髙橋 宏瑞

画期的な認知症治療薬として注目を集めるレカネマブですが、臨床第Ⅲ相Clarity AD試験 において、ARIA(Amyloid-Related Imaging Abnormalities)と呼ばれる、アミロイド関連画像異常のリスクが高い事が報告されております。ARIAの中には脳出血や脳浮腫が含まれており、そのリスクは17.3%と決して低くありません。 リスクとベネフィットの評価は各国で行われる事ですが、欧州が販売を承認しないと決定した事は大きな判断と言えます。レカネマブの使用については慎重に適応を判断し、薬剤の危険性を十分に理解していただく必要があると言えるでしょう。 <レカネマブの臨床第Ⅲ相Clarity AD試験における、薬剤の副作用の結果まとめ> 死亡リスク • レカネマブ群: 0.7% • プラセボ群: 0.8% ※死亡はレカネマブやARIAに直接関連しないとされています 。 重篤な有害事象 • レカネマブ群: 14.0% • プラセボ群: 11.3% 最も多い重篤な有害事象： • 点滴関連反応（1.2% vs. 0%） • ARIA-E（0.8% vs. 0%） • 心房細動（0.7% vs. 0.3%） • 失神（0.7% vs. 0.1%） • 狭心症（0.7% vs. 0%） 。 試験中止に至る有害事象 • レカネマブ群: 6.9% • プラセボ群: 2.9% 。 一般的な有害事象（10%以上の頻度） • 点滴関連反応: 26.4%（プラセボ群7.4%） • ARIA-H（脳内微小出血、大出血、表在性血鉄症）: 17.3%（プラセボ群9.0%） • ARIA-E: 12.6%（プラセボ群1.7%） • 頭痛: 11.1%（プラセボ群8.1%） • 転倒: 10.4%（プラセボ群9.6%） 。 引用元: Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948

コロナの流行もそうですが、あらゆる感染症の流行が起きており、感染対策にもう一度力を入れるべきタイミングの様に思います。 費用に関しては、コロナ診療のみを特別扱いするべき理由はもう特になく、やるのであればワクチン接種の推奨にとどまる様に思います。

死期が迫ると、本当に自分の望むものが見えやすくなると思います。普段の我々は周囲の人間から称賛を得られたり羨ましく思われたい、お金が欲しいなどの願望を中心に動いていますが、死期が迫ればそれらのどれもがどうでも良くなり、自分が本当に望むものが見えてくることが多い様です。 それが家族との時間だったり、農業の様な作業だったりします。元気なうちに自分の本当に望むものに気づくことも大事なんだろうと思います。

手足口病と言いますが、発疹が出るのは手と足と口だけでは無く、全身に現れます。特に今回の手足口病では手と足と口に発疹が出ないタイプも流行しておりますので、ご注意ください。 大人に感染する事もありますが、大人も子供も重症化することは稀で、特に治療法もなく自然に回復します。症状自体は痛みを伴うため辛いので、必要に応じて痛み止めなどを使って様子を見ましょう。

コロナによって感染対策の重要性が増し、今年は溶連菌の拡大によってさらに感染対策が重要となります。 やるべき感染対策に特別なものはなく、手洗い、消毒、マスク、換気です。感染症に対する知識はもはや専門家にとどめるべきものではなく、普及させるべきものとなりました。

このニュースは、私も読んでいて怒りを覚える内容だと感じていました。 研修医がSMA症候群を見逃したから研修医が悪いと決めつけられてしまうと、日本にいるほとんどの研修医はダメだとレッテルを貼ることになると思います。 私自身も後期研修医の時にSMA症候群の方を診療した事があり、造影CTの検査でSMA症候群と診断する事ができず、放射線科の読影結果でSMA症候群と診断できた事例があります。初期研修医が1人で診断するには難しすぎます。 この事例で感じたのは、そもそも病院の体制はどうなっていたのかという点でした。 ①初期研修医1人の判断で全てが行われていたのか。その場合、指導医は何をしていたのか。 ②放射線科の読影結果はどうだったのか。 ③病院の診療体制に問題はなかったのか。 内容を確認すると、研修医２年目には上級医に診療を報告し、確認する義務はなかったと書かれており、この時点で診療体制には問題があったと言えるでしょう。さらにはこの問題を受けて、この仕組みは改善した様です。 記事のタイトルを見ると多くの人は研修医のミスで人が亡くなったと考えるでしょうが、本質的には病院の仕組みの問題です。ミスが起きるのは当然のもの考えて、どの様な仕組みにすればミスが起きないかを考えなければ、こういった事例が無くなる事は差ないでしょう。

