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出産費用自己負担なしへ 無痛分娩は対象外も 厚労省議論スタート
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
分娩自体も、保険適用による価格が現状よりも低く設定されることになると、安全な周産期医療が維持できず分娩から撤退する分娩施設がでてくることが予想されます。
出生数の低下により、本来は、これまでと同じ医療を提供するためにはお産1件あたりにかかるコストがあがります。
それは、毎日当直のスタッフが必要なため、お産件数が減るのと比例してコストが減るわけではないからです。
さらに保険適用化により価格が一律となると、医療レベルを維持するためには「集約化」するしかない。
そうなると、これまでよりも最寄りの分娩施設が遠くなる、という地域もありますが、
お産が近づいたら病院の近くに宿泊、などで対応するのが現実的かと思います。
少子化と、分娩費用維持と、安全な周産期医療の維持と、だれでも近くで出産できる、のすべてが同時に成立はしないので、社会としてバランスの模索になります。
梅毒感染、10代妊婦の「200人に1人」 胎児感染は近年で最多に
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
梅毒は、SNSやマッチングアプリ、不特定多数のパートナーが…とよく言われますが、
特定のパートナーだけであっても、リアルな出会いであっても、梅毒に感染することはあります。それくらい増えています。
梅毒は治療すれば治せる病気。
治療しないと、命にかかわることもありますし、赤ちゃんに影響がでることも。
とにかく大事なのは、
・梅毒とわかったら必ず治療する
・うつした/うつされたかもしれない人に必ず伝える
・その人も必ず検査する
気づきにくい病気なので、気づいた人がこれを徹底するのがとにかく大事。
あと、念のため調べておこう、というのも大事で、保健所で匿名無料で検査できますので、ご活用ください。
出産費用なぜ上がる?「見える化」と保険適用の検討へ | 人生100年時代のライフ&マネー | 渡辺精一 | 毎日新聞「経済プレミア」
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
記事中で「いたちごっこ」とありますが、
「悪意ある値上げ」ではなく、
本来は、もっと前から値上げが必要であったものの、妊婦さんの負担を増やすのは心苦しいため、各施設がなんとか値上げをせずに頑張っており、
一時金が上がることで、自己負担は増えない形で値上げが可能なため、一時金増額の時しか値上げできない、という事情です。
それを「便乗値上げ」や「いたちごっこ」と悪意ある表現をされるのは産科医療としては不本意です。
では、タイトルにもある「出産費用はなぜ上がる」のでしょうか。
今あらゆる物価や人件費が値上がりしている中で、お産やその入院にかかる費用も当然値上がりしています。
さらに、出生数が減っているため、同じ医療レベルを維持するためには、1件あたりの分娩費用が高くなります。
出生数低下しつつ出産費用維持するには分娩施設を集約化して合理化するか、医療サービスレベルを下げるかです。
女子高生が出張授業で「先生」に? 灘、駒場東邦…進学校が実践する「性とジェンダー」教育の中身
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
素晴らしい取り組み。企業でも、女性の健康課題とどう向き合うか、というのが課題となっており、わたしも社内研修などでお話しに行くことがよくありますが、男性は「まったく分からないからなにをどう配慮してあげればよいのか分からない」というのが本音。
それは男性が悪いわけではなく、知る機会がなかったためで、
本来は学校教育が改善してほしいわけですが、どうにも性(の話だけではないのに)教育に対する抵抗勢力が根深いようで、
正攻法ではなかなか難しいのが現状(ちゃんと取り組んでいる学校ももちろんあります)。
そんな中、高校生どうしであったり、大学生からであったり、という形はとてもよいと思います。
専門家による外部講師はマンパワー的に限界がありますし、
なにより、同世代の異性と、恋愛とは違う形で意見交換する場、自体がとても有意義ではないかと思います。もちろんそれが恋愛につながっていくもよしです。
世界中に550人以上の子供を持つ「シリアル精子ドナー」がいま語ること | 「5万時間を精子提供に費やした」
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
