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【速報】東海道新幹線 あす始発から全線再開目指す 復旧作業終了後に最終判断 JR東海が会見
TBS NEWS DIG
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
新幹線の軌道は毎晩60mずつ整備され、線路の下に敷いてある砂利(バラスト)を交換し、枕木と線路を1mmの狂いもなくきれいに置きなおしています。今回の事故はこの毎晩の作業中に発生したと考えられます。 今回追突したとされる砂利を運搬する車両はもちろん、追突されたほうの車両はマルチプルタイタンパー(通称マルタイ)と呼ばれ、砂利を突き固める作業を行うもので、ともに新幹線車両とは比べ物にならないほど重いもので、自走できないとなると引っ張ろうにもそんな重量級の機関車もなくお手上げになってしまうということは容易に想像できます。 また事故車両を撤去できたとしても、作業中であった部分をやり直し、さらに事故による線路のゆがみも直さなければならないことを考えると、普段一晩かけてやる作業をやり直す必要があるわけで、1,2時間で復旧できる代物ではないことも想像できます。 今回はJR東海のアナウンスに課題があったと感じています。飛べないことが割とよくある航空業界からすると、状況にもよりますが飛行機の整備作業などの進捗をみるのは長くとも2、3時間で、その後は潔くフライトをキャンセルするか遅延させるのかなどの方針を決めます。今回は具体的な運転再開時刻を伝えないアナウンスに終始しており、ならば当初から前段の鉄道知識を乗客に与えたうえで、当日中は絶望的というアナウンスをしていたほうが結果的には乗客が滞留したり、無理に在来線を利用しようとしたりせずに済んだのではと感じました。 また、代替経路の案内が不足しているように感じました。他社の飛行機が同じ路線で飛んでいる場合にはエンドースと言って、他社の座席を用意することもあります(いわゆる振替輸送のようなものです)。今回は北陸新幹線経由やその他航空機や高速バスが使える状況でしたし、全員ではないにしてもそれで助かる人もいたのだろうと想像されます(もっとも代替手段に乗れる人も全体の1割程度のはずなので、しわ寄せが別のところに行くことを危惧する気持ちもよく分かります)。 日本を代表する大動脈ですので、一時的に止まる程度では済まない気象状況や車両整備等の状況は当初からバックグラウンドを含めてきちんとアナウンスし、いくつかの代替経路についてのアナウンスを行えるように事前にJRグループ内やその他の交通機関とも打ち合わせておく姿勢は重要ではないかと感じました。
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ボーイング、2043年までに新造機需要4.4万機 長期予測トレンドに回復
Aviation Wire
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
新規需要約4万機のうち、半数にあたる2万機が既存の航空機の更新、もう2万機あまりが需要増による純増とみています。そのうち3万機以上がいわゆる737やA320に相当する単通路機とのことで、現在日本では増えつつあるさらに小さいリージョナルジェットはさほど増えないとも予測されています(滑走路がこの先20年ではそこまで増えず、発着枠が慢性的に不足するため?)。ちなみに貨物機についても全体に占める割合では現在と同水準だろうとみています。 問題はボーイングがこの4万機の需要のうちどれくらいを取ってこれるかです。エアバスと二分するつもりとして、半分の2万は取るつもりとみてよいでしょう。20年先はともかくとして10年先までを見据えた場合、ボーイングはラインアップがやや物足りないのが実情です(ワイドボディ機は既存777の改良型777Xと787のみ、単通路機も737MAXのみ)。エアバスはA321XLRなど単通路機でも航続距離が長い新進気鋭の機種がこれから出てくるという段階にあり、ワイドボディ機のA350も777初期型の更新需要をストレートに取れるものになっています。 20年先までの需要を確実に捉えるには、特に単通路機は何とかしなければならないでしょう。737MAXが具体化する前に、一旦ボーイングは単通路機での新しい設計の新機種を作ろうとしていました(一方でボーイングは787と737の間を埋める中型機についても797としてアナウンスしようとしていた時期があります)。20年後に向けた現在のボーイングの単通路機をしっかり置き換えられる新機種が求められている分析となりますし、ですからこんな新機種を用意していますというアナウンスを早い段階で出すべきでしょう。
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【徹底解説】今年の夏が記録的な猛暑になる3つの理由
NewsPicks編集部
