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国内大学、学術誌や論文を共同で閲覧 政府が枠組み整備
日本経済新聞
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
論文を毎日いくつも読む人なら身に沁みていることでしょうが、今時は、最新の研究に追いつくだけでも、個人であれば毎日数万円を投じて論文を読まざるをえません。  世界の主要な学術出版社が、オンライン講読のために1論文数千円を請求してくるからです。  所属組織(大学や企業、政府)が負担してくれるのならば、まだアクセスは可能ですが、個人で読むならよほど資産が無ければ無理です。  そして、一部研究トップ大学を除けば、論文講読費用は無制限に組織が負担してくれる訳ではありません。 こうなったのは、  世界的なトップ学術雑誌で論文が掲載されることが研究者の就職や給与を直接左右するようになった(このような業績評価主義は、終身雇用の日本では非常に普及が限られていますが)  ↓  論文を掲載する際にも学術出版社に費用を請求するようになった。  論文を書いて掲載されるためにはまず大量の論文を読まねばならない。  ↓  学術出版社は1論文講読ごとに費用を請求する。あるいは、高額のサブスクリプションを求める。  研究者は背に腹は替えられないので、多額の費用を払って論文を読み、論文を書いて、掲載してもらう。 ということが常態化したためです。  日本政府が購読料と掲載料を払ってくれるか、世界的な学術出版社に対抗できる学術雑誌をつくれればいいでしょう。  しかし、これは日本政府には無理です。  欧米諸国との協力が必要です。 そもそも世界的な学術出版社の商売のやり方ががめついので、これに対抗しようとする動きは諸方面で増えています。
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「歴史の転換期」防衛力強化 骨太原案判明 エネルギー調達でアジア連携
産経ニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「骨太の方針」は多岐に渡って包括的な方針が示されるもので、産経の記事はさすがに安全保障への着目が多すぎます。 たとえば、日経だと、 「退職金への課税、格差是正へ 骨太方針の概要判明 【この記事のポイント】 ・長く勤めるほど優遇される退職金の課税制度を改める ・「転職すると不利」解消し成長分野への労働移動促す ・少子化対策や生成AIのルール作りも骨太方針の柱に」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA02C0T0S3A600C2000000/?n_cid=SNSTW007 読売だと、 「「骨太の方針」原案判明、資産運用会社の新規参入を促進…金融商品を活性化」 「2000兆円の家計金融資産を開放し、資産運用立国を目指す」 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230605-OYT1T50277/ ただ、公平にいって、「骨太の方針」というのは1つには予算案への指針であり、予算案では安全保障面で多くの変化が予想されるので、安全保障への言及がない産経以外の各紙も、重要な変化への言及が欠けていそうです。 三菱重の今期、防衛事業の受注8500億円見込む 防衛費増で過去最高 https://jp.reuters.com/article/mitsubishi-heavy-idJPKBN2X10C7 三菱電機 開発・生産体制強化へ 防衛事業など従業員約1000人増 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230529/k10014082161000.html
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【新】日本経済に希望を灯す、知られざる企業たち
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
