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トランプ氏、出生地主義の米国籍付与廃止を公約 不法移民の子に
Reuters
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
米国の国籍が出生地主義、という原則は変えないものの、大きな制限をする、という主張ですね。 (出生地主義をやめて日本のような血統主義に変えてしまうとしたら、米国の根幹を否定することになりかねません) 「子どもが米市民権を得るためには親のどちらかが米市民権か永住権を持つことを要件として定める計画」ということであれば、単に不法移民の子どもが米国籍を得られない、というだけではなく、留学や就労で米国に居住している外国人の両親から生まれた子どもも米国籍を得られないことになります。 多くの外国人が、子どもが米国籍を持てるようにしようと、米国に出産に来ます。  宇多田ヒカル氏が日本と米国の二重国籍であるのは、母親の藤圭子氏が、ニューヨークで出産したからです。  米国政府としては、そういう目的で米国に出産に来る外国人でできるだけ阻止しようとしています。  トランプ氏の主張を支持する米国人は、少なくはないでしょう。 しかし、一方で、現在の米国人の多くが、そういうふうにして米国籍を取得した外国人の子どもの子孫であり、やはり米国の根幹に十分関わる問題です。  憲法修正を必要とするかもしれませんが、トランプ氏は大統領令でやると言っていますから、また司法判断の問題になるでしょう。
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「巨額支援、一気に行き過ぎた」ミャンマー大規模ODA、頓挫の教訓
朝日新聞デジタル
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
ODAも投資であり、投資には当たり外れがある、ということですが、この記事には論点が2つあります。 ① ODAでミャンマーのインフラに投資したのに、政変で日本企業が進出しにくくなり、日本企業が得た利益が少なかった。 ② ODAでミャンマーのインフラに投資したのに、ミャンマーが民主化しなかった(軍事政権になった) ①と②は関係しあっていますが、別のことです。 ②については、民主化しなくても経済発展するし、そこで日本企業が利益を得ることもある、というのは、もう中国の例で明らかになっています。  ベトナムをこの例に入れてもいいでしょう。 「今は一党独裁政権の国だけどODAでインフラを整備したら将来民主化するので、日本が一党独裁政権の国にODAを使うのは民主化のため」というのが嘘なのは、日本政府も、欧米政府も、現地政府もわかっています。  もう通用しなくなっている嘘なのですが、今でも時々お題目として使われる嘘です。 日本政府(や企業)の誤算は、①の方で、別に一党独裁とか軍事政権でも、中国やベトナムでは外国企業が進出しているのだから、ミャンマーで軍事政権になっても特に問題はないだろう、程度に考え、深く考えていなかったことです。 一党独裁とか軍事政権といっても、いろいろあります。  ミャンマーの軍事政権は、北朝鮮などに近いもので、今の中国共産党やベトナム共産党よりも、なお悪質です。民主的でないとかいうよりも、変な民族主義の観念にとらわれて、経済についてまともな判断ができません。  欧米諸国も、中国やベトナムと、北朝鮮やミャンマーでは、扱いが違います。  日本政府(と企業)は、そういう違いをあまり意識していなかった(というかミャンマーの政治とか全然関心がなかった)、知ろうとしなかったし、リスクを考えようとしてこなかった、ということです。
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【勃発】中国とオーストラリアの「リチウム戦争」が凄まじい
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
