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34歳女性記者の体験記「卵子凍結に本気で取り組んでみた私の1年間」 | 実際にかかる費用と体への負担は?
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
>卵子凍結にかかる費用の助成が、企業の人材獲得競争の切り札として使われはじめている
これは、1つの選択肢への補助として、であればよいのですが、
出産は先延ばしにして働くことを奨励、という意味であればそれは本当に女性のためを思った福利厚生とはいえません。
卵子凍結は、凍結しておけばいつでも妊娠できる、というわけではないので、
(たとえばすでにパートナーがいるなど)先延ばしにせずにすむ妊活は先延ばしにしないに越したことはないのです。
ですので、妊活したいタイミングで妊活できる組織、であることの方が重要です。
>多くの女性は中年になっても自然妊娠できるのに、不妊治療産業は、出産を先延ばしする女性たちの焦りにつけこんで、金儲けをしていると批判する人もいる
これは誤った批判です。日本ではまだこのような主張は見受けられないですが、このような論調がでてきてほしくないので、強めにお伝えしますが、
先延ばしにしないでよい妊娠出産は先延ばしにしない方がよいですし、不妊治療もはやめの方が成功率は高いです。
この「卵子凍結があるのだから不妊治療を急がなくてよい」という主張は、女性の人生よりもビジネスを優先した考え方です。妊娠を先延ばしにさせた結果、もしお子さんに恵まれることができなかったとしても、だれも責任をとってくれません。
パートナーが産後うつに──上場金融ベンチャーCEOが語る、スタートアップ経営と家庭の両立
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
産後うつは、育児疲れだけでは説明できない倦怠感や抑うつ、不眠などで、産後の女性の10-15%がなるといわれています。甘えや弱いわけではなく、治療が必要な状態。実は周産期死亡の死因1位は自殺で、産後うつを軽く捉えてはいけません。
もし、産後、ママの様子が気になる場合は、お産した病院などで相談しましょう。
また、男性も産後うつになることがある、ということも知っておいて頂きたいと思います。
もう1点、この記事で大事なポイントは、
家庭の事情を、仕事上必要な範囲で共有することは「弱音」ではありません。
家庭を維持しつつ、仕事の調整を円滑に進める上で、必要な「情報共有」です。弱音というネガティブなものではない。
産後うつに限らず、不妊治療や病気の治療なども同様。上からだけでなく部下も必要があれば事情を伝えることができる心理的安全性が重要と思います。伝えることで、打開策につながります。
生田斗真さん「旦那様に無痛おねだりするか」投稿に批判殺到。SNSで謝罪するも「何が悪かったのかわかってなさそう」
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
「おねだり」という表現は、もしかすると茶目っ気として使ったのかもしれませんが、生田さん個人の問題ではなく、無痛分娩について誤解があってほしくないので解説します。
「無痛分娩」は、麻酔を用いて経腟分娩することですが、完全に「無痛」になるわけではなく、痛みが緩和される、というイメージ。
お産の経過や、病院の体制によって、いつから麻酔をするかなど痛みの緩和具合も様々。
無痛分娩にすればお産は楽、というわけでないのと、麻酔などのリスクの可能性もあります。
麻酔を行う分、費用は上乗せになります。
それを家族で相談してみては、と生田さんは言いたかったようですが、
旦那さんにお願いして無痛させてもらう
と誤解される表現でした。
無痛分娩にするかどうかは、
お産する病院やご家族と相談して決めることですが、
残念ながらお産は女性しかできませんが2人の子の誕生のためのことであり、
無痛させてやってる という認識は決してもたないで頂きたいです。
15歳未満の子どもは1401万人 43年連続の減少
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
子どもの日に悲観的なニュースに聞こえるかもですが、
年々減少傾向なので、出産可能世代の人口自体が減ってきているのと、
以前に比べて結婚も子どもも望む望まないの多様性が大きいので、
極自然な傾向です。
出生数が減少傾向なのは自然な傾向ですが、子どもを望んでいる人は恵まれる社会であってほしいと思います。
また、人数が減っても、せめてその子たちはのびのび育ってほしいです。
そして出生数が減っていっても維持可能な社会の体制に、なっていかないとですね。