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回記事に出ている立花先生は、学会でも著名で話も分かりやすい、信頼できる先生の一人です。 温暖化について、海洋に目を向けるべきという論点は全くその通りです。例えば日本周辺の海面水温はここ数年安定して平年比よりも高い状態が季節を問わず年中続いています。場所はやや限定されるものの平年比で5℃以上高いような場所もあり(主に黒潮と親潮の境目となる領域)、海で平年比5℃以上水温が違うというインパクトの大きさをもっと重大に受け止めるべきでしょう。 海が暖かいということは気候・気象学的には大きく二つの意味があり、一つは大気の熱が海に吸収されにくくなりその分がそのまま気温の上昇となること、もう一つは海から蒸発する水蒸気量が増えるということです。温暖化が進むと地球の大気の安定度は増すと考えられていますので水蒸気量が増えてそのまま降水量も増えるということではありませんが、例えば台風やあるいは梅雨時の集中豪雨のように、海の水蒸気に由来する大雨のエネルギーはさらに大きくなると考えられています。 つまり温暖化がもたらす気候・気象の変化という意味で大きなカギを握っているのが海洋であり、言い方を変えれば黒幕とも言えます。 また、偏西風(この場合はジェット気流)が弱まる原因として北極が特に暖かくなっているのが原因なのは疑いがありませんが、地球が全体として暖まるので、特に気温差は変わらないのではという疑問を持つかもしれません。しかし北極や南極には雪や氷があり、これが太陽の光をほぼ反射するところにヒントがあります。暖かくなり雪や氷が融けてなくなれば、その分さらに暖まりやすくなるという循環があり、現に北極や南極の海氷面積が年々小さくなっておりこれが温暖化に拍車をかけています。この分ジェット気流が蛇行しやすく気圧配置が固定化されやすいことで、猛暑が続いたり大雨が続いたりしやすい状況を作り出しているとも言えます。 最後に温暖化によるティッピングポイントですが、すでに越えることは避けられないというのが私の見方です。でも越えたらオシマイというわけでもありません。CO2を減らす努力以外にも、できることはたくさんあります。人類のレジリエンスを高めるべき時と思います。
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[この記事は掲載が終了しました]
TBS NEWS DIG
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今週末は各地で梅雨明けとなりそうです。梅雨明けを判断する材料はいくつかありますが、例えばジェット気流の位置が挙げられます。すでに本州付近を横断していたものが、北海道付近にまで北上しつつあります。その他地上の前線の位置もすでに中国では上海付近であったものが山東半島付近まで北上していますし、上空の高気圧の目安となる500hPaの5880m線も週末には東北地方まで北上する見込みです。これだけ材料が揃えば梅雨明けとなりそうなものですが、肝心なのは「曇りや雨の天気が続かず、晴れの天気が続くこと」です。この部分は気象庁の経験によるところも大きく、気象予報士界隈では毎度ソワソワするものの最後は気象庁に決めてもらう部分となっています。 梅雨明けは以前であれば梅雨時の大雨について警報解除というような意味合いもありましたが、昨今は高気圧下での猛暑が著しく、大雨から熱中症予防に本格的に切り替えてくださいというような意味合いのほうが良いのではと思われるようなものです。 太平洋高気圧が強まると、東北から関東、西日本にかけて緩やかに南西の風となります。南西の風でフェーン現象となりやすい盆地、東海や関東の内陸部を中心に猛暑となりやすくなりますのでどうぞ皆様体調管理にはお気を付けください。 なお来週にはフィリピン付近で熱帯低気圧が発生し、これが南西諸島から台湾付近へ北上してくるとする数値予報モデルが多数派を占めつつあります。本州付近にも大きく影響する可能性がありますので、今後の熱帯低気圧の情報にも十分ご注意ください。
米西部で猛暑、「ヒートドーム」現象で3600万人に影響
Reuters
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
日本付近でも先週末から猛暑となっており、よく「大陸から張り出してくる上空のチベット高気圧と太平洋からの太平洋高気圧が重なって暑くなる」などと説明されますが、ヒートドームも基本的な原理は似ています。上空まで発達した高気圧の中で、日中に地表が温められてもその空気が高気圧の中で閉じ込められるためにさらに暑くなるという状況を指して使われる言葉がヒートドームです。日本付近の猛暑の場合にはフェーン現象が重なっていたり、海からの割合涼しい風が入ることもあるために大陸全体を覆う「ドーム」のような言葉では言いませんが、バックグラウンドにある現象は同じです。 