これは多くの分野でいえることですが(たとえば論文数ランキングとか)、日本はGDPが急落したとかいうことはなく、微増はしているのです。  ただ、他の国がはるかに急成長しているから、相対的に小さくなっているのです。  これが日本の衰退です。 「日本の工業製品輸出額が85兆円から90兆円に増えた」といいっても、(そもそも円建てでの数字で、ドル建てにすると減っている訳ですが)これは今では世界第5位です。  2003年までは3位でしたが、2004年に中国に抜かれて4位に、2019年にオランダに抜かれて5位になりました。 半導体製造装置も、韓国製(サムスンのSEMES)、台湾製のシェアが増えてきています。  10年ほど前は、日本はスマートフォンのシェアは無くてもiPhoneには日本製の部品が使われているから、とかいわれていましたが、日本製部品の割合が多かったのは10年以上前の過去の話です。 まだ自動車があるから、まだ半導体製造装置があるから、といっているうちに、家電製品やパソコン同様にシェアを失っていきます。  もっとも、「日本のものづくり」とかいう、日本という枠に執着すること自体が、多くの人にとて意味を失っていきますが。  それから、日本製の半導体製造装置の品質がどうこうより、国際関係上の理由で中国へ半導体製造装置を輸出できなくなる、という方が、よほど経済に影響のある問題です。
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【衝撃】中国超え。「世界一」のインドが抱える闇
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
戸籍制度でほぼリアルタイムの人口が把握できる日本の方が、世界では例外です。  ほとんどの国は、国民の住所を部分的にしか把握していません。  一番有効な方法は、国民に番号を割り振ってIDと情報を紐づけて、それがなければ銀行口座開設も携帯電話登録も有権者登録も公立学校入学もできないようにすることです。 インド政府も、2016年から個人識別カードの提供を始めました。生体認証情報で使用できます。銀行口座でも携帯電話登録でも必要です。  これが普及すれば、国民から税金を徴収できるようになり、金の流れも把握でき、巨大な地下経済を縮小できます。 しかし、個人識別カードを所持しているのは12億人程度なので、12億人以外にどれだけ人口がいるのかはわかりません。  そもそも、インドでは2億人以上は電気を使うことなく生活しているため、個人識別カードを所持する動機も乏しいです。 単に人口を把握するためだけではなく、国勢調査は国政の基礎として非常に重要です。  家族構成、年齢、教育水準、職業、所得、等々、把握したうえで政策を組み立てるのでなければ、政策はただの当てずっぽになります(もしくは権力者や圧力団体に有利なように組み立てられる、というか、権力者や圧力団体にすれば、データなど無い方がいい場合も多いです)。 インドでは、宗教も必須のデータです。  国勢調査は国政の基礎として必須ですが、政治的に非常に難しいのも事実です。  たとえば、東部のアッサム州で、予想以上にムスリム人口が増えている、といった結果が出れば、おそらくヒンドゥー主義団体が暴動を起こして人が死に、避難民が出ます。  ミャンマーなどでもあることですが、国勢調査の結果が発表されると死者が多数出る、という国はあります。 ひとことで言えば、インドは史上かつて中央集権化されたことがありません。宗教的、言語的、民族的に多様であり、外部からの諸民族の流入も多く、今のインドにあたる地域で中央集権的な行政が確立されたことはありません。英国によって、かなり中央集権に近づきましたが。  それが、中国との大きな違いで、インドは将来的にも、中国とは非常に異なる国です。  国勢調査で得られるデータは中央集権的な国政の基礎ですが、中央集権的な国政はもちろん、データを得ようとすること自体が、インドでは必ず強烈な反発を引き起こします。
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教育費の格差は「ワニの口」 高所得層の支出、平均の2倍
日本経済新聞
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
教育費がかかるから格差が広がるのではなく、所得の格差が広がっているから教育費に差が出るのです。  もう少し正確にいうと、所得の格差を拡大していきたい層が教育にプレミアをつける(金のかかるものにする)のです。  家族制度がある限り、子に資産を継承させる最も有効な方法は教育です。相続税をゼロにするとかよりも有効です。貴族や士族といった身分を継承させるよりも有効です。  これは洋の東西を問わないことで、現代の米国やフランスでもそうですし、宋の時代の中国の科挙でもそうです。 教育を受けなければ金を稼げないわけではありません。教育を受けていなくても金を稼いだ人はたくさんいます。  そもそも教育は金の稼ぎ方を身につけることではありません。 財産はスッてしまうかもしれないし、政変があれば奪われます。身分も同様です。  しかし、教育は命を奪われない限りは失われません。  そして、教育が保障する利益というのはあります。  インドではヒンドゥー教の知識が無ければバラモン階級たりえなかったし、中国では科挙に合格しなければ政府の役職に就けませんでした。  ヨーロッパではラテン語が話せなければ外交ができない時代があり、ロシア帝国ではフランス語が話せなければ上流階級には相手にされませんでした。  共産党政権下では党中央学校で、ナチス政権下では党直属のアドルフ・ヒトラー・シューレで教育を受けることが特権階級への道でした。  つまり、これがグローバル・スタンダードです。文明や国家は、こうやって教育に価値を持たせてきました。 日本は、そこまで階級制度が発達しなかったので、あまり馴染みがないでしょうが、確実にグローバル・スタンダードに近づいています。  今は米国の真似をしようとしてちぐはぐなことをやっていますが、いずれは米国の大学卒でなければ意味がない、というように、階級が明確化していくでしょう。