最後に、子育てに対するネガティブな声や空気感が時折あるのは否めませんが、SNSやメディアで特に目立っているという事情はあり、現実世界の育児はそこまでネガティブなものではない、というか、(個人の感想ですが)子育てはとても楽しいです。もちろん大変なことも多くありますが。
ただ、児童手当でなく、年少扶養控除は戻して頂きたいですね本当に。
国内初の飲む中絶薬「メフィーゴパック」、発売半年で724人服用…副作用14件も重篤例なし
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
日本での販売開始からまもなく1年の経口中絶薬の実際の処方例のデータ。
>副作用は嘔吐(おうと)4件、出血と下腹部痛が各3件
とみると、724人中、出血があった人は3人だけだった、と思われるかもしれませんが、そうではなく、
子宮内の妊娠組織を外へ出す(=中絶)ための薬なので、全例で出血はします。
そのうち、異常なほどの出血は3例だった、という意味です。
腹痛も同様で、子宮が収縮するため、下腹部痛を全く感じないのはかなり稀で、添付文書でも「より強い鎮痛剤の使用が必要になったもの又は治験担当医師が異常な痛みと判断したもののうち、因果関係が否定できないもの」を腹痛の副作用、とされています。
安全に使用されていることはなによりですが、痛みや出血はないと思っていたのに…とならないよう、このような情報がちゃんと理解された上で、女性が、薬か、麻酔下で日帰りの手術か、選択できるとよいと思います。
薬での中絶は何日かかるかわかりませんが、
手術の場合は、麻酔がかかっている間に約15分でおわるため、
どちらの方が負担が軽いかは、一概にはいえず、個々の価値観によります。
ラファ空爆、子ども13人含む19人死亡 犠牲の妊婦から新たな命
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
産婦人科医としてどうコメントしたらよいものか、、担当医の先生のお言葉の通りです。
母体は亡くなったのに生児が誕生してよかった、1400gで誕生したけれど様態安定していてよかった、と単純に喜べる話ではありません。
せめて赤ちゃんが元気でなによりですが、産まれる前にご両親を失うなんて、赤ちゃんも、亡くなったご両親も、つらすぎます。
胎児は母体から酸素も血流もきているので、妊婦さんが亡くなってから、かなり迅速に娩出しないと児は助からないため、
この紛争下にも懸命に命を助けようとされている医療従事者のみなさまの存在も痛感する報道です。
この赤ちゃんにはどうか無事に育って頂きたいですが、
このような痛ましい出来事がおこらない世の中になってほしいと切に願うばかりです。
オゼンピックで「できちゃった」、不妊治療効果の可能性巡り議論噴出
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
肥満は排卵障害などにより不妊となることがあります。(やせすぎも妊娠しにくさに影響します。)
妊娠しやすさに影響するほどの肥満の方が、減量して適正体重になることで妊娠しやすくなる、というのはごく自然なことです。
ご本人は予期しなかったかもしれませんが、医学的には十分ありえることです。
体重を適正にするという以外の、妊孕性に有効な効果がGLP-1にあるかどうかについては知見がありませんが、
ただ、そもそもGLP-1は妊娠中の使用の安全性が確認されていないため、糖尿病の方で治療のために使用している方も妊活開始前にはインスリン治療に切り替える必要があります。
ですので、妊娠を希望している方がGLP-1を使用すること自体が本来は避けるべきことです。
なお、米国と日本とでは肥満の度合いが異なりますし、日本で、ほぼ適正体重の方がGLP-1を服用することで妊娠するかというと、米国と同様の期待はできないでしょう。
卵子凍結を選んだ30代女性が考える「自分の価値」
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
卵子凍結をすればいつでも妊娠できる、というわけではないですが、
いつかは子を望んでいるけれども、まだパートナーが見つからない
やむを得ない事情でどうしても妊活が少し先になってしまう
などの場合には、1つの選択肢となります。
先延ばしにしないですむ妊活は先延ばしにしないに越したことはない、
医学的にはこれが大前提です。
どうしても出産で仕事を一時的に離れますが、それがキャリア上の評価を下げない社会に変わる必要もあります。
時間ではなく「生産性」で評価されることと、
産後に同じポストに戻れる保証(仏は法で定められています)があると、
妊娠を躊躇せずにすみます。
もちろん卵子凍結事業は、妊娠を推奨するものではありません。妊娠を望まない人がプレッシャーを感じる必要はなく、あくまで望む人のサポート。
なお、都は男性の精液検査にも助成をだしています。
妊娠は女性だけの問題ではありません。
脊髄難病の胎児手術成功、阪大 母親の子宮切開で日本初
