション収益、排出権取引収益など、ポートフォリオを確立している。
これは、車両販売のみの1本足打法になっている既存の大手を含めた完成者メーカーに比べて、事業環境変化に対する耐性が高い。
テスラに限らず、例えば生産受託事業、開発受託事業、アフターでのカスタマイズ事業など、完成車メーカーには様々な周辺事業の機会がある。
これらをいかに大きな柱にして、コングロマリットのような多様性のあるポートフォリオを構成できるか、と言うのも1つのポイントだろう。
「プライベートとビジネスをジョイントするのがアフィーラの役割」ソニー・ホンダモビリティ水野会長CES 2024【インタビュー】
貝瀬 斉株式会社ローランド・ベルガー パートナー
パーソナライズでも、マネタイズできるものをどこまで増やせるかが重要だろう。
車としての基幹的機能(自動運転など)、付加的機能(出力特性変更など)、車に限らない嗜好的機能(エンタメなど)、パーソナライズの対象は多岐に亘る。
しかし、サブスクなどで生活者が一定の対価を支払ってでも欲しいと思える機能は、必ずしも多くはない。
事業効率の観点から、マネタイズできるパーソナライズ、マネタイズはできないが間接的インパクトをもたらすパーソナライズに絞り、ニーズはあるがマネタイズやインパクトに欠くパーソナライズは捨てる、という判断が、OEMの収益拡大には求められるだろう。
調達コストを抑えて多くの台数を売る、という概念から脱却し、価値ある事業で自信を持って対価をもらう、という意識を、全社やサプライチェーンを通じて共有することが、競争力の源泉となるだろう。
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