気候変動との関連については、よく分からないことも多い(高気圧が上空まで発達すること自体は温暖化とは直接の関係はありません)のですが、そうした気圧配置になってしまう頻度の問題として語られることがあり、たとえば昨年7月末から8月上旬にかけての日本付近の猛暑については、温暖化を考慮した現在の気候におけるシミュレーションの結果およそ60年に1度発生するような状況であったと計算されましたが、産業革命以前の気温データでシミュレーションするとほぼ0%で発生しないと言えるものであったと気象庁気象研究所が評価しています。米国においても数千年に1度というようなレベルであったはずの猛暑がもはや当たり前になりつつあるとして、気候変動問題と絡めて語られることも多くなっています。 日本でも同様の問題は発生していますが、社会問題として見た場合、主に電力やインフラの問題、外で働く労働者の問題、農産物への影響、そして山火事の問題が挙げられます。たとえば台風やハリケーンについて警戒し社会全体で対応する枠組みがすでにありますが、同種の取り組みをこうした熱波に対しても用意しなければならないのかもしれません(熱波が予想される時に避難を呼びかける、交通機関や工場を計画的に止める、外で行う作業を中止する、など)。
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ボーイング、司法取引で詐欺共謀罪認める方針 2度の墜落事故巡り
Reuters
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
ボーイングはそもそも737MAXの2件の墜落事故について、再発防止策を講じることを条件に米司法当局からの刑事訴追を免れている立場にありました。要するに執行猶予付き判決のような状態でした。ここへきて今年1月に同型機でドアプラグが飛行中に吹き飛ぶという事例があり、再発防止策が有効でなかったとの判断が下され、刑事訴追を免れることはできず裁判で争うのか、対応を迫られる状況に陥っていました。執行猶予期間中に再び逮捕されてしまったような状況といえます。 裁判で争う期間が長くなればなるほど、企業イメージがさらに低下し、また墜落事故に関連する民事訴訟も影響を受けて長引くことになります。また、米国政府としても国内最大の航空機メーカーと裁判沙汰となると新規の発注ができなくなる状況も考えられ、航空宇宙防衛産業に大きな影響が出ることは避けられず、そうした種々の不都合を回避する手段としてボーイングと米国政府の思惑が一致し司法取引という形になったものです。 今後ボーイングは罪を認め罰金を支払い、また今後の安全対策やその他遺族への一定の補償を約束することで、米国政府からの新規の受注については引き続き受けられるようにするという形へ持っていくことになるものとみられます。ただし米国航空当局のFAAやその他当局からの監視は強まるとみられ、ボーイングの経営は当局との信頼関係の再構築を重視することになりそうです。日本の護送船団方式のようなイメージが近いかと思われます。
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真夏日、4日連続で500地点超 連日猛暑、7日も要警戒
共同通信
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
この猛暑の原因は、一つは梅雨前線が不明瞭ながら東北地方付近の位置にまで北上し関東から西の地方では真夏の背の高い高気圧に覆われたこと、また二つ目は高気圧で下降気流が卓越し、また前線の南側で西風となったことで特に山の東側斜面や盆地でフェーン現象と重なったことです。西日本では今年最高の最高気温となったところも数多くありました。 また東京で夕方激しい雷雨となったことも話題となりましたが、これも潜在的な梅雨前線によって湿った空気が入っていたタイミングと日中の猛暑が重なり大気が不安定になったことによって発生したものです。 今後については気温はあと数日は猛暑レベルで高い状態が続くと考えられ、特に7日は関東や東海の内陸ではフェーン現象もあり数値予報では40℃を超えるような数字が出ているところもあります(さすがに気象庁の予報としては埼玉県秩父地方の39℃がMAXとなっています)。また40℃でなくとも関東や東海の沿岸に近い場所でも35℃を超えると見込まれており、海に近い分水蒸気も多いことから熱中症の目安となる暑さ指数(WBGT)は内陸並みかそれ以上に高くなる見込みです。特に正午前から午後3時すぎにかけてが暑さ指数のピークですので、この時間帯の運動や外出は極力控えたほうが良いでしょう。在宅している場合でも、きちんとエアコンをつけ、室温を28℃以下にするようコントロールしましょう。 なお7日は6日に比べ大気は安定しますが、それでももともとが湿った空気ですので山沿いなどを中心に一部で雷雨という状況はありそうです。8日以降は再び安定度が悪くなるという数値予報もありますので、猛暑と雷雨にはここ数日注意が必要となりそうです。 なお10日以降は前線がいったん南下してくる見込みで、梅雨明けはこの動きを見てからとなりそうですが、中旬以降は太平洋高気圧が安定して張り出してくるとする数値予報が多いため、ぼちぼち梅雨明けも意識されることになりそうです。
