原田 洸

イーライリリーは「マンジャロ」や「ゼップバウンド」といったGLP-1受容体作動薬を開発しており、糖尿病や肥満の治療において大きなインパクトを与えてきました。一方で、これらは注射製剤であることから手軽さや注射への抵抗といった面で課題がありました。現在他の会社で開発が進んでいる内服タイプのGLP-1受容体作動薬は、まだ十分に臨床試験が進んでいる段階ではありませんが、将来的には内服薬が主流になるのではという見方を反映した株価の動きだと思われます。

肝臓は「肝」の臓器の文字通り、体の中で必要不可欠の存在です。腎臓の機能不全があっても透析をすれば良いですが、肝臓の機能不全があった場合には残された道は肝移植しかありません。しかしながら臓器提供の不足や技術的な問題などのため肝移植の数は限られています。今回報告された技術はまだラットの動物実験の段階ではありますが、人間に応用できるようになればそのような問題も解決できるかもしれません。

熱中症を避けるための具体的な行動が載っている記事です。よくある間違いは、「飲酒で水分摂取をする」ことです。アルコールには利尿作用があり、多量に飲酒した後はむしろ脱水になることがあります。暑い時期に冷たいお酒を飲みたい気持ちになるかもしれませんが、アルコール以外の水分摂取を意識する必要があります。

コロナの定点あたりの報告者数は過去数ヶ月で右肩上がりに上がっており、報告されている直近の数週間ではその傾きがさらに急になっています。そしてこの最新の報告は、現在の感染状況とタイムラグがあることにも注意する必要があります。 https://www.niid.go.jp/niid/ja/10/2096-weeklygraph/12030-22covid.html 感染の早期にパクスロビドなど、重症化を抑えるための薬を処方できるかどうかが重要です。医療費の問題よりもアクセスやシステム作りが鍵となると思います。

コロナの感染は、ワクチンの普及やパクスロビドの使用などにより重症化する人は当初に比べかなり減りました。しかしながら、高齢者などリスクが高い方は未だに入院や集中治療室への入室が必要になることもあります。また、コロナ感染後に"brain fog"と呼ばれる脳神経系の症状に悩まされる方もいるため、油断はできません。

病気の捉え方は人それぞれですが、がんの告知をされると、最初は否定したり悲観したりするのが普通です。その後、少しずつ病気を受け入れられるようになり、治療にも前向きになってきます。がんを持ちながら、治療を行いながらでも、自分らしい生活を送ることが理想的で、森永さんはそれを実行されているのだと思います。

最近では、大阪急性期 総合医療センターが2020年10月にサイバー攻撃を受けました。電子カルテシステムが機能停止したことで、一時は外来診療を全て停止し、紙カルテでの運用を行わざるを得ない状況に陥りました。結果的に数十億円規模の利益の損失に至っています。病院へのサイバー攻撃は患者の生死に関わる可能性があり、今回の教訓から他の医療機関でも対策の強化が求められます。

一般論として、医療系の記事で「自律神経」という言葉が出てきたら要注意です。その内容は十中八九、科学的根拠がありません。むしろその情報が健康にとってマイナスになる可能性もあります。例え読者にとってキャッチーな内容であったとしても、そういった情報を拡散しないようにするのがメディアの重要な役割だと思います。

「手作りの目薬」「家で作れる塗り薬」などを使用して感染を起こしたり、傷を悪化させてしまったりして、救急外来を受診する方がしばしばいらっしゃいます。特に目は、皮膚ほどの感染バリア機能がないことから感染や異物に対してセンシティブな臓器で、「手作り目薬」で重大な健康被害が起こっても不思議ではありません。処方薬や薬局で買える目薬を使用してください。

手足口病は主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルスと呼ばれるウイルス感染症で、文字通り口の粘膜や手、足を中心に水疱ができる感染症です。主に子供が感染し、接触する人や家族に広がることが多いのが特徴です。例年夏場に増える感染症ですが、今年は感染者数が特に増えているようです。手洗いなどの基本的な感染対策が重要になります

睡眠に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。日本では安易に睡眠薬が処方される傾向がありますが、依存性・耐性ができてしまうこともありおすすめできません。また、「睡眠サポート飲料」などのエビデンスのないものに頼るのも得策とは言えないでしょう。 睡眠障害には主に4つのタイプに分けることができます。 １、入眠障害（寝付きにくい） ２、中途覚醒（夜中に目が覚めてしまう） ３、早朝覚醒（朝早く目が覚める） ４、熟眠障害 （眠りが浅いと感じる) 一般的に、睡眠トラブルの対策は以下の方法が有効とされています。 ・ベッドを寝る場所のみとして使用する ・午後や夕方のカフェイン摂取を避ける ・寝る前の飲酒を避ける ・入眠前３～４時間の運動を避ける ・昼寝を避ける ・夕食の過剰摂取を避ける ・寝る前にスマホやPCなどのスクリーンを見ない ・規則正しい睡眠サイクルを維持する また、中途覚醒や熟眠障害がある方で、特に肥満や小顎症（あごが小さい）の方は睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。自宅でできる検査もあるため、一度かかりつけ医に相談することをおすすめします。

記事には『アルツハイマー病については新薬「レカネマブ」が昨年末に発売されたが、軽度の人が対象で、早期診断が課題となっている。』とありますが、レカネマブは進行をわずかに遅らせるだけであり、根本的な解決策ではありません。早期発見して治療を受ける人の数が増えることで、健康面でも医療経済的な面でも、むしろ社会全体が不幸になってしまう可能性があります。 認知症を早期にスクリーニングすることで、「治療可能な認知症」を早期に治療開始することは可能かもしれませんが、そもそも認知症の中で最も多いアルツハイマー型人治療には根本的な治療法はないため、医学的な面では早期発見することのメリットは少ないかもしれません。しかしながら、認知症が進行する前に、「人生会議」「アドバンス・ケア・プラニング」などで、病気が進行した時にどのように人生を過ごしたいか本人と家族が相談したり、介護者や介護施設について準備したりといった、社会的な面ではメリットがありそうです。