リチウムはオーストラリアやチリで採れますが(そして中国は産出量世界第3位)、リチウムイオン電池をつくるのにはリチウムだけではなくニッケルやコバルトも必要です。 インドネシアやフィリピンで採れるニッケルも中国企業が押さえているシェアが圧倒的に大きいですが、コンゴ民主共和国やロシアで採れるコバルトはほどんど中国が押さえています。 オーストラリアが、コスト度外視でリチウムの精製をしたとしても、リチウムイオン電池の主要生産国にはなれません。  原材料を圧倒的に確保しているのは中国だけで、生産コストからいっても中国で全部つくってしまう方が競争力があります。  EVまで中国でつくってしまうほうがコスト面では合理的だし、実際、その製品は世界的な競争力があります。 オーストラリアは、精製前のリチウムを大量に中国に買ってもらう国、ということで、それなりに恵まれた国ではあります。  オーストラリアがリチウムイオン電池生産国として中国に取って代わるなら、オーストラリア単独では無理ですが、日本企業であれ米国企業であれ、残念ながらオーストラリアに手を貸しても中国に替わるリチウムイオン生産地にはなりえません。人材や設備の問題もありますが、コバルトを中国が押さえている時点で無理です。
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中国、ASEANへの投資拡大=高まる影響力に警戒感も
時事通信社
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
これは長期に渡る傾向ですが、加速を続けています。  基本的には、中国国内での投資で大きなリターンが望めなくなっているからでしょう。これ以上住宅やインフラを国内に増やすわけにもいきません。テーマパークとかもだめでしょう。つまり、1990年代の日本です。 ドルに対して強くなった人民元は国外への投資を進めています。  同時に、ASEANへの投資は、複数の必要性に迫られてのことです。いずれも、中国国内の人口減少、人手不足(高学歴化)、人件費高騰の結果です。 ① 生産拠点の国外移転。これは特に労働集約型の軽工業、繊維や雑貨、さらには農業や漁業なども国外で経営する企業があります。 ② 外国人労働力の導入。全ての産業が国外移転する訳にもいかず、それに中国政府は資本の国外移転に必ずしも好意的ではありません。国内で操業を続けるためには中国人だけでは人手を確保できず、ベトナム人、カンボジア人、ラオス人などが中国へ働きに来る、ということが増え続けています。 ③ 資源の確保。これはずっと前からの傾向ですが、ASEANだとミャンマーで顕著です。アフリカ諸国やアフガニスタンにも進出していますが。 プラザ合意後の1990年代の日本に近く、企業などがやむにやまれず東南アジアへ進出している、というのが実際のところでしょう。  もちろん、これで中国のASEANへの政治的影響が強まる、とはいえますが、中国に経済以外でASEANを意識した外交政策があるかというと、あまりないでしょう。  中国の外交政策は、まず米国を意識したもので、それに台湾、日本、韓国などが付随してきます。ASEANはさらにそれらの外側にあり、米国の側につかなければそれでいい、くらいの意識でしょう。
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トルコ大統領にエルドアン氏 野党統一候補との決選投票制し
毎日新聞
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
大統領選決選投票の前に、議会の議席は確定していました。 エルドアン大統領の政党(AKP)は、国会(1院制、総議席600)で268議席持っていて、トルコ民族主義政党と連立すれば320は超えるので、安定感があります。 クルチダルオール候補の政党(CHP)は128議席、政策の異なるリベラル政党やイスラーム政党、クルド人政党と連立したとしても、270程度で、過半数はとれません。 議会多数派と同じ政党の大統領の方が、法案はすぐに通るので、実効力が保障されています。 エルドアン大統領当選で、トルコリラはさらに下がり、初めて1ドル=20リラになりました。エルドアン政権当初は1ドル=1.5リラ程度だったのですが。  日本でいえば、10年間で1ドル=100円から1ドル=1400円になったようなものです。  それは、輸入した食料品をはじめ、インフレにもなります。 トルコの通貨安とインフレは、新興国の多くで共通して見られることですが、トルコは程度がひどく、長期間過ぎます。  当然、対外債務返済が困難になっていきます。  通貨安とインフレはイデオロギーや、近隣諸国との外交、ましてや民族間対立を煽っても解決するものではなく、新産業の育成と輸出主導型の経済成長によって解決されることが望ましいです。  エルドアン政権は、対外債務の増大と、国内のインフラ整備を含む建設業への投資が大きすぎました。  クルチダルオール陣営が、経済政策の転換に向けた処方箋を示せていれば結果は違ったかもしれませんが、クルチダルオール候補が当選したからといって、経済政策が変わりそうな展望が見えませんでした。