関東はダブル高気圧で7月早々に再び猛暑到来へ(杉江勇次) - エキスパート
Yahoo!ニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
大きな目線で考えると、昨年春ごろから顕著になっていたエルニーニョ現象(それもトップクラスに強い)がほぼ終わり、現在はむしろ平年比で冷たい海水がペルー沖に湧昇してきておりラニーニャに移行しつつある状況です。トップクラスに強いエルニーニョ現象の後は急速にラニーニャ現象に移行することが知られています。今年もご多分に漏れず、冬にかけてラニーニャ現象が顕著になると見込まれており、日本の夏から冬にかけての気候もラニーニャ現象の影響下となることを念頭に置いておくべきでしょう。 現に今年の梅雨入りは全国的に平年よりも1、2週間遅く、すでにラニーニャ現象における梅雨の傾向が出ています。梅雨明けがどうなるかというと、実は早まる傾向があります。今年については沖縄は平年並みでしたが奄美は平年比で6日早くなっています。本州は平年値で7月中旬~下旬に梅雨明けですので、平年より早まるとなれば7月上旬に早くも梅雨明けという状況になってもおかしくはありません。ここまでがマクロな考えとなります。 さて肝心の数値予報が何と言っているかですが、どの数値予報モデル(含むAI)でも日本の南の太平洋高気圧は7月上旬にかけてしっかり描いており、私たち気象予報士が梅雨明けの目安として考える上空500hPa高度面の5880m線は7月上旬には関東から九州までの太平洋沿いはしっかりカバーするような状況も予想されています。また上空のジェット気流も北海道付近まで北上すると見込まれ、これをもってチベット高気圧に覆われているということもできる状況であるため、高気圧の背が高く、地上では猛暑になることが連想されます。 実際に24日に気象庁も北海道から沖縄までの全国にもれなく「高温に関する早期天候情報」を発表しており、7月上旬としては何年に一度というような高温になるとして警戒を呼び掛けています。例えば東京では、30日以降7月上旬にかけて最高気温が連日30℃を超え35℃近い日もあると予報しています(記事中の最高気温の値はウェザーマップ社の独自予想のため、気象庁の予報とは若干異なります)。細かい数字はともかく、連日のように夏本番を思わせるような暑さに見舞われるのはかなり確からしい状況です。 熱中症への対策やその他体調管理、またレジャーにおける水の事故については各自十分ご注意ください。
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グーグルが新しい検索機能を日本で発表。「AIで1秒で雨量予測」と「ハッシュタグ検索」
Business Insider Japan
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
昨年AI天気図が登場し始めたというニュースが出たところでしたが、今度はもう降水の予想をしてくれるAIがあって、実際の解析雨量データを学習してそれなりに高精度な降水の予想ができるようになっているということでAIの進歩が著しいなと感じるニュースです。 今でも気象庁のWebページや、その他気象系のアプリでレーダー観測などによる雨雲の様子を見ることは可能です。気象庁では過去から現在までの雨雲の動きから1時間先までの細かな雨雲の動きを見たり、数値予報によるシミュレーションのデータを組み込んで6時間先までの雨雲の動きの予報をみることができます。この作業をAI化すると思うと理解しやすく、要するに現在地で雨が降るかどうかをずっとモニターしてくれており、雨雲が急に発生したり向きを変えたりしてもきちんとフォローしてくれる、というものだと思ってください。 従来は天気予報の精度向上=シミュレーションでの完全な再現を意味していたのですが、これにはコンピュータの性能も気象観測網もまだまだ圧倒的に不足しており、シミュレーションでの完全な再現は現在でも遠い目標となってしまっています。それであれば、AIによる予報であるためにその根拠の説明は難しくても、とにかく軽い動作にして走りながらどんどん予報を修正して出し続ければ結局当たる天気予報がだせるのではないか?というアプローチがこの手法です。 日本の気象データを学習せずにこれをやっても精度は悪いと見込まれますが、ここでウェザーニューズからしっかり気象データを仕入れて学習させてくれており(おそらく評価も実施済)、人間がレーダーの画面を見続けているのと同じような精度になっているのではないかと期待させます。 今後は雨の強さの予報の精度も上がってくると、例えば警報レベルの大雨や洪水を事前に予想できたり、線状降水帯のような現象を事前にとらえたりすることにも応用できるようになると思われます。現在地が川沿いの低地であれば洪水からの避難を促してくれたり、崖沿いであれば土砂災害の危険情報を提供してくれたりするようなアプリに仕上げていけると、防災機能としても良いものが提供できるように思われます。今後の進化が楽しみです。