日本では、第三者からの精子提供は法律上の夫婦に限られており、記事のような同性カップルや選択的シングルマザーは正規ルートでは提供を受けることができません。
そのような場合や、夫婦であったとしても、正規ルートよりも費用が安いから、という理由で、
アングラな精子提供を活用すると、このようなトラブルがおこりえます。
近親相姦のリスクを防ぐために、ガイドラインでは1人の提供者からの子は原則10人まで、となっています。
ニーズがある以上、制限するだけではリスクのある手段に流れていてしまうので、
そして提供者のモラルに任せてもコントロールされないことはこの記事の例をみても明らかなので、
日本でもちゃんと法整備がなされるべき課題です。
日本の男女格差、世界で118位に 前年より前進 政治・経済で低迷
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
まだまだ先進国で最も低いですが、昨年の125位よりは上昇。
日本は教育と健康はかなり平等ですが、政治と経済においてジェンダーギャップが大きい。政治と経済についてはまだまだなものの、それでもその2分野が少し改善したことで順位が少し上昇。
女性も社会でもっと活躍できるようになるためには、女性がマイノリティでなくなることが大事で、そのために意思決定層(管理職)に3割以上女性がいる、ということは重要。
なのですが、管理職の女性比率3割となることだけが目標となってしまうのは本末転倒。女性は能力以上に起用されている、みたいに言われるのも不本意な話。ただ、家庭での負担が女性に大きく偏っている中で、社会でも男女平等に活躍する、というのは女性に負荷がかかりすぎてしまう。社会で女性が活躍しやすくなるためには、家庭での役割分担の是正も並行して進む必要があります。
出生率1.20、最低更新 23年生まれ72万7千人
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
価値観の多様化と、出産できる人口の減少とともに出生率が以前よりも下がるのは必然なのですが、
大事なのは、お子さんを望んでいる人が何人望んでいるか、という「希望出生率」との差。
お子さんを望んでいない人に無理に産んでもらうなんてありえないので、やみくもに出生率の目標を設定するのは得策ではなく、
目指すは希望出生率の達成。
と、並行して、希望出生率で社会を維持できる制度設計と、
もし希望出生率がかなっても社会として困るかもしれないのであれば、希望出生率自体があがるような(お子さんを望む人が増えるような)取り組みも必要かと。
まずは、希望出生率の達成が健全な少子化対策。なので、合計特殊出生率の算出だけでなく、希望出生率もだすことが大事。1.8というのも2010年のデータなので。
東京が出生率低いとかいっても、そもそも東京でお子さんを望んでいる人の割合が少ない可能性もありますし、一概に問題視できるわけではない。
望む人数のお子さんに恵まれるようになるためにできることが、国にも自治体にも組織にもあります。
出産費用を“見える化” 一覧できるサイトを厚生労働省が開設
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
本日この発表会見で、産婦人科医としてコメントして参りました。
このサイトは、いわゆる「価格比較サイト」ではなく、
無痛分娩できるのか、24時間対応なのか、
立ち会い出産はできるか、
母子同室か否か、
などが分娩施設ごとに様々で、それをこれまでは妊婦さんが1つ1つ調べないと分からなかったのを、希望の条件を入れるとマッチする施設がでてくる、というもの。
各施設の詳細情報の中に、平均費用も記載されている、という形です。
価格の違いは、医療資源の違い、サービスの違いが価格に反映されているということで、高いところがぼったくっているというわけではありません。
分娩施設は施設ごとに本当にサービスが様々で、妊婦さんのご希望もいろいろあり、この出産なびによってそのマッチングがしやすくなることは双方にとってとてもよいこと。
ただ、お産はなにがあるか分からないので、ある程度近いことも大事で、価格だけを重視して遠くの病院を選ぶ、というような使い方はしないで頂きたいと思います。
妊娠出産は本当になにがあるかわからないので、赤ちゃんや母体の状態によって急遽大きい病院へ転院となることもあり、せっかく選んだのに想定と違うところでのお産になってしまった、、ということもありえますが、ぜひ、妊婦さんと赤ちゃんの安全優先で、受け入れて頂ければと思います。