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
妊娠中に診断がつく疾患が増えてきた中で、治療法の進歩は、患者さん親子にとっての希望となります。
胎児期に治療ができるものとして、先天性横隔膜ヘルニアや重症大動脈弁狭窄症など、胎児治療はいくつかの疾患で行われています。
脊髄髄膜瘤は、先天的に脊椎(背骨)の一部が欠損している「二分脊椎」のうちの、神経組織が皮膚に覆われていないのが「脊髄髄膜瘤」です。
米国での胎児治療と出生後の治療との予後を比較した研究では、
運動機能など胎児手術群の方が良好でしたが、
胎児手術では早産や羊水過少などのリスクや母体へのリスクがあるため、治療の適応は慎重に検討されます。
なお、妊活中から妊娠初期に、葉酸を十分に摂取することで、二分脊椎の
発症リスクは大幅に減ります。妊娠を希望している方は、妊娠中から葉酸の摂取を。サプリや葉酸ゼリーなどでも大丈夫です。
「やせ薬」ベビーブーム? オゼンピック服用中の女性たちが次々と妊娠… | GLP-1薬の「予期せぬ副作用」
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
肥満は排卵障害などにより不妊となることがあります。(やせすぎも妊娠しにくさに影響します。)
妊娠しやすさに影響するほどの肥満の方が、減量して適正体重になることで妊娠しやすくなる、というのはごく自然なことです。
ご本人は予期しなかったかもしれませんが、医学的には十分ありえることです。
体重を適正にするという以外の、妊孕性に有効な効果がGLP-1にあるかどうかについては知見がありませんが、
ただ、そもそもGLP-1は妊娠中の使用の安全性が確認されていないため、糖尿病の方で治療のために使用している方も妊活開始前にはインスリン治療に切り替える必要があります。
ですので、妊娠を希望している方がGLP-1を使用すること自体が本来は避けるべきことです。
なお、米国と日本とでは肥満度合いが異なるので、日本で、ほぼ適正体重の方がGLP-1を服用することで妊娠するかというと、米国と同様の期待はできないかと思います。
男性の不妊検査、東京都が実質無料化へ…受講条件に39歳まで対象
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
これはすばらしい施策。
不妊症のうち原因が分かるものの約半分は男性因子。
ですが、なかなか妊娠しない、という時に、男性は検査を躊躇したり、まず女性が、、というケースが散見されます。
妊娠は女性の問題、と思われがちですが、もし男性側にも問題がある場合は検査を先延ばしにすると時間がもったいないです。
都が助成をすることで、その認知が広がりハードルが下がるのではと期待します。
もし男性側に問題があったとしても、それにより自尊心を損ねる必要はないこと、決して珍しくないこと、妊娠が望めないわけではなくて、適切な治療でお子さんを望めること、などが誤解されずに伝わることが大事ですが、それが事前の受講で説明されるのかと思います。
対象年齢は39歳までですが、一般的な精液検査は保険診療で自己負担数千円で痛い検査でもないので、40歳以上の方でも必要がある場合はぜひ検査を受けて頂ければと思います。
「女性が軸を持って選択できる環境が必要」POLAが卵子凍結を福利厚生に導入、美容部員の「一つの手立て」に
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
卵子凍結は、今はまだパートナーがいない(けど将来子どもがほしい)、
もしくはアスリートの方など活躍できる時期が限られていて妊活はそのあとにしたい、
など、やむを得ない事情で今すぐには妊活をできないケースでは、1つの選択肢として女性の可能性を広げてくれる方法です。
ただ、卵子凍結しておけばいつでも妊娠できるわけではないので、
先延ばしにしないですむ妊活は先延ばしにしないに越したことはない、というのが産婦人科医としての本音ではあります。
仕事か妊娠か選ばないといけない、まだ仕事をしたいから妊活はもう少し先に、という声が女性から聞かれますが、
どちらかを選ばないといけないわけではなく、妊娠出産と仕事は両立できます。
ただ、まだそれが難しい組織もあるかとは思いますが、
妊娠出産により一般的にはキャリアに影響を与えない社会になることがなにより大事と思います。
1つの選択肢として卵子凍結を福利厚生で提供しつつ、
妊娠出産がキャリアの妨げとならない組織になる、ということの方が本質的には重要かと思います。
あと、AMH検査は、卵巣年齢を測れるわけではないので、
結果によっては不必要に不安になってしまうこともありますので、注意が必要です。
NORMAL
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