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大巡礼で死者550人超える 酷暑で熱中症多発―サウジ
時事ドットコム
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
もともとメッカは暑い地方(6月が1年で最も暑く、最高気温45度超えはざら)なのですが、さすがに最高気温が50度を超えるのは稀です。 17日は特に中東の天気としておかしな状況ではなかったのですが、メッカの東にある山脈から吹き降りる気流となっており、これがフェーン現象となって風下のメッカに熱い風をもたらしたように推測されます。 今回の猛暑は風向きからしてサウジアラビアの紅海沿岸の割と限定された範囲でのものと想像され、それだけであれば何か大きな気候変動の動きのようなものは感じられないのですが、気候変動によりそれぞれの現象の振れ幅が大きくなっているという研究結果もあり、例えば昨年7月後半から8月上旬の日本各地の猛暑も、気候変動がなければほぼ発生しないような確率であったとされています。 またメッカの巡礼の環境のほうも問題で、例えばイスラム教国の航空会社にとってメッカ路線は大きな利益を上げられる路線で、各国が競うように路線を整備しているほか(メッカ近くの空港には巡礼者専用のターミナルもあります)、サウジアラビアとしても超高層ホテルを整備してより多くの巡礼者を受け入れるような環境を整えていました。結果として今までよりも暑いメッカに、より多くの人が集まれば、当然こうした事故も起こりやすくなると考えるのが自然です。
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防災気象情報、シンプルで分かりやすい名称に統一 運用は26年春
毎日新聞
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
日本では同じ県や同じ市の中でも多様な地形があり、一概にどの気象警報が出ていたら危険だなどというものでもありません。また災害が発生するたびに特にハード面で防災対策を進めてきた結果、その対策がなければ危なかったような事例も、結局停電や断水すらなく平時と変わらず生活できたとして気象警報が市民生活の中で意味をなさなくなり、真剣に対策を取る人が減りました。しかしその中でも特定の事象(主に線状降水帯のような集中豪雨)がクローズアップされた結果、気象庁は危機感を伝えようと「記録的短時間大雨情報」「土砂災害警戒情報」「顕著な大雨に関する情報」など様々な情報があふれることとなってしまいました。こうした状況をどのように整理しようか、というのが今回の検討会の主題となっています。 結局はレベル1~5の現在のレベル分けの運用を維持しつつ、大雨警報のなかから土砂災害警報を独立させ、レベル4に相当する情報として危険警報を新たに設定することを提言したというものになります。 現行の特別警報と警報の間に新たに危険警報を挟む形になりますが、あまりいい手ではないなと感じています。私の知る限り、海外ではこうした警報の類は色分けされているのが普通で、だいたいは黄色、オレンジ、赤の3段階程度で運用され、特に最上級の赤になると当局が強制的に避難を指示したり、街としての機能が大きく制限されたりするのがふつうです。 私の個人的な意見ですが、やはり現状の5段階の運用を単純化し3段階で色分けする形とし、「注意報」や「警報」という言葉はこの際廃止しても良いのではと考えています。また、現行の特別警報は50年に一度の本当に危ない状況を知らせるものですが(特に現行では観測事実をもって発表するため、すでに災害が発生してしまって警報の意味がないこともある)、これをもう少し緩めて数年に一度レベルでも最高度の警戒を要するように変更し、また交通機関など市民生活に密着し連動するような制度設計にする必要があるように思われます。 参考までに沖縄では公務員の勤務について通達を出し、路線バスの運行と勤務が紐づくようになっており、これを各企業がまねることで、結果として暴風警報が発表され、近いタイミングで路線バスが運休するとそのまま都市の機能があえて止まるようにできています。似たようなことを本州でも検討できると考えています。
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香港が台風でも市場の取引容認へ、9月23日から-長年の慣行に終止符
Bloomberg.com
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