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トルコ大統領選 決選投票始まる 現職と野党候補の接戦か
NHKニュース
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
エルドアン大統領支持層:地方農村部、地方都市、イスラーム色の強い層、トルコ民族主義者 クルチダルオール候補支持層:ヨーロッパ寄りの西部大都市(イスタンブル、イズミルなど)、東部のクルド人、アルメニア人、世俗的リベラル層 クルド人は重要な票田ですが、ほぼクルチダルオール候補支持で固まっているので、変動は無く、票の積み増しにはならないでしょう。  変動しうる(フェンス・シッター)のは、それほどイスラーム熱心でもなくリベラルでもない都市部のトルコ人でしょう。 仮にクルチダルオール候補が当選したら、対ウクライナ政策に多少の変化はあるかもしれませんが、トルコ国内では対シリア政策の方がはるかに問題になっています。  ロシアもウクライナもトルコに対して何かしてくるわけではないですが(小麦と原油とガスが輸入できればそれでよいので、その意味では、おそらくエルドアン政権とあまり変わりありません)、シリアからは300万人の難民が来ているからです。 シリア難民300万人を、エルドアン大統領は12年間に渡って追い出せずにいる、ということを、クルチダルオール陣営は攻撃材料にしています(こういう点では、クルチダルオール陣営は欧米でいう意味でのリベラルでは全くありません)。  そうはいっても、クルチダルオール陣営に具体策があるわけではありません。300万人もの人間を無理矢理国境の向こうに押しやる、というのは、武力を使わずにできることではなく、まず虐殺を引き起こします。  比較的円滑に進めるには、シリアのアサド政権と協力して送還を進めることになりますが、そういう実行力ではエルドアン大統領の方が上でしょう。
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【孤立の社会学】日常に潜む「人とのつながり」を断つ要因
NewsPicks編集部
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
「孤独」は社会学の古典的なテーマです。  フランスのデュルケームが1897年に『自殺論』を刊行して、工業地帯では農村よりも自殺率が高いこと、そして工業地帯でも自殺率が高いのは、農村から出てきてそれまでのような共同体に属さずに共同体への帰属や規範を失った(アノミー状態)工場労働者たちである、ということを統計によって検証しました。社会学を確立した基礎の1つといえる記念碑的研究です。 米国でも1950年にリースマンの『孤独な群衆』が刊行されました。  米国の人間関係がマスメディアによって変わりつつある、という話です。流行や規範、育児法などまで、人々は地域社会や職場の同僚、あるいは家族でさえなく、マスメディアから影響を受けるようになっている、という話です。  社会学だけではなく、メディア論、コミュニケーション論の古典です。 「孤独」が論じられる時、だいたい新しい技術のせいにされます。  工業化が悪い、マスメディアが悪い、この記事だとソーシャルメディアが悪い、とされています。  そして、多くの場合、「孤独」への処方箋として、昔の共同体や昔の技術(手紙とか)へ回帰することが勧められます。 ソーシャルメディアが大学生を本当に孤独にしているのか、については、少なくとも教壇から観察しているよりは、統計的に検証した方がいいでしょう。 新しい技術は、確実に人間関係のあり方を変えます。  それは、古い人間関係が失われていくことであり、かつてはありえなかったような新しい人間関係が可能になる、ということでもあります。  結局のところ、ケースバイケースで、私のように友人といえる人間はほとんど外国にいるし、それは技術によって可能になった、というケースもあるでしょうし、自分の大学内に友人がいないと不安、という人間もいるでしょう。  確実なのは、個々の人間がどう感じようと技術は人間の関係のあり方を変えていくし、数十年もすれば人間が技術に適応していく、ということです。
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