SNSが精神衛生に大きな影響を与えることについては、すでに多くの人が共通認識を持っていると思います。もちろん、SNSには利点も多くあります。例えば、自分の作品を発表する場として、また共通の興味を持つコミュニティと繋がる場として有効活用できます。しかし、一方で過剰な比較や誹謗中傷といったリスクも存在します。 SNSの二面性について考えると、ハサミの例がわかりやすいでしょう。ハサミは便利な道具ですが、使い方次第では人を傷つけることもあります。同様に、SNSも使い方によっては自己実現の場ともなり得ますが、誤った使い方をすれば精神衛生に悪影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクについて警鐘を鳴らすという記事の提案は、非常に興味深く、有効な手段となるかもしれません。個人的にも、全面禁止はやり過ぎだと感じますが、適切な利用方法を見つけるための議論は重要だと思います。 今後、SNSが精神衛生に与える影響についてさらなる研究が進むことで、どのような利用が良い結果を生み、どのような利用が悪影響を及ぼすのか、解像度が高まっていくことを期待しています。

今のところ、この変異株がこれまでの変異株と違うような変化をもたらすとは考えられていない様です。アメリカの状況をもう少し見ていく必要があります。 一方で日本ですが、徐々にコロナの再拡大の傾向が見られてきました。一時的に感染対策の強化する事をお勧めいたします。

日本の医療は医療従事者の滅私奉公の様な働きで成り立っていました。これが出来なくなる仕組みを提示したわけですから、医療崩壊が起きる病院があってもおかしくありません。 そもそも病院の利益は1％程度とされており、人件費に多くのお金が使われています。この小さな利益幅でなんとか回しているにも関わらず、働く時間を制限すると言うことは労働力の削減となり、病院の赤字につながってしまいます。そのため、この記事にある様なブラックな働き方が生まれてしまいます。 高齢化社会で医療費が上がっているのは仕方ありませんが、もっと人件費への補充を考えなければ病院経営はかなり厳しくなってしまいます。 働き方改革で人間らしい働き方になるのではなく、働く時間が増えて給料が減る様なことに繋がるのであれば、本末転倒と言えるでしょう。 ただし、滅私奉公の働き方に対して、働き方改革の舵を切ったこと自体は素晴らしいチャレンジであり、諦めずに政策の改善を進めていただきたいところです。 ちなみにアメリカでは、年の半分以上が休みという働き方で十分な給料が得られるような仕組みができています。

面白い研究ですね。認知症の原因はまだ60％程度しかわかっていないため、様々な方向での検討が重要です。すでにわかっているリスク因子として、低い教育レベル、社会的孤立、難聴、喫煙、アルコールなどがあります。 いろいろな生活習慣の蓄積が影響を与えるため、規則正しい生活を送る事が重要なのは間違いなさそうです。

スペックで世界一を目指しても、その活用方法がわからなかったり、一部の人しか使えないものであればあまり意味がない様に感じてしまいます。例えば、富嶽を使ったAIでは、ほとんどミスが起こらず、何かしらのインフラ効率化に繋げられるなど、目に見える成果を示してほしいところです。 少なくとも、これが実現すると世界はどう変わるのか示して頂きたいです。

ワクチンの普及によってコロナが流行する世界でも不自由なく暮らせる様になったと思います。ウイルスの変異に伴ってワクチンの効果が薄まるのはインフルエンザと同様であり、変異に合わせて新しいワクチンを打つことで感染予防や重症化予防に繋げられます。 ワクチンによる死亡があったかどうかの議論は変わらずありますが、少なくともワクチンの成分に人を死に追いやる毒の様なものは入っていません。一方で強い副反応が特徴的であり、この副反応によって死期を早める事につながる可能性は否定できない様に思います。 記事にある60名の方がどの様な方だったのか分析すれば、もしかしたらワクチン接種の基準に活かす事ができるのかもしれません。