香港は起伏の大きな地形に無理やり都市を作っているようなところが多いので、台風や大雨に対して本質的に脆弱な街となっています。過去には通勤や通学経路となっている路線バスが土砂崩れに巻き込まれるような痛ましい事故も多く、これを問題視し、一定のレベルを超えた強風や大雨が見込まれるときの特定の警報レベルの発表と連動して都市機能を止める(学生や労働者を事前に帰宅させ、警報発表と同時に交通機関も一斉に止まります)ような制度設計がされています。これは香港の労働基準監督署のガイドラインになっており、各企業の就業規則に盛り込まれる形になっています。特定の警報レベルの中で通勤させると労災の認定範囲が広がったり、労災保険でオプションに入る必要があったり、そうした中でせっかく出社しても取引先が休んでいて仕事がなかったりといいことがないため、ほとんどの企業がガイドラインに従った就業規則を設定しています。 こうした背景から、今回のニュースは香港証券取引所の会社の就業規則を変更し、台風や大雨における警報が出ていても業務を継続するルールへ変更するということを意味します。すでに2017年に香港証券取引所では立会場が廃止され(蛇足ながら東証では1999年に廃止)、実際に出社する社員は大幅に減りましたし、現在はリモートでも業務が行える環境がおそらく整備されているものと思われます。そのため、実際の経済活動はともかく証券の取引は止まらないようにしようというニュアンスであると考えられます。 香港についてはコロナ前から中国政府の関与が強まり、国際的な金融センターとしての地位の低下が危惧されていました。それに対して少しでも歯止めをかけたい狙いがあるということになります。
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成田空港、新ターミナルなど構想 30年代前半に供用開始も
共同通信
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
成田について、すでに第三滑走路は着工しており、これによる増便を支えるターミナルはどうするのか?というのが目下課題でした。既存の第1ターミナルはリニューアルしたとはいえすでに竣工50年近く、新しいイメージのある第2ターミナルでさえ竣工30年です。第3ターミナルはとりあえずLCCターミナル作ってみましたという感じで、要するに貨物上屋をリニューアルしただけの構造です。鉄道についてもターミナル近くはJRと京成でそれぞれ単線部分があるほか、道路についても空港の内外の一般道の接続箇所は朝夕は通勤が重なり大渋滞となっています。空港の敷地内には十分な宿泊施設はなく、空港の外にホテル群がありますがこれも築30年以上のホテルが大半です。 こうした主に空港のソフト面を充実する意味において、新しいターミナルを作ることには意味がありますし、今後も首都圏の航空需要が伸びるという前提においてはこれしか選択肢はないようにも思われます。また、ターミナルを建設する場所についても今の空港の敷地から考えれば、まず南側の誘導路や駐機場等になっている部分で新ターミナルを着工し、その後これを第2ターミナルと接続して一体的に運用し、その後第1ターミナルの部分を更地にして整備し直すというやり方しかありません。ターミナル形状については割と選択肢があるわけですが、ターミナル内を移動するモビリティが整備されることを念頭にロングピア型を採用する案が正面案となっています。 こうしたわけでほぼ合理的な新ターミナルのアイデアはこれしかないというところでまとまったという印象を持っています(そもそも本来は誘導路を挟んで第2ターミナルの東側に新たに大きなサテライトを計画していたようなのですが、これを詳しく検討する過程で、前述の課題をクリアする必要があることに気づき、新ターミナルというアイデアになったものと思われます)。 これにも実は課題はあり、予定敷地内にはまだ空港反対派による横堀鉄塔や木の根ペンションなどがあり、NAAとしても金に糸目を付けず用地買収は続けているものの、ここで完全に過去の反対運動のしこりをクリアにできるのかどうかがポイントです。 それでも長期的な計画として特に空港関係者が理解している必要があるイメージを共有するという意味で、この計画には意味があると評価しています。
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貨物機が成田空港に緊急着陸「火が出たように見えた」と連絡で
NHKニュース
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