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トルコ大統領、新内閣発表 外相に情報機関トップ
共同通信
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
日本では情報機関の長、というのは、まるで存在感が無いですが、ほとんどの国では大きな権力を持っている場合が多いです。  中東だと、実質的には大統領に次ぐ権力者である、という国も多いです。エジプトやパキスタン、バングラデシュもそうです。 エルドアン大統領としては、軍を統御する、というのが最優先事項です。  クー・デタで倒されてしまっては元も子もありません。  大統領選でも議会選でも負けてしまった野党は、軍と組んでクー・デタに成功する以外に、権力を獲得する手段がありません。  軍を統御するには、緩めてはならず、干しすぎてはならず、うまく取り込むことが必要です。  統御に最も必要なのは、情報機関です。軍人や野党の動静や弱みを把握していれば、クー・デタを阻止するのに有効です。 外交も、トルコの外交は従来からそうでしたが、これまで以上に、情報機関と一体化していくことになります。  儀礼とか社交、ルーティンの仕事だけであれば、職業外交官の方ができます。経済を重視する外交なら、経済省庁と一体化するのがいいでしょう(韓国のように)。  特に近隣諸国を中心に、利害関係の大きな駆け引きをして、時に軍事力も用いるのであれば、情報機関が外交の主役になります。
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【熟考】「テック資本主義」の世界を、私たちはどう生きるか?
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「後期資本主義」というのは主にドイツで唱えられた概念で、英語圏ではあまり知られていません(英語圏では「新自由主義」(ネオリベラリズム)の方が圧倒的によく使われます)。 「後期資本主義」は、ロシア革命でソ連ができた後も、なお発展を続ける資本主義を理解するために、マルクス主義の観点から出てきました。  革命が起きたのに、資本主義は消滅しない、という状況にあって、資本主義を批判していく概念が必要とされたのです。  「後期資本主義」批判の主な提唱者には、ナチスのゾンバルト、マルクス主義トロツキー派のマンデル、フランクフルト学派のハーバーマスらがいます。  ゾンバルトはユダヤ人が資本主義によってゲルマン人を巧みに管理していることを攻撃し、マンデルは資本主義が巧妙に発達して生きのびているが打倒しなければならないと唱え、ハーバーマスは後期資本主義では自由な市民社会と公共圏が衰退してしまうことを批判しました。  いずれも、後期資本主義は人間を巧みに管理する(自由はあるように見える、物質は豊かである、しかし可能な選択肢は限られている)、ということを問題視しています。  後期資本主義を批判する人々は、革命後の世界や自由な市民社会というものに期待しすぎていて、それが欧米に現れないことにがっかりしていました(低俗なポピュラーカルチャーと愚かな大衆ばかり増えた、という批判でもありました)。  実のところ、人間の価値が無条件に無制限に発生するような社会は、近代以前にも無かったし、ナチスもソ連もそんな世界をつくれるような代物ではありませんでした。 政治は価値をつくりだす技術ですが、限度があります。一部のインテリは、ナショナリズムや共産主義、ナチスに期待しすぎていました。  政治は分配の技術であり、経済的な価値だけではなく文化的な価値もつくりだせるし分配もできますが、無限に価値が湧いて出るわけではありません。  無限を約束できるのは宗教だけです。 自分の価値を政治に保障してもらう、というのは、全く見当違いではありませんが、一定量以上はお門違いです。  そもそも価値が無ければ生きていてはいけない訳ではなく、自分に価値がないといけないかのように錯誤させてしまった責任の一端は資本主義にあるでしょう。  しかし、資本主義に「抵抗」しても価値は生まれないので、そこにこだわるのをやめた方がいいでしょう。
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