なお、この「見える化」が始まるきっかけが、出産育児一時金増額の時に「便乗値上げ」と言われ、その牽制のためという声もきかれましたが、便乗ではなく、出生数が減っている中でこれまでと同じレベルの周産期医療を維持するには単価をあげないと維持できないけれども、妊婦さんの自己負担をなるべく増やさないように各病院がんばっており、一時金があがるタイミングくらいしか上げられなかっただけ、ということはご理解頂ければと思います。
服用後に性交渉、相手が妊娠 胎児に奇形の恐れある薬、初事例
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
レブラミドは血液腫瘍の治療に使う薬で、サリドマイド類似薬であり、催奇形性が確認されているため、服用にあたっては男性も女性も避妊を遵守するよう添付文書に記載されています。
今回は、服用していた男性が避妊をせずに性交渉をして相手の女性が妊娠した、とのことですが、避妊遵守の説明が十分でなかったのか、説明は十分に受けていたが男性が守らなかったのかは定かではありません。
催奇形性があるため避妊を、というのはもちろん重要なのですが、
妊娠を望んでいるわけでなければ、薬の服用にかかわらず、男女ともに避妊をする、というのは大事なことです。
催奇形性にかかわらず、望まない妊娠自体が女性にとってはライフプランに大きく影響します。
そして服用中は妊娠を避けるべき、もしくは妊活前に変更するべき薬はレブラミドのほかにもあるので、常用薬がある方は妊娠に影響しないかを確認しておくことをおすすめします。
緊急避妊薬 試験販売の薬局数増加へ“購入8割以上今後も希望”
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
緊急避妊薬は、なんらかの事情で避妊せずに性交渉した場合に、その72時間以内に内服(なるべくはやい方がより効果が高い)することで妊娠を回避できる可能性があるのですが、
これまでは、産婦人科を受診しないと処方できなかったのを、時間的制約があることもあり、なるべくアクセスのハードルを下げるべく、薬局での販売(OTC化)を目指して試験販売中で、その中間報告ですが、
特にトラブルなく運用できているということでなにより。
試験販売の薬局数を増やす、とのことですが、
なにが確認できたら本運用になるのか、の出口戦略が気になります。
あと、アンケート結果に、
>「医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」が82.2%
とあるのですが、これは、診察は嫌、薬局がいい、とかそういう問題ではなく、状況に応じてはやく手に入れられる方でよいのです。
たとえば、対応できる薬剤師さんもいつもいるわけではないので、対応できる薬局が近くになければ病院を受診する、でよいのです。
そしてあわせて、緊急避妊薬しか避妊法がないわけではない、むしろ、普段からの避妊が大事、ということも再確認です。
34歳女性記者の体験記「卵子凍結に本気で取り組んでみた私の1年間」 | 実際にかかる費用と体への負担は?
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
>卵子凍結にかかる費用の助成が、企業の人材獲得競争の切り札として使われはじめている
これは、1つの選択肢への補助として、であればよいのですが、
出産は先延ばしにして働くことを奨励、という意味であればそれは本当に女性のためを思った福利厚生とはいえません。
卵子凍結は、凍結しておけばいつでも妊娠できる、というわけではないので、
(たとえばすでにパートナーがいるなど)先延ばしにせずにすむ妊活は先延ばしにしないに越したことはないのです。
ですので、妊活したいタイミングで妊活できる組織、であることの方が重要です。
>多くの女性は中年になっても自然妊娠できるのに、不妊治療産業は、出産を先延ばしする女性たちの焦りにつけこんで、金儲けをしていると批判する人もいる
これは誤った批判です。日本ではまだこのような主張は見受けられないですが、このような論調がでてきてほしくないので、強めにお伝えしますが、
先延ばしにしないでよい妊娠出産は先延ばしにしない方がよいですし、不妊治療もはやめの方が成功率は高いです。
この「卵子凍結があるのだから不妊治療を急がなくてよい」という主張は、女性の人生よりもビジネスを優先した考え方です。妊娠を先延ばしにさせた結果、もしお子さんに恵まれることができなかったとしても、だれも責任をとってくれません。
NORMAL
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