当該機は離陸したほぼ直後にすでに緊急事態を宣言していた模様で、その時点で一時的に成田の他の出発機をすべて止めるような処置も取られました(おそらくエンジン火災→有無を言わさず着陸ということを想定したためと思われます)。その後はすでに火災が消火できているとして海上で燃料を投棄し最大着陸重量の範囲内で着陸できるようにしてから着陸しています。他の出発機については燃料投棄の間は再開しましたが、着陸の前後には滑走路が30分ほど閉鎖されたこともあり、ターミナルを出発してから離陸まで1時間ほどかかる便もありました。 映像で見ている限り、異常のあった右側エンジンを停止した状態で着陸してきており、実際に右側エンジン下部のタービンリアフレームと呼ばれる付近に損傷があることから、低圧タービンのブレードが破断するなどの異常があった可能性が高いと考えられます。当該機のエンジンの型式はGE90-115Bで、777においては広く用いられベストセラーともいえるエンジンです。 日本の航空会社でも同型のエンジンで似たような状況は実は発生しており、2017年9月のJALで、羽田からニューヨークに向かおうとした777において離陸直後に左側エンジンに異常が発生、エンジンを停止して燃料投棄を行い羽田に引き返したというものがありました。その後発動機の破損(発動機の内部で大規模な破損)と認定され運輸安全委員会により重大インシデント調査が行われており調査報告書は公表されています。この時も低圧タービンに破損が生じており、今回の事例と類似しています。すでに対策はエンジンメーカー側で取られており、世界中の航空会社もそれに従っていましたが、状況について今後の詳しい調査が待たれます。
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「最大級の余震が起きたと思わないで」 石川・能登地方で震度5強 気象庁
TBS NEWS DIG
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回の地震は気象庁の分析により暫定値ですがM6.0へ修正されています。発震機構は横ずれ成分を含む逆断層型で、今年元日のいわゆる本震と同じ型の地震であるといえます。 余震活動は本震以来順調に活動が低下してきているところでしたので、今回はその中でやや大きな余震が発生したと考えるのが自然ではありますが、気になるのはこれまで数年間群発地震があったことから、再びその活動が始まった可能性も考えなければならないことです。地殻内部の流体(=要するに高温の水やマグマなど)の影響を受けてこれまでも群発地震が発生していたところではありますが、それが能登付近で眠っていた断層を大きく動かしたのが本震でした。しかしこれでもまだひずみの解消が十分ではないとしたら、再び群発地震活動が始まる可能性もわずかながら考えられます。今しばらく能登半島周辺の地震活動の推移を見守らなければならないところです。 今回は本震でダメージを受けた家屋がさらに倒壊するという例が相次いでおり、さらなる地震活動に気を付けつつもまずは被災家屋の撤去を進めなければ能登半島の復興もままならないということを改めて示しているようにも思われます。 ところで今回緊急地震速報が関東から大阪まで広範囲に発表されましたが、原因は緊急地震速報の第5報(6時31分47.5秒)が地震の震源を本当の位置よりもやや深く、また東よりに予想したこともあり地震の推定規模がM7.4となり、これが本震に近い大きな規模であると判定したためです。この0.5秒前の第4報、および1.4秒後の第7報はそれぞれM6台半ばで規模はやや大きめに見ているものの震度5以上の範囲は能登半島に限定されるとして割と正確に地震の規模を推定できていました。 緊急地震速報の仕組み上、規模を大きめに見積もってしまうことはある程度避けられませんが、日本に住まう限り地震については常に備えが必要ですので、どうぞ良い訓練や確認の機会と捉えていただければ幸いです。
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台風1号が発生中 週半ば暴風域伴い沖縄・大東島接近か 台風離れた九州~関東も警報級大雨のおそれ
ウェザーマップ
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
今回の台風は大東島地方や伊豆諸島を除いてほぼ直撃の恐れはありません。むしろ心配なのは本州付近に北上している前線とのシンクロで、28日午後を中心に西日本の広い範囲から東海地方を中心に多いところでは一か月分の雨が一日で降るような大雨となる可能性があり、警報級を優に超えるような大雨となることが考えられます。また前線に向かう南風が強く、大雨も含めて交通機関への影響が出ると考えられ、その面でも気が抜けません。台風というよりは、台風に刺激された前線に要注意というパターンです。 台風の進路はというと、2,3日前とおよそ変わっておらず、太平洋上空の高気圧の周りの風に流されてそのまま高気圧を回るように動く見込みで、各国の数値予報モデルの結果も揃っており沖縄や本州へ直撃するということはほぼ考えなくても良いと言える状況となりました。 しかし油断できないのが台風が温帯低気圧になる過程で勢力自体はやや強まる傾向があることで、温帯低気圧化が進んできたあとに特に進路の東側の危険半円のほうに暴風が顕著に出てくるかもしれないことです。大東島や伊豆諸島では油断せずに台風への直接の備えも必要となります。 また特に東海地方では28日に続いて30日夜にも台風の雲による雨が見込まれるため、トータルでさらに大雨となることも見込まれ、土砂災害や洪水が発生しないかが心配です。 その後も南西諸島付近に停滞する前線沿いに熱帯低気圧が発生することを予想する数値予報もあり、いよいよ台風シーズンは到来したという状況です。
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【証言】経営陣が現場を軽視。ボーイング「凋落」が始まった瞬間
NewsPicks編集部
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
これはJTCそのものである日本の航空業界にも耳の痛い話ばかりでした。 特にバブル崩壊とリーマンショック、そしてコロナ禍といずれも航空会社の経営を揺るがすような(実際に経営破綻する大手もあった)状況において、やはり会社を存続させる循環器ともいえる財務畑は重要視され、財務諸表とにらめっこすることで経営を決め、現場や規制当局からのやかましい指摘はのらりくらりとかわし、適当に次世代に申し送って自分たちは逃げ切り、、、それでよいとされていたのが今までではなかったかと思います。 奇しくも日本でも正月から大きな事故が発生し、その後も細かなインシデントが続いていることもひとごとではありません。もちろん財務は重要ですが、航空機製造業者にしても航空会社にしても、いわゆる普通のお客さんが飛行機をどのように使っているか、その場面で関連企業や取引先を含めたスタッフがどのように働いているのか、彼らが何と闘っており何を問題点としているのか、これを理解せずに正しい経営などできないのだなと自らの経験も含めて痛感しました。 現場で這いずり回っている人間が言うのも何ですが、現場に来ることなく、会議はリモートで済ませ、よく分からない出張ばかり行っている経営幹部に対して、現場が信頼を寄せることは決してありません。よくわかる反面教師ではないかと感じました。現場のたたき上げが必ずしもCEOである必要はありませんが、経営幹部としてしっかりと手綱を握っていないと、会社はただ財務諸表を埋めていくだけのゲームになってしまうのでしょう。 なお一方でボーイングの現場力は私自身まだ信じたいという半分願望のようなものもあり、現状は経営幹部が望むような増産ペースでもないことから安全に本質的に問題を抱えた機体は出荷されていないと考えています。航空会社側も厳しく領収検査を行っていますので、何の前触れもなくいきなり墜落するなどということはないと信じています。この信頼が裏切られないことを願うばかりです。
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イラン墜落、「視界ゼロ」で激突 大統領予定優先で飛行
共同通信
谷村 研人国内航空会社 気象予報士
いわゆる小型航空機やヘリコプターが事故を起こす典型的なパターンだと言わざるを得ません。事故の経緯としても編隊を組んでいた3機でとりあえず高度を上げて雲の上に出ようとしたところ、大統領機のみ上がり切れず山にぶつかったという、何とも初歩的なものです(飛行中に雲に入ってしまった場合は雲のなかった方向に引き返すか、高度を下げて着陸するかというのはパイロットならまず初めに習う、基礎中の基礎です)。 とはいっても本来の任務を果たしたいと思うのが人間で、この手の事故は日本でも枚挙に暇がなく、しびれを切らした国土交通省が全国の民間事業者はもとより消防や警察、海上保安庁といった国の組織も含めて2021年に「有視界飛行方式による運航の安全確保について(空間識失調関連)」という通達を出すような事態になっています。 雲の中に入ると障害物やほかの機体が見えなくなるため危険なのですが、それ以上にパイロットの平衡感覚が失われ、上昇しているつもりが下降していたり、あさっての方向に飛行していることがあるから危険なのであり、よく「空間識失調(Vertigo)」と呼ばれます。私たちの平衡感覚は例えば三半規管から得られますが、等速運動中には加速度がないために静止状態と区別ができなくなります。雲中で実はゆっくり旋回しつつ下降しているのにそれに気づかなかったり、一瞬視界が開けるなどして姿勢を戻しても、すぐにまた雲に入り逆の操作を行ってしまったりするなどして高度を失い事故になります。雲中飛行では自分の感覚は当てにならないので計器をしっかり見て飛行すること、そもそも有視界飛行が前提であれば速やかに雲のある場所から引き返すことが基本です。操縦の上手下手は関係なく、慣れたパイロットや教官クラスでもこうした事故に巻き込まれることはよくあり、雲中飛行の難しさを示しています。 今回ヘリコプターそのものが経年機で、故障があったのではないかという指摘もありますが、まず疑わしいのは雲中飛行による事故だということです。そもそも国境のダムへの往路からしてそれなりに危険を冒した飛行であったようにも見受けられます。やはり計器気象状態でも飛行に支障のない輸送機などを利用し、余裕のないスケジュールなのであればアゼルバイジャン側の近隣の都市であるザンギランの空港を利用するべきでした。総合的な要人輸送計画の手落ちと言えるでしょう。
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