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金融政策って何だろう?
愛と希望の経済学
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
「銀行は日銀当座預金を貸出に充てているわけではない」等正鵠を得たご指摘もありますし、読み易さを重視して敢えて単純化しておられる部分もあるとは思いますが、敢えていくつか。 そもそもの中央銀行の存在意義を考えれば、「中央銀行が金利をコントロールできるか」よりも、「その金利によって経済や物価(言い換えれば、中央銀行の債務である通貨の価値)をコントロールできるか」が人々の経済厚生にとって重要です。「買い支え」と言ってしまうと、極端な話、消費者物価指数の採用品目を全て一定の価格で買い支えればCPIすら短期的には安定させられるかもしれません。しかし、そうした政策が危険である事は、歴史上の社会主義経済の破綻が示しています。 また、中銀が財政ファイナンスを続ければデフォルトは回避させられるかもしれませんが、20世紀以降の経済学、とりわけ動学分析などの進展により、そうした国々の直接的デフォルトを回避しようとする行動が、インフレや対外収支の悪化・資本流出等により、やはり経済の大幅悪化につながっていく道筋が解明されています。さらに、いかに政府に徴税権があっても、過去の放漫財政を徴税で繕おうとすれば大変な動乱が起こります。実際、私はIMFで、そうした経済・政治崩壊の実例をいくつか目の当たりにしてきました。(IMFの考え方は、例えば以下をご覧下さい。) https://www.imf.org/external/pubs/ft/pam/pam49/pam4901.htm 日銀法2条により、日本銀行の理念は「国民経済の健全な発展に資すること」と明記されています。単に金利をピン止めすれば良いという訳ではないことは、ご理解頂けると有難いです。
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長期金利が急激に上昇する場合、機動的にオペ実施=植田日銀総裁
Reuters
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
報道の本筋を外れますが、中央銀行デジタル通貨(CBDC)へのマイナス金利賦課の可能性を巡る議論を日本で先駆的にフォローしておられたのは植田先生です。ご関心のある向きは、例えば以下の2016年のコンファレンス(最終17頁)をご覧下さい。 https://www.boj.or.jp/research/conf/data/rel161201a8.pdf この議論は元々、イングランド銀行が2015年に仮想実験として提起した上で、実務的にはこれを否定しています。その主な理由は、 ・現金が残る以上、CBDCにマイナス金利を賦課すれば人々は現金を選好するだけ(⇒わざわざCBDCを発行する意味が無くなる)、 ・人々が持つおカネの名目価値を当局が一方的に削減する行動が、経済やコンフィデンスにプラスの効果をもたらすかは疑わしい、 などです。 植田先生もこれらの議論を熟知した上で、上記コンファレンスでは 「突拍子もないことから申し上げれば、国民皆が中央銀行に口座を持つような世界では、 ―政策自体の良し悪しは別として― 名目金利のゼロ制約を超えてマイナス金利を深堀りしていくことが、技術的にはやり易くなるかもしれない。そのうえで、中央銀行等の公的な主体が、決済サービスを踏み込んで提供していくことについては、競争やイノベーション、効率性への影響といった潜在的コストの問題も考える必要が出てくるように思う」と、敢えて「政策自体の良し悪しは別として」、「技術的には」といった留保付きで解説しておられます。ややテクニカルですがご参考まで。
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【3分解説】農林中金の「大赤字」って、そもそも何ですか?
NewsPicks編集部
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
元バーゼル委、および元金融市場調節担当の立場から、いくつかテクニカルな面のみ、申し述べさせていただきます。 ・農林中金は「国際統一基準行」であり、バーゼル自己資本比率規制の対象となる「銀行」です。この観点から、リスクウエイトがきわめて高く「キャピタルを食う」エクイティ投資は自ずと制約を受けますし、系統預け金に対して定期的にリターンを出さなければならない立場上、どうしても米国債のようなデット投資を中心とせざるを得ない構造にあります。 ・系統預け金はいわば、JAバンク単体で地元では運用しきれない余資が農林中金に上がってくるものですので、農林中金がこれを地域向けの融資に充てることにも制約があります(⇒JAバンクと競合してしまう)。この面からも、マーケット運用が中心となります。 ・メガバンクは海外でも店舗網を持ちリテール業務も行っていますが、農林中金はその性質上、海外業務はリテール皆無で市場運用に特化した形となります。このことは、米国のFHC(金融持株会社)免許を最初に受けた邦銀が農林中金であったことの背景でもありました。一方で、海外においては調達も含めマーケットリスクに晒されやすいことにもつながります。 いろいろ大変ですが、頑張って頂きたいと願っております。
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【緊急解説】いま「超円安」が止まらない理由
NewsPicks編集部
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