ホーム
172フォロー
1362フォロワー
パナマ運河制限解除25年に、海運でスエズと同時危機 中東・気候変動で - 日本経済新聞
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
パナマ運河・スエズ運河のここまでの情勢についてうまくまとめた記事です.
さて,ここまでの話で言えばパナマ運河・スエズ運河の情勢は短期的には混乱を招き,急激な運賃上昇がもたらされたケースもあった一方,全体として影響はあまり大きくなかったと評価できます.これはコロナ禍の時期に比べて,経済におけるモノ需要の拡大や労働力不足が強くないこと,サービスを供給するために十分な船腹が存在することが大きな要因に挙げられます.
ただ,記事にもあります通り,パナマ運河の水不足問題を解決する抜本的対策はとられておらず,これからも通航規制を繰り返す可能性が高いです.紅海情勢によるスエズ運河回避の問題は,終息の見通しが困難で長期化する可能性も否定できません.
MSC、ノルウェーGCCに買収提案。1000億円規模で、自動車船事業を拡大
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
世界で最も規模の大きいコンテナ海運会社のMSCがノルウェーの自動車船専業船主グラム・カー・キャリアーズ(GCC)に買収提案を行ったという記事です.同社は大・中型の自動車船を18隻保有しており,自動車船部門の専業船主として世界3位の船隊規模です.GCCの役員会も株主に対して提案に応じることを推奨しています.
このところ,自動車輸送は輸送量に比べて船が少なく,市場の需給がタイトな状況が続いています(これが完成車のコンテナ輸送が増えた原因です).そんななかで,コンテナ船社による参入が続いています.自動車船の運航形態はコンテナ船に近いと言われておりますし,自動車部品はコンテナ船で主要輸送品目のひとつですので,参入しやすい分野だと思います.
記事にもある通り,コンテナ船社はコロナ禍の時期に得た資本を使って周辺分野への投資を進めています.コンテナ輸送との組み合わせで付加価値向上を狙ったり,コンテナ以外の利益減を得たりといった背景があります.
怒りを抑えたいなら…感情書いて捨てるべし 名古屋大チーム「鎮める効果」 - 日本経済新聞
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
怒りを感じた際にその状況や感情を紙に書いて捨てると怒りが抑制されることが実験で分かったとの結果を名古屋大のチームがScientific Reportに発表したとのことです.
仕事をしていると,ネットやNPのコメントに書くわけにもいかないけどどうしようもない怒りというのは否応なしに発生します.感情のコントロール手法として試してみようかなと思いました...
ちなみに論文のページはここですね.新聞社はウェブ版には論文へのリンクを貼ってほしい...
https://www.nature.com/articles/s41598-024-57916-z
ANA、地方空港に貨物専用機。大型機で装置取り込み
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
ANAが半導体関連の大型装置の輸出入需要を見据えて,熊本など地方空港に貨物専用機を就航させることを考えており,熊本空港に大型貨物機ボーイング777Fを試験運航させました.半導体産業を巡っては北海道などでも大型の工場建設が進んでいるため,熊本以外でも検討を進めていくとの話です.いまは多くが貨物輸送が充実している成田や関空まで陸送されています.
この輸送については,2024年問題の他にも台湾との輸送がかなり意識されています.日本・台湾間の貿易においては航空輸送の存在が大きいことがしられています.輸出では集積回路が航空貨物輸出の三分の一を占め,半導体関係品目や精密機器が主力となっています.輸入では集積回路の輸入が7割以上の圧倒的シェアを占めます.これは近年になって増えたもので,2013年と2023年の航空輸送による輸入額を比較すると10年間で2.6倍に増えました.今回の検討は,こういったニーズに対応するものとなるものと思われます.
一方で,成田または関西国際空港をハブにする形で運用を進め,こういった試みが航空貨物輸送の分散を過度に進めないようにした方が良いとは思っています.
NORMAL